中学受験スタディが特別取材した私立中学の特徴ある教育

Special Report - スーパーサイエンスハイスクール 市川中学校

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市川中学校の教育方針

PHOTO市川学園の創設は1937年。明治生まれの教育者・古賀米吉によって設立されました。

教育方針は「個性の尊重と自主自立」。教師が生徒一人ひとりをじっくりと見て、その個性・能力を引き出す教育を行う。

また、家庭での教育を“第一教育、学校での教育を“第二教育”、そして生徒が自らを教育することを“第三教育”として三つの教育を大切にし、なかでも“第三教育”を最も重視する。


こうした教育方針を創設以来守り続け、中高一貫校へと発展しました。

創設66年を迎えた2003年に学園を移転、最新施設・設備の整った美しい新校舎にて、従来の男子校から共学となって新たなスタートを切り、社会で活躍する品格あるリーダーの育成に力を入れています。

市川学園は、今年度より文部科学省のスーパーサイエンスハイスクール(以下SSH)の指定校となり、理数教育の研究開発校として教育を展開しています。

“市川サイエンス”と名づけ、独自の理数教育として位置付けました。どのような活動をしているのか。今回はその模様を取材しました。

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SSH(スーパーサイエンスハイスクール)とは?

SSHとは、文部科学省が2002年より開始した新しい教育事業のひとつです。理科・数学教育を重点的に行う高校をSSHとして指定し、学校の創意を生かして新しい教育に取り組んでもらおうというもの。

PHOTO国際的に活躍できる科学技術系の人材育成をめざし、そのための指導法や教材を開発することが、事業の大きなねらいです。

事業には毎年14億円余の予算が充てられ、SSH指定校は助成を受けながら5年間の期限で教育を行います(継続申請可能)。

教育の成果は文科省に報告され、全国の学校へと広げていくことになっています。


これまで指定校となったのは106校(2009年度含む)。首都圏では千葉市立千葉高校、筑波大学附属駒場高校、東京都立日比谷高校、神奈川県立柏陽高校、早稲田大学本庄高等学院などがSSHとして活動しました。

2009年度は全国から35校が名乗りを上げ、審査を経て9校が指定されました。私立校では立候補した12校のなかから、唯一指定されたのが市川学園です。

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市川サイエンスのねらいと実施方法

<ねらい>
物理・化学・生物の実験を通し、自分で課題を見つけ検証し、発表できる能力を養うことをねらいとします。
また、高大・高産の連携を密にし、国際的な科学技術者育成をめざします。

PHOTO<実施方法>
SSHの授業は週1回、放課後の7〜8時限目(15:25〜17:15)に行っています。

2009年度は、高2の希望者を対象に実施。
75名の生徒が応募し、物理・化学・生物がそれぞれ20余名、数学は4名。

2010年度以降は、高2の理数系選択者全員を対象にSSHの授業を実施します。


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2学期半ばを迎えた市川サイエンス

PHOTO11月初旬、市川学園を訪ねました。広々としたキャンバスのあちこちに植えられている樹木が紅葉し、校舎を秋色に染めています。

SSHを取材する前に、学園が誇る第三教育センターと自習室を見せてもらいました。

第三教育センターとは、閲覧スペースが十分に確保された図書館のこと。12万冊に及ぶ蔵書はすべてコンピュータで検索可能。


PHOTO美しいデザインの閲覧スペースは全面ガラス張りの壁面から自然光が気持ちよく入ってきます。

そこでは机に向かって勉強する生徒の姿が。時間割によって午後の授業のない高3の生徒たちでした。

自習室は約100席のゆとりあるスペース。ここでも静かに自習している多くの生徒が見られました。放課後になるとほぼ満席になるとか。自分の家でやるより、はるかに集中できそうです。


“第三教育”を重視する学園では、そのための環境づくりにも力を入れていることがわかります。
第三教育センターと自習室は、朝7時から夜7時(中学生は夕方6時)まで利用可能。年間を通して多くの生徒が利用しており、第三教育の定着をうかがわせます。


