中学受験スタディが特別取材した私立中学の特徴ある教育
6年間の一貫教育を生かした英語教育のもと、国際社会において英語で意見を表明できる「発信型英語能力」の育成を目指す立教女学院中学校・高等学校。
はじめにお話をうかがったのは、高校1年生の温井さんと高校2年生の阿久津さん。英語教育に関連するプログラムにとても積極的に参加しています。
そのお二人に英語とのかかわりや学校生活、将来の夢などを語ってもらいました。
(以下、N:温井さん、A:阿久津さん)
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●英語の授業のこと
N:英語の授業は楽しいです。特にネイティブの先生によるオーラルコミュニケーションの授業が好き。自分も授業に参加している実感が得られるから。そこでみんなと意見交換し、それを共有できます。
たとえば「日本の行事」を外国人に説明しようというテーマで、子どもの日をとりあげたことがありました。それをみんなで話し合い、文章にまとめて発表します。15人程度の少人数授業なので、話し合いもしやすいです。
A:私も英語は大好きです。文I(文系受験)コースでオーラルコミュニケーションIIを選択しているのですが、いま授業でプレゼンテーションを学んでいます。自分の好きな国や場所、本などをとりあげてプレゼンテーションをしたのですが、私は「一寸法師」をやりました。
英語で「ワンインチ・サムライ」というのです(笑)。自分の国の昔話も、英語で読むと新鮮に感じられて楽しいですね。授業ではこれからディベートをやることになっています。
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●スピーチコンテストについて
N:私の部活はESS部です。この部では必ず校内スピーチコンテストに出場することになっています。コンテストのテーマは「私が主張したいこと」。
そこで私は「ホームレスについて」と題してスピーチしました。なぜこれを取り上げたかというと、通学で利用する大きな駅の周辺に、ホームレスの人がいるんです。
私は中3のとき初めてその存在に気づき、驚きました。毎日通っていて見慣れた風景だったのに、それまで一度も目に入らなかった。
それで、スピーチではまずホームレスについて説明し、自分が大人になったらこういう人たちを助け、だれもホームレスにならない社会をつくっていきたいと話しました。
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●留学経験・ホストファミリーとして
A:私は去年、夏期ニュージーランド短期留学に参加し、現地の姉妹校で学びました。ホームステイ先ではまるで私を家族のように温かく迎えてくれて、とても楽しかった。その家には私と同学年の子どもがいて、毎日いっしょに学校に通い授業に参加しました。
留学前と後とで変わったことは、とにかくどんどん英語を話さなくてはと思うようになったこと。間違えたっていいから、積極的に。オーラルの授業も、以前よりもっと話せるようになりました。
N:私の家はホストファミリーとして、ちょうどいま留学生を受け入れているところです。アメリカの姉妹校から来て、いっしょに通学しているんですよ。私と同学年。家でも英語を使えるのでうれしい。
彼女にはアメリカのことを聞いたり、私の英語のテキストを見せて教えてもらったりしています。そのときもわからないことは聞き流さず、きちんと質問するようにしています。
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●英語の勉強・将来の夢
A:私は生徒会の役員として、マーガレット祭(文化祭)の運営委員の仕事をしています。4月からその準備をずっと進めているところです。
そんな忙しい毎日ではありますが、英語に関してはまず授業の予習をきちんとしています。特に長文読解の予習などは欠かせません。私は毎週日曜にその週の勉強スケジュールを立てるようにしています。
もちろん英語もいつ勉強するか、そのとき決めます。日曜は予備日として、前の週にやり残した勉強をします。これは大学受験をした先輩から教わったやり方なんです。
N:わあすごい、私も先輩に見習わなくちゃ(笑)。私は大学に入ったら国際法を学びたいと思っています。
将来の夢は・・・私は世の中の矛盾についてよく考えるんです。世界では人身売買など日本では考えられないようなこと、日本人だけでは解決できないことがたくさんあります。
日本人だけでなく、世界の人々が平等に暮らせるように、その解決に向けてなにか仕事をする人になりたい。
この夏は聖路加国際病院でボランティアをしました。考えさせられることが多くあったので、今度のスピーチコンテストではこの経験をテーマに話そうと考えています。これからは外部のコンテストに参加したり、模擬国連にチャンレンジしたりどんどん行動に移していくつもりです。
A:私は経済学部志望で、将来は日本や世界のことを考えながら仕事をしたい。たとえばいま、ヨーロッパの経済が不安定になっていますよね。毎日、日経(日本経済)を読んでいるのですが、日本はこうした国々と今後どうやって連携し、互いに盛んになれるか。そうした問題に興味があります。
