中学受験スタディが特別取材した私立中学の特徴ある教育
大使館の建ち並ぶ国際色豊かな東京の中心地・広尾に根を下ろし、学力向上と国際性の育成に力を入れる広尾学園。
教育方針「自律と共生」のもと、一人ひとりに応じた手厚い指導を行う一方、生徒の意思を尊重し、自ら学ぶ心と、人との協調・連帯を重視しています。
生徒の主体性や自律心を培いながら、ぬくもりある教育を行っている広尾学園では、現在土曜特別講座(以下、土曜特講)を開設、生徒や保護者の注目を集めています。
今年で3年目を迎えた“土曜特講”(土曜特別講座)とは、どのようなものでしょう。
今回はその模様を取材しました。
土曜特講は土曜午前中に開設。
年間スケジュールは、前期(1学期)・夏期(夏休み中)・後期(2学期)・
冬期(冬休み中)+学年末(3学期)の4タームに分かれ、タームごとにカリキュラムを設定。(ちなみに正規の授業は月〜金)。
講座数は年間合計で300を超えます。
教科は国語・数学・英語・理科・社会。各教科とも基礎・基本対策から発展学習まで開講。
その中身も教科の特性に合わせて柔軟に設定され、難関大学合格向け学習や体験型、調べ学習も取り入れるなど、実践的で知的好奇心をそそられる魅力的な講座ばかりです。
その一部を紹介しましょう。
| 中1英語 | 高1英語 |
|---|---|
| 「トップレベル講座」 「ハイレベル講座」 「スタンダード講座」 「ベーシック講座」 |
「FOR YOUR FUTURE 英語上級編」 「高1中級英語」 「基礎英文法特訓」 |
| 中1国語 | 高2理科 |
| 「本物の国語力をつける!(ハイレベル)」 「読む!読む!もっと読みたくなる国語!(スタンダード)」 「読む!読む!国語(ベーシック)」 これらに加えて「国語の扉〜小説編」は難易度別に3講座。 |
「化学I 理論分野完全克服」 「解ける物理」 |
| 中2社会 | 高3国語 |
| 「大学入試で一歩リードするぞ講座(歴史ハイレベル)」 「定期テストで高得点を取る講座(歴史スタンダード)」 「歴史をちょっと得意にするぞ講座(歴史ベーシック)」 |
「古文入試対策講座(実践編)」 「直前!現代文」 |
| 中3数学 | 中高英検対策講座 |
| 「もっとガンガン!数学!!(トップレベル)」 「初めの一歩から突き進め!数学!!(ベーシック)」 「数学やるっきゃないでしょう!(スタンダード)」 |
「英検2級合格講座」 「英検準2級合格講座」 |
“受講者中心主義”を掲げる土曜特講では講座の種類・レベルが豊富なうえ、受講や講座選択は生徒に任せています。
だから自分の学習進度や志望に合わせて、学年の枠を超えて選ぶことも可能。たとえば中学生が高校生の講座を選択できるし、その逆も可。
しかもタームごとに受講者の募集を行うので、そのつど自分の学習レベルの状態や部活などの予定をふまえて検討できます。
広尾学園中学校・高校の力量ある先生たちが土曜特講を担当するのに加え、外部から指導実績のある講師を招聘。基礎学習から発展学習まで、どの講座も実践的に行っています。
また、同じ曜日に“特訓道場”として個別に質問を受け付けています。指導に当たるのは東大の現役生。自らの受験経験を生かして、勉強のしかたなどもアドバイスします。
秋も深まる11月初旬、広尾学園を訪れました。
学園では2学期半ばを迎え、後期の土曜特講を開講中です。さっそくいくつかの教室を見せてもらいました。
●高3世界史
「タケシノセカイシ秋09〜総復習編 VOL.2」
この日の学習テーマは16世紀の国際関係史。整然とした板書、明解で広がりのある解説、随所に質問を挟み、テンポのよい授業進行。
受験対策にとどまらず世界史への知的好奇心が喚起される授業が展開されていました。
●高1英語
「FOR YOUR FUTURE 英語上級編〜精読から速読へ」
比較級の学習中。先生は大学入試問題に触れながら解説していきます。
ジョークも交えて教室に笑い声を響かせながら、メリハリのある授業を行っていました。
●高2数学 「数学中級 気迫の理系数学 後期」
センター試験対応の授業です。先生は問題の答え合わせにからめて入試の採点法についても具体的に説明。
「大学によっては倍率数十倍。採点は甘くないよ。予習復習しっかりやっておくこと!」高2生に向けて、今からシッカリと発破をかけていました。
●高3数学 「最難関大学理系数学ゼミ」
早慶・理科大・旧帝大・東工大・国公立医学部系レベルの講座です。数学教員の中里仁先生が担当。
先生は河合塾難関大学用模試の作問等を手がけてきた実力派。受講生7名(うち男子3名)の少数精鋭で授業を行っていました。
●「中高英検対策 英検2級 合格講座」
日本人教員とネイティブ教員によるティームティーチングで指導。
基本的に英語で授業を進め、“合格のコツ”を実践的に教えていました。
●高2社会
「世界史 模擬試験&定期試験対策講座」
イスラム史を学んでいる最中。版書は穴埋め問題形式でわかりやすくまとめてあり、先生はこれに沿ってどんどん質問します。
ノートをとる時間も十分にとっているので、書きながら覚えていくこともできそうです。
どの講座も、先生の情熱がひしひしと伝わってくるのが印象的でした。先生たちはサイドボードやパワーポイントを駆使して授業を展開。また、各講座とも先生手づくりのオリジナルテキストを使用しています(講座によって別に問題集や参考書も使用)。
受講する生徒もとても意欲的。予習復習が前提で授業が進められますが、それがすっかり身についているようすです。各講座20名〜35名程度の受講者と盛況。どの教室も緊張感が漲り、私語をする生徒は一人もいませんでした。
土曜特講は、ふだんの授業のカリキュラムから離れて、先生も生徒も自由に学ぼうという意図のもとで開設されました。
会期ごとに8回シリーズで行い、シラバスにもとづいて計画的に進めています。このシステムにより、生徒はいろいろな先生の講座を効率よく受けることができます。
どの講座を選ぶかは自分で決められるというのも魅力となっています。得意教科を伸ばしたい、あるいは苦手分野を克服したいなど、生徒の思いはそれぞれ。
みんな学年の枠にこだわらず受講していますよ。ふだんのクラスとは違った仲間とともに学ぶことも、いい刺激になっています。
生徒の反応もよく、中1〜中2はほぼ全員が、高1の約7割が受講しています。生徒から「○○先生のこういう講座をつくってほしい」といった要望も出されるんですよ。それだけ土曜特講への期待が大きいということでしょう。
開設3年目の今年はさらにパワーアップしようと、土曜特講の案内冊子をカラーで作成しました。
担当する先生の写真つきで中学から高校まで全講座のシラバスを掲載したのですが、これによって受講率が確実に上がりました。
生徒はいろんな学年の講座まで熱心に目を通し、パンフで先生の顔を見ながら(笑)部活の先輩などと情報交換したようです。
講座内容については、各教員の得意を生かそうという発想で先生の裁量に任せています。一人ひとりの教員の創意が、魅力ある授業を実現させているのです。
先生によっては講義前に板書をしておいたり、自分の講義をビデオに撮って見直したり、講座以外にゼロ時限として朝8時から講義をしたりなど、努力に余念がありません。
そうした熱意が生徒に通じ、先生との心の絆も深まっています。今後もこうした学園独自の教育をさらに充実させ、成果を上げていきたいですね。