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SSH部部長 理科主任 細谷 哲雄先生のお話

PHOTOさて、市川サイエンスについて、担当の先生にお話をうかがいました。

市川サイエンスの大きなねらいは、自発的に考える生徒の育成です。自分の考えをまとめ、発表できる力を養うこと。これは理数教育にとどまらないすべての教育の重要な課題です。

実際にSSHで発表する機会を多くしたところ、それによって生徒がぐんと伸びることがわかりました。


第三者に向けて文章や言葉で伝えるという活動によって、考える力が高まるのです。これはテストだけでは十分に伸びない力なのですね。発表の取り組みはさらに一歩進んで、英語科のネイティブの先生などの協力を得ながら英語によるプレゼンテーションにも挑戦しています。

1学期はSSHの生徒全員が物理・化学・生物について基礎実験を行い、実験スキルやレポート作成・発表のしかたを学びました。このときポスターセッションとして実験報告会を開いたのですが、これは発表で使用するポスターをどうわかりやすくまとめるか、構成やデザインを考えるという取り組み自体が有意義な学習となりました。


PHOTO夏休みは市川サイエンスのもう一つねらいである、高大・高産連携の学習活動を行いました。

大学との連携では千葉大学や早稲田大学、慶應義塾大学、東京農工大学などの研究室を訪ね、講義を聴いたり、実習を体験したり。

千葉大学では薬学の講義を受け、薬草園で野外観察をしました。産業界との連携では東芝科学館にて研修を行いました。


2〜3学期は夏休みの研修などをもとに、物理・化学・生物の各分野に分かれ、それぞれ自分たちでテーマを決めて研究します。数学も同様です。11月には中間発表会、3月には年次報告会としてポスターセッションなどを行います。そのほか他校との合同発表会など、さまざまな活動が予定されています。

4月からスタートして、これまで欠席はほとんどありません。発表にも熱心に取り組んでいます。そうした姿から、生徒たちは自分が好きなように学びたいのだなとつくづく感じます。

実験も時間内に終わせなくていい。彼らは6時過ぎてもやっていますよ。それと、生徒は簡単に答えの出ないテーマが好きですね。実験であれこれ試してみるのが楽しいみたいです。

PHOTO中学生にも理数教育を強化していく活動が少しずつ進んでいます。授業では実験や自然観察を多く取り入れたり、討議・発表を行ったりと。

SSHの一環で国際科学オリンピックへの参加指導をしていますが、これは広く高1以下の生徒全員にも呼びかけています。

SSHに興味をもった中学生が授業に参加することもありますよ。


来年度からは理数系を選択する約200名もの生徒がSSHを受けることになります。こんなに大規模に行うのは本学園だけではないでしょうか。ぜひ充実した活動にしたいですね。

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SSHがもたらす生徒たちの活動

PHOTO放課後の3時過ぎ、SSHの生徒たちが集まってきました。化学室・物理室・生物室、そして数学選択者は一般の教室にそれぞれ集合し、自主的に活動を始めます。

先生は時々生徒のようすを見て回りながら、質問に答えたりするだけ。指示はいっさいしません。

それでいて、先生と生徒の自由で親しい関係が伝わってきます。ちょうど大学の研究室のような雰囲気。


PHOTO教室の外の廊下にはポスターセッションで使われたポスターと表彰状が掲示してありました。

一つは千葉大学主催「高校生理科研究発表会」に参加した男子生徒たちによるもの。この発表会で優秀賞を授賞。

もう一つは広島のノートルダム清心学園主催「集まれ!理系女子 女子生徒による科学研究発表交流会」に参加した女子生徒たちによるポスター。この交流会では奨励賞を授賞。

どちらも夏休みに行われたものです。

学校や地域を超えて交流が進み、生徒の世界が広がり、将来への夢がはぐくまれる。 市川サイエンスは豊かな産物をもたらしてくれそうです。


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