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なぜ中学受験をするのか?14 帰国生の入試内容や学校選び、受験対策を徹底解説

受験のチャンスが広がる帰国生入試

経済のグローバル化に伴い、海外で働く日本人が多くなり、帰国生の数も増加しています。コロナ禍前の2018年には、約6万人の小学生が海外に在留していました(文部科学省の統計要覧「海外在留児童・生徒数・在外教育施設数」より)。そうしたなか、帰国生だけを対象に入試を実施する中学校が増えています。試験の内容は様々で、英語だけで受験できる学校や、最近は、海外とオンラインでつないで入試を行う学校もあります。国内の一般生とは別枠で、進学を受け入れてくれる学校があるというのは、帰国生にとって貴重なチャンスです。ここでは、入試内容や学校選び、受験対策について、帰国生入試の事情に詳しい文化学園大学杉並中学校高等学校の西田真志先生の協力を得て解説します。

帰国生入試を実施する学校が増加

2023年度、首都圏の中学校の帰国生入試を受験した児童は約6,500人。うち合格者数は約3,500人です(いずれも延べ人数)。10年前に比べると、受験者数、合格者数とも2倍近く増えています。しかし、受験者数と共に、帰国生を受け入れている学校も増えているので、実質倍率は横ばいになっています(「日能研グローバルサービス 海外・帰国子女のための中学進学情報」をもとに集計)。

同年、都内の中学校は、帰国生入試を延べ152回行い、その回数も年々増えています。10月から入試が始まり、特に11月、12月に実施する学校が多く、12月末までに124回実施しています。1回当たりの受験者数は1~230人と、かなりばらつきがあり、合格率も学校によって大きく変わります(数値は、令和5年度東京都私学部公表)。

英語教育やグローバル教育に力を入れる学校は年々増え、海外で様々な経験を積んできた帰国生を、学校は積極的に受け入れる傾向にあります。それにより、帰国生入試を複数回実施したり、試験科目を多様化したり、帰国生にとって中学受験をする機会が広がっています。

また、帰国生入試は早い時期に行われるため、一般入試と掛け持ちをすることができます。東京都や神奈川県の一般入試の解禁日は2月1日なので、12月までに帰国生入試の合格を確保して、別の学校の一般入試を受ける児童もいます。最近は、一般入試の科目にも英語を取り入れた「英語入試」を実施する学校が増え、帰国生にとってもチャンスになっています。

ただし、2024年度より、国内での帰国生入試は、11月後半以降に実施することが定まっています。それでも、帰国生が一般生より早く受験ができるアドバンテージは変わらず、帰国生入試の人気は続く見込みです。

学校ごとに異なる帰国生入試の科目

帰国生入試の科目は、各中学校によって異なり、主に次の4つのパターンがあります。

1.英語(Essayを含む)(+作文)
主に現地校、インターナショナルスクールへ通っている児童が対象になりますが、英検準1級の取得者でも合格できない難関校もあります。

2.英語と国語と算数
出題のレベルが各学校で異なり、英語も長文読解・文法などが中心の筆記試験、Essayや英会話など、出題形式が様々です。科目の配点の比重も学校ごとに異なり、3科目の中から高得点の2科目で合否判定をする学校もあります。また、英語の点数を英検の取得級に応じて換算する学校もあります。

3.英語と国語または英語と算数
出題のレベルや科目の配点の比重、英語の出題形式は、学校ごとに異なります。英語の点数を英検の取得級に応じて換算する学校もあります。

4.国語と算数(+作文)
基本問題から一般入試に近い問題まで、学校によって出題のレベルが大きく異なります。主に日本人学校に通っている児童が対象になります。

その他、一般入試と同一内容の入試(国・算・理・社の4科)で、帰国生を別枠・別基準で選考する学校もあります。

また、コロナ禍になり、オンライン入試も行われるようになりました。試験は1対1の面接、作文の提出、英語インタビュー、自己PR動画の制作など、学校が欲しい生徒像に合わせて、さまざまなテーマで設定しています。特に6年生で帰国する児童にとって、海外で受験できるメリットは大きく、コロナ後もオンライン入試は続く見通しです。

