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第1回 算数・数学は??だらけ

算数・数学は??があるから面白い!

新連載「算数・数学は??があるから面白い!」の第1回です。
まずは、この連載で取り上げるテーマをみていただきましょう。

なぜ0で割ってはいけないの?
直線に幅がないってどういうこと?
分数の割り算はどうして分子・分母をひっくり返すの?
数学って何でこんなに勉強するの
どうしてカメラの絞りの値は5.6のような中途半端なの?
√の計算が役立つのはどんなところ?
数学は発明と発見、どちらなの?
音階ドレミには何かルールがあるの?
音の大きさdB(デシベル)とはどんな単位なの?
円周率πの値はどうやって求めるの?
7の倍数判定法はありますか?
速算術とはどのようなものなのでしょうか?
女性の数学者はいますか?
クラスに同じ誕生日の人がいました。これって珍しいことなのでしょうか?
コンピューターの仕組みと数学は関係しているのでしょうか?
素数ゼミはどうして素数がつくのですか?
黄金比とは何ですか?
関数電卓は何に使うのですか?

いかがでしょうか。中にはみなさんも疑問に思ったものもあるのではないでしょうか。これら算数・数学の??は、教科書の中にあるもの、身近なところにあるもの、他の学問に関係しているもの、と様々です。

人間は見るもの考えられるものすべてに対して「どうして?」「なぜ?」という疑問を抱きます。そしてその疑問を解き明かそうとします。これこそが人間の特徴であり特権です。
算数・数学は問題が解けた時のスッキリ感・達成感は格別です。頭脳をフル回転して疑問に立ち向かうことに算数・数学の醍醐味があります。テストで100点をとるためのトレーニングとは一味違う算数・数学の面白さを味わってみましょう。

算数・数学は??から発展する!

これらの??に共通しているのは、謎解きが教科書の中では取り上げられないということです。「割り算」「直線」「分数」「√」の計算の仕方(アルゴリズム)のトレーニングにほとんどの時間が使われるのが学校の算数・数学だからです。

教科書に書かれてある算数・数学は、アルゴリズムのトレーニングから始まったものではありません。数や形の世界に見つかる疑問から誕生したのが数学という学問です。円は簡単に描くことができますが、直径と円周の長さの比、すなわち円周率πの謎解きは四千年前から始まり現在進行形です。

素数もそうです。約数を持たない自然数を考えてみると、そこには次から次へと??が発見されました。2500年の謎解きの歴史です。有名なリーマン予想と呼ばれる未解決問題は、素数には出現規則があるのか?という疑問から発見されました。

円周率πや素数の謎解きは、まさに数学の発展の歴史と言っていいものです。一度??が解き明かされると、それが新しい理論となり新たな数学の世界が開拓されます。それと同時に新たな??も発見されます。

まさに算数・数学にとって??こそが発展の原動力です。学校の算数・数学でも問題集やテストの問題が解けないのが悔しいと思う気持ちが算数・数学の学習の原動力になります。プロの数学の世界も同じです。分からないから分かりたいと思う強い意志があるから数学は数千年前から現在まで続いてきました。

素朴な??こそ難しい!

円周率πや素数がそうですが、もっと基本的な「数とは何か」「直線とは何か」といった最も基本的な??が実は最も深い??です。物理学の「物とは何か」「空間とは何か」といった??と同じです。

ちなみに最先端の理論物理学の世界では、素粒子の仕組みの謎解きが行われています。そこに使われるが数学です。円周率πはもちろん、素数の謎解きで得られた理論も総動員されて時空の根源についての謎解きが行われています。

素朴な??こそが難しく、ゆえに面白いということです。

算数・数学の??は試験には役立ちません!

「なぜ0で割ってはいけないの?」のような問題は試験には出題されません。謎解きができたところで試験には役立ちません。

しかし、算数・数学に興味・関心を持ってもらうことには役立つでしょう。前の連載「AI時代を生き抜く新しい数学力」第9回 世界の難しさを知る力 数学の“ムズカシサ”から“難しさ”へで語ったように、数学の本当の難しさを知ることが学びの原動力となり、持続的な学びにつながります。

算数・数学の面白さとは「考えることの面白さ」です。驚くべきことに二千年以上も昔に考えられた??の謎解きが現在進行形です。数学の真理には時空を超える絶対性があります。二千年前に証明された理論は今でも何の遜色もなく使うことができます。

先人たちの到達点はそれに続く人たちの出発地点になるのが数学という学問です。素朴な??を通してそのような数学の世界を垣間見ることができます。

自分なりの算数・数学の??を発見してみよう!

数学にとって??が重要であるということは、??を解き明かした人よりも??という問題を発見した人の方に大きな価値があるといえます。フェルマーの最終予想は350年以上世界中の数学者のみならずアマチュアの人々も巻き込む一大謎解きでした。その意味でこの問題を考えたフェルマーという数学者が凄かったということです。

世界中の数学者を何世紀にも渡り考えさせることができる??を発見できたらそれこそ世紀の大発見となります。算数・数学の世界を深く深く考え抜くことで、誰も気づかなかった??にたどり着きます。

小学校の算数教科書には実に多くの??が隠れています。手始めにみなさんが昔に使った教科書の中に算数の??を発見してみてはいかかでしょう。

算数・数学の??をサイエンスナビゲーターⓇの切り口で語り、解き明かしていきます。皆さんもご一緒に謎解きに参加してみてください。

執筆者プロフィール

桜井 進(さくらい すすむ)

1968年山形県東根市生まれ。サイエンスナビゲーターⓇ。株式会社sakurAi Science Factory 代表取締役CEO。東京理科大学大学院非常講師。東京工業大学理学部数学科卒。同大学大学院院社会理工学研究科博士課程中退。小学生からお年寄りまで、誰でも楽しめて体験できる数学エンターテイメントは日本全国で反響を呼び、テレビ・新聞・雑誌など多くのメディアに出演。著書に『雪月花の数学』『感動する!数学』『わくわく数の世界の大冒険』『面白くて眠れなくなる数学』など50冊以上。
サイエンスナビゲーターは株式会社sakurAi Science Factoryの登録商標です。
桜井進WebSite

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