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実践女子学園中学校の国際学級「グローバルスタディーズクラス(GSC)」

 

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実践女子学園中学校の国際学級「グローバルスタディーズクラス(GSC)」


実践女子学園中学校の国際学級「グローバルスタディーズクラス(GSC)」実践女子学園は1899(明治32)年、日本の女子教育の先駆者・下田歌子によって創設されました。

下田歌子は明治初年に創設された華族女学校で、さらに同校を前身として誕生した学習院女学部において学校教育の指導的役割を果たしました。また内親王の教育係を命じられ、そのために欧米先進諸国の女子教育を視察します。そこで歌子が目の当たりにしたのは、欧米女性の社会的地位の高さと、教育程度の高さでした。

帰国した歌子がめざしたのは、上流階級の子女に限らず、広く日本女性へ教育を普及させ、その地位を向上させること。そこで満を持して学校を設立。歌子はその学校を、実際に役立てて実行するための学問を授ける意をこめて実践女子学園と名づけ、教養ある自立した女性の育成に半生を捧げました。

現在、実践女子学園は中学校・高等学校、短期大学、大学、大学院を擁する女性の総合教育機関に発展、1999(平成11)年に創立100周年を迎え、下田歌子の精神を引き継ぎながら、時代に応じた教育を行っています。

実践女子学園の建学の精神は「品格 高雅 自立 自営」。教育方針として「堅実にして質素、しかも品格ある女性の育成」を掲げ、創設以来、日本人としての礼節や思いやりをそなえ、日本文化を愛し、同時に国際的な視野を持って社会に貢献する女性を育成してきました。これは日本文学や文化に造詣の深かった下田歌子が、一方で国際理解の重要性に目覚めていたためです。なかでも歌子はアジアの女性に目を向け、開校早々「清国女子留学部」を設けて中国の子女を受け入れるという、女子教育機関として極めて異例の先進的な取り組みを行いました。

学園では、こうした建学の精神や教育方針、先進性こそグローバル化した現代に重要であると考えています。そして、この考えにもとづいて、2008(平成20)年よりGSC(グローバルスタディーズクラス)を設置、国際学級をスタートさせました。

ではGSCではどのような教育を行っているのでしょう。今回はそれを取材しました。

 

◆GSC(グローバルスタディーズクラス)とは?


GSCは、学校教育法第一条に基づく中高一貫の国際学級です。高校からはグローバルスタディーズコースとして、国内外の大学進学をサポートします。英語教育に重点を置くとともに、日本文化の理解、習得をめざします。

募集人数は35名(2009年度:帰国生入試を含む)。帰国生および国内生(英検4級程度以上の語学力を持つ生徒)により編成します。

◆GSCのねらい

GSCでは、次のような女性の育成をめざします。
1.6年間の学園生活を通して国内外に同世代の友人の輪を築く事ができる女性。
2.国際社会の一員としての日本のあり方を理解し、日本や世界で活躍・貢献できる女性。
3.日本の文化を体験的に理解し、優れた日本文化を発信できる女性。
4.国内外の難関大学に進学できる資質と能力を持った女性。
5.英語による専門的なコミュニケーションが取れる女性。
6.中国語による日常的なコミュニケーションが取れる女性。

教科 1年次 2年次 3年次 合計
国 語
5(7)
15(17)
社 会
数 学
13
理 科
10
音 楽
美 術
保健体育
技術・家庭
外国語(英語)
7(5)
21(19)
第2外国語(中国語)
道 徳
総合的な学習
合 計 34 34 34 102

◆1単位=50分
◆6日制・週34時間
◆2期制

※1年次の国語と外国語については、いずれかの選択とする。
※中一の音楽・美術については、上記のほかに、関連する行事にかかる時間数が加わる。
※2年次の国語と英語、3年次の国語と数学には「選択教科」各1時間を含む。


◆GSCの教育プラン


GSCでは、次のような教育プランにもとづいて指導します。

1.国内外の最難関大学を目指す
6年一貫の独自カリキュラムにより、国内外の最難関大学への進学をめざします。現在、海外大学として、ウェスタンミシガン大学、マサチューセッツ大学アムハースト校、ペンシルベニア・スリッパリーロック大学などアメリカの5大学について学園からの推薦入学制度が整っています。今後も海外大学への推薦入学制度を広げていきます。

2.少人数制・イマージョン授業によりハイレベルな英語教育を実施
少人数制・イマージョン授業などを導入し(「GSCの学習指導の特徴」の項参照)、実践的でハイレベルな指導を行います。中3で英検2級、高2修了時に英検準1級取得を目標とします。またTOEFLも海外大学進学を可能にするスコアの取得をめざします。
 
3.中国語が必修
創設当初から中国とゆかりのある学園では、今後の国際社会における中国語の必要性をふまえ、第二外国語として中国語を学びます。中学では必修とし、高校では英語との必修選択とします。上海師範大学附属高等学校と提携しており、交換留学制度があります。

4.視野を広げたキャリアデザイン
「総合的な学習の時間」は「国際」をテーマとして現代社会をグローバルに理解しながら、自らの将来設計(キャリアデザイン)を行うよう指導します。