また日本の企業でも英語を公用語としたりしていますよね。英語は最低必要条件として、この先はもう2ヶ国語くらい習いたいと思っています。
初めに英語科のカリキュラムなどについてお話ししましょう。
立教女学院では、英語は中高6年間を通じて習熟度別による少人数授業を行っています。中学では1クラスを2分割し、約20人の授業。高校では2クラスを3分割し、約30人で授業を行います。
また、高校のオーラルコミュニケーション(以下、「OC」とします)の授業ですが、まず1クラスを習熟度別に2分割します。いわば基礎・発展に分けるわけですが、さらに基礎グループのほうを2分割します。
したがって1クラス3分割となり、それぞれ15人程度で授業を行います。こうした分割方法によって、生徒一人ひとりの力に応じてきめ細かく指導することができます。
OCはネイティブ教員による授業で、日本語は用いません。中学でもネイティブ教員による英語のみで行う授業が週1時間あります。
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高校では昨年度より、英語模試としてGTEC(ベネッセ主催)を導入しましたが、これはListening・Reading・Writingの各技能レベルが数値化され、到達度が具体的にわかるものです。このような外部の指標は良い刺激となります。
先ほどお話ししたように本校は習熟度別にクラス分けをしていますが、学内だけでなく、全国的にみた自分の到達度を知ることによって進路も前向きに考えられるようになります。
このところのデータでは本校生徒は全国平均を上回るのは勿論のこと、Listening能力に特に秀でているという結果を得ています。少人数によるOCの授業で、高い運用力・実践力が身についていると受け止めています。
本校の生徒は積極的で、自分から物事に取り組む子どもが多い。そうした生徒たちに向けて学校が重視しているのは“インプット”することと“アウトプット”の場を設けることです。まず授業を始めさまざまな学習機会が、生徒への“インプット”であるととらえています。
たとえば、長期休暇中はサイドリーダーとして高3以外の全学年が英語の原書を読みます。
課題図書の共通テーマとしては、女性の自立、そして教養の観点から西洋の名作などを選びます。高1はココ・シャネル、マドンナ、森英恵などの半生記、高2は「風と共に去りぬ」など。またシェークスピア作品やシャロックホームズ・・・。
欧米文学や歴史はキリスト教と深くかかわっていますね。キリスト教主義の学校として、こうした欧米文学の素養を身につけさせることも大事にしています。
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次に、“アウトプット”の場を設けることについてお話ししたいと思います。
中学に入学し英語がしゃべれない状態から始めて、中3ごろには多くの生徒が高い運用力を身につけます。
生徒たちはスピーチコンテストやレシテーション(暗唱)コンテストにも積極的に応募してきます。
こちらもただ出場させるだけでなく、スピーチでは原稿のチェックからプレゼンテーションの練習まで、ネイティブ教員も関わって指導し、きちんと準備させて本番に臨ませています。
レシテーションもただ暗唱させるだけでなく、ここでも題材を厳選しています。昨年度、高校生にはスティーブ・ジョブズ氏がスタンフォード大学の卒業式で行ったスピーチを課題としていたのですよ。
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国際交流プログラムもまさに貴重な“アウトプット”です。アメリカ、ニュージーランド、フィリピンの各姉妹校と短期・長期の交換留学を行っています。
短期はホームステイとなり、ステイ先の家庭は、留学する生徒本人とうまくマッチングするよう姉妹校の先生が選定してくれます。
そのためにこちらからは本人の部活動や得意なことなど、本人の基本情報をリストにして送っておきます。一方本校が留学生を受け入れるときも、もちろん同じようにしてホストファミリーを選びます。
ちなみに約1年間の長期留学の場合は、留年せずに自分の学年に戻ってくることもできます。近年、本校では卒業後の進路として海外の大学へ直接進学する生徒も出始めています。
英語の学習だけでなく、すべての学習に共通して必要なことは、自ら考え、発信するための材料を増やし、自分を豊かにすることです。
インプットがなければ、アウトプットできない。その意味で全教科が関連しあっているし、学校行事などもみんな一つにつながっています。
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本校では総合的な学習として、中高ともにARE(ASK, RESEARCH, EXPRESS)学習というものがあります。
高校ではこの学習の一環で卒論に取り組む生徒たちがいるのですが、それを日本語と英語の両方で書き上げた生徒もいます。
テーマがマイケル・ジャクソンだったこともあり、資料も日本語と英語で読みくらべたそうです。
微妙なニュアンスの違いから社会的な背景がみえてくるのが面白く、作成が楽しくて仕方がなかったと感想を語っていました。彼女は帰国生ではありません。一般の生徒でした。
