私立中学

男子校

とうきょうとしだいがくふぞく

東京都市大学付属中学校

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デジタルパンフレット

スクール特集(東京都市大学付属中学校の特色のある教育 #1)

「語学力」と「生きる力」を養い、 生徒たちの可能性を広げる国際理解教育

英語によるコミュニケーション力や国際感覚を養うプログラムを導入し、グローバル社会で活躍できる若者を育てている東京都市大学付属中学校・高等学校。生徒たちの可能性を広げる同校の国際理解教育を取材した。

グローバル化が加速的に進んでいる現代社会。東京都市大学付属中学校・高等学校では、そうした時代を生き抜く力を養い、生徒たちの将来の可能性を広げるために、様々な海外研修プログラムを導入している。その活動について、国際部担当の松尾浩二先生にインタビューを行った。また、高校1年生が国際理解教育に対する率直な思いを体験談とともに語ってくれた。

帰国生がもたらす学校内部からの国際化

 同校では、「高い語学力」と「国際社会で生きる力」を養成するために、海外研修を始めとした様々なプログラムを実践している。近年の国際理解教育について松尾先生は次のように語る。
「まず、大きな取り組みの1つとして、2014年に帰国生入試を開始しました。海外へ行っていろいろな体験をすることももちろん大事なことですが、学校の中からも国際化を推進できないか。海外経験をもつ生徒を受け入れることで、校内に『化学反応』が起きるのではないかと考えました。初の帰国生入試による入学者は19名でしたが、ここ数年は40後半~50名に増加し、生徒全体でみると5~6人に1人が帰国生となっています」

 「実際に、私たちが期待していた化学反応も起きています。先日、何気ない生徒同士の会話を聞いたのですが、フィリピンからの帰国生が『日本では、ドゥテルテ大統領は、独裁者のように報道されているけれど、フィリピンでは良い政治家だと支持されている。国民の多くは、彼が犯罪を厳しく取り締まってくれるおかげで、安心して暮らせると思っているんだよ』というようなことを話していました。大統領の客観的な評価は別にしても、現地で実際に生活した生徒の生の声を通して、身近なところから多面的かつ国際的な視野が広がっていくのではないかと思いました」

▶︎国際部担当 松尾浩二先生

マレーシアで異文化体験、ニュージーランド語学研修&ターム留学

 同校は、中高6年を通して4つの海外研修プログラムを実施している。最初は、中3の「マレーシア異文化体験プログラム」(10日間・希望者)。
「これは、いわゆる語学研修ではありません。あえて英語圏ではなく、アジアを選んだのは、英語=グローバルではないということ、そしてマレーシアが多民族国家だということが理由です。言語もいくつか混ざり合い、異なる民族がそれぞれの文化や宗教、生活様式を尊重して共生しています。その様子を実際に見、異文化を体験して国際理解を深めてほしいというのが主な狙いです」と松尾先生。

 高1では、「ニュージーランド語学研修」(3週間・希望者)を実施。「今度は、英語を学ぶことがメインのプログラムです。生徒たちはホームステイをしながら、現地の学校に通うのですが、行ってすぐに、現地の生徒と全く同じ授業を受けます。当然、全授業が英語なので、科目によっては、理解するのが難しいかもしれません。そういう時は、バディと呼ばれる生徒がサポートをしてくれます。現地で生の英語に触れ、日常生活に溶け込むことで実践的な英語力や国際感覚も培われていきます」
またニュージーランドには、4校の提携校があり、ニュージーランドの生徒が同校を訪れるなど、相互の行き来をしているという。

