中学受験スタディが特別取材した私立中学の特徴ある教育
~生徒会のこと~
Aさん 私は生徒会長を務めています。生徒会ではまず、私たちの高校の今年のテーマを決めました。それは挨拶推進、マナー向上、震災復興支援の三つです。これについて全校生徒に働きかけていきます。毎週土曜の執行委員会では、啓発の仕方を考えたり、学校行事などさまざまな議題について話し合ったりしています。議題によっては中高合同で執行委員会を開きます。
たとえばバスマナーについて。渋谷駅や恵比寿駅から多くの生徒がバスを利用するので、生徒会では朝と放課後にバス停に立ち、女学館の生徒たちに注意を呼びかけます。
Tさん 私は生活委員長を務めています。生徒会の一員として、中・高校生をまとめていかなくてはなりません。先生がいなくても自分たちで風紀のことを考え、守っていけるようにすることが私の仕事です。

~授業・勉強のこと~
Tさん 私は国際コースに入っていますが、このクラスは自分の意欲次第で先生が応えてくれます。どの授業も楽しく、勉強したいという気持ちになります。英語の授業は英語のみで行われるけれど、私はわからないことがあればどんどん質問します。休み時間もネイティブの先生に質問したりして、交流します。そうすると先生はプラスアルファのことを教えて下さいます。
英語の授業はとくに楽しいですよ。いろいろな国の帰国子女が集まっているから、その国の話を聞くのは楽しい。私は小学校4年から6年まで香港で過ごしました。
Aさん 私は一般クラスですが、英語を学ぶ量は国際コースのほうが多いですね。私は英語がうまくなりたいので、国際コースの友だちとも積極的に話をするようにしています。クラブや行事などは一般コースも国際コースもいっしょなので、みんな友だちです。
Aさん 女学館は提出物が厳しいですよ。
Tさん そうなんです。先生がきっちり目を通し、細かくチェックされます。小テストもあります。
Aさん 中学のときは提出物として訂正ノートがあります。間違ったところを正しく直して提出します。これも先生の赤が細かく入って、再提出。そうやって何度も提出し直しさせられる(笑)。
Tさん だから提出日はもう大変(笑)。みんな「できた? 出した?」ってお互い注意しながらやります。
Aさん 高校になると自己責任です。高校一年の学年目標は「自立」、二年は「視野を拡げよう」、三年は「人格の陶冶」です。習慣づいているから、自分でやっています。
教室の黒板の上に、学校の目標の「品性を高め真剣に学べ」と学年目標の「視野を拡げよう」が貼ってあるので、いつも目に入ります。
~将来の夢~
Aさん 自分が今生活しているなかで関心があるのは日本や世界のこと。国際社会になりつつあるので、日本も海外と対等につきあわなくてはいけません。これが日本の課題ではないでしょうか。いろいろなニュースを見ると、日本の将来が心配になるんです。私は剣道と日本舞踊をやっているのですが、これらは日本の文化としてすばらしいものです。
でも、日本らしさというものが、かえって世界の中で浮いているのでは? と思ったりします。私は今は子どもで、何もできないけれど、大人になったら日本を守りたい。国のことを考えたり、提案したりする人になりたいと思います。
Tさん 私は演劇部の部長も務めていますが、この活動から自分は人前に出るのが好きなのだと思うようになりました。実は以前は人前で話すのは苦手だった。でも中学のときに演劇部に入ってから、苦手ではなくなりました。
それと英語も好きです。だから将来は国際的に活動し、海外のことを日本に伝えたりする仕事がしたい。たとえばジャーナリストやアナウンサー……。
Aさん 大学の進路は文系志望ですが、数学や理科も好きなので、英語とともにがんばっていきたい。国語は読書量を増やしたいですね。新聞の社説などもよく読むようにして、時事の勉強もしています。
それと視野を広げることを心がけています。生徒会でも自分の考えにこだわらず、まわりの人たちのことを見なくてはと思っています。そしてみんなが納得できる言葉で自分の意見を伝え、説得したり、問いかけたり。またみんなの意見に耳を傾けるようにしています。
