中学受験スタディが特別取材した私立中学の特徴ある教育

Special Report - 品川女子学院のカンボジア訪問報告会

品川女子学院のカンボジア訪問報告会

PHOTO「カンボジアに学校を建設しよう!」

この目標のもと、品川女子学院の生徒たちが2005年6月にS&Sプロジェクト委員会を立ち上げて約4年。

その活動の努力がみごとに結実し、2009年3月に小学校の校舎が完成しました。


PHOTO新校舎の開校から2年目を迎える今年の春、プロジェクトのメンバーとして活動し、現在は大学に通う品女OGが念願のカンボジア訪問を実現。

自分たちが寄贈した小学校を初めて訪れ、子どもたちや先生と交流してきました。

帰国後、品川女子学院にて報告会を開催。
今回はその模様を取材しました。


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学校建設までの道のり ~S&Sプロジェクト委員会とは?~

PHOTOS&Sプロジェクトは、「School by Student」「サンリオと品川女子学院」両方の意味があります。

自分たち生徒によって発展途上国に学校を贈ろうという目的がこめられたもので、2006年に生徒会を中心に有志が集まり、始動しました。


PHOTO

最大の課題は建設費の調達。それには主に株式会社サンリオとの共同企画により開発・発売しているキャラクターグッズ、品女キティの利益を充てることに。

その理由は、もともと品女キティ(中等部版)の開発にかかわったのが、S&Sプロジェクトのメンバーだったため。


品女キティができるまで・・・
2004年  
9月 「日経ストックリーグ」にチーム登録。(当時4年生)
11月 チームが選んだテーマについての調査。
サンリオIR室に取材に行く。
2005年  
1月 日経ストックリーグ レポート提出。
6月 ストックリーグメンバーを中心に、文化祭にむけ、サンリオ訪問。
オリジナル根付け規格交渉→実現せず。
サンリオとの打ち合わせ、調べ学習などが続く。
9月 文化祭CSR(企業の社会的責任)をテーマに展示・発表。
12月 企画の収益を文具にし、カンボジアに送る。
2006年  
1月 「S&Sプロジェクト」継続決定。生徒会にバトンタッチ。
根付け企画、サンリオに協力依頼→承諾を頂く。
4月 文化祭における収益についての会議がもたれる。
国際協力についての講演会。
5月 サンリオ訪問。根付けの配色・プレート等打ち合わせ。
発展途上国への学校建設案が提出される。
6月 品女キティの収益を学校建設に使うことが決まる。
サンリオの内会見に招待される。
有志生徒募集→参加生徒が集まる。
7月 サンプルの色の確認。ユニセフハウス訪問など。
8月 「品女キティ」サンプル完成→量産へ。
発展途上国の学校建設について調査・訪問などの活動。
利益はカンボジアの学校修復をすることに決定。カンボジアについての調べ学習。
9月 学校建設・販売価格・販売方法について、話し合い。
品川女子学院文化祭「白ばら祭」にて「中等部 品女キティ」発売!
起業体験プログラムの有志班が利益を寄付。
10月 品女キティ売り上げからの募金額の報告。高等部キティ製作決定。
文化祭での利益を繰り越して、学校の修復ではなく建設することに。
2007年  
6月 S&Sプロジェクト委員会として特別委員会が発足。委員を再募集。
オープンキャンパスで受験生にむけ販売。
7月 高等部キティについての話し合い。
8月 ASACの方を招いて勉強会。カンボジア大使館を訪問して勉強会。
9月 品川女子学院文化祭「白ばら祭」にて「高等部 品女キティ」発売!

