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とういんがくえんちゅうとうきょういくがっこう

桐蔭学園中等教育学校 

スクール特集(桐蔭学園中等教育学校の特色のある教育 #3)

共学化から半年 見えてきた成果と次のステップへの期待

共学化後、初めての2学期を迎えた桐蔭学園中等教育学校。アクティブラーニング型授業や様々な行事を通して主体性を育み、「学校づくり」を楽しんでいる生徒たちを取材した。

2019年度から、共学の進学校としてスタートした桐蔭学園中等教育学校。同校の教育改革はまだ序章の段階であるが、教員と生徒、そして保護者が「みんなで学校をつくる」という気持ちで取り組む中で、すでに様々な成果が見られている。これまでの成果については橋本雄介先生(教務次長・学年主任)に、学校生活については1年生の生徒2人と担任の賀永麻美先生(数学科)に話を聞いた。

共学化によるアクティブラーニング型授業の変化

同校では、「見える学力」(知識・技能)の下にある「見えにくい学力」(思考力・判断力・表現力)、さらにその下に隠れている「見えない学力」(学びに向かう力・人間性等=自己肯定感・感性)をバランスよく育てることを目指し、教育改革を進めている。「自ら考え判断し行動できる子どもたち」の育成という教育理念の実現に向けて、不可欠だったのが共学化だ。

「今年度入学した女子は全体の3割程度ですがとても存在感があり、男女半々に見えるほどです。4人で行うグループワークでは、女子1人、男子3人になることもあるので入学前は少し心配しましたが、そのような心配もいりませんでした。グループ内での女子はお姉さんのような存在で、男子のよさを引き出してくれています」(橋本先生)

同校の教育の特徴であるアクティブラーニング型(以下AL型)授業でも、よい影響が出てきている。例えば、男子はワークのタイプによっては気持ちを上手く乗せることができないこともあったが、女子が加わったことで、どのタイプのワークにも安定して粘り強く取り組めるようになったという。

「男子では思いつかない視点が女子にはあり、多様な意見が出やすくなりました。私が担当している国語の授業でも、様々な要素を盛り込んだ長い文章で発表する女子に対し、結論を端的に発表する男子との間で、意見交換が活発に行われています。そのような意見交換により、言葉に対する感覚も自然と高まってきました。AL型授業では自分の考えをアウトプットすることが重要なので、言葉に対する感覚が上がるほど深い学びにつながります。今後はますます、深い学びにつなげていけると思います」(橋本先生)

▶︎教務次長・学年主任 橋本雄介先生

学びのツール「ふり返りシート」へ生徒からの提案

同校の重要な学びのツールが「ふり返りシート」だ。授業ごとに学んだことをふり返り、帰りのホームルームではその日全体をふり返る。授業で使うシートは、国語では方眼紙を使って授業内容を図でまとめ直すなど、教科ごとに工夫。帰りのホームルームではその日の授業内容を10~20字でそれぞれまとめ、それをもとに放課後の学習計画を立てる「活動計画シート」を記入する。

「先日、ある生徒から『活動計画シートのフォーマットを変えてみませんか?』という提案がありました。以前の活動計画には1週間の目標を書く欄がなかったのですが、『目標を作り、その目標に対してどれくらい近づけたかを書くような欄を作れば、僕たちの士気はもっと上がると思います』という提言でした。生徒たちが与えられたものを絶対視するのではなく、自分たちの工夫でより良いものを作っていこうとしていることがとても嬉しかったです」(橋本先生)

一生涯使える力を身につける「未来への扉」(探究)

1年次から5年次に週1回行う「未来への扉」(探究)の授業では、情報の集め方や資料の作り方といった基礎的なスキルから、様々な角度からの分析、問題解決の方法など、一生涯使える力を身につける。

「1年次は、こらから使っていく基礎的なスキルを身に着けます。狩猟社会、農耕社会、工業社会、情報社会に続く未来の社会“Society 5.0”に向けて、狩猟社会から追体験をしながら未来の社会について考えていきます。1学期には、狩猟社会である紀元前2019年にタイムスリップをしたという設定で、どうやって1年間を生き延びるかをテーマに、調べ学習やフィールドワークを行いました。この授業では、『なぜこのような勉強をしているか』を生徒自身が言えることが大切です。今と昔を行ったり来たりして、何を勉強しているか考えながらスキルを学んでいきます。社会が複雑化していく中で、この先の社会ではどんな人間関係が求められているかを考え、生徒たちはAIにはできない人間同士の感情的なつながりに着目し、感性や信頼が必要だと気づくことができました」(橋本先生)

日常生活の中で行う「キャリア教育」

同校では、日常生活や行事を通して「傾聴」と「承認」を実践。「傾聴」と「承認」をベースに個々の個性を引き出す力を底上げしていくことが、同校の「キャリア教育」の大きな特徴である。

