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様々な力がつくコラムリーディング+スピーチ

新聞の社説などを5分で読み、5分で意見をまとめる「コラムリーディング」と、クラスの前で発表する「1分間スピーチ」。これらを、毎朝のSHRにおいて、中1から高1までの4年間実施する。さらにLHRでは、3分間スピーチ、ディスカッション、ディベートに取り組む。速読力や書く力はもちろん、発表力や質問する力、意見する力、異なる意見を受け入れる姿勢など、様々な能力を養っている。

毎朝8:15より、10分のSHRの時間に取り組んでいるのが、「コラムリーディング」。新聞の社説やコラムなどを5分で読み、5分で自分の意見を200字以内にまとめるというもの。その後、1分間スピーチとして、クラスの前で発表する。チャンスは、年間一人あたり5回以上もまわってくる。大人でも苦労しそうな課題に日々取り組んでいるだけあり、子どもたちの読み、書き、発表する能力は、ぐんぐん向上中だ。

取材した中学3年生のクラスは、「カラオケ店を仕事で利用」という新聞記事をもとに、「会社の社員になったつもりでアイディアを出そう」というテーマに挑戦。「駅の自殺防止のため、明るい音楽をかける」「美容院で話しかけられたくない人のために、タブレットを活用」といった新鮮なビジネスアイディアを発表。「○○くんはどう思いますか?」と発表者自ら意見を求めながら、議論が発展する。「学校の図書室を会議室としてレンタル」という案に対しては、「リスクが大きいよ」「利益は出る?」といった質問が飛び交い、対する発表者は臆することなく、「料金を安くすればいい」などと即座に応戦。時には奇抜なアイディアが出て、教室が笑いに包まれることも。生徒同士が互いを信頼し、積極的に発言し合う姿に驚かされた。

このコラムリーディングを担当している国語教諭の加藤咲佳先生に、お話を聞いた。

――コラムリーディングの題材を選ぶ際、こだわっている点は?

学年があがるにつれ、賛否が分かれるようなものを選び、いろいろな意見が出て、あえて衝突させるよう心掛けています。たとえば先日は、医療が発達するまで冷凍保存されたタイの少女のニュースを取り上げました。

今の子どもたちは、人間関係を円滑にすることは上手ですが、意見をぶつけ合う機会が少ない。だから「どんどん反論して」と促します。仲良しのクラスの仲間だからこそ、衝突する練習ができるのです。

加藤咲佳先生

――1分間スピーチは、プレゼンテーションの練習にもなりますね。

はい。昨年度末、中学2年生へのアンケートでは、2年間で実力をつけ、「発表に抵抗がなくなった」という生徒が何人もいました。

――コラムリーディングや1分間スピーチの成果については、どう感じていますか?

鋭い指摘ができる子が多くなりました。ざっくりした反論ではなく、具体的に「ここはどうですか?」と鋭い質問が飛ぶようになりましたね。

また、読むスピードもはやくなり、速読力がつきました。インターネット時代の今だからこそ、新聞を読む意味も大きいと思います。

――今後のコラムリーディングとしての目標は?

高校1年生までの4年間取り組みます。教師が介入せず、すべて生徒だけで進行できるようになればいいなと思います。LHRの時間も使いながら、ディスカッションの時間もとっていきたいです。

――コラムリーディングなどを通じ、生徒には、将来どんなふうに育ってほしいですか?

今の中学3年生が、大学入試が変わる最初の年になります。そのためにどんな力をつけたらいいのか、日々情報を入手していますが、一問一答のマークシートではなく、多面的でいろいろな面から物事を見る力が必要となり、それを身につけられればいいと思います。自分の意見を言葉でただしく表現し、しっかり伝わるよう工夫できる生徒になってほしいですね。

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職業体験で、社会のなかの立ち位置を知る

コラムリーディング以外にも、オリジナルの「読書ノート」の配布、クラス対抗で読書量を競う「リーディングマラソン」、6年間の「キャリアデザインプログラム」を実施。これらを「R-プログラム」と名付け、展開している。
「Research」=自ら進んで調べる力、「Read」=主張は要点を読み取る力、「Report」=意思や結果を正確に伝える力という「3R」を伸長する。R-プログラムのうち、今回は「キャリアデザインプログラム」について、担当の平林重郎先生に詳しくインタビューした。

――「キャリアデザインプログラム」がどのようなものか、概要を教えてください。

キャリアデザインプログラムの中学3年間の流れですが、まずは中1で、卒業生による「職業講話」を行います。仕事の楽しさはもちろんですが、職場の雰囲気や努力すべき点、つらいことなど、表からはわからない裏側の話を聞きます。そこで、在学中に何をしておくべきかを学びます。

中2~3では、「職業体験」を各一回ずつ行います。中2は学校の近隣、中3は最寄り駅の沿線~少し遠い場所まで、3日間の体験に伺うという違いがあります。お店から病院、警察署、公共施設、研究施設など、多岐にわたります。中2は、体験した内容を「職業新聞」という形でまとめ、立正祭(文化祭)で発表。中3は、同じく文化祭で、プレゼンテーションまで行う、という違いもあります。

それらを通し、職業という遠い存在を身近に感じるとともに、漠然としたこわさや不安を払拭する狙いがあります。

平林重郎先生

――「キャリアデザインプログラム」を実施してきたなかで、どのような成果を感じますか?

