スクール特集
星野学園中学校の理数選抜クラス
星野学園中学校の理数選抜クラスでは、東京大学、京都大学、国立大医学部など最難関国公立大学に現役合格することをめざしています。
また、理数のみの力を養成するのではなく、文系の進路にも対応した指導を行っています。
理数選抜クラス開始から今年で5年。1期生は高校2年生になりました。
今回、理数選抜クラスのねらいやその特徴について話をうかがい、あわせて学園の特色となっている教育環境や生徒の成長のようすを取材しました。
星野学園中学校 教頭 松田 友宏先生のお話
理数選抜クラスのねらい
生徒に明確な目標をもたせ、大学受験まで意識を持続させたい。理数選抜クラスの大きなねらいはそこにあります。
本校の生徒たちは勤勉で、難関大に進むだけの力も十分備えています。そうした生徒たちの希望をかなえることが学校の使命。
我々教員は彼らの目的意識や気力をしっかりと支え、育てていきたい。
そのために理数選抜クラスという一つの枠組みをつくり、同じ志をもつ仲間とともに切磋琢磨させ、意欲を持続させる。
それがねらいであり、中学の段階から進路を理系のみに絞っているのではありません。文系にも対応して指導します。文系を受験するにしても、理数の力をしっかりと養っておく必要がある。
理数選抜クラスの生徒たちの意識は実際とても高く、真摯に学業に取り組んでいます。
学習指導の特徴
理数選抜クラスのカリキュラムは進学クラスと共通で、より広く深く学習し、論理的思考力や活用力を養うことが特徴です。中学段階で高校の範囲も学びます。
たとえば数学では、中2で中学の範囲をほぼ終わらせます。といっても授業はそれほど早いスピードではありません。公立の数学は週4時間、本校は6時間。土曜日も授業を行います。
中3の数学はすぐに高校の範囲に入るのではなく、新学期始まって1カ月半は中学の総復習をして中間テストに臨む。こうやってじっくり学ぶやり方によって、理数選抜クラスの生徒の実力は年々伸びています。
現在、理数選抜クラス1期生(高2)、2期生(高1)ともに、模試の偏差値は中学3年間だけでも平均6~7は伸びています。
この背景には、やはり動機づけがしっかりできていることが考えられます。
理数選抜クラスとして目標がハッキリしており、それに向けて実践的に指導する。たとえば中3では、土曜講座として大学入試センター試験問題演習や、高校の教員が担当する小論文講座などを設置します。高1の夏期講習へも参加できます。
こうした環境のなか、生徒たちは難しい問題でもあきらめない粘り強さが身についています。
授業の特徴とクラス編成
理科などは理数選抜クラス用のサブテキストを使用し、発展的学習として高校の範囲も扱う。
生徒の興味・関心に応えていくことが大事で、実験も中学の枠にとらわれず高度なテーマを扱います。国語も独自問題集を使用します。
国立難関大の2次試験を意識し、中学1年から記述対策に力を入れる。宿題も中学は多いですよ。
高校は自分でやるのが基本。その基礎をつくるために中学では各教科から宿題を出します。理数選抜クラスでは分割授業はしません。同じレベルの生徒の集まりだから、それをさらに分割する必要はない。
3年間固定クラスではなく、成績や進路希望に応じて毎年編成を見直しますが、理数選抜クラスの生徒たちはよくがんばっています。
進学クラスでは習熟度別授業を行い、成績によって理数選抜クラスへ移ることができます。
高校の理数選抜クラスについて
高校1年生は全クラス共通カリキュラムで高校卒業に必要な単位の多くを修得し、高2から進路志望に応じたコースに分かれます。
理数選抜クラスは高1で週2回の7時限目授業を実施、英語・数学・理科は夏期集中講義でさらに強化するなどして学習進度を早め、応用力を養います。
理数選抜クラスは高2で「S類コース」に進みますが、コース内は文系コース・理系コースの2クラス編成となります。
高校から入学した生徒も、成績上位者はS類コースに入ります。高入生は別に7時限目に補講を行うので、進度に影響はありません。
