中学受験スタディが特別取材した私立中学の特徴ある教育
創立百余年の歴史を誇る和洋学園。創設以来、「明朗和順」をモットーとして女子教育に力を注いできました。「和洋」の由来は「和魂洋才」。
日本の伝統文化を大切にしながらも、海外の優れたものを積極的に取り入れる精神が校名に表されています。
この建学の精神のもと、和洋国府台女子中学校では礼法や邦楽、日本の伝統行事を学ぶとともに、国際教育にも積極的に取り組んでいます。
その柱となるものが英語教育。
和洋国府台女子中学校ならではのユニークな学習活動を展開し、生徒たちも熱心に学んでいます。
今回は、同中学校が力を入れる国際教育「国際交流プログラム」のなかの“ハイレベル英語研修”を取材しました。
ハイレベル英語研修は、中学3年生(希望者)を対象に、夏休み中の5日間実施されます。
対象者は将来英語を要する職業に就きたいと考える生徒です。今年の参加生徒は10名。
毎日5時間、ネイティブの先生によって英語のみで実践的な授業が行われます。
取材したのはハイレベル英語研修2日目の2時間目。まず、2〜3人のグループごとに制作した紙芝居の発表から始まりました。
紙芝居づくりは昨日の授業で取り組んだもの。自分たちの好きな欧米の映画俳優やスポーツ選手を取り上げ、紙芝居にしたてて彼らを紹介します。
みんなが取り上げた人物は、ジェニファー・ロペス、デビット・ベッカム、トム・クルーズ、ダニエル・ラドクリフ。それぞれ出身地や趣味・特技などプロフィールを、紙芝居を掲げながら紹介します。
1グループ5分程度。英文のボリュームは決して小さくはありません。
昨日の授業でネイティブの先生にサポートしてもらいながら、どのグループもしっかりとしたライティングができていました。
また発音のほうも、なかには帰国子女かと思えるほどの生徒も。あとで確認したところ、帰国子女は1人もいないということでした。
紙芝居のプレゼン終了後、先生が講評します。「みんな上手でしたね」とほめたあと、「SmileとBig Voiceが大事!」と元気よく注意。
「お腹から声を出しましょう」と、先生自らSmile&Big Voiceで生徒に呼びかけます。
研修2日目の今日、生徒たちはまだちょっぴり緊張気味? でも発表内容の充実ぶりから、生徒たちの真面目さや意欲が伝わってきます。
授業の後半では、ゲームを交えながら「L」と「R」の発音を集中的に練習。
先生は日本語の「らりるれろ」と比較しながら、「L」と「R」の違いについて、くり返し発音しながらわかりやすく説明します。
説明はもちろん英語のみ。でも先生が舌の動きを見せたり、ジェスチャーを交えたりしてくれるので、中学生もしっかりと意味が理解できます。
さてペアになってゲームをしながら、「L」と「R」の発音練習に取り組みます。片方が発音し、片方がそれを聞き分ける。
日本人にはもっともニガテな「L」と「R」。生徒もなかなか苦戦しているもよう。
時間を十分にとって正しい発音と聞き取る力の両方を訓練しました。
授業の終わりに、先生が午後の授業について予告します。
「自分たちが紙芝居で取り上げた人物に“なりきった”つもりで、私の夢・私の子ども時代・私の家族・・・など自由にイメージしてスピーチしましょう」
英語を“話す”だけでなく、話の中身について自分の想像力や感性を動員させながら考えるという練習も、ハイレベル英語研修に含まれていることがわかりました。
実践的学習とスパイラル学習で英語力を養成
本校の英語教育は、実践的に学ぶことを方針としています。中学ではまず基礎・基本の学習に力を入れます。
毎週ネイティブ教員による英会話の授業がありますが、中学1年生はフォニックスを取り入れスペルと音の結びつきから実践的にしっかりと学んでいきます。中学2年生からは習熟度別の授業となります。
国際交流プログラムもスタートから10年を超え、これまでの佐倉英語研修(1〜3年生の希望者)、ブリティッシュヒルズ(英国村)研修(2〜3年生の希望者)、英国文化交流研修(3年生の希望者・イギリスにて研修)に加えて、さらに3年生対象のハイレベル英語研修を昨年より開始しました。
この研修では、ネイティブ教員から集中して学び、英語によるプレゼンテーション力をつけることを大きなねらいとしています。
昨年の第1回のハイレベル英語研修を受けた生徒には好評で「楽しかった」という感想が寄せられています。生徒たちははじめはおずおずしますが、もともと英語の得意な生徒の集まりだから、ネイティブの先生の働きかけにより少しずつ慣れ、心を開いて楽しみながら学ぶことができます。1日5時間の授業プラス宿題も出て、けっこうハードですよ。
本校では基礎・基本の習得と実践力養成に加え、スパイラル学習と呼ばれる反復学習も取り入れて難関大学合格のための力を養っています。
たとえば定期試験ではそれまで学んだことのすべてが範囲となります。
中学3年生ならば1〜2年生で学んだことも試験範囲。テスト問題中の約3割は、こうした広い範囲から出題されます。スパイラル学習によって、より確実に実力を身につけることができます。
1〜3年生共通の「和洋暗記英文集」も本校独自のテキストです。これは会話式の暗記文集で、3年間で学ぶ文法がすべて入っています。
自分たちの学校生活を紹介する例文などを学年ごとに少しずつ暗誦し、書けるようにしていきます。その成果は、3年生のイギリス研修でおおいに生かされていますよ。
生徒たちはみんな英語が好きです。これからも和洋ならではの実践的で楽しい英語学習を開発していく予定です。
国際交流プログラムで生きた英語を学ぶ
国際交流プログラムは生徒や家庭に好評で、本校の教育活動としてすっかり定着しています。
学校説明会では、このプログラムのなかで1年生も参加できる佐倉英語研修に関心が集まりますね。
佐倉英語研修は佐倉の宿泊施設でクリスマスの時期に3泊4日を過ごします。その中身もとてもユニークなんですよ。
オーストラリアにある本校の姉妹校からネイティブ教員を招くのですが、先生だけでなく夫婦で来てもらっているのです。
たとえば妻が先生で、夫は普通の会社員だったり。3カップル計6人に講師を務めてもらい、彼らと寝食を共にするアットホームな研修となっています。
なぜこういうしくみにするかというと、彼らはみんな英語しか話せないし、しかもオーストラリアの雰囲気そのものを持ち込んでくれるからなのです。
これは日本に滞在しているネイティブ教員とはまた違ったよさがあるのですね。
生徒は現地の空気に触れながら英語を学ぶことができます。まるで自分が外国に行って、現地の一般人と話すような緊張感や交流の楽しみを体験するのです。
2〜3年生希望者対象のブリティッシュヒルズ(英国村)研修も今年で11回目を迎えました。本校はブリティッシュヒルズが団体受け入れを開始した当初から利用しており、毎年100名を越える生徒が研修に参加しています。
今はブリティッシュヒルズを利用する学校が増え、夏休み中100名単位の団体受け入れは不可能となるなか、古くから利用している本校は大人数での研修が確保できています。
英国文化交流研修ではイギリスの小学校訪問、日本語を学ぶ大学生との交流など、楽しく有意義な研修となっています。これからも国際交流プログラムを発展させていきたいですね。