中学受験スタディが特別取材した私立中学の特徴ある教育

Special Report - 獨協中学校の理数選抜クラス

獨協中学校の理数選抜クラス

PHOTO 獨協中学・高等学校の創立は1883(明治16)年。ドイツの文化・制度を日本に移入する目的で獨逸学協会学校が設立されました。初代校長は思想家・教育者で近代日本哲学の父と呼ばれる西周。

この学校が明治期に中学校となり、戦後を迎え新制獨協中学・高等学校に、さらに獨協大学、獨協医科大学創立へと発展しました。

獨協中学・高等学校では創立120余年の伝統とともに、新しい時代に応じた教育に取り組んでいます。その一つが進路指導。国際社会を生きるための広い視野、高い目標をもち自ら道を切り開く力、社会に貢献する能力・豊かな人間性を育む進路指導に取り組んでいます。
今回は、その進路指導について取材しました。

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獨協中学校 教頭 松田 友宏先生のお話

PHOTO獨協中学・高等学校では人間教育と教科指導をバランスよく行うために、三つの柱を立てています。

一つは学力育成。将来社会に貢献する人になるためには、まず学力が必要です。二つ目は自己発見。自身の目的がなくては、身につけた学力も生かせません。自分を見つめ、自分を知るための活動が大切です。三つ目は進路研究。大学や学部、職業などについて具体的に知っていく必要があり、これもたいへん重要な学習と位置づけています。

三つは互いに関連し合っており、生徒のなかで一つに結びついて伸びていくよう、指導を行っています。それも生徒に何かの答えを与えるのではなく、自分で考えるための機会を提供することを重視しています。

たとえば中3では研究論文に取り組みます。テーマは知的関心としてふさわしいものであればなんでもいいのです。生徒たちは裁判員裁判制度や、今年の東日本大震災を経験してプレートの研究など、自分の得意分野や興味ある内容を取り上げています。1年間かけて一つの論文を仕上げることで、子どもは自信を持ちます。それが高校段階での進路研究のスタートにつながります。自分の進路について前向きに考える、そして自ら調べる。こうした進路研究の基本を、中3の研究論文によって養うことができます。

高1になると、学力模試や進路適性試験など具体的な進路指導に入っていきます。進路適性試験は性格・心理面の適性をみるもので、試験はR-CAP(リクルート)を採用しています。ねらいは自分の適性について考えるきっかけを与えることですが、同時に自分の知らない職業を知り、それを自分の性格と結びつけて考えるためのきっかけにもなりますね。職業が細分化された現在、生徒にはそれらについての情報を得たり、さらに興味を持ったりする機会を多く提供していく必要があります。

職場体験は現在多くの学校に広まっていますが、本校ではこれを高1で行っています。高1は自分の夢が少しずつ具体化する時期、そして中高一貫校として、時間的にゆとりのある時期でもあります。この時期に職場体験をすることに意味があると考えます。

とくに本校では、医学部志望者が多いので、1日医師体験などが人気があります。それと近年は外資系も人気で、今年はゴールドマンサックス社のディーリングルームを見学しました。そこで企業人から直接、大切なものはチームワークであるという話を聞き、生徒には一つの発見になったと思います。能力や専門性だけではだめで、やはり人間性が求められるのだと教えられたのです。

職場体験では、本校の隣にあるフォーシーズンズホテル椿山荘でベッドメーキングを学んでくる生徒たちもいます。今の子どもは自分がサービスされることに慣れている。でも社会人になるためには、サービスを受ける側にばかり立っていてはいけません。一流ホテルでサービスをする側に立ち、人への配慮を学んでほしいと思います。

PHOTO本校では生徒の視野を広げ、志を高くもつための体験的活動にも力を入れています。その一つがイエローストーンサイエンスツアーです。高1、高2の希望者対象に行っています。現地で野生動物を観察したり、間欠泉に生息するバクテリアの先端研究を見学したり、モンタナ州立大学で恐竜の化石や研究を見学したり……楽しく刺激あふれる知的なサイエンスツアーになっています。

