【連載|人を数学する】第2回 マルサスの人口モデル 微分方程式入門

マルサスのモデル

人口問題は実社会の最重要問題です。マルサスが「人口論」(1798年)の中で展開した人口の未来変化を予測するためのモデルはざっくり次のように説明されます。

他のエリアとの人口移動がないあるエリア(国)を考えます。その国の中では常に誰かが生まれ、誰かが死んでいます。したがって、出生数と死者数の差引が人口の増加分です。

出生数と死亡者の勢い(微分)は何に関係しているでしょうか。
これがモデルを考えるということです。人口を決定する要因は数多くありすべてを考慮することは不可能です。そこで、最も大きな要因として1つだけピックアップしてみることから始めます。

それは、その時の人口です。
人口が大きければ、沢山生まれ、沢山死にます。出生数と死亡者、それぞれの増加分すなわち微分(勢い)が大きくなると考えます。正確に、出生数と死亡者の微分は人口に比例するとします。

ある国の時刻tにおける総人口をN(t)とします。
ある時刻における人口の微分(いきおい)dN/dtは、人口Nに比例する。
これがマルサスが考えたモデル(微分方程式)です。

マルサス・モデル dN/dt=kN (kは比例定数) …①

一人一人の人間は離散的(数えられるということ)な存在ですが、人口が十分に大きい場合、その変動を連続的とみなすことができます。人口を連続量すなわち実数値とすることで、人口を連続量の時間で微分・積分することができるようになります。結果、人口の未来予測(シミュレーション)が可能になります。

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