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こういったARE学習や、平和や宗教、社会問題などについて学ぶ土曜集会もつながっている。そうしたインプットが、スピーチコンテストや国際交流、卒論などでアウトプットされ生徒の進路が拡がっていくのです。
来年度より実施される文科省の新学習指導要領に合わせ、本校でも新カリキュラムが順次スタートします。世界のグローバル化を意識し、英語は中2で1時間授業が増えます。
また今年の夏休みには、高2理系コースの生徒を対象に英語で授業を行う“サイエンス・イマージョン”を行いました。
立教女学院は伝統を守りながら、一方でつねに時代の先を見越した教育を行っています。
これからも生徒の未来を見据えながら、創造的に教育を展開させていきたいですね。
高1は英語Iの授業が週4時間、OCの授業が週2時間あります。今回は発展クラスのOCの授業を取材しました。
立教女学院は2学期制を採用しています。取材したのは後期授業が始まった秋の某日でした。
授業はネイティブの先生が一人、生徒は17人で行われていました。先生は正確な発音で話しますが、そのスピードはゆっくりではありません。初めに会話の小テストをした後、通常の授業に入ります。
まずセンテンスづくり。黒板に示されたフレーズにもとづいて、課題が出されます。フレーズに続く文を、関係代名詞「which」を使って一文でまとめるか、または2つの文にまとめる。周囲の友だちと数分間話し合って作文、全員で答え合わせ。
次にグループに分かれ、先生から英語の記されたカードが配られます。それにもとづいて課題が出され、数分間話し合って英文を作成します。そのあと全員で答え合わせ。
次に絵や写真の印刷されたカードが示されます。バーベキューや料理の写真などカードの内容について、生徒たちがその場で英語で紹介していきます。カードは全部で4枚示されました。
次に英検指導に入ります。ちょうど英検の受検時期で、生徒たちは2次試験である面接試験に備えているところ。
英検2級を受検する生徒が多いため、それに対応する練習を行いました。
配られたプリントには、一つのテーマについて英語による解説文が記され、さらにそれに関連したストーリーの冒頭部分が、3コマの絵で表されています。
そのストーリーの続きを2人1組で自由に話し合い、英文を作成・発表。
テーマは「New Materials」。プラスティックと環境問題、プラスティックに代わる製品の開発、その将来の展望、またプラスティック類のゴミによる海鳥の被害など、英語の運用力だけでなく一人ひとりの問題意識や基礎知識、経験が問われる課題となっています。
最後は教科書を開いて単語の発音練習。発音の区別などについて細かい指導があります。次に教科書の練習問題を宿題に指定され、授業は終わりました。
授業はすべて英語のみ。進度も速く、メリハリのある授業でした。生徒たちはこうした授業に慣れており、先生の説明や質問を聞き取ることができ、会話もほとんど難なくこなしていました。そのテンポも発音もネイティブに近く、流暢に話すことができています。
また特に印象的だったのは、生徒の活発さです。指名されなくてもどんどん手を挙げて答えていきます。
間違えたら恥ずかしいという雰囲気はなく、ときに先生のアドバイスを受けながら、臆することなく発表します。
生徒たちの高い意欲と実践力が伝わってくるOCの授業でした。
立教女学院では一般入試のほか帰国生入試を実施しており、学年ごとに20名程度の帰国生が在籍しています(日本語が話せることが前提)。また一般入試で入学した生徒のなかにも、海外生活の経験をもつ生徒がいます。
こうした状況を受けて、学校では中学生を対象に帰国生を中心とする英語のクラスを編成しています。希望者のみとし、中学1年生全員に希望を募り、インタビューテストを経て選抜します。
帰国生クラスの主なねらいは、身につけた英語力の維持、向上。
また帰国生は日本の文化・習慣などに戸惑うこともあります。そんな帰国生どうしが集まることで、互いに相談しあったり、ネイティブの先生に質問したりできる場ともなっています。
授業は週1時間、放課後の7時限目。中1~中3の生徒がいっしょに学びます。今回はその帰国生クラスの授業も取材しました。
授業には10人の生徒が出席。ネイティブの先生によって英語のみで進められます。
前期はゲームなどのアクティビティーが中心の授業でした。後期授業では英語の原書を読み、それに従って学習します。
課題図書は「Charlotte's Web」。2006年には「シャーロットのおくりもの(邦題)」として映画化された小学校高学年~中学生向けの児童書なので、帰国生クラスの生徒は英語圏児童とほぼ同レベルでの学習となります。
授業は宿題として指定されたところまで読んできたうえで、進められました。授業の主な内容は次のとおり。
生徒たちは真剣に授業を受けており、先生の質問にも積極的に答えていました。
英語の原書を読むことについても、生徒たちの要望に応じて取り入れたのだそうです。
このクラスを希望者のみで編成する意味が伝わってくるようです。意思的に参加し、放課後の7時限目に集まって勉強する生徒たちからは、自身の語学力についての自覚や、英語への強い興味・意欲がうかがわれました。