S&Sプロジェクト委員会では、中等部版品女キティに続いて高等部版の共同開発を行い、毎年の文化祭や受験生対象のオープンキャンパスにて販売。

このほかPTAの寄付や、文化祭でのクラス別起業体験プログラムによる販売活動の利益の寄付、外部企業を対象とした募金活動などにより、学校建設にかかる費用は確実に蓄えられました。

2008年文化祭までの品女キティ売上利益と、寄付の合計金額は、4,224,849円。

PHOTOこのお金を「NPO法人ASACカンボジアに学校を贈る会」(以下ASAC)を通じてカンボジアに贈り、09年3月、コンポンチャム州の小さな村に、公立のコークスロラウ小学校の新校舎が竣工しました。

それまで1教室しかなく、1~2年生しか受け入れることができないために、村の子どもたちの40%(200人)が学校に行けない状況でした。

そこに3教室分の新校舎が建てられ、3年生が通えるようになったほか、全校の児童数もぐんと増えたのです。


PHOTO校名は、品川女子学院の生徒たちの投票で「小学生たちが笑顔で通ってきてほしい」という願いをこめて「SJスマイル・コークスロラウ小学校」と名づけられました。

S&Sプロジェクト委員会では、品女キティの開発・販売、学校内外への広報・啓発運動、募金活動、またサンリオやASACへの働きかけなど、すべてを自分たちで行い、学校建設をかなえました。


PHOTOそれは今、まさに子どもたちの学び舎となり、将来への夢をはぐくむ場となっています。

そして、この活動がさらに現地の村の教育委員会を動かし、思わぬ広がりを見せることに。

そのお話はS&Sプロジェクトをずっと見守り、今回のカンボジア訪問も共にした平川悟先生にあとでうかがうとして、まずは報告会の取材をお届けしましょう。


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先輩たちのカンボジア訪問報告会

PHOTO新学期がスタートして間もない4月の土曜日、放課後のカフェテリアにて、卒業生6人によるカンボジア訪問報告会が行われました。

卒業生は現在大学2~3年生となっています。

会には在校生のS&Sプロジェクト委員会のメンバーや、ASACの理事長、PTA、カンボジア訪問をともにした先生などが参加、OGの製作したパワーポイントを興味深く見つめながら、その話に耳を傾けます。


PHOTO報告はいきなり新校舎の話題に入るのではなく、まずカンボジアの気候や経済・産業、町の風景、郷土料理、アンコールワットの遺跡、内戦の歴史など、国の全体像の紹介から始まりました。

さて「SJスマイル・コークスロラウ小学校」のある村へは、首都プノンペンから車で3時間。

高層ビルの建ち並ぶ近代的な都市から一変して、素朴な田舎の風景が広がるなかに、立派な校門と、明るいすてきな校舎が建てられていました。


PHOTOそこにはたくさんの子どもたちの学ぶ姿が。実際に子どもたちに使われることによって校舎に命が吹き込まれ、ぬくもりが伝わってくるようです。

子どもたちの歓待を受けたOGたちは、校庭で鬼ごっこやだるまさんがころんだなどをしていっしょに遊び、品女の在校生とともに折った千羽鶴と手づくりの絵本を子どもたちにプレゼント。


PHOTOそして真新しい教室のなかで、子どもと楽しくお話をしました。

「実際に学校をこの目にして、また子どもや先生と交流することで、本当に校舎ができたんだと、初めて実感した」と喜びを語るOG。

報告会のまとめとして、「今後の支援」について後輩たちに課題を提起しました。


PHOTO子どもや先生に取材をして明らかになったのは、今、学校が必要としているものは筆記用具や教科書であること。

自分たちとしては、不足している制服や、給食の支援を考えていたが、もっとそれ以前の問題があることを知った。


これは現地の生の声を聞いたからこそわかったこと。こうした求めに即して、今後私たちがするべきこと、できることを模索する必要がある。そして、私たち先進国の役割とは何か、つねに品女の生徒たちに考えていってほしい。

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報告を行ったOGに話を聞きました

PHOTO報告会終了後、S&Sプロジェクト委員会の初代委員長・五井(ごい)さん、2代目委員長・金光(かねみつ)さんら報告を行ったOGの6名に話を聞きました。

皆さんは現役時代の自分たちの活動について、はつらつと語ってくれました。


S&Sプロジェクトは、品女キティを開発・販売することから始まったのですが、それを果たしたとき、サンリオから売上金の使途について聞かれました。それがきっかけで、カンボジアでの学校建設という目標が生まれたのです。