スタンフォード大学見学も視野を広げる貴重な機会です。これは高1のシアトルホームステイ・語学研修旅行と組み合わせているもので、英語や海外文化を学び、さらに一流大学の空気を肌で体験するものです。この大学で日本人の若手研究者の話も聞きました。中学時代は成績オール3だったというご本人の、夢を追いかけて今日に至ったという話は、生徒のこころに深く残ったことでしょう。

これらのほかにも、多彩なプログラムを用意し、生徒の進路指導、意欲の向上に役立てています。

いま、日本は大きな曲がり角にあり、若い人が自らの将来を描くことが難しくなっています。これに大人はどう対応するか。大人として、学校として大きな責任があります。子どもたちの志を高く、視野を広くしたい。実力もさらに伸ばしていきたい。本校は男子校として、生徒たちは仲間とともに真面目に、のびのびと学んでいます。今後もこの校風を大切にしながら、本校ならではの教育を行っていきます。

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理数選抜クラス 中学3年生 生物の実験

PHOTO高1での進路指導の主な目的は、高2で文・理系に分かれるので、それに向けて生徒にいろいろ模索させることです。

まず4月の職業適性検査。これによって適性のある職業がリストされるので、関心のある仕事をさらに自分で調べたりします。続いて7月に高1全員が3日間の職場体験に臨む。医療、司法、金融、メディア、広告、サービス、研究所など20種類ほどの体験プログラムから興味あるものを選びます。たとえば司法では裁判所見学コースがあり、希望者も多い。この職場体験は高2の文・理選択のうえでとても大事ですね。

夏休みの課題として、大学のオープンキャンパスにも行き、レポートを作成します。このほか希望者対象に大学見学ツアーも行い、研究室訪問や教授による講義、本校OBの話など、生徒にとって楽しく意義のあるプログラムを実施しています。社会で活躍している人を招いての講演会も行います。

一方で学力向上も行っていきます。年4回の外部模試などが、教科指導や進路指導とつながっていきます。

こうした進路指導のポイントは、精神的にも学力の面からも、生徒に現状に満足させず上を向かせることにあります。もう一つは、視野を広げること。教職員全員が、この共通認識に立って指導しているのです。すでに目的のある子どもでも、視野が広がればほかの道と比較することができる。高1のシアトルホームステイでも、気持ちや視野が大きくなって、上を向くことにつながりますね。

本校では生徒にさまざまな経験のための器を用意します。感じ方、考え方は生徒それぞれ。私たちは生徒一人ひとりに合ったアドバイスをしていきたい。そして、最終的に自分の道を自ら考え、選んでほしいと考えます。 

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理数選抜クラス 中学3年 横手 宥則君・渕野 あゆ美さん

PHOTO本校では中高6年間を三つのブロックに区切っています。中1~中2は第1ブロック。基礎学力養成期です。第2ブロックは中3~高1で学力伸張期、第3ブロックは高2~高3で学力完成期としています。

この区切りにもとづいてさまざまな指導を行っているわけですが、その一つに自学習慣があります。第1ブロックでは、毎日2時間の家庭学習を目標として宿題を出します。

第2ブロック前半にあたる中3は、家庭学習2時間+αとして、高校生になるための準備をしていく。宿題を意識的に減らし、家庭用テキストを紹介して自分で学ぶよう促します。大学受験のために問題集や参考書を選べるよう、早めに練習する必要がありますね。

また中3では校内模試に加え、今年から駿台模試にもチャレンジすることにしました。これによって、広い世界から自分の位置を確認させたいと思います。意欲も学力も、本人が自覚をもって向上させることが大事です。外部模試はそのためのカンフル剤になると思います。

生徒一人ひとりのモチベーションを上げていくことも大切です。そのために中3でも大学見学ツアーを行っています。この夏休みには獨協医科大学を訪ねました。本校OBで現役医大生からアドバイスを受け、生徒たちは熱心に聞いていましたよ。先輩後輩の間柄だと互いに親しみを持てて、楽しい時間を過ごすことができます。また先日は東大へ進学したOBを学校に呼んで、話をしてもらいました。これも生徒には好評でした。

