中学受験スタディ

聖学院中学校の「英語教育」

 

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聖学院中学校の「英語教育」


聖学院中学校の「英語教育」聖学院中学校はキリスト教精神に基づく中高一貫の男子校です。創設は1906(明治39)年、アメリカの宣教師H・H・ガイ博士が設立した神学校を母体に中学校を開校、以来一貫してキリスト教精神に根ざした学校として百余年の歴史を刻んできました。今日では幼稚園から大学・大学院まで、また海外校として聖学院アトランタ国際学校を擁する、まさに国際的な総合教育を実践する学校に発展しています。

学び舎の駒込キャンパスは歴史と文化の町・東京都北区の高台にあります。優美さとぬくもり、機能性を兼ね備えた新校舎は1999(平成11)年に竣工しました。設計のテーマは「光と水と風のシンフォニー」。生徒が毎日を気持ちよく過ごしながらのびのびと学び、成長できるようにとの願いをこめて建造しました。教室は全面ガラス張りで、明るく暖かな光がさわやかな風とともに注ぎます。

聖学院はその教育の基本理念を、聖学院教育憲章としてあらわしています。同憲章は、幼稚園から大学院まで全教職員が集い、学院が守り続けてきた教育の基本精神を根本からふり返り、あわせて現代の教育課題について真摯に討議、その成果として2002(平成14)年に策定しました。

聖学院教育憲章

〔聖学院教育の根本目的〕

聖学院は、日本国憲法(1946年制定)と教育基本法(1947年制定)に示された理想の実現を図り、将来の日本および国際社会に貢献する人間を育成することを教育の根本目的とします。

〔聖学院教育の理念〕

聖学院は、一人ひとりが神からかけがえのない賜物を与えられているという確信に基づき、それぞれの固有な賜物を発見することを助け、個人の人格の完成へ導く教育をします。聖学院教育はナンバーワン教育ではなく、オンリーワン教育であり、そしてそれはオンリーワン・フォー・アザーズ(他者のために生きる個人)の教育です。

〔聖学院教職員の自己改革〕

聖学院教職員は、「仕えられるためではなく、仕えるためにきた」と言われたキリストの模範にしたがい、人々に最も良く仕える者こそが社会を導いていくとの確信のもとに、サーヴァント・リーダーシップをもって責任を果たすため自己革新に努めます。

この教育憲章のもと、聖学院中学校・高校では2003(平成15)年より教育改革に取り組んでいます。その大きな柱は英語教育です。“グローバルスタンダードの教育”を指針の一つとし、学院創設以来、伝統として守ってきた英語教育のさらなる質の向上をめざして、新プログラムを導入しました。

では実際にどのような英語教育を行っているのでしょう。今回はそれを取材しました。

 

〜英語教育のシステム〜


■授業時間数を英語に多く配分


聖学院では土曜日も開校の学校週6日制を維持し、英語や数学等主要教科を初めとする教科指導に力を入れています。英語の授業時間数は各学年週あたり7時間(文法・読解6時間、ネイティブ教師と日本人教師の・による英会話1時間)。文部科学省が定める3時間を大きく上回っています。

また、主要5教科のなかで、英語に最も多くの時間数をあてています。

聖学院中学校の主要5教科の授業時間数(週あたり)

  国語 社会 数学 理科 英語
中学1年
中学2年
中学3年

 


■英語選抜クラスの設置・グレード別授業の実施


中学1年生 

帰国子女および小学校時代に英語を学習してきた一般生徒(英検3〜4級以上の合格者または同程度の学力をもつ生徒。入学後に学校が調査して選抜)により20人程度の英語経験者クラスを編成し、発展的な学習を行います。3学期からは英語のみで授業を行い、先生も生徒も基本的に日本語は使いません。その他の生徒も2学期よりクラスを2分割し、基礎学習に加えリーディングやドリルなどを学習するコースと、基礎力養成を重視しトレーニングを積むコースに分かれて少人数授業を行います。

中学2〜3年生 

英語選抜クラスとしてアドバンスクラスを1クラス(40名〜45名)編成し、HRも共に過ごします。朝のHRなどの学級活動はできるだけ英語で行います。アドバンスクラスはさらにS1コース・S2コースとしてグレード別に2分割して授業を行い、小テストや定期試験の結果により学期ごとに編成メンバーを入れ替えます。他のクラスもグレード別に授業を行い、同じように学期ごとにメンバーの移動が可能です。

高校1〜3年生

英語選抜クラスを1クラス編成。他のクラスはグレード別に編成します。

〜指導の特徴〜

■小テスト、確認テスト・宿題・レシテーションコンテスト

○小テスト……単語テスト、英文聞き取りテスト、レシテーションコンテスト用の暗誦テスト等、全クラスともほぼ毎時間行っています。単語については中学1〜2年生までに3000語以上、中学3〜高校3年生までに4500〜6000語の習得を目標とし、これにあわせて単語テストを行います。