5.日本文化の体得を重視
日本文化の授業・活動を重視します。中1と高3では礼法の授業が必修、さらに中1ではクラブ活動とは別に日本文化実習として、華道、茶道、箏曲、仕舞、和装着付けのいずれかを1年間実習することを必修とします。

6.全員が短期留学
高1の4月から8月の間に全員が海外提携校を中心に3ヶ月間の短期留学をします。留学先はイギリス、オーストラリア、ニュージーランド、ハワイ、中国、タイなどです。

7.課外活動はみんなで
生徒会活動、部活動、学校行事は一般学級と合同で行います。

8.修学旅行は海外に
中学修学旅行、高校修学旅行ともに海外に行きます。


◆GSCの学習指導の特徴


中学のカリキュラム

クラスを3分割して授業を実施

GSCでは生徒の英語習得状況に応じた指導を行い、一人ひとりの語学力を確実に高めるために、クラスをA〜Cに3分割します。2008年度のGSCは33名、AクラスとBクラスは各9名、Cクラスは15名で編成しています。

イマージョン教育を実施

英語は“グラマー”と“イングリッシュ”の授業に分け、グラマーは日本人教師により、イングリッシュはネイティブ教師により授業を行います。イングリッシュの授業では英語のみで授業を行います(中1のグラマーとイングリッシュの時間数は以下の通りです)。

また、美術・音楽もイマージョン教育を実施、授業は基本的に英語で進められます。

              

   グラマー イングリッシュ
英語週7時間のコース 
4時間
3時間
英語週5時間のコース 
2時間
3時間

注・1年次については、英語7時間・国語5時間、または英語5時間・国語7時間の2通りのカリキュラムを設け、
日本語・英語の学習履歴に対応します。


中学1年生のGSCのイマージョン教育を取材しました

 

12月初旬、GSCの授業を取材しました。2008(平成20)年よりスタートしたGSCでは、ちょうど後期(10月〜3月)の半ばを迎えたところ。今月は後期中間試験をひかえています。授業は“イングリッシュ”の時間。ネイティブの先生によるイマージョン教育が行われています。


Aクラスの授業


実践女子学園中学校の国際学級「グローバルスタディーズクラス(GSC)」Aクラスは9名。ほとんどが帰国生で、英語を母語として話す、またはそれに近い生徒たちで編成されています。生徒はみな生き生きとした表情で活発に発言し、どんどん先生に質問します。授業は英語を学ぶというより、英語で思考すること、意見を述べること、友だちといっしょに活動することなどを通して、すでに身につけた語学力を維持・向上させることに重点を置いていると見受けられます。

授業の半ばで先生は生徒を4人と5人の二つのチームに分け、ゲームを始めました。「オフィスにはどんな物がありますか? チームで協力して黒板に書き出しましょう。」――生徒たちはにぎやかに相談し合って次々と英単語を書き始めます。computer, file, typewriter, phone, paper……なかにはbananaの文字も。答え合わせのとき先生に消されていました。さて、結果は? 4人グループが21個、5人グループが18個答えたので、4人グループの勝ち。

ゲームの次にテキストを用いた学習に移ります。指名された生徒が音読し、そのあと先生は内容について一人ひとりに質問していきました。

生徒たちは楽しそうに学び、女の子らしくおしゃべりも大好きそう。そして学ぶ意欲も高く、けじめある態度で授業を受けていました。

 

Bクラスの授業

実践女子学園中学校の国際学級「グローバルスタディーズクラス(GSC)」Bクラスは9名で編成。筆者が教室に入ったときは、ちょうどテープを使ったヒアリングの学習をしているところでした。テープから流れる英文はナチュラルスピード、内容は算数で、分数の計算を聞き取ります。ヒアリングのあと、先生は次々と生徒を指名、生徒は聞き取った内容を答えていきます。そのさい先生は「fifth」「seventh」など、一つひとつの発音に注意をうながしていました。答えを間違える生徒はいませんでした。

続いてテキストを開き、リーディングの学習に入ります。英語の長文を生徒が一人ずつ順に読んでいきます。その読み方もナチュラルスピードで、発音もネイティブに近いものでした。読み終わったところで、先生が内容について質問し、指名された生徒が答えていきます。

生徒たちは聞く力・読む力が高く、また話す力も発音やスピードなど基本の力を着実に身につけてきていることがわかる授業でした。


Cクラスの授業


実践女子学園中学校の国際学級「グローバルスタディーズクラス(GSC)」Cクラスは15名で編成。テキストの問題を解き、黒板で答え合わせをしています。How old is Minomonta? ―― He’s sixty three years old. How far is Tokyo from L.A? ―― It’s 5,478 kilometers from Tokyo to L.A. などの英作文の問題を解きました。授業の終わりに、先生が宿題のノートを集めます。そして、次回の授業では後期中間試験の勉強をしたいか、それともビデオを見て過ごしたいか、生徒たちに質問しました。生徒からは一斉に「勉強したい!」と返事が。先生は「Good!」――。

