社会で必ず求められる力を中学時代から養成
ロッテの商品を中学生が企画
優秀作品は実際に商品化される可能性も
2008年9月6日、土曜日。西武学園文理中では翌7日までの予定で開催される「文理祭」のオープニングを迎えていました。数あるイベントの中でも注目されるのは、3年生が取り組んできた「お菓子の商品開発プロジェクト」の最終プレゼンテーション。前回、取材したクラスプレゼンテーションで選ばれた10班が約100人もの聴衆の前で堂々とプレゼンテーションしました。
西武学園文理中のユニークなキャリア教育
西武学園文理中は、昨年からロッテの協力のもと、お菓子の商品開発に取り組むというユニークなキャリア教育を始めました。正解のない課題にグループで取り組む中で、個々の意見の違いを乗り越え、より良い企画へと磨き上げていくこと。社会人(ロッテ社員)とコミュニケーションをとり、その助言を消化していくこと。そして、大勢の聴衆の前でプレゼンテーションすること。通常の授業ではなかなか得られないそんな貴重な体験を通じて、大きく成長する生徒たちの姿がそこにはありました。
全10班のプレゼンテーションがいよいよスタート
まずは、3組6班の発表。企画した商品は、食べるだけで世界旅行をしたような気分になれるクッキー「ワールドピース」です。なんと一つひとつのクッキーがジグソーパズルの「ピース」にもなっているというユニークなもの。トップバッターは緊張するものですが、堂々とプレゼンテーションしている姿が頼もしく見えました。
個性あふれる企画とプレゼンテーション
各班とも、時代背景を検証し、ターゲットを絞り、商品企画を考えるというプロセスには違いがありません。しかし、各班でこれほどまでに違うものかと驚かされました。企画にもプレゼンテーションにも個性があふれているのです。例えば、6組6班。 他の班が「安いもの、求めやすいもの」を探る中、「 時代は、高くても良いものを求めている」と捉えていました。また、2組1班は、プレゼンテーションに寸劇のスタイルを採用。登場人物の役割をはっきりさせ、とてもわかりやすく、思わず引き込まれてしまうようなプレゼンテーションでした。他にも「お菓子に求められるのは第一においしさ」と王道を追求した4組5班やパッケージの底にハーブの種子を入れ、食べ終わった後に栽培できる商品を考えた1組2班など、とにかくその発想の豊かさは、聞いていて楽しくなってくるほどでした。
最優秀賞は和風おにぎりグミを企画した5組1班
全10班の発表が終わり、ロッテの社員による審査が行われ、最優秀賞、優秀賞、優良賞が発表されました。最優秀賞に選ばれたのは、偶然にも前回のクラス発表を取材した5組1班。「おにぎりっちっち」という和風おにぎりグミという発想自体が非常にユニークな上、全員が浴衣を着てのプレゼンテーション、提灯型のパッケージ、そしてクラス発表の時よりもおいしくなっていた試食など、最優秀賞にふさわしいものでした。
クラスが一体となって取り組んだ成果
しかし、それ以上にすばらしいと感じたのは、5組の生徒全員が一体となって1班の商品企画をブラッシュアップしていたことです。1班のメンバーは、「クラスのみんながもっとこうしたら良くなるということをアドバイスしてくれたんです」と話してくれました。実は、多くのクラスは最終プレゼンテーションに2つの班が残ったにもかかわらず、5組は1班しか残れませんでした。普通なら、他の班の生徒たちは関心が薄れてしまいそうなところですが、むしろクラスの代表として1班を後押ししてくれたというのです。担任の金井先生も「いやあ、本当にうれしいです。一人ひとりの生徒が見る見るうちに成長していくのが実感できて、これほどうれしいことはないですね」と感激の様子。本当にクラス全体が一体となって勝ち得た最優秀賞だったんだと強く感じました。
コアラのマーチオリジナル絵柄も決定
前回のレポートでもお伝えした通り、クラス代表になれなかった班の生徒たちには、「コアラのマーチ」の新しい絵柄を考えるという課題が与えられました。こちらも優秀3作品が発表され、会場は大いに盛り上がりました。中でもコアラがウクレレを弾いている絵柄は、今までなかったのが不思議なくらいかわいらしく、楽しい絵柄。他の2作品とあわせて、2009年2月にリリースされる「コアラのマーチ」に実際に採用されるとのことです。
イベント性をうまく取り入れたキャリア教育
3年生が4月から取り組んできた「お菓子の商品開発プロジェクト」は、これで終了です。全体を通して感じたのは、社会の一端に具体的に触れられるという教育的な意義と、生徒たちが楽しく取り組めるイベント性がうまくバランスしているということ。5、6人の班がまずクラス代表を競い、最終的には学年最優秀賞を競うという形は、生徒たちを「負けたくない」と奮い立たせるのに有効に働いていました。その動機付けのもと、先生やロッテの担当者に積極的に働きかけ、自分たちの企画をより良いものへと仕上げていく。これは、まさに前向きに仕事をする社会人の姿そのものです。中学3年という時期に、そんな体験ができたことは、必ず彼らの人生に良い影響をもたらすはず。そんな風に感じました。
