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三輪田学園中学校

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デジタルパンフレット

スクール特集(三輪田学園中学校の特色のある教育 #4)

人や社会、未来と「つながる」独自のカリキュラム

近年は、理系学部への進学率の高さでも注目されている三輪田学園。その根底にある「読書教育」や「道徳教育」など、「徳才兼備の女性」の育成を目指す独自カリキュラムの特徴とは?

三輪田学園では、中高一貫教育ならではの強みを活かし、「誠実で、だれとでもつながることができ、自らの人生を切り拓いて生きる、徳才兼備の女性」の育成を目指して様々なカリキュラムに取り組んでいる。1970年から続く「読書教育」や、進路指導にもつながる「道徳教育」をはじめとする同校ならではの教育について、中学教頭の湯原弘子先生と社会科の塩見牧雄先生に話を聞いた。

学習環境が変わる中学1年生を様々な形でサポート

中学校に入学したばかりの1年次は、学習環境や生活環境が大きく変わり、戸惑いを感じる生徒もいる。湯原先生は、「1年次に中学生としての学習スタイルや生活スタイルを確立させることが、その後の安定した成長につながると考えています」と語り、同校では1年生に向けて様々なサポート体制を整えている。

例えば、「三輪田手帳」や「三輪田タイム」で学習習慣の確立をサポート。テストや課題のスケジュール管理ができる共通フォーマットの「三輪田手帳」を配布し、担任が定期的にチェックしてアドバイスをしている。iPadの「Classi」(学習支援プラットフォーム)も併用しているが、同校では「手で書くこと」が重要だと考えているという。また、家庭での学習習慣をつけるために、午後8時~9時を「三輪田タイム」と設定。この1時間は友人とも電話やメールなどで連絡を取り合わず、自宅で学習すると決めているのだ。さらに、クラブがない日の放課後には、中1は全員「学びクラブ」に参加。決められた教室で宿題や復習など、各自が計画して学習する。大学生メンターのサポートも受けられるが、「あくまで自分で勉強する習慣をつけるための時間です」と湯原先生。

「人とのつながり」を重視している同校では、1年生が新しい環境へよりスムーズに適応し、新たな人間関係を築いていくためのサポート体制も整えている。様々な地域から、様々なバックグラウンドの生徒が入学してくる中で、自分の意見が言える雰囲気をつくり、「自分の居場所としての学校」にするためのきっかけを用意。新入生同士は様々なアクティビティで交流を深め、泊まりがけのオリエンテーションキャンプも実施している。さらに、1年次は1週間に1度席替えをすることでクラス全員と話す機会を作り、自分と気が合う人を見つけやすい環境づくりをしている。

▶中学教頭 湯原弘子先生

▶社会科 塩見牧雄先生

将来の夢へとつながる「読書教育」

「読書教育」としては、まず中1で「国語課題図書」を読み、感想文や書評を書いて発表する。3学期には、各自が1冊の本を薦めるビブリオバトルを実施。中3になると社会科分野で読書に取り組み、人権や戦争、環境問題、国際協力などをテーマとした作品を読んでレポートを提出する。2学期からは自分で見つけたテーマに沿った本を読み、3学期に卒業論文を完成。中学3年生への卒論の指導とは、どのように行っているのだろうか。

「卒論は、自分たちでテーマを決めるところから始め、『問いを立てる』『章立てを考える』など、何段階にもわけて細かく指導していきます。参考文献についても、何の本を読んでその情報を得たのか資料カードに記録しておくことが大切です。アウトプットに関しては、学年を半分に分けて、『発表する側』と観客として保護者や教員と一緒に『発表を聞く側』の両方を経験します」と塩見先生。5000文字を目安にまとめられた生徒たちの論文は、きちんと章立てされており、参考文献などもしっかりと記載されている。卒業生の進路と照らし合わせてみると、この卒論と進路が結びついてるケースも多いという。例えば、まだ文系か理系かも決めていなかった段階で臓器移植をテーマにした生徒が医学部へ進んだり、子どもの貧困をテーマにした生徒が教育学部に進んだ例もある。

「再生エネルギーをテーマにして北欧について調べた生徒は、そこから北欧のデザインに興味を持ち、美術クラブに所属していたわけでもなかったのに美大でグラフィックデザインを学ぶ道を選んだケースもありました。読書や道徳の授業、学校行事などを通して、興味のあることを自分で見つけて学んで行くことが、探究力や思考力、表現力にもつながり、将来への方向付けにも関わっていきます」(湯原先生)

卒論以外にも、論文指導は各教科で行われている。例えば英語では、高2で未来のエネルギーに関する英語の本を読んで、日本における未来のエネルギーについて英語でプレゼン資料を作成。英語のエッセイでは、ただ言いたいことを書くだけでなく、理由付けやその背景、結論などをしっかりと組み立てる論文指導を行い、ネイティブ教員がチェックしている。また、進路指導の一環として、高2で「自分史」を執筆。自分はどういう人間で、何に興味があり、どうやって生きてきたかを考えてまとめる。「これまでの自分を振り返ることが、これから先を生きていくための推進力になります」と塩見先生。書くことと合わせてパソコンスキルも身につけていくので、卒業する頃には大学で論文やレポートを書く際にも困ることがないレベルにまで成長できる。

人や社会とつながり「個」を磨く「道徳教育」

人間としての基礎をつくる「道徳教育」では、「平和」「自立」「環境」「防災」といった現代社会の諸問題について解決の道を探り、その過程で自己と社会との結びつきを考えていく。中2と高1の生徒は、自分でボランティア先を見つけ、自分から「ボランティアをさせてほしい」と申し出て活動するという。

