中学受験スタディが特別取材した私立中学の特徴ある教育
今年で創立124年を迎えた三輪田学園。その長い歴史のなかで、「真面目に努力する」という校風がはぐくまれ、先輩から後輩へと代々受け継がれてきました。
もう一つ学園に受け継がれてきたもの、それは卒業生同士のつながりと、幅広い年代のOGたちと学園とのつながりです。
学園ではこうした特徴を進路指導に生かし、「卒業生による医療系シンポジウム」を開催。
今回、三学期に開かれた「卒業生による医療系シンポジウム」を取材し、卒業生のみなさんと先生にお話をうかがいました。
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パネリストは、医療系の道に進んだ5人の卒業生。
医師や研究者、栄養士など職業はさまざま。また年代も異なる卒業生の先輩たちが、自分の職業について、生き方について後輩に語りました。
仕事のやりがい、結婚、出産、仕事と育児、三輪田学園の思い出、進路選択や勉強法のアドバイスなど、社会のなかで生き生きと活動する女性ならではのリアルで具体的な話題が出され、充実したシンポジウムとなりました。
参加した生徒は中学3年生以上の希望者約40名。みんな最後まで静粛に、熱心に耳を傾けていました。
質疑の時間では、高校3年生ですでに医学部進学が決まっている生徒が、
「大学に入ってから大変なことは?」
「大学での学びについていくにはどうしたらよいか?」
と質問。
医師として長いキャリアをもつ先輩OGは、
「教授が丁寧に教えてくれるから大丈夫。たとえ初めは成績がふるわなくても、真面目に学んでいれば挽回できるから心配しないで」とアドバイス。
現在、病院でボランティア活動をしているという高校2年生の生徒は、ボランティアでは学べないことを知ることができてよかったと感想を述べました。
最後に、先輩から現役生に向って次のような温かい励ましの言葉が。
「三輪田で学んだ人たちは、卒業しても変わることなく勤勉。仕事もコツコツ真面目に取り組んでいます。みなさんも道をあきらめないで、がんばってください」
シンポジウム終了後、卒業生のみなさんと座談会を開き、三輪田学園の思い出などを語ってもらいました。
| 今回参加した卒業生5名 | |
|---|---|
| 山岡 和子さん | 東京都医学研究機構臨床医学総合研究所勤務。現在花粉症の研究に携わっています。 北里大学理学部化学科卒業。 |
| 神野志 ゆうさん | ヤクルト本社中央研究所勤務。栄養士として糖尿病予防の研究に携わっています。 実践短期大学食物栄養学科卒業。 |
| 榎本 孝恵さん | 眼科開業医。 東京女子医大学卒業。 |
| 糸井 比呂子さん | 三輪田学園保健室勤務・看護師。 慶應義塾看護短期大学卒業。 |
| 鈴木 恵子さん (仮名) |
メーカー勤務。医薬品部門にて薬品の臨床開発に携わっています。 北里大学薬学部薬学科卒業。 |
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<学園生活をふり返って>
榎本さん:三輪田は自分のしたいことをさせてくれる学校です。今思い出すのは、高校1年生のときのこと。担任は世界史の先生だった。
私はすでに医学部をめざすと決めていたから、先生にそう言い、自分のしたい勉強を一生懸命やります、だから世界史は勉強しませんと宣言した(笑)。
そうしたら先生は怒りもせず、がんばりなさいって。この学校は型にはまった教育はしないのですね。
糸井さん:私はおとなしくて目立たない生徒でしたが、学校は楽しく通いました。6年間胸に付けていた緑色の校章が思い浮かびます。今思うと、緑色のトンネルに包まれていたような・・きっと緑という色とこの学校のイメージが重なっているのでしょうね。平和で安心して過ごせる学校だと思います。
三輪田の生徒たちって代々変わらない共通点があるのではないでしょうか。後輩たちを見ても、自分の思い出のなかの友だちを見ているような気がして・・。
山岡さん:そうですね。私は同窓会の役員をやっているのだけれど、そこで初めて会った大先輩とも、あまり隔たりを感じない。
神野志さん:私は読書指導で読んだ本を今も覚えています。まわりには本好きな子がけっこういて、図書館にこもりきりの子もいた(笑)。そういう友だちは図書委員とかがんばってましたね。
私はといえば英語と数学がすごく苦手な子で、茶道部をがんばってました(笑)。
学校が大好きだった。
先生とおしゃべりするのも楽しくて、保健室に遊びに行っては養護の先生とおしゃべりしたり。校長先生ともよくお話ししましたね。私は学校で有名人だったかも(笑)。今も文化祭には後輩の手伝いをしに行っています。
鈴木さん:三輪田は少人数の学校なので、生徒も先生も仲良くなれる。6年間過ごすなかで、みんな顔見知りになっちゃうんです。
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<授業や勉強の思い出>