Tさん 私も新聞はよく読んでいます。教室にいろいろな本といっしょに新聞も置いてあるんです。国語もがんばらなくてはいけません。だから小説を読むようにしています。最近では推理小説が好き。いつも洋書ばかり読んでいるので、日本語の本も読まなくては(笑)。
それと将来の目標に向けて、私は様々な年齢の人と会話をするよう心がけています。最近では学校の近所にあるオマーン大使館を訪ね、大使と話をしました。将来社会人になっても、いろんな国に行ってたくさんのことを学びたいです。
東京女学館では創立110周年を迎えた年、21世紀の女子教育をめざして、女学館としてどういう生徒を育成するか、改めて考え、教育改革に取り組みました。1998年のことです。
その結果、私たちが見出した答えは、女学館が守ってきた品性を高める教育をしっかりとした理念に高め、それに基づいて21世紀にふさわしい女子教育を行うということ。
そして私たちが育てたい生徒とは、自立し、品性と思いやりを備え社会に働きかけることのできる人。対立を解決し、ともに支えあうことのできる人。これを別の言葉で表せば、インクルーシブ(包括的)リーダーシップを備えた女性です。
このような生徒を育てるために、私たちは学校の活動を生徒に委ねることにしました。学校行事や進路学習など学校生活すべてにおいて自分たちが何をしたいか、そのためにどうしたらいいかを考える。生徒会やさまざまな実行委員会が中心となり、運営していきます。
クラブ活動も生徒会の承認を経て好きなものをつくることができますが、そのための課題は自分たちで解決しなければなりません。サッカー研究同好会などがこれまで申請されましたが、練習スペースの問題などがあった。すると隣の東京女学館小学校と交渉し、運動場を貸してもらうなど、生徒が自分たちで必要な準備をし、実現させました。
進路指導も改革し、進路を考える当事者である生徒が主体となって行われています。たとえば、中学2年生は自分史を書きます。中学3年生は生徒による進路委員会が中心となり、「15歳のハローワーク」というテーマでキャリアガイダンスを行います。委員会では生徒にアンケートを行って希望の多い職業を調査し、東京恵比寿ロータリークラブの協力を得て該当する職業人を講師に招いています。
高校1年生は5月に箱根へ研修旅行に行きます。ここでは3分間スピーチとしてみんなの前で自分の夢を語ります。生徒と年齢の近い20代のOGも招いて、自分の仕事について話をしてもらいます。こうした活動も実行委員会が教師とともに進めます。そして中・高とも、それぞれの委員会がまとめの冊子をつくり、記録を残します。
女学館にはいろんな委員会や係があります。校内ビオトープを運営する委員会、オープンスクールなどのとき学校案内を担当するインタープリター……。どの生徒も活躍できる、みんなの居場所のある学校です。
教科においても、生徒の力を引き出し、積極的に評価します。美術や音楽もみんな大事です。校内には美術の授業で描いた絵がたくさん展示されています。絵の好きな生徒はがんばりますよ。
楽器の得意な生徒もいます。定期試験の最終日には実行委員会が講堂でミニコンサートを開きます。ピアノやクラリネット、ヴァイオリンなど生徒による演奏会です。音楽家として活躍しているOGもやって来て、すばらしい演奏を披露してくれます。
このように生徒一人ひとりが自分の力を発揮し、互いに認め合う。友だちが努力する姿を見て、自分もがんばろうと思う。すべて自分たちで取り組み、責任も自分たちでとる。そのためにいろいろな苦労を味わい、ときには泣きながらやっている。そしてやり遂げたとき、生徒の表情が変わり、誇りを持っていることがわかります。
こうした活動のなかで自立や思いやり、支えあう心、働きかける力が養われる。女学館のめざす生徒、インクルーシブリーダーシップを身につけた女性が育つと考えます。そして社会へと羽ばたき、困難に負けずいろいろな課題を男性とともに解決してくれると信じています。