中学受験TOP注目の中学校 特別企画 「教育の特長」徹底解剖!  富士見中学校の「進路指導」の巻

敢えて選んだ中学受験
中学入学→高校進学→大学進学・・・その先にある子供たちの未来のために、選んだ学校が入学してからの6年間で、どんな教育を授け、導いてくれるの?キニナル「教育」の根幹部分を中学受験スタディ編集部が取材します!
〜富士見中学校の「進路指導」の巻〜
 西武池袋線中村橋駅から徒歩3分。駅至近にある創立84年を迎え、中高一貫教育に定評のある女子校、富士見中学校。国立・私立の有名大学への進学実績が近年非常に高い学校です。にもかかわらず、都内の有名校よりは少し影が薄いかも・・・?実は、進学実績では有名・人気校と肩を並べる「東京の西の雄」的な存在です。
今回は、躍進を続ける富士見中学校の教育理念が端的に現れている「進路指導」を取材しました!

更に、今回はその現場のひとつ、中学3年生の「卒業自由研究中間発表会」にもお邪魔してきました。これまでの成果を発表しながら、お互いの卒業研究をいいものにしよう!と話し合うイキイキとした生徒たちの姿がありました。でも・・・長期間にわたる個人研究だけに、ともすると「学ぶ楽しさ」が感じられず、興味や関心、情熱が続かなくなることも心配・・・。先生たちは、どんな仕掛けを用意して、生徒のモチベーションを維持・向上させ、生徒に「学ぶ楽しさ」を伝えているのでしょう?
その秘訣を垣間見るべく、10月27日に行われた中間発表会をレポートしています。          
  「卒業自由研究中間発表会」レポートはこちら
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大学進学実績や偏差値だけに偏らず「社会で生きる力」を育てる教育
卒業した富士見生には「大人としての自覚」を持ち、豊かなコミュニケーション能力学び・努力する姿勢人間としての品格を備えた女性に育ってほしい。富士見中学校の先生方が目指す目標です。

6年間の教育を通して重要視されるのが「生徒自身のモチベーション(動機付け)」。そして、「生徒自身が気付いて進むチカラ」。他者とのコミュニケーションから得られる「他者からの刺激」に着目、様々な「生徒自身の気付き」を促す機会が提供されています。

今回の取材では、富士見中学・高等学校の6年間で得ることのできる「生徒自身の気付き」の機会の中で、特に重要な進路指導上の主な「刺激」とその狙いを中学教頭の中川先生に、教えていただきました。
富士見中学・高校の制服
※富士見の制服 (左から、中学夏服
  ・中学冬服・高校冬服・中学夏服)
※下記の右側の赤枠内は、お話を伺った中川教頭先生のコメントです。
主な進路指導上の「刺激」(イベント)
■中学1年■
◇宿泊オリエンテーション(1泊2日)
  初めて出会った級友たち。緊張していて言葉も上手く交わせません。だから、始めは言葉を交わさなくてもできるプログラムで、お互いの距離感を縮めます。10の単語(友達、家族・・・more)を大切な順に並べて班で発表し合い、お互いの考え方を知る、大切なものランキング。目隠しをした級友の手を引きながら障害物や階段を越えて公園などを1周するブラインドウォーク。(企業の研修などで体験された方もあるのでは?)

一緒に楽しみながらプログラムを経験した後は、コミュニケーションを大事にする富士見の生徒としての一体感と富士見中学で学ぶ準備が整うのです。
※オリエンテーションは、校内で4日・宿泊で2日の1週間を通じて、行われます。
「入校訓練ではないんです。