榎本さん:先生はその生徒に合ったやり方で教えてくれましたね。私は中学のころ、国語が苦手でテストの点もとれなかった。先生に勉強のしかたを聞いたら、とにかく覚えなさいと。
そこで私は教科書を全部ノートに移して勉強した。それは国語の得意な生徒へのアドバイスではないと思うのです。先生は私に合った勉強法を教えてくれたのです。
神野志さん:生物も先生がつくったプリントで授業をやりました。化学や生物などは、塾へ行かなくてもいいと先生がおっしゃって。
糸井さん:私も生物は先生にずいぶんお世話になりましたね。丁寧に教えてくれます。授業も楽しかった。
山岡さん:英語にも力を入れていますよね。授業はけっこう難しくて、私は得意じゃなかったけれど、卒業してから力が身についていると気づいた。医療系や研究職は英語が大事です。英文の論文を読む機会も多いし。
神野志さん:同感です。私は英語がとてつもなく苦手だったのに(笑)、大学に入ってみると意外なことに難しくない。ああ、三輪田の英語はレベルが高かったんだなと。だから三輪田で成績が悪くても、あまり気にしなくていいんです(笑)。
鈴木さん:確かに大学の基礎英語は楽に感じられましたね。それと教科ごとに宿題も出された。私はノートをつくるのが好きで、予習ノートをつくったりして友だちとよく貸し借りしていましたね。
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<三輪田OGとしてひとこと>
山岡さん:三輪田は古い歴史と文化をもつ学校です。私はここで教養も身につけることができました。読書指導でたくさんの本と出会ったし、百人一首も覚えたし、能楽などの鑑賞も多くありました。
それと仕事のことですが、研究職は女性に向いていると思います。自分のペースで仕事ができるし、結婚・出産で辞める人も少ない。後輩たちも長く仕事を続けるつもりで臨んでほしいと思います。
糸井さん:医療系の仕事は、誠実さと責任感が求められます。そしてみんなと協力できること。三輪田の生徒はそれができると思います。それから体力も求められる。学校で心と体を鍛え、健康に過ごすことが大事ですね。
榎本さん:私は今日のシンポジウムに出て、OGも在校生も、みんな芯の通っている人たちだなと改めて感じました。後輩たちは真面目に私たちの話を聞き、卒業生も真面目に社会で仕事をしている。それが三輪田のカラーなのですね。
鈴木さん:中学・高校時代はいろんな可能性があるし、進路希望も途中で変わることがある。とにかくその時やりたいことを一生懸命やるといいと思います。この学校は寛容だから、好きなようにさせてくれる。そして先生も生徒も穏やかです。
神野志さん:医療は人の命にかかわる仕事です。小さなミスも許されません。その意味で慌てんぼうはダメなんですね。三輪田では5分前行動など細かいしつけがあるから、よく学んでおくといいと思います。
榎本さん:私は中学受験を考えている人たちみんなに、受験は最後の目標ではないと伝えたい。たとえ受験に失敗したとしても、それは大きな問題ではないんです。
自分が入った学校で、どれだけがんばれるかが大事。そこが出発点です。中学・高時代は大きく伸びる時期。三輪田は6年間で力を伸ばしてくれる学校です。自分を信じて、自分のやりたいことをやってください。
「医療系シンポジウム」開催のきっかけとなったのは、卒業生が行っていたある会合でした。医療系の大学に進んだ学生OGたちが自主的に三輪田に集まり、会合を開いていた。
大学や学部の異なる同窓生が横のネットワークをつくり、情報交換しようというわけです。
それを聞きつけ、おお、おもしろそうではないか!と。ぜひそれを生徒に見せたいと思ったのが、このシンポジウムの発端となったのです。
生徒へは単なる受験アドバイスではなく、現場の話を聞かせたい。仕事の心構えも語ってほしい。また、医療といってもいろいろな職種があることを知らせたい。
そこで、シンポジウムには実際に医療の世界で働いているOGたちを招いて、話をしてもらうことにしました。
近年、資格を取得し、それを生かした仕事がしたいという生徒が増えています。本校では特に理系志望者が増えている状況で、医学部進学者も出ています。
すでに三輪田の卒業生には、医療系の職業に就き、現役で働いている人が少なからずいます。それが本校の強みです。
今後もそうしたOGたちの力を積極的に借りて、進路指導をしていきたいと考えています。
三輪田学園は生命や倫理、生き方の指導に力を入れている学校です。
自分自身を見つめ、さらに社会と自分に目を向ける学習を重視し、40年以上続けている中高6年間の読書指導にもそれがしっかりと反映されています。
今回の医療系シンポジウムも、そうした教育の一環といっていいでしょう。
進路について考えることは、自分の生き方を考えること。
今後も本校ならではのよさや教育方針を生かした進路指導を行っていきたいですね。