「傾聴と承認の大切さは、入学前から伝えています。傾聴と承認ができてこそ、個々のよさを引き出し合うこともできます。社会に出て働くときにも、個々の持ち味が出せて活かせる環境でなければ、組織として機能不全になってしまうでしょう。自分のよさを引き出してもらったり、引き出してあげられたりという経験が、生徒たちを加速度的に成長させると考えています。文化祭などの行事を通して、生徒たちはさらに成長していくと思います」(橋本先生)

1年生2人と担任の賀永麻美先生(数学科)にインタビュー

写真左より
賀永麻美先生
Uさん 中1
Iくん 中1 

――この学校を選んだ理由は?

Iくん 受験校についてホームページなどで調べていくうちに、AL型授業がいいなと思いました。僕は、覚えた知識を引き出すより、自分で考えて行動するほうが好きなので、テーマを考えて自分で発表する形の授業に魅力を感じました。体育館や運動場、たくさんの棟があるなど、設備が整っているところも気に入っています。友達ができるか少し心配だったので、学年の人数が多い方が自分と気が合う人を見つけやすいとも思いました。

Uさん 家からバス1本で行けることと、2人の兄が通っていて楽しそうだったので私も通いたいと思いました。兄たちの関係で2度、ニュージーランドからの留学生を家で受け入れたことがあり、海外との関わりも盛んだと知りました。英語が話せたら楽しそうなので、中学生になったら英語に力を入れて勉強したいと思ったのも志望理由の1つです。

――共学化1年目ということで、女子が少ないことに不安はありましたか?

Uさん 女子が少ないと友達ができるか少し心配でしたが、入学してみたらクラスは男女みんな仲がいいから大丈夫でした。

賀永先生 うちのクラスは女子が強いです(笑)。女子10人、男子29人ですが、授業の中でも人数や性別の差は感じません。

Iくん 男子が女子の勢いに負けています(笑)。

――これまで受けた中で、好きな授業や面白かった授業を教えてください。

Iくん 「未来への扉」です。校内の森に入って、木や木の実を探して、それをどのように活用するか、どうしたら活用できるのか自分で調べてスライドにして発表しました。活用できるかどうかを自分で判断して、自分で調べて発表するので楽しかったです。もともと発表はあまり好きではなかったのですが、自分で調べたことは発表したいと思えるようになりました。校外でのフィールドワークは、グループのみんなで協力して、珍しい植物を発見できました。

Uさん 私は、賀永先生の「道徳」の授業がこれからに活かせることが学べていいなと思います。自分の短所を長所に言い換えたり、いじめについて考えたりしました。

賀永先生 いじめについては、いろいろな角度から見ていこうと考えて、いじめる側、いじめられる側など、テキストにあるストーリーの登場人物になりきる体験をしました。長所と短所もいろいろな見方ができるので、自分の短所をカードに書いて、それをシャッフルして別の生徒に渡して、裏に長所に言い換えたらどうなるかを書いてもらいました。例えば、「のんびりしている」という短所なら、「自分のペースが守れる」という長所になります。

――数学の授業はどうですか?

Iくん 新しい記号などもたくさん出てくるので覚えられるか不安でしたが、1つの問題ができたらその発展問題へと進むので、好奇心ややる気が出ます。宿題で自分の弱点がわかるので、定期テスト前にやると見直しがしっかりとできます。

Uさん 私は数学が苦手で、家では復習もあまりしませんが、授業の始めに前回の復習の小テストをしてくれます。小テストが復習になるのでわかりやすいですし、わからなかったら放課後、先生に質問できます。

賀永先生 代数も幾何も、授業の最初に必ず前回の内容の小テストを行います。1年生の数学は、クラス全員での座学が基本です。内容によってはペアワークも取り入れますが、力をつけるためにはどんなワークがベストか考えて取り入れています。1年生の数学では、「ふり返りシート」も使っていません。代数では、シートの代わりに小テストの一番上にできたところ、できなかったところ書きます。幾何では、問題を解くときに、どのように解いたらその答えになるのかの記述を入れるプリントを使うなど、学年と授業内容に合わせて工夫しています。

――休み時間や放課後はどのように過ごしていますか?

Iくん 休み時間は、授業のペアワークで考えを言い合った続きをすることもあります。部活はハンドボール部で、週3回の活動です。ハンドボールは、体育でやって興味を持ち、その後部活紹介を見て、ほかの学校ではあまり経験できないのでいいなと思って入部しました。宿題はそれほど多くなく、部活に参加していてもできる量です。

Uさん 休み時間には、ポツンと1人でいる子はいないほど、みんなおしゃべりで盛り上がっています。女子は女子、男子は男子ではなく、男女混ざっておしゃべりをしています。
部活は兄が2人ともハンドボール部だったので、私もハンドボール部です。男女混合で練習しています。先輩たちは楽しく教えてくれてますし、顧問の先生自らお手本を示して一緒にプレーしてくれるので楽しいです。

――ペアワークやグループワークについては、どのように考えていますか?