新しい仲間が合流することで、中学から理数選抜クラスで進んできた生徒にはかえっていい刺激なりますね。文・理系各クラス30名強の編成です。
授業の進度も早く、互いに競争しながら学んでいます。
中・高教員の連携
本校では中高の教員が連携して教育に当たっています。職員会議、教科会すべて中高いっしょに行い、情報を共有する。この体制のもと、中学と高校の教員が双方を行き来して教えます。
高校の先生が中学の授業も持ち、その逆もある。それによって、生徒の状態に合わせながら先を見通して教えることができます。このシステムが可能なのは、学園の校舎が小学校から高校まで一体化しているからこそです。
学習状況だけでなく行事などのスケジュールや生徒の様子を全教員が常に報告し、共有する。学習効果を上げるうえではこうしたことがとても重要。
まさに中高一貫校の強みと、校舎一体化の利点を生かしたシステムといえます。
校風・生徒の気質
本校の生徒はみんな真面目です。生徒全員部活参加が学園の方針。理数選抜クラスの生徒も勉強と部活を両立させてがんばっています。
行事も多く、特に中学では充実しています。合唱祭なども中学生はみんなで取り組みます。練習の仕方やスケジュールなどすべて自分たちで決める。
部活や行事でいろいろなしんどさを乗り越え、粘り強さや集中力を養う。これが学ぶ力のバックボーンとなる。
中学・高校時代は目標を持ち、新しい自分を発見すること。これが自立の過程として必要です。その意味で、中3から大学情報を与えていくし、OBの大学生を招き、中学生に向けて大学の授業や中高時代の勉強法などについて語ってもらう。高校では大学の出張講義も行う。
いろいろな機会を通して新たな自分を発見してほしいと思います。
最新鋭の施設が充実
最後に、本校の施設について紹介しましょう。
耐震構造の校舎に最新の設備を整えた理想の教育環境と自負しています。
美しい大ホールは1500席あります。
本式の舞台装置・音響が整ったホールで、ピアノ、ヴァイオリン、声楽などのソロ演奏、オーケストラ、オペラ、ミュージカル、バレエなど一流のプロを招いての芸術鑑賞を行っています。
もちろん学校の式典や部活の発表など日常的に使用しています。
学園でスタンウエイ・ピアノを所蔵しており、プロのピアニストがコンサートで使用、生徒も合唱コンクールなどで使います。
このホールで生徒たちはコンサートのマナーも自然に身につけますよ。
グラウンドは第一総合グラウンドと第二総合グラウンドの二つ。また全天候型グラウンドとして星野ドームを設置し、授業や部活で使用します。
ドームの中は風通しもよく、快適に運動ができます。このほか弓道場も設置しています。
体育館は3つで、トレーニングマシンや器械体操の施設が整い、バレーボールコート、バスケットボールコート、剣道場、卓球場を設置。屋内温水プールは床上下可動式です。
礼法室、マルチメディア教室、CALL教室、校舎屋上の天体望遠鏡、自習の場として学習室など、総合的な学びの場が整っています。
ロッククライミング広場も本校ならではの施設。
クライミングウォールが3面の本格的な施設で、小学生から高校生まで遊びながら体力をつけることができます。
防災・安全対策として、校内避難所、自家発電設備、備蓄倉庫を設置しています。
教育とは、人間力や学力、体力、すべてを伸ばすということ。
本校は施設も充実し環境も良好。校舎は住宅街にあり、落ち着いています。
気持ちが外に逸れることなく勉強に部活に、仲間とともに切磋琢磨できる最高の環境が整っています。
生徒にとって、学校生活が自分の生活の中心になることが大事です。本校はそれをかなえる教育環境を生徒一人ひとりに提供します。
S類コース(理数選抜)高校2年 横手宥則君・村上瑞雪さん
~クラスのいいところ~
横手 ぼくは理系コースです。このクラスのいいところは、なんといってもまわりの友だちのレベルが高いこと。
