【連載|人を数学する】第3回 恋愛を数学する

恋愛のモデリング 恋レベルRとJ

男女2人の恋愛をモデリングを考えてみましょう。刻々変化する「好き具合のレベル」は何によって決まるでしょうか。

ここでは「好き具合のレベル」を簡単に「恋のレベル」「恋レベル」とします。ストロガッツの論文では恋レベルがR、Jと名付けられています。それぞれRomeoとJulietの頭文字です。

次がストロガッツが考えた恋愛のモデルです。微分方程式が2本あります。恋の連立微分方程式です。この方程式を解くことで、恋の成り行きが分かるというのです。

恋レベルであるRとJは時刻tで決まる量です。それがR(t)、J(t)ということです。R(t)は時刻tにおけるRomeoのJulietに対する恋のレベルです。J(t)は時刻tにおけるJulietのRomeoに対する恋のレベルです。

恋レベルR(t)、J(t)は刻々変化する量です。そこで微分(勢い)を考えることができます。RomeoがJulietのことをどんどん好きになっていく時は恋レベルR(t)の勢い(微分)が正だということです。JulietがRomeoのことをどんどん嫌いになっていく時は恋レベルJ(t)の勢い(微分)が負だということです。

恋の微分方程式

R(t)、J(t)の微分がそれぞれdR(t)/dt、dJ(t)/dtです。この恋レベルの微分(勢い)が何によって決まるのかを考えてみます。本当の恋の方程式は真に難しい問題です。ですからモデル──できるだけシンプルな仕組みを考えます。

恋の炎をたきつけるのは、自分自身の想いと相手からの想いであると考えられます。相手に会えない時に、相手のことを想い続けているとどんどん好き(嫌い)になっていくものです。

そして、相手からラブレターやメールでメッセージを受け取ることで相手をどんどん好き(嫌い)になるでしょう。

したがって、Romeoの恋レベルの微分(勢い)dR(t)/dtは、自分Romeoの相手に対する恋レベルR(t)と相手の自分に対する恋レベルJ(t)の和となります。ここで、dR(t)/dtへの影響の仕方でR(t)、J(t)に係数をかけておきます。同様に、Julietの恋レベルの微分(勢い)dJ(t)/dtは、自分Julietの相手に対する恋レベルJ(t)と相手の自分に対する恋レベルR(t)の和となります。

こうして、Romeo、Julietそれぞれの恋の微分方程式を立てることができます。

▶︎次のページ「恋の連立微分方程式を解く」
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