【連載|人を数学する】第1回 人間の感覚を数学する ウェバー・フェヒナーの法則

私たちの感覚は鈍感

私たちは外からの刺激に対して鈍感に感じます。これを定式化したのが、対数を用いたウェーバー・フェヒナーの法則です。

辛み成分の量を倍々にしていっても、カレーの辛さの感じ方は倍々に感じないことからも感覚の鈍感さは分かります。さらに、音の大きさの単位デシベルの成り立ちからも感覚の鈍感さが分かります。

私たちの聴覚で捉えることができる最小の音の大きさを1とした場合、聴くことが可能な最大の音のそれは100万となります。カレーの辛み成分の量と味覚の場合と同じように、100万倍大きく感じることはありません。

最小音1を0デシベル、最大音100万を60デシベルというように圧縮して表す指標がデシベルです。

エルンスト・ウェーバーとグスタフ・フェヒナーのおかげで、私たちの感覚の仕組みが定量化できることが初めて示されました。感覚の本質が圧縮であることを対数によって明らかにしてみせたことに驚かされます。いい加減に思われてきた私たちの感覚は、実は本当の意味で“良い加減”であったということです。

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執筆者プロフィール

桜井 進(さくらい すすむ)

1968年山形県東根市生まれ。サイエンスナビゲーターⓇ。株式会社sakurAi Science Factory 代表取締役CEO。東京理科大学大学院非常講師。東京工業大学理学部数学科卒。同大学大学院院社会理工学研究科博士課程中退。小学生からお年寄りまで、誰でも楽しめて体験できる数学エンターテイメントは日本全国で反響を呼び、テレビ・新聞・雑誌など多くのメディアに出演。著書に『雪月花の数学』『感動する!数学』『わくわく数の世界の大冒険』『面白くて眠れなくなる数学』など50冊以上。
サイエンスナビゲーターは株式会社sakurAi Science Factoryの登録商標です。
桜井進WebSite

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