学年の共通テストの平均点は、ほかのクラスより10点~20点くらい高い。ぼくたち理系選抜クラス1期生は、中学のときからがんばってきました。みんなよく勉強しますよ。
高2になって、高校から入学した友だちが合流しましたが、彼らもがんばっていて、いい競争相手です。友だちどうしでわからないところを相談したり、教え合ったりします。
村上 私は文系コースです。うちのクラスも、朝登校するとみんな座って勉強しています。私は8時くらいに登校するけれど、早い人は7時半くらいに来て勉強している。それを見て私もやらなきゃって焦ります。
授業もみんな真剣に受け、積極的に質問する雰囲気があります。休み時間も先生に質問に行く人が多いですね。理系選抜クラスのメンバーは中学からほぼ変わらないです。
~部活と勉強と~
村上 私は去年までは弓道部だったのだけど、高2から数学研究部に移動しました。弓道部の練習に疲れ、勉強に手が回らなくなってしまったんです。それで担任の先生に相談し、数学研究部でしっかり数学を学ぶことにしました。これで部活と勉強、ともに生かせると思います。
家ではお米を炊いたり洗濯したり、お母さんの手伝いもします。
夕食後に勉強するけれど、学校の自習室のほうが集中できますね。家だとテレビとか誘惑が多いので(笑)。
横手 ぼくは中学からずっとサッカー部です。中学時代は部活がキツかったけど、高校はさらにツライ! 中学なんかラクじゃね!?って(笑)。
毎日練習だし、日曜も試合とか練習とかで月のうち半分は部活。キツイっす。
それでも続けてるのは、受験も大事だけど部活で得られるものが大きいから。
友だち関係も深められます。サッカーは集団スポーツ。友だちに迷惑かけてはいけない、チームのためにがんばろうとみんな思っている。
負けん気や根性がつくし、緊張感もある。もちろん体力もつく。
これらはすべて受験にも必要だと思います。それと部活によって、社会に出てからも役立つ力がつくと思う。
~勉強スケジュール・得意教科~
村上 英語の予習は朝や休み時間にやります。放課後は自習室で2時間くらい勉強。家では数学など時間のかかるものをじっくりやります。
横手 ぼくはやるときに集中して勉強。帰宅は8時半ごろ。それからご飯と風呂。そのあと勉強。それと電車内や休み時間など隙間時間を有効活用します。
でもネムイ!(笑) 誘惑に負けて寝る(笑)。でもテスト前の部活休止期間は「やってやる!」とがんばる。この期間は勉強一筋です。
得意教科は理科。数学もけっこう得意です。
でも模試ではナゼか国語がいちばんできるんですね(笑)。河合模試の国語の偏差値が70で、数学や理科を上回っている。これは中学から培った勉強がモノを言っていると思います。
村上 私の得意科目は英語。4歳~7歳くらいまで、父の仕事の関係でミシガン州で暮らしました。中学のころはアメリカで買ってきた小学生向けの本などを読んで勉強しました。
中学から高1までネイティブの先生の授業もあり、会話もできます。河合模試の自己ベスト偏差値は90.7です。
~希望進路・将来の夢~
横手 ぼくはいま、千葉大の薬学部や工学部を考えているところです。薬剤師は手堅い職業だと思うし、一方でものづくりにも興味がある。千葉大には大学調べをしたとき関心を持つようになりました。中学のとき千葉大へ進んだOBの話を聞いたのもきっかけになった。千葉大の薬学部はトップクラスで、入るのは難しいけれど、目標は高く持ちたいと。
部活も続けます。先輩も部活を続けながら大学へ進学したし、サッカー部には国公立大医学部を目指す同期の友だちもいて、彼は英語の偏差値80取っている。自分も辞められません。
村上 私は先生に東大を勧められています。英語のほかに歴史も好き。がんばって東大をめざしたい。
将来の職業は具体的には考えていないけれど、語学を生かして働きたいです。国連とか、通訳などの仕事したいなと……。それと留学したい。中学のときハーバード大に行きたいと思っていました。いまは大学に進学したら留学しようと強く心に思っています。