試験科目の選び方は、帰国する学年によっても変わってきます。4年生で帰国する場合、その時点で英検2級、準1級を取得し、帰国後は一般入試も視野に入れて、国算または4科の勉強をする児童が一定数います。6年生で帰国する場合、特に現地校やインターナショナルスクールに通っていた受験生は、日本のカリキュラムの習得が大変であるため、英語力を活かして英語1科や、英語の比重が高い学校を選択するケースがよく見られます。

志望校選びは学校の情報収集から

志望校を決めるには、まず学校の情報を収集することが先決です。インターネットやパンフレットでも情報は得られますが、親子で学校説明会や行事に参加して、実際の様子を見聞きしたり、雰囲気を肌で感じ取ることが、もっとも大切です。帰国生対象の説明会がない場合も、ほとんどの学校が個別相談を受け付けています。6年間、子どもが通う学校なので、校風や教育方針は熟慮する必要があるでしょう。

また、コロナ禍でオンライン説明会が普及したので、特に海外に滞在している保護者にとって、情報が集めやすくなりました。学校によっては、オンラインの個別相談も行っています。まずはオンライン説明会で情報を集め、興味を持ったら、一時帰国のタイミングで学校を見学する。できれば5~6月頃に一時帰国し、個別見学を受け付けている学校があれば、その時に見学をするとよいでしょう。帰国生対象のイベントや合同相談会などは7月後半に開催されますが、その頃は学校の授業が行われていないからです。帰国生にとって、特に英語の授業の様子は押さえておきたいものです。

取り出し授業をはじめ、英語力を伸ばす教育が行われているかどうかも、学校選びの重要なポイントです。習熟度別の英語の授業や、放課後等にハイレベルな特別授業を実施している学校、一般クラスとは別に、英語やグローバル教育を強化した国際学級を設置している学校もあります。取り出し授業も、時間数や受けている生徒数など、規模感についても聞いておくことをおすすめします。

さらに、帰国生に対するキャッチアップが充実しているかどうかも、調べておきたい項目です。国語や理科、社会などの教科学習が遅れている生徒を対象に、補習を行っている学校もあります。併せて、メンタル面のフォローも確認しておくとよいでしょう。

保護者にとって、高校卒業後の進路も気になるところです。学校によっては、帰国生の進学実績を説明会や個別相談などで開示しているところがあり、確認をすることができます。近年は、海外大学志向が高まり、学校も積極的にサポートをして、進学実績を伸ばしているところもあります。

また、学校もグローバル化が進み、国際バカロレア(IB)認定校や、ケンブリッジ国際認定校、ダブルディプロマ(日本と海外の高校卒業資格を同時に取得)、ラウンドスクエア(世界50カ国180校以上のメンバー校を有する国際規模の私立学校連盟)など、学校ごとにグローバル教育の特色を打ち出しています。海外大学の進学にもつながり、情報を集めておくとよいでしょう。

帰国生に期待する学校が増加

受験対策としては、入試の形態が多様化しているので、英語のレベルをどこまで見てくれるのか、英語以外に何を課すのか、出題のレベルはどうなのか、保護者は情報を集めて、自分の子どもに合った学校を選択し、スケジュール管理をしてあげます。特に6年生で帰国をする場合は、5年生で一度、学校見学をして、子どもと意見を擦り合わせ、ある程度、スケジュールを決めます。6年の時点で、もう一度帰国して、更新している情報を確認するとよいでしょう。

また、オンライン入試は、国内入試よりも早い時期に設定している場合が多いので、海外で先に受験をして合格を確保するというのも1つの方法です。

入試の対策は、過去問や出題傾向を開示したり、教えてくれる学校もあるので、問い合わせてみるとよいでしょう。

帰国生入試を設定している学校のほとんどは、帰国生の受け入れを優遇しています。その背景には、帰国生のもつ英語力や国際感覚、積極性、独自性、自立の精神などを評価し、期待をしているからです。そして、帰国生が中高一貫校に進学して、力を伸ばし活躍できる環境は、確実に整ってきています。学校の情報を収集し、受験の対策を立てて、チャレンジする価値は大いにあるといえます。

(2024年度入試用 )
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