この冬には近隣にある早稲田大学を訪問し、先生から中3向けの授業を行ってもらいます。

本校の生徒は素直で、物事に真面目に取り組む子どもたちです。生徒同士や先生とも仲がいいんですよ。海外ホームステイでもうちの生徒は信頼され、評判がいい。

私たちはそうした生徒たちに、もっと欲をもたせたい。高い目標をもつ子どもを育てたいと考えます。今後も有意義で魅力ある進路指導を行っていきたいですね。

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理数選抜クラス 中学3年 横手 宥則君・渕野 あゆ美さん

PHOTO今年の夏、17日間のシアトルホームステイに参加しました。アメリカの第一印象は、とにかくでかかった(笑)。文化も違います。たとえば道路も左側通行だし、食事もこっちは肉食なんだなと実感しました。ホームステイ先の家はすごく広くて、ああ日本の家は狭いんだなあと(笑)。

ステイ先ではぼくのほかに中国人と韓国人の留学生も受け入れていて、いっしょに生活しました。彼らの海外への意識はとても強くて、刺激を受けましたね。それと、自分の英語は意外に通じたなと思います。細かいことは伝えられなかったけれど。午前中は毎日学校へ行って日本人だけで英語を学び、午後はシアトルマリナーズや美術館、公園など町を見学したり買い物をしたりして過ごしました。

ステイ中にスタンフォード大学に訪問したことも忘れられません。校舎は歴史ある建物を壊さずにそのまま残し、中身だけ新しくしています。そういうところも日本とは考え方が違っています。面積も日本の大学とは比べものにならない広さ。医学関連の建物だけでも200~300くらいあるそうです。キャンパス内をバスが通り、学生は自転車で移動しています。
そこで日本人の研究者にも会いました。東大には日本のトップクラスの学生が集まる。アメリカのトップレベルの大学には、世界中のトップが集まるということなど、いろいろな話を聞きました。

スタンフォード大学ではもう一人別の日本人からも話を聞きました。アメリカの大学には日本のようなスポーツ推薦入学というものはないのだそうです。そしてスポーツをがんばる学生も、大学ではみんなと同じようにいろいろなことを学ぼうとする。プロ選手になることにこだわらず、大学で幅広く学ぶ人が多いということでした。

ホームステイを体験して思ったのは、はやりほかの国をみて、日本のことが初めてわかるのだなということ。行ってよかったと思います。今、ぼくにはアメリカ留学も視野に入ってきました。国公立理系を志望していますが、日本の大学を出てからも留学することもできるし。

大学で何を学ぶか。機械工学に興味があるけど、今は限定せずいろいろな道を考えてみたいです。

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理数選抜クラス 中学3年 横手 宥則君・渕野 あゆ美さん

PHOTOぼくは医学部を志望しています。この夏休みは、獨協医科大学を見学しました。ドクターヘリの出発するところをこの目で見ることができたのが、なによりうれしかった。ドクターヘリ専門の医師と看護師が乗ります。行動がテキパキしていて、緊張感を感じました。

卒業生の先輩医大生から話を聞けたのもよかった。先輩は中高時代サッカー部だったそうで、部活と勉強の両立についてアドバイスをもらいました。ぼくは吹奏楽部。サックスを吹いています。とても楽しいです。ほとんと毎日のように練習があるので、勉強は集中してやるようにしています。学校が休みの日も勉強しています。

うちの学校は獨協手帳というのがあります。これには学校行事などすべてのスケジュールが載っています。それとメモ欄もたっぷりあるので、ぼくたちはなんでもここにメモします。

この前、やはり卒業生の先輩で、東大を出てゴールドマンサックスの社員になった人の講演会があったので、ぼくはそのときの話も手帳にメモしました。友だちや家族を大切にしようという先輩の言葉が印象的だったから、それを書き留めました。あと、勉強のしかたも教わりました。

手帳には勉強スケジュールや宿題なども書き、先生に提出することになっています。先生からはコメントつきで返ってきます。これを中1からずっとやっているので、今では手帳へのメモが習慣になりました。

今日はちょうど駿台模試の特訓として、放課後7時間目の授業を受けてきたところです。部活と両立させて勉強もばんばりたいから、模試もしっかり受けたい。そして将来は外科医になりたいなと思っています。

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