多くの生徒が、受験準備〜入学までの段階で、傷ついたり偏ったコミュニケーションが増えて、構えた状態で入ってきます。
そんな構えた状態では、富士見の教育は始められませんから、「自己肯定感」を持って、自分に自信を持って富士見の生活に臨んでほしい!そんな思いで始めたんですよ。
クラス名の人文字「竹」
言葉を交わさず作った人文字クラス名の「竹」
ブラインドウォーク
ブラインドウォークに取り組んでいる生徒 
校内オリエンテーション
校内オリエンテーションでの一コマ
■中学2年■
◇職業調べ→「さいころトーク!」
   自我がどんどん目覚めるこの時期。
自分を取り巻く様々な物事に目を向けさせたい
もの。でも、単に「なりたい職業を調べてごらん」と言っても、興味を持って視野を広げながら進めるのは、まだまだ難しいこと。遠い将来のことより、音楽やおしゃれが気になります
  そこで、班に分かれて双六の要領でサイコロを振り、富士見オリジナルのシートの出た目にある質問に答えます。
「好きなタレントは?」「好きなTVは?」・・・
身近な質問から、サイコロを振る度に「なりたい職業」に近づけていき、最終的には職業について話し合います。

◇卒業式を終えた高3生からのアドバイス
3月上旬、自分たちの4年後の姿である卒業式を終えたばかりの高3生が数名ずつに分かれて、中2生の各教室を訪れます。受験を終えて、大学生になる直前の先輩達が中学生の今頃〜高校時代を通じて、どんなことを考えていたかしておいたら良かったと反省していること受験勉強のコツや感想などを語ってくれます。
「先生よりも”刺激”的!?」

担任との面談
などでなりたい職業や将来のこと・受験のこと等を話すのもいいですが、級友や身近な先輩の口から話を聞きながら、自分の参考にしたり、様々な考え方・見方があることを知ってほしいんですよね。
あの人はこんな風に考えている、あの人はあんなに具体的な職業の夢がある・・・と。
身近な人の本音や実際の体験談を話してもらった方が、ずっと生徒には効果的です。
生徒は、他者(級友)からの刺激で、また成長してくれます。中3〜高1の中だるみを防止する意識付けの意図もあります
■中学3年■
◇大学生(卒業生)のシンポジウム
文理選択の参考にするため、事前に生徒たちから集めた質問をまとめて、卒業後数年の大学2〜3年生に話を聞きます。中2の3月に話を聞いた高3生と同様に、数年後の自分の姿を思い描きながら話が聞けるので説得力のあるものになっています。


◇保護者による講演会
その学年の生徒の保護者の父親に講演をしてもらいます。社会の厳しさ責任の重さなどを、同級生のお父さん=自分のお父さんに投影させながら聞くことができるので、こちらでも身近な話として生徒が吸収してくれることを狙っています。これまで温めてきたであろう将来への夢、憧れの職業などが、反面、華やかでもなければ楽しいばかりでもなく、責任や義務が伴う労働であることも意識させることも狙いです。

◇卒業自由研究の発表
5月から授業の中で準備を始め、中学卒業前の2月に本格的な芸術鑑賞会などにも使われる講堂(収容数554名)で、保護者も招いて最終発表会を行います。個々の生徒が、1学期中に決めたテーマを、夏休みの課題の1つとして調査・研究を始めます。
講堂で耳を傾ける生徒たち
「プロより(身近な)シロウト?!」