PHOTOASACとの出会いは、ある時みんなでドトール(コーヒーショップ)でおしゃべりしていて、ふとテーブルに置いてあったパンフに目がいき、そこにドトールがASACを通じてカンボジアの学校建設支援をしていると書いてあったことがきっかけ(笑)。

ちょうど私たちの新しいプロジェクトが始まったタイミングとぴったり重なった。

さっそくASACに連絡し、柏市の本部を訪ねました。

PHOTO私たちは、しなくてはならないことがたくさんありました。その一つが、カンボジアや学校建設について知ることです。

ASACの方に講演をお願いしたり、カンボジア大使館でお話を聞いたり、広尾にあるJICA地球広場や学校の近くのユニセフハウスを訪問したりして勉強しました。


PHOTOなんといっても大変だったのは、キティちゃんの販売かな。製造個数や価格の設定など、すべて自分たちで決めなくてはなりません。

企業との共同開発だから責任重大です。ちゃんと戦略を立てて販売し、利益を得ることができるのか。プレッシャーでしたね。


そして企業とのコラボという話題だけが注目を集め、私たちの目標である学校建設が背景に回ってしまわないよう、文化祭ではASACやカンボジアについて調べたことを展示し、訪れた人たちに呼びかけて見てもらうなど、自分たちの活動を知ってもらうよう努めました。

PHOTOS&Sプロジェクト委員会は、自分たちで学校を運営しようという気持ちで活動しています。

カンボジアに校舎を建てておしまいではなく、その次にするべきことは何なのか、ずっと課題を探し続け、後輩たちに代々バトンタッチしながら末永く支援したいと考えています。


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NPO法人ASACカンボジアに学校を贈る会 理事長 渡辺成子さんのお話

PHOTO品川女子学院の生徒さんから学校建設の相談を受けたとき、正直中学生や高校生がそこまで本当にできるかな、と思いました。それに、先生主導でやるのだろうと思っていましたね。

ところが、自分たちでやり通したのです。ねばり強く年月をかけて。これはすごいことです。いっしょに活動したものとして、大きな喜びを感じます。

ASACの役割は、一言で言えばS&Sプロジェクト委員会の活動を見守ること。


PHOTOそして、委員会の考えを現地に提案したり、現地の意向や状況を委員会に伝えたり。

主に現地との仲介や建設中の視察であり、生徒さんの活動そのものについてこちらから口出しすることはありません。

今回のカンボジア訪問も、皆さんの要望を受けて実現したものです。今後もこうしてプロジェクトの活動をサポートしていきたいですね。


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品川女子学院広報部長 平川 悟先生のお話

本校は「何でも挑戦しよう」という信条のもと、生徒の自主性を大切にしています。だから、気をつけているのは私たち教師が出すぎず、必要に応じてサポートしています。

PHOTOS&Sプロジェクト委員会は中学生・高校生の有志30名ほどの会ですが、部活のような雰囲気で毎週お昼休みに集まって自分たちでいろいろ活動していますよ。

本校では起業体験プログラムによって、クラスごとに商品開発・広報・販売など経済活動について学習していますので、高校生がリーダーとしてしっかり運営をしてくれています。

PHOTOなんといってもやるのは生徒たちなのだから、生徒ができる部分はなるべく自分たちで。こうした気風や学習経験が、S&Sプロジェクト委員会の背景になっていると思います。

カンボジアの学校建設は、その後予想外の展開となっています。新校舎によって、その地区では学校に通わない子が大幅に減りました。しかし、通えるのは3年生まで。

そこで、なんと村の教育委員会が国に働きかけ、4年生~6年生用の公立小学校を創設することになったのです。現在、校舎が建設されているところです。


PHOTOこうしてSJスマイル・コークスロラウ小学校の発展とともに、S&Sプロジェクト委員会も発展していってほしいと思います。

今後委員会としては、校庭の遊具や職員室や図書館などの建設にも携わっていきたいと考えています。


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