プロとして偏差値を上げるのは当たり前
家庭教師に求められることは何か。高田先生は、それを二つに分けて捉えるとわかりやすいと言います。「一つは、学力の向上です。プロの家庭教師として、担当させていただくお子さまの偏差値を上げるのは当然のこと。そのノウハウを持っているのがプロの家庭教師のもう一つの条件です。」。偏差値を上げるのは一種のテクニックだとも言う高田先生。しかし、高田先生のテクニックは、一般的に思い浮かべるテクニックとはかなり異なっているようです。
各教科の本質へ通じる一筋の道を見せること
高田先生は、算数を例に話して下さいました。「8/9÷3/4の答えを書いてみて下さい」と高田先生。筆者は、割る数3/4の分母と分子を入れ替えかけ算をし、32/27という答えを書きました。すかさず「どうして分母と分子を入れ替えてかけ算をするんですか?」と高田先生。答えに窮する筆者。考えてみると「ただ、そうすればいい」と手法を覚え込んでいただけだったのです。「分数というのは、実は割り算の答えそのものですね。例えば、8/9は8÷9の答え。当たり前だと思いますか?でも、そう考えれば、8/9÷3/4は、8/9/3/4とすぐに書くことができます。後は、9と4の最小公倍数36を分母と分子にかければ……」。なるほど、そうすれば、8×4/9×3となって32/27。「これは、分数についてのほんの一つのものの見方ですが、こういう見方ができるかできないかで、まったく算数の学力は異なってくるものなんです」。つまり、本質へと通じる一筋の道をお子さまに伝え、理解させることが高田先生の言うテクニックなのです。
お子さまのやる気を引き出す方法
高田先生の話には、聞くものをぐいぐい惹き付ける不思議な魅力がありました。しかし、はなからやる気のないお子さまをその気にさせるのは難しいのではないでしょうか。「そうですね。ですから、一番最初には『勉強は好きですか?嫌いですか?と訊くようにしています。多くのお子さまは『嫌い』と答えますね。そこで、『どういうところが嫌いなの?』と続けて訊くんです」。その問いに対して、「ここが嫌い」と答えられるお子さまは、学力を向上させることはそれほど難しくないと高田先生は言います。「『ここが嫌い』と言えることは大変なことなんです。明確に答えられないお子さまに対しては、さらに細かく質問し、嫌いなところを消していきます。そうするとお子さまは自然と勉強に向かうようになっていくんです」
ベースになるのは、家庭内のコミュニケーション
高田先生は、お子さまの学力向上を通じて、その家庭を少しでも幸せな家庭にすることが家庭教師の大きな役割だと考えているようです。「もちろん、何が幸福か、何がいい人生かといったことには、家庭教師は立ち入るべきではありません。ただ、お子さまの学力の向上のお手伝いをしていくうちに、「その先にある幸せってどんなものだろう?」と本人もご両親も考えられるようになると思います。具体的には、同じ偏差値でも『あの学校ならがんばれそう』というビジョンが見えてきます。そうして、家庭で適切なコミュニケーションができるようになると、もう私の役割は終えたも同然ということなんです」
取材を終えて感じたのは、高田先生がプロの家庭教師としての自信とプライドを強く持っていることでした。偏差値を上げるという具体的な要求にも応えながら、その先にあるものをしっかり考えていて、決してぶれることがない。なるほど、家庭教師のプロというものはこういうものなのかと感じました。 |
取材協力:家庭教師のサクシード |