○確認テスト……レッスン(単元)ごとに復習テストを実施。およそ1週間ごとに行っています。

○宿題……1時間〜1時間半くらいを要する分量で、教科書やプリントから毎日出されます。

○レシテーションコンテスト……中学校全体で暗誦コンテストを実施しています。学年ごとに決められた課題文を暗誦、クラス内→学年の段階を踏み、最後は11月下旬に全校生徒が集い決勝大会へ。

 課題文は10月初めに配布、名作物語や詩を暗誦します。今年の中学1年生の課題文はイソップ物語のなかの「すっぱいぶどう」。物語の一部分を覚えるのではなく、コンパクト版を使用して物語全体を覚え、生徒たちはストーリーテリングをするつもりでコンテストにチャレンジします。コンテストのエキシビションとして、帰国生による別の課題文でのレシテーションが行われます。帰国生の課題文は、キング牧師の“I Have a Dream”などをとり上げています。

■ノート指導、朝・放課後・長期休暇の補習

○ノート指導……英語は中学生から学ぶ新しい教科であることから、特に中学1年生はノート指導を徹底します。黒板の写し方などノートの取り方を細かく指導し、先生がレッスンごとに全員のノートチェックをします。

○補習・追試……小テストや確認テストの追試は、朝の授業前に行います。その結果により放課後に補習を実施、生徒の学習状況により個別指導も行います。

○サマーセミナー……夏休み中に2週間行います。中学1〜2年生は全員参加。あとは自由参加となります。高校3年生対象のサマーセミナーでは受験対応の補習を行います。

■英語検定の推進

英語教育の一環として英語検定にも力を入れています。学年ごとに目標を立て、全校生徒が受検。年間3回実施し、目標を達成するまで何回でもチャレンジします。

○学年別の英検取得目標級

中学1年生…準2〜4級

中学2年生…2〜4級

中学3年生…2〜3級

高校生…準1〜2級

●2007年度 中1〜高Ⅱ(在校生)英語検定試験における級取得者数

学年(生徒数) 準1級 2級 準2級 3級 4級
中学1年(219名) 2名 4名 7名 23名 143名
中学2年(218名) 1名 5名 31名 124名 198名
中学3年(207名) 15名 66名 149名 197名
中学合計(644名) 3名 24名 104名 296名 538名
高校Ⅰ年(192名) 19名 81名 149名
高校Ⅱ年(173名) 3名 39名 90名 148名



中学3年生・高校3年生の英語の授業(2学期)を取材しました


○中学3年生 アドバンスクラス:S1コースの授業


聖学院中学校の「英語教育」授業は基本的に英語のみで行われ、必要なとき以外は先生も生徒も日本語は使いません。まず単語の小テストから始まりました。生徒たちはすぐに集中して向かいます。テスト終了・回収する間も教室はざわつくことはなく、先生の指示で教科書を開いて英文の音読練習へ。先生は日本人ですが、完全なバイリンガル。ナチュラル・スピードで音読する先生のあとに続けて全員でリピートします。それが終わると教科書を閉じ、シャドー・イン。かなり長い英文を全員で暗誦します。

教科書を開き、助動詞will・would・must・couldの学習の続きに入りました。「あれはあなたのお父さんに違いない」「あれはあなたの妹であるはずがない」など先生が次々と口頭で示す日本文を、指名された生徒が英訳して答えます。「ケーキをもう一切れいただけますか?=“Could I have another piece of cake?”」では、日本語の謙譲表現とそれに対応する英語表現についての注意をうながしたほか、“piece of cake”を用いた表現として“It’s a piece of cake”をあげるなど、広がりを持たせながら教えていました。

最後の10分ほどで教科書の英作文の練習問題を解きます。先生が机の間を回ると、生徒が次々と挙手して質問します。日本語で話したい場合は、まず先生にそのようにことわってから質問します。それから全員で答え合わせをしてこの時間の授業は終了。

総じてメリハリのある授業でスピードもありますが、生徒は授業の展開にスムーズについてきており、板書の写しも要領をわきまえているよう。着々と英語の実力を身につけていることが伝わってくる授業風景でした。

 

中学3年生・アドバンスクラス担当 藤本 俊先生のお話

聖学院中学校の「英語教育」今日の授業では中2のときに学んだことを基にして、さらに掘り下げて学習しました。小テストは毎時間やっていますが、これは学習の定着を高めるという目的のほかに、いつも緊張感を持たせることもねらいとしています。また11月にレシテーションコンテストをひかえているので、それも意識して長文の暗誦を行っています。ふだんは教科書の英文を暗記するのですが、今はプリントを用いてボリュームのある文章を暗記していきます。暗記じたいは1年生のときからつねに行っているので、3年生にとって長文の暗記はそれほど大変なことではありません。