賀永先生 生徒たちには、39人全員と仲が良かったら素晴らしいけれど、人には好みや相性もあるので、お互いを人として尊重できるかが大切だと伝えています。好きかどうかと、学問的に意見交換することは別のことです。もし仲が良くない人と組んでも、グループワークは人として活動しましょう、と言っています。

Iくん グループワークではいろいろな発見もあるので、仲がいい悪いに関係なく、相手の意見が聞きたいという気持ちが大きいです。2人に意見を聞いたら、もう1人の意見も聞きたくなります。

Uさん いろいろな人の意見を聞くことは大切だと思います。自分の意見が正しいと思っていても、他の人の意見から、こんな考えもあるのだと気づくことができます。

――学園祭(鸞鳳祭)に向けてどのような準備をしていますか?

Iくん 僕のグループは、プラ板のストラップ作り体験をやります。プラスチックの板に絵や文字を書いてオーブントースターで熱すると縮んでストラップにできるので、材料を用意して生徒や来校者に体験してもらいます。グループのチーフが中心になって、みんなで協力して準備しているので、皆さんに楽しんでもらえるように成功させたいです。 

Uさん 小学4年生から学園祭に来ていましたが、毎年とても楽しかったです。生徒たちが笑顔でいろいろな教室をまわって、「楽しかったね!」という声が聞こえてきます。去年は4年生のカジノが面白かったです。今年は開催する側として、楽しい学園祭にしたいと思って実行委員になりました。クラスでは、装飾の担当です。

――将来の夢を教えてください。

Iくん 地理の授業は、与えられた情報をもとに自分で予想したり、数学や国語と関連させた問題が出るなど、とても楽しいです。自分もそんな授業ができる先生になりたいと思ったこともあり、先生が横浜国大出身なので、まずは国立大学を目指して、勉強を頑張ろうと思っています。

Uさん 将来は世界と関わる仕事をしたいので、英語の勉強を頑張っています。日本人だけでなく、海外の人とコミュニケーションしたいので、留学もしてみたいです。「グローバルラウンジ」*にも、カナダデイなどのイベントがあるときに参加しています。英語でコミュニケーションをすると、お菓子がもらえます(笑)。まだ全部は理解できませんが、知っている単語を聞き取り、言いたいことも少しずつ言えるようになりました。
*放課後に英語を使ってネイティブの先生や友人たちとコミュニケーションを取ることができるラウンジ。

Iくん 「グローバルラウンジ」では、ポップコーンを食べながら映画を鑑賞する日もあります。僕も部活のない日に参加しています。英検にチャレンジしたいと思っているので、面接で英語を話す練習や、映画を見ながら単語を予想したりしています。

――この学校のいいなと思うところを教えてください。

Uさん 教科ごとの先生それぞれに個性があって、授業が楽しいです。友達もすぐにできます。「1分間スピーチ」で自分のことを話す機会があるので、スピーチをきっかけにあまり話したことがなかった人からも話しかけてもらえました。私は入ってよかったと思っているので、皆さんも楽しく過ごせると思います。

Iくん 「1分間スピーチ」では、クラス全員と先生から「コメントシート」をもらえます。部活の目標などを話すと、アドバイスをもらえたりして、落ち込んだりしたときはシートを読み返すと励みになります。友達も作りやすく、誰かは教室で声をかけてくれるので心配はいりません。入りたい部が決まってなくても運動部はたくさん種類があるので、見学すればきっとやりたいことが見つけられて、楽しい学校生活が送れると思います! 勉強に自信がなくても、しっかりと基礎をかためていけば大丈夫です。受験勉強で、朝からしっかり勉強したいときには、朝食でフルーツなどからブドウ糖を摂ると頭の働きがよくなります。僕も1年間やっていました。受験生の皆さんも、ぜひやってみてください!

<取材を終えて>
「キャリア教育」というと、職業と関連したプログラムというイメージだったが、同校では「傾聴」と「承認」をベースにしている。仕事をする上でも非常に大切なことだが、一朝一夕では身につかないものである。インタビューした2人からは、その大切さを理解していることが伝わってきた。それが、グループワークでのチームワークのよさにもつながっているのだろう。取材中のちょっとしたやりとりからも、生徒同士や生徒と先生方がよい関係を築けていると感じられた。撮影中は他の生徒たちも興味津々で、「何をしているんだろう?」「僕たちも写りたい!」などと、楽しそうに話をしている様子が印象的だった。

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