「高1では、病院などでボランティアをする生徒が少なくありません。このような経験が、進路にも関係していると思います。本校では、理系に進学する生徒が全体の4~5割で、特に医歯薬看護系に進む生徒が多いです。道徳の授業やボランティアなどの経験から、命の大切さを実感し、人の役に立ちたいという気持ちが芽生えてくるからではないかと考えます」(湯原先生)

ボランティア先との交渉やお礼状の書き方などは、担任がしっかりと指導している。同校では、進路指導の一環として卒業生による講演会も定期的に開催。身近なロールモデルである卒業生の話を聞くことが、これまで学んだことを自分自身のライフデザインに関連づけて考えるきっかけになるという。医療系へ進むには他学部とは違う受験対策も必要になるため、近年は、医療系に進学した卒業生によるメディカルセミナーなども開催している。

筑波大学人文・文化学群比較文化学類に進学した卒業生にインタビュー

筑波大学人文・文化学群比較文化学類(現在2年生)に進んだYさんに、三輪田学園での6年間について聞いた。

――この学校を選んだ理由は?

小さい頃から体操をやっていたので、小5の時に文化祭で体操クラブの演技会を見ました。生徒が考えて演技するアトラクションが、とてもかっこよかったです。文化祭全体を見ても、先生と生徒の距離が近くてアットホームな雰囲気で、楽しく過ごせそうだと感じました。入学後も、先生との距離感などはその時の印象とあまり変わらず、とても居心地がよかったです。

――中3の卒業論文では何をテーマにしましたか?

ストリートチルドレンをテーマに選びました。私自身はこのテーマから何か影響を受けたという意識はありませんでしたが、今思えば、この頃から社会的弱者への関心が芽生えていたのかもしれません。大学でいろいろなことを学んでいるうちに、今はLGBTに関心を持つようになりました。最近はLGBTをテーマにした映画やドラマも多く、テーマとしては昔からあったのに、今そこに注目が集まっていることにはどのような意味があるのかなどを、卒論のテーマにできたらいいなと考えています。

――中3で卒論を書いた経験はどのように活かされていますか?

三輪田学園では、卒論以外にもレポートや論文を書く機会が多く、参考にした書籍などの出典を明示して引用しないと剽窃(ひょうせつ)になることなど、基本的なことからしっかりと教えてもらえました。大学ではレポートを書くことも多いので、とても助かっています。

――比較文化を学びたいと思ったきっかけは?

高1の担任だった内田先生から世界史を学んで、世界史の面白さを知りました。教科書に書かれたことだけを学んでいたら、「受験のための世界史」で終わっていたかもしれません。教科書は大きな事を成し遂げた人のことを中心に書かれていますが、内田先生は雑談として一般庶民の話なども教えてくれました。そのような雑談の中で、距離が離れていたり、時代が違うのに同じようなことが起きていることがわかり、歴史の中のどこかで何かがつながっていることが面白かったです。例えば、江戸時代に浅間山が噴火して、その火山灰が気流に乗って行き、ヨーロッパで起きた冷害の一因になったという説があり、「世界がつながっている」と感じました。世界史の中でも文化の伝播などに興味があったので、広い視野で学べそうな比較文化を選びました。

――比較文化を学べる大学の中で筑波大学を選んだ理由は?

6年間都心の学校に通っていたので、関東でも東京以外の学校に行きたいという気持ちがありました。高2の夏に筑波大学のオープンキャンパスに参加して、先輩方の説明から、やりたいことが見つかれば深めていけると感じ、自由でありつつしっかりと学べそうな雰囲気がよかったです。

――大学受験に向けてどのような勉強をしましたか?

朝型がいいと聞き、高1から朝4時に起きて1時間半勉強してから学校へ行く習慣がついていました。早起きが苦ではなかったので、私には合っていたと思います。英語だけは塾に通っていましたが、それ以外の教科は自分で計画して、科目が多いセンター試験対策は1つに偏らないように時間を区切って勉強しました。英・国・社の二次試験は記述問題があるので、過去問を解いて各教科の先生に添削してもらったことも大きな力になったと思います。何度も書き直して添削していただきましたが、三輪田学園ではみんな自発的に添削してもらっていました。

――三輪田学園での学校生活はどうでしたか?

人数がそれほど多くないので、同学年の全員と仲良くなれますし、先生との距離も近くて話す機会が多いのがよかったです。先生や友達ととても楽しく過ごせたので、今でも中・高校時代に戻りたいと思うことがあります。中身の濃い6年間だったので、今までの人生の中で一番印象に残っていますし、これからの人生でも、この6年間を越えるような楽しい時間はないかもしれないと思えるほど、充実した時間でした。

<取材を終えて>
卒業生へのインタビューで「歴史の中のどこかで何かがつながっている」と話していたのが印象的だったが、同校の教育からも様々な「つながり」が感じられた。例えば、40年以上も前から「読書教育」に力を注いできたが、結果的にはそれが近年注目されている「探究型学習」にもつながっていることなどが興味深い。社会で求められる能力が急速に高度化、多様化し、それにともない大学入試改革が行われようとしている今こそ、思考力や表現力を育む同校独自の教育は注目に値する。同校では、受験生向けの学校説明会を開催するほか「校長と入試問題にチャレンジ」などの参加型イベントを開催している。ぜひ、注目していただきたい。

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