まったく知らないお店や事業者に行き、指示を受けながら働くという初めての経験をするなかで、他者とのつながりや対応能力を体得するきっかけになります。それが大きな強みになります。

――今後、どのようなかたちで続けていきますか?

現状では、ご協力いただく職場に限りがあり、生徒がやってみたい仕事を100%体験できる形になっていません。自分のやりたい仕事であればモチベーションもあがりますので、やりたい職場体験ができるよう、努力していきます。

実際体験してみて、「思っていたのと違った」ということもあれば、「思ったとおりだった」ということもあります。実際に現場に飛び込み、自分自身で発見することで、将来の選択肢を広げてもらいたいですね。

中学生はまだまだ自分の軸が定まっていない年代です。他者、社会と関わることで、世界のなかの自分の位置、座標が明確になる。そのなかでどう生きていくのがベストなのかを考えられる人間になってもらえたらと思っています。

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「行学二道」の精神で、心の土台をつくる

R-プログラムを含めた、同校の教育の現状とこれからについて、校長先生の展望を伺った。

――まず、同校の教育方針についてお聞かせください。

本校は、立正大学の付属として仏教主義を掲げ、心の教育、人間教育を大切にしています。週1回、宗教の時間があり、道徳教育を行っています。日蓮聖人の人生にはじまり、命の大切さや生きる力、希望を与える題材を取り上げます。後半になると、いじめなどの身近な問題にも取り組みます。

2020年の大学入試制度改革に向けては、生徒が人前で話す力などを養う「R-プログラム」を展開しています。まとめる力、発表する力、ディベート力など、大学生や社会人になっても役立つ能力を習得します。なかでも国語を最も重視し、図書館を活用した「リーディングマラソン」や、「論理エンジン」などの教材を用いながら、読解力を養います。それは、あらゆる角度から考えられる子どもを育てていることでもあります。また、社会に出るうえで、コミュニケーション能力も重要です。R-プログラムを通じ、研究・発表ができるようにしていきます。

大場一人校長

――R-プログラムの成果について、どう感じていますか?

R-プログラムは、単なる大学入試のためだけではありません。もっと先を見すえ、社会人、大人になったときに必要な実践力を養いたいと考えてのプログラムです。発表は、入学当初は苦手で嫌がる生徒が多いのですが、年数がたつうちに慣れ、拒む生徒はいなくなります。短い時間ではなく、じっくり時間をかけるなかで、読み取る力や人前で話す力、チャレンジしようとする気持ちを磨いていきます。これらは、いろいろな教科で役立つ力でもあります。

――他に、どのような取り組みがありますか?

中学生は弁論大会などがあり、人前での発表の機会が多いのですが、教科横断的により精査し、独自の教科書のような教材を作りたいと考えています。様々な取り組みを通し、教師もまた“教師力”を培っており、それが強みになっています。

また、ALTの導入は、私立のなかではかなり早いほうで、25年以上たちます。これまでクラスを2分割していたところ、2017年度より3分割、より少人数に分け、発話の機会を増やしています。ホームステイは30年に及ぶ実績がありますが、中学3年生は短期の国内留学を実施することになっています。

さらに昨年度よりICT教育をさらに推進、2017年度は電子黒板を導入し、全教職員で研修し、よりわかりやすく、興味を持たせ、かつ効率的な授業のための活用を進めていきます。

――最後に、育成したい人物像を教えてください。

「行学二道」が我が校の精神ですが、学問においては探究心を忘れず、生活習慣もきちんとし、R-プログラムで学力を養います。皆勤賞の生徒、遅刻や早退をしない生徒が多いのも、我が校の特徴ではないでしょうか。病気やケガなどを除き、単なる怠けでの休みがないよう、ご家庭に協力を頂きながら、しっかり指導しています。

一方で、卒業生が気軽に戻ってこられる、アットホームな学校です。茶道、英会話、写経、華道など、卒業生や保護者による教養講座は15年も続いています。

何より、人間としてのバイタイティ、活力があり、少しのことではくじけない精神、心の土台を培ってほしいと考えています。どんなことでもチャレンジし、継続すること。得意分野を伸ばし、そこでのリーダーになってもらいたい、と常日頃子どもたちにも話しています。

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