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【連載:数学と言葉】第1回 数の言葉使いその1「可能性は高い」それとも「可能性は大きい」

ルール(基準):数値(数)は大きい・小さい、は絶対なのか

いいえそうではありません。その例をみてみましょう。〇はよく使われる、×は使われないことを表すとします。

〇「体重は重い・軽い」 ×「体重は大きい・小さい」
体重は数値ですが体重は大きい・小さいは私でも使いません。体重という数値が大きいことを重いと表現しますが、重いという言葉が重さとセットの言葉だからです。セットの言葉があるのに、大きい・小さいという言葉を使うことに違和感が生じます。

〇「身長は高い・低い」 ×「身長は大きい・小さい」
体重と同じです。高いの高は高さの高です。体重や身長に大きい・小さいを使うとヘンなのは、大きい・小さいがサイズ・規模を表す指標に使われる言葉だからです。大きい人は、サイズが大きい人のことです。重い人、高い人、大きい人、を区別して使います

〇「数は多い・少ない」 ×「数は大きい・小さい」
この場合の数は物の個数や人数のことです。算数教科書の数は大きい・小さいだけれども、個数を表す数では大きい・小さいはNGです。数という言葉の意味の違い(文脈で判断)ということになります。

「数は大きい・小さい」→ 算数・数学の数のこと
「数は多い・少ない」→ 数は個数のこと

〇「人口は多い・少ない」 〇「人口は大きい・小さい」
人口は大人口・小人口とも使われるので「可能性」に比べると大きい・小さいは使われます。なぜでしょうか。大きい・小さいがサイズ・規模を表す指標に使われるからだと思われます。人口からイメージするのは町や都市・国といった地図上でイメージされるエリアです。エリア(面積)は大きい・小さいとぴったりあいます。

人口も可能性も数値(数)ではありますが、人口には大きいが合って、可能性は大きいは合いません。言葉が持つ複数の言葉のイメージがどの言葉とセットにするかを判断する条件になっています。

ルール(基準):大小は量感、高低は質感

〇「点数は高い・低い」 ×「点数は大きい・小さい」
数は高い・低いとは使わないといいましたが、点数は高い・低い(高得点・低得点)と使い、大きい・小さいと使うことはありません。点数はダイレクトに数にもかかわらずです。

大きい・小さいと高い・低いの使い分けの基準を考えてみると浮かび上がるのが量と質です。

高品質・高性能という使い方が示すように高には質(クオリティ)をピッタリします。A君のB高校の合格可能性、といった場合、可能性はA君の質(クオリティ)の指標という意味合いの方が、可能性の数値性よりも大きくなります。これが、可能性が高い、という使い方の基準なのではないでしょうか。

可能性や人口といった言葉を量感と質感で比べた場合にどちらが大きいと感じるかでその後に続く言葉を選んでいるということです。もちろん、可能性の場合には可能性が数値だと考えている人は極めて僅かです。多くの人は可能性を質感と捉えているので「高い・低い」を一択として使っていると思われます。

可能性は高い(可能性:質>量)
人口は大きい(人口:質<量)
点数は高い(点数:質>量)

点数の使い方は特に興味深いです。点数は明らかに量であるにも関わらず、質を表すことに重きを置いているということです。量(数値化できるもの)に対して質とは数値化できないという意味を持ちます。したがって、点数は高い・高得点という言葉使いには、大きな点数をとったその人を高く評価するという意味があると考えられます。数値化(点数)して、人物の質を評価する場合には高を使うということです。

▶︎次のページは「「可能性はある」という言葉使い」
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