アドバンスクラスの生徒は知識欲が旺盛なので、教科書にとらわれずに授業を進めています。今週の後半はJapan TimesやDaily Yomiuriなどを読んでいく予定です。さらに次週は確認テスト、それが終わった時点でノートチェックといように、授業は一定のサイクルで年間のシラバスに沿って進められており、生徒もこうしたサイクルを分かっているので、各自でその準備ができるようになっています。

聖学院では中学1〜2年生を基礎充実期、中学3〜高校1年生を応用発展期、高校2〜3年生を完成期として教科指導を行っており、今は応用発展期にあたります。そこで英字新聞のほかにも、Listeningでは映画のシナリオやNHKラジオ英会話を活用したり、Writingでは辞書を引きながら英語の日記を書いたりなど、発展的学習を行っているところです。こうした学習でさらに生徒の知識欲を引き出し、実力を養っていきたいと考えています。


○高3年生 英語選抜クラスの授業


聖学院中学校の「英語教育」今、3年生では大学受験対応の授業を行っているということで、今日の授業では上智大学の入試過去問題を用いていました。受験をひかえた緊張感が教室に漂うなか、先生は文法や英単語、イディオムなどについて、生徒を席順に次々と指名していきます。ちょっと答えにつまるとすぐに次の生徒へと飛ばすといったように、先生も厳しい態度で臨んでいます。

私語をする生徒は一人もいません。全員が電子辞書を机の上に置き、各自で単語等を調べながらスピード感のある授業を受けていました。

教室には窓から明るい陽射しが注いでいます。教室全体が明るく、掃除もきちんとされていて気持ちがいい――学習するための環境が、生徒や先生の手によって整えられていることが実感できました。

 

高3年生・英語選抜クラス担当 臼井 小百合先生のお話

聖学院中学校の「英語教育」今日の授業では上智大学の過去問題を用いましたが、これは前の時間に実際の入試と同じように90分で解かせており、答え合わせもしています。間違えたところなどを各自復習した上で、今日の復習の授業に臨んでいるわけです。受験間近だから、各自でどんどん勉強することを前提に授業を進めています。

今年の高校3年生は英語教育の新プログラム導入の第1期生です。私はずっと彼らとともに歩んできました。英語選抜クラスはつねに上位の生徒に合わせて授業を進めますが、初めはノート指導など基本的なことからかなり細かくやりましたね。入学時はノートの取り方が雑で授業を振り返ることができない生徒もいたものです。だから、授業中のノートが参考書代わりになるくらいにきちんと書こうと呼びかけながらチェックしました。ノートの取り方を覚えると生徒の集中力もずっと向上します。

こうした指導にしても小テストや宿題にしても、すべて私たち教師の努力にかかっていると思います。学習習慣を身につけさせ、実力を養成するために、徹底して一人ひとりをチェックし丁寧に指導する。家庭にも協力を呼びかけ、宿題やノート整理などに気を配ってもらっています。地道な努力が少しずつ実り、たとえば今の高校3年生は中学3年の時点で英検の準2級や2級に受かる生徒が確実に増えました。

今後もこうした根気強い指導を続け、実りを大きくしてきたいですね。


英語科主任 清水 世界先生のお話

聖学院中学校の「英語教育」英語学習は中学時代が最も大切です。中学生は英語に対してまっさらな状態で、こころも柔軟です。語学を受け入れやすい状態にあるのですね。こちらがお尻をたたくと真面目についてきます。だからわたしたちは特に中学校での英語教育を重視しています。

アドバンスクラスをはじめ、ほかの一般クラスでもグレード別の授業を行っていますが、これは英語ができる生徒とそうでない生徒という区別ではなく、生徒一人ひとりの学習到達度に合わせるという発想で行っています。このような指導により、より理解が確実なものになります。編成メンバーは固定ではなく学期ごとに変えるので、生徒にも励みになります。

英語検定やレシテーションコンテストは、動機付けの一環として大事なものです。暗記学習は語学習得にプラスになるだけでなく、励みにもなります。それもただの暗記ではなく、物語や詩を暗誦することは楽しみにもなりますね。英語の美しいリズムを味わってほしいと思います。生徒は家で「僕はこんなに覚えられたんだよ」と言ってお母さんに暗誦してみせるそうですよ。

英検については基本的に通常の授業がそのまま英検対策となるよう配慮し、直前には放課後に英検補習を行います。また、家庭学習用として英検ノートをつくらせています。これは英検対応のテキストを用いて、週あたりの目標を決めて学習させるようにしています。

暗誦や英検によって目に見えるかたちで前に進んでいくことで、生徒一人ひとりが自信を持つことができ、意欲の向上へと結びついていきます。6年間で確実な実力を身につけるうえでは中学時代が勝負。この時期にしっかりと勉強させて自信をつけさせること。私たちはそれを意識した指導を行っています。

 

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