先生はナチュラルスピードで質問したあと、必ずゆっくり、はっきりと質問を繰り返します。生徒が聞き取るまで何度も繰り返し、全員が理解するのを確認しながら授業を進めていました。

生徒たちはすっかりイマージョン教育になじんでいる様子。先生の言葉が分からないときは遠慮せず質問するなど、学ぶ意欲が伝わってきました。先生とのコミュニケーションも良好で、笑顔の見られる授業でした。


GSC英語教育プログラム担当 関 孝平先生のお話

実践女子学園中学校の国際学級「グローバルスタディーズクラス(GSC)」英語の授業は少人数指導を行っていますが、これは4月の入学早々、プレイスメントテストを行ってクラス分けをします。目安としてAクラスは英検準2級〜準1級程度のレベル、Bクラスは3級〜準2級、Cクラスは4級〜3級ですが、実際の授業で必要なのはまずオーラルとライティングの力なので、英検の取得級よりもこの二つの力を重視します。

今年のAクラスは一人をのぞきすべて帰国生です。6年ほど海外で暮らした生徒が多く、なかには10年ほど海外にいた生徒もいます。現地校に通っていた生徒がほとんどです。3クラスともリーディングの学習を多くしていますが、特にAクラスではこれを重視し、アカデミックイングリッシュの習得をめざします。これは海外大学での授業を意識しているためで、将来にそなえて教養ある英語を身につけていくことが大切です。

Bクラスにも帰国生がいますが、日本語主体で暮らしてきた子どもたちです。テキストとして日本人向けの英語教材を使用し、読む力をはじめ、書く力・聞く力・話す力の4つの技能を生徒の学習状況に合わせて伸ばしていきます。

Cクラスは基礎からじっくりと身につけることが大きな目標です。しかし、英語力がゼロの生徒たちではありません。生徒の習得レベルに合わせて文法や単語の基礎を指導しています。

3クラスとも共通の個別課題を与えています。一つは好きな本を読んで感想を書きためるというリーデングジャーナル(多読記録)。Aクラスは「チャーリーとチョコレート工場」など児童書を読む生徒が多く、これまでに10冊ほど読んでいる生徒もいます。Cクラスでも短い物語などすでに30〜40冊ほど読んでいる生徒もいますよ。

学期末にはポスタープロジェクトを行います。たとえばネイティブの先生にインタビューし、その内容をポスターで表現するなど、楽しみながらやっています。宿題は日常的に多く出します。

それからレシテーションコンテスト。これは中学全校で行います。クラス代表、学年代表と進み、最後は全校で学年代表者が発表します。GSCは三つのクラスそれぞれの課題を暗誦しました。Aクラスは「オペラ座の怪人」。代表の生徒はすばらしいレシテーションを披露しました。

3クラスとも指導目標は同じです。それは子ども一人ひとりの力を大切にすること。三つのクラスに分けるのは競争させるためではなく、それぞれの学習状況に合わせ、より適切な指導をするためです。3クラスのメンバーは固定で、基本的に中学3年間変わりません。焦ることなく自分自身の目標に向けて力を伸ばすことのできる学習環境が整っています。

英語を学ぶ方法はいくつかあります。でも、実践女子学園の英語教育だからこそ意味があると思います。それは学園の伝統である日本女性としての品格を養うことを、GSCでも大事にするからです。本校で学ぶことで、日本女性の品格と国際感覚の両方をぜひ身につけてほしいですね。



中等教育研究室長・広報部長 松下 寿久先生のお話

実践女子学園中学校の国際学級「グローバルスタディーズクラス(GSC)」GSC創設の背景の一つとして、近年の帰国生の増加が挙げられます。そうした子どもたちが海外で培った英語力を伸ばしていきたい。それが私学の責務と考えます。公立学校も帰国生を受け入れていますが、特別なフォローはありません。せっかく身につけた英語力が、衰えていってしまうことが考えられます。

また、本校は創立まもなく清国から留学生を受け入れるという、女学校として唯一海外に対して門戸を開いた学校です。こうした伝統から帰国生の受け入れは古くから行ってきましたが、さらに一歩進んで、帰国生や国内で英語を学んできた子どもたちでクラスを編成し、習得度に応じた教育を行うことにしたのです。この教育活動によって実践的な語学力を伸ばしていくことは、帰国生の増加や英語学習が一般の子どもたちに広がりつつある現代にこそ重要であると考えます。

GSCの生徒たちは授業に対して高い満足度を抱いています。GSCの生徒であるということが大きな励みになっているし、また3クラスに分け、自分に合った指導を受けられることも生徒は喜んでいます。

GSCも一般クラスの生徒も、すべての生徒に対して本校が最も大切にしていることは、日本人としてのこころをはぐくむことです。本校の教育方針「堅実にして質素、しかも品格ある女性の育成」を重視し、その一環として生活指導もきめ細かく行っています。GSCは英語を母語として生活してきた生徒も多く、バックグラウンドも様々。そういう子どもたちだからこそ、日本の文化や生活習慣をしっかりと教えてきたい。家庭でもそれを望んでおり、本校では日本社会のなかでも協調性をもって生きることのできる態度・資質を養っていきます。

 

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