どちらも、講演やパネラーのプロではなくて、自分が投影できる身近な存在からの刺激であることが大事だと思っています。
様々な人からの刺激を受けて生徒が自分の向かう方向をだんだん定めて、モチベーションを高めてくれるのが狙いです。
最終発表会 2学期に12〜3名のグループに分かれて一人ひとりが研究の途中経過を発表し(中間発表会)、更に研究内容を磨いて・・・2月の最終発表会に備えます。まさに大学などの"卒論"同様、生徒一人ひとりがテーマを自由に決めて、研究論文的に仕上げます
保護者も招いた最終発表は、各クラスの優秀者12名により行われますが、その前に学年の生徒たちだけで行う「"プレ"最終発表会」も行われます。その発表者12名は、ナントくじ引きで決定!全員が講堂の演壇に上がり発表する可能性があるので、みんな気を抜けません。全員にヤル気を継続させるミソがここにもあるようです・・・。
長期間にわたる個人研究だけに、ともすると「学ぶ楽しさ」が感じられず興味や関心、情熱が続かなくなることも心配・・・。先生たちは、どんな仕掛けを用意して、生徒のモチベーションを維持・向上させ、生徒に「学ぶ楽しさ」を伝えているのでしょう?その秘訣を垣間見るべく、10月27日に行われた中間発表会を取材してきました!
 「卒業自由研究中間発表会」レポートはこちら
■高校1年■
◇社会人(卒業生)のシンポジウム
社会人5年目くらいの卒業生に話を聞きます。中3で行う大学生のシンポジウムの社会人版です。高校を卒業し、大学も卒業して社会に出て数年経ち、厳しさも楽しさも経験している年代の先輩たちからの話は「近い将来の自分はどうなっているの・・・?」と迫りつつある「志望校の選択」と「その先にある社会人生活」を想起させるのに非常に効果を発揮します。
「自分もなれる!」「ああなりたい!」と思える身近な人からの刺激が、勉学へのモチベーションUP部活動や委員会活動などへのモチベーションUPにつながることを期待しています。
社会人のパネラー
◇大学の模擬授業
大学の模擬授業 そろそろ志望する学部・学科を絞り込む時期。実際の大学生活を想起させる為、実際に大学で教鞭をとる大学教員を講師に迎えて、大学生を相手にするのと全く同じ授業を行ってもらいます。生徒たちは、チンプンカンプンな場面が多いでしょうが、自分の目指す大学や学部での勉強を具体的に想定してもらえる機会と捉えています。更に自分で調べるなどの行為を促進し、志望校に合格したい!という思いを強くしてもらいながら、勉学へのモチベーションが向上することを狙っています。
■高校2年■
◇大学2年生からのアドバイス(2学期)
いよいよ受験準備体制に入る高2のこの時期には、大学生活が一通り分かってきて、冷静に受験生時代も振り返ることのできる学年になった大学2年生に、話を聞きます。受験勉強の教科毎のコツ生活リズムなど具体的な準備を思い浮かべて、気持ちを高めるのが狙いです。
◇卒業式を終えた高3生からのアドバイス
中3に上がる時にも同じように高3生からの話を聞いていますが、3年経過し、いよいよ自分が受験生になる時期に、「高校生」も「受験生」も「卒業」したばかりの先輩から、新鮮な記憶の中から受験期間中の具体的な話を聞きます。いよいよ、自分の番なんだ!という意識付けと、身近な先輩からの温かいエールを受けてモチベーションを向上させることを意図しています。
取材を終えて・・・
ざっと伺っただけでも、上記のようにたくさんの進路指導に関するイベント=進路指導上の「他者からの刺激」がありました。中1のオリエンテーションから高校生・卒業生になっても、自己分析はもちろんのことですが、コミュニケーション力を培いながら「他者からの刺激」による自己肯定や自己理解、他者理解などを続け、目的意識やそれに向かったモチベーション向上・維持を、お互いが働きかけ続けている学校だと感じました。他にも、2万人のデータを解析して作られた適性検査(自分の志向に合致した職業や学問のポイントを提示してくれる)で自分を客観的に分析する機会など、たくさんの「気付き」の仕掛けが用意されていました。

ある進学冊子の調査で富士見中学校は、富士見を含めた進学実績上位の学校群の他校(超有名校・人気の難関校が大多数)に比べ、中学受験時の偏差値が10ポイント(他校が65ならば富士見は55)程度低く記載されていました。偏差値は、どの時点のどんな受験者層かによって大きく異なりますが、仮に入口(入学時)の偏差値が10ポイント低いとしても、出口である大学進学をさせる時には、富士見は有名難関校や人気校と同等以上の実績を出しているということになります。

今回ご紹介した富士見中学校(高等学校)における進路指導のプログラムは、ほとんど全てが先生方が切磋琢磨して考えたオリジナルのプログラムだといいます。学校の歴史と経験豊富な教職員に囲まれて、富士見生は様々な刺激を通じて多くの「自ら考える機会」を得、新たな気付きとともに前に進む時、おのずから憧れの志望校・進路への道が拓けている・・・これが富士見の「進路指導」が目指す姿なのだと感じました。
■富士見中学校についてもっと知りたい方は・・・
11月17日(土) 予約制説明会、23日(金)予約不要説明会 などがあります。
12月以降の日程等、詳しくは富士見中学校ホームページをご覧下さい。  http://www.fujimi.ac.jp/