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品川女子学院の「起業体験プログラム」

~高等部1・2年生の「起業体験プログラム」を取材しました~

「起業体験プログラム」は、「28プロジェクト」の一環として同学院が力を入れている学習プログラムです。それは、同学院の文化祭の白ばら祭[9月20日(土)・21日(日)]での実行を目標に、クラス単位で起業に取り組むというもの。実際の起業と同様の本格的な手順を踏み、株式会社を設立します。
  今年は高1(6クラス)、高2(5クラス)の計11クラスが、総合学習の時間やHR、夏休みなどを利用して取り組んでいます。
  まず、「起業体験プログラム」のおおまかなスケジュールをご紹介しましょう。

4月~ 事業計画の立案・企画書作成……クラス全員で話し合いを重ね、どういう会社を設立するか検討し企画書を作成。商品の仕入れ先企業なども検討し、自分たちで順次アポイントメントをとって交渉開始。

5月~ 事業計画書作成・飲食希望クラスコンペ実施……企画書をもとに事業計画書を作成(資料参照)。人気の高い飲食店は出店が5つに制限されているため、5月にコンペを実施して出店クラスを決定。生徒の保護者3名に審査員となってもらい、希望クラスがプレゼンに臨む。

6月~ VC(ベンチャーキャピタリスト)へのプレゼン開催……投資家を募ることも起業の重要なプロセスの一つ。生徒たちは卒業生の先輩にVCとなってくれるよう呼びかけ、毎年大学生のOGたちがそれに応じてくれる。そして高1~2年生全クラスが一堂に会してプレゼン実施、先輩たちの厳しいチェックを受ける。←この日を取材しました!

7、8月~ 具体的な準備開始……株券発行、定款、登記簿作成を経て、いよいよ白ばら祭での実行に向け具体的な準備開始。生徒たちは協力企業との打ち合わせ、資材等調達、広告・資料作成など、夏休み中も準備に飛び回る。

9月 白ばら祭本番・株主総会開催……4月から積み重ねてきたプログラムの成果が試されるとき。白ばら祭翌日は株主総会を開催、決算発表を行う。

「起業体験プログラム」のスケジュールはこちら
事業計画書の雛形はこちら


取材報告=VCへのプレゼンテーションが行われました=

品川女子企業体験プログラム6月某日午後、体育館へ向かう生徒たちの声が廊下に響きわたりました。そのにぎやかなおしゃべりのようすから、みんなの緊張と興奮、そして高揚感が伝わってくるようです。
  これからVCを募るためのプレゼンが始まります。「起業体験プログラム」の山場の一つです。プレゼンに向けて、自分たちで事業計画を練り、パワーポイントで資料を作成し、発表の原稿を書き、時間を計りながら何度も練習してきました。
  果たしてVCを獲得し、投資してもらうことができるのか、――それはこの日が勝負。さあ、いざ本番です!

品川女子企業体験プログラム「みなさん、静かに! これからプレゼンテーションを開催します」――司会の生徒の一声で、体育館は水を打ったように静まりました。体育館中に真剣さと意欲がみなぎっています。
  会場にはVCを引き受けてくれる卒業生12名のほか、「起業体験プログラム」を監修・指導してくれているプロの投資家1名、プレゼンの外部見学者として公認会計士(在校生の保護者)や投資家(在校生の保護者)、ビジネススクールの教師など6名が出席。テキパキとした司会により、プレゼンは整然と開始されました。

品川女子企業体験プログラム プレゼンは1クラス5分。時間がくれば途中でも終了しなくてはなりません。設立目的、コンセプト、セールスポイント、ターゲット、販売方法、商品管理、衛生面への配慮など、内容はクラスごとに工夫され、プロも顔負けの完成度で手際よく発表されていきます。マーケティングとして校内アンケートを行っているクラスも目立ちました。
  アイスクリーム販売を企画するクラスはサーティーワンアイスクリームを仕入先とするなど、企業に協力を仰いでいるクラスも多く、このほかハウス食品、江崎グリコなどの企業が挙がっていました。

品川女子企業体験プログラム プレゼンが済むと、VCからの質疑が行われます。先輩たちは後輩を温かく見守りながらも、「装飾代が他クラスより多いが、なぜか」「商品を貯蔵する冷蔵庫はどんなものを使用するのか」「販売個数の根拠は」「商品が売れ残った場合、セット販売などを計画しているのか」など、つっこんだ質問をします。それに対し、返事につまってしまう場面はほとんど見られません。事業計画に不備があった場合でも、「○○についてさらに調査します」など、前向きな姿勢で真摯に答える姿が見られました。

品川女子企業体験プログラム プレゼンで共通していたのは、「環境」への配慮を忘れていないこと。どのクラスもゴミを減らす工夫、CO2の発生を抑えるための工夫が凝らされています。また、利益の使い道としてすべてのクラスが寄付を予定しており、地域の緑化、ユニセフやNGOを通じた途上国の子どもへの教育支援など、自分たちで寄付先を調べ、決めています。

 全クラスのプレゼン終了後は、監修役の投資家や、見学に訪れた人たちから感想とアドバイスが。環境を考慮していること、お客の立場に立って考えていること、商品が売れ残った場合の対応もちゃんと考えていること、品川女子企業体験プログラムVCが鋭い質疑に対応をしていることなど、高い評価の声が上がり、加えて、今後は店舗にお客を引き入れるための宣伝について考える必要のあること、株式会社としてもっと利益向上を意識した戦略が必要であることなど、具体的なアドバイスが出されました。

 2時半から始まったプレゼンテーションは、約2時間近くに及び、終了。この間、400人余りの生徒で私語をしたり、先生の注意を受けたりする人はだれもいませんでした。
 品川女子企業体験プログラム 今年で3年目を迎える「起業体験プログラム」。それは、まさに生徒たちの自ら学ぶ意欲や行動力、豊かな発想力、問題発見・問題解決力を高める学習プログラムといえます。それと同時に、生徒一人ひとりの能力とパワーによって「起業体験プログラム」そのものが年々確実に進化しながら、次の生徒にバトンタッチされる――この総合的で実践的な学習活動から、そんな品女の“学びの向上スパイラル”が見えてくる思いがしました。

「28プロジェクト」の実現形としての「起業体験プログラム」はプレゼンの山を越え、この先も生徒たちの挑戦はまだまだ続きます。さあ、白ばら祭本番はどうなるのか――とても楽しみです!

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