さらに長期の海外滞在を目指したい生徒のために、昨年から「ニュージーランド3か月ターム留学」(中3・希望者)を開始した。
「中高一貫校の利点を活かし、留学期間を中3の3学期(1~3月)に設定をしました。高校受験がないこともありますが、この時期は、学校行事や部活の大会なども少ないのです。この留学プログラムも、ホームステイをしながら現地校へ通います。生徒たちは英語力が向上するだけでなく、3か月間、親元から離れて海外生活をすることで忍耐力や自立心が身につきます。私たちが想像する以上に、大きく成長して帰ってきますね」
松尾先生によると、初回(2017年度)の留学希望者は4、5名程度の予想だったが、結果的には24名が参加したとのこと。「2018年度は、前年を上回る28名が留学中です。本校の生徒は、海外への意識が非常に高いと感じますね」

大学と企業を訪問するアメリカ西海岸研修旅行

 また、一昨年より、高1の全生徒が参加する「アメリカ西海岸研修旅行」(8日間)も実施している。プログラムには、アップルやグーグルなど、最先端のIT企業が多数本社を構えるシリコンバレーに行くツアー、UCLAやカリフォルニア工科大学という世界トップクラスの大学見学、一般家庭でのホームステイ、西海岸に展開している日本企業の訪問などが組み込まれている。
「シリコンバレーのツアーは、途中、スタンフォード大学での研修も組まれているので、留学生活の話などを聞くこともできます。UCLAやカリフォルニア工科大学の見学は留学生の方たちがキャンパスを案内してくれます。ホームステイ(2泊)では、アメリカの一般家庭にお世話になることによって、まさに『内側』からアメリカを感じてほしいと考えています。また、日系企業の訪問は、海外で日本のビジネスマンが頑張っている姿を見ることで、将来を考えるきっかけにもつながればよいと思っています」と松尾先生。

「このアメリカ研修旅行の立ち上げと同時に、その前年度の中3で『京都・奈良研修旅行』を実施することにしました。理由は、アメリカでホームステイをする際、必ずファミリーから日本のことをいろいろと聞かれますし、歴史や伝統文化など日本のコアな部分を英語で伝えることは、とても重要であるからです。グローバルなものの見方は、まず、自分の国をきちんと知ることから始まると本校は考えています」

 「このように中高一貫の最初の4年間に海外研修を始めとした多くの経験を積んだ後、残りの2年間は、自分の進路に向かって勉強をするというのが、本校の方針です。そして、私たちの役割は、いろいろな進路の選択肢を提示し、生徒たちの夢が実現できるように、教員が一丸となって後押しをすることです。生徒たちの将来の可能性を広げるために、今後も国際理解教育を推進していきます」

グローバル教育について高1生にインタビュー

実際に海外研修プログラムに参加した生徒は、どのような体験をしてきたのだろうか。また、海外研修には参加していないものの、帰国生や留学生から影響を受け、英語の学習のモチベーションが上がったという生徒もいる。3人の高校1年生が、それぞれ体験したこと、体験を通じて考えたことなどを語ってくれた。

Sくん(写真左) 中3の3学期にニュージーランドターム留学に参加
Wくん(写真中央) 高1の夏、ニュージーランド語学研修に参加
Mくん(写真右) 中3と高1の時に、ニュージーランド留学生のホームステイを受け入れ

―ニュージーランドの研修、ターム留学に参加した理由は?

Wくん 将来、やってみたい仕事が、海外と関わることが多いため、語学力を身につけようと、ニュージーランドの研修に応募しました。留学は大学でしたいと思っていて、その前にまずは3週間から始めることにしました。

Sくん 中1の時、母が学校の制度でターム留学があることを教えてくれ、聞いた瞬間に「行きたい!」と思いました。その後も、海外で生活をしたいという気持ちは変わらず、中3の時に改めて、親に「行かせてください」とお願いしました。

―実際に海外体験をした感想や、印象に残ったことなどを教えてください。

Wくん 3週間のニュージーランド研修は、初日から現地校の授業を受けるものだったので、最初は戸惑いました。数学は理解できましたが、英語の授業は、先生が途切れなく話すので、聞き取れなくて…。わからないことは、バディに教えてもらっていました。学校以外では、ホームステイ先の近所の子どもたちと、よくサッカーをしていましたね。また、文化交流の一環で、小学生に折り紙を教えたりしました。でも、小さい子どもは加減をしてくれないので(笑)、コミュニケーションをとるのが大変でした。
 一番、思い出に残ったのは、学校で仲の良い友だちができたことですね。自分たちだけのオリジナルの遊びをしたり、他愛もない話で盛り上がったり、楽しい時間を過ごしました。

Sくん 最初は学校の授業がわからなくて、知らない単語をノートに書いて、家で調べることの繰り返しでした。でも、数学だけは1学年上の授業を受けていました。また、留学をした1月が、ニュージーランドではちょうど高1の1学期のスタートと重なり、クラブなどはみんなと同じように、最初から活動することができました。3か月の間に、エアロビクス、インターナショナル・ランゲージ、チェス、ヒストリークラブに入部。そこで友だちもできて、帰国する時は送別会もしてもらいました。とにかく、3か月間が短いと感じるくらい、留学生活が楽しかったです。
印象的だったのは、ニュージーランドは、世界各国の人々、様々な人種を受け入れ、国際化が進んでいるということ。そのような環境に身を置いて、世界は広いんだなと実感し、グローバルな視野も広がったように思います。

―Mくんは、ここ1~2年、英語の勉強に力を入れ、成績も伸びていると聞いています。そのきっかけは何だったのでしょう?

Mくん ぼくは中1の頃、とにかく英語が苦手でした。勉強に目覚めた最初のきっかけは、同じテニス部に入っている帰国生の友だちの影響です。ある日、その友だちと渋谷に遊びに行って、外国人に話しかけられたことがありました。自分は聞かれたことがわからず、固まっていたのですが、友達はすらすらと会話をしていて、素直にかっこいいなと思いました。
その後、中3の時に、ニュージーランドからの留学生を家で受け入れることになりました。一緒に学校へ行き、生活を共にしているうちにすごく仲が良くなりました。今も連絡をとり合っていますし、高校を卒業したら遊びに行くと伝えています。その出会いが、英語を学ぶ目的や、やる気につながったと思います。

―将来の進路、今後の抱負などを教えてください。

Sくん ニュージーランドの留学をきっかけに、国際的なことに関心を持つようになり、高1の夏休みに2週間、カンボジアで公衆衛生のボランティアをしました。高校を卒業したら、医学部へ進学し、日本で臨床の経験を積んでから、海外へ出たいと思っています。そこで公衆衛生の専門を身につけて、国際社会に貢献できるような仕事をしたいです。

Wくん ぼくは宇宙工学に興味があって、ロケットの製作をしたいです。それは、日本というよりも海外、アメリカでやることなのかなと思っています。そういう面でも、しっかりとコミュニケーションがとれるような英語力を身につけたいです。

Mくん 近々、アメリカ西海岸研修旅行があり、自分にとっては初の海外研修なので、わくわくしています。特にホームステイで、ファミリーと会話をするのが楽しみです。将来の夢は、会計士になることです。英語はツールとして身につけたいですね。中3、そして高1でも留学生を受け入れたのですが、もっと英語力があったら、さらにいろいろな話ができたかなと思いました。でも、英語を学ぶモチベーションが上がり、よい経験でした。

[取材を終えて]
国際理解教育を重視し、海外研修のプログラムを導入している学校は多くあるが、東京都市大学付属中学校・高等学校は、生徒の参加率が高いことが印象的だった。また、3週間のニュージーランド語学研修は、外国人向けの語学研修を設けず、最初から現地校の生徒と同じ授業を受けるというタフなプログラムだが、その体験が、英語力だけでなく、生きる力を養っていると感じた。そして、同校の国際理解教育は、単に英語の成績を上げること、海外体験を目標にしているのではなく、生徒たちの将来の可能性を広げるために進路の選択肢の1つとして捉えていることが理解できた。

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