開成高校2年生の新連載【息子が自ら勉強するようになるプロジェクト】スタート! 第1回 「うちの息子が家でゲームしかしない」理由

開成高校の2年生で、学校で教えないことを高校生が中学生に教える塾、寺子屋ISHIZUEの代表の藤原遥人さんによる新連載が今日からスタートします。藤原さんのプロフィールはこちら。題して、中学生の息子に宿題をさせるプロジェクト。なかなか自分から勉強に向かってくれない子どもに悩む保護者は少なくないことでしょう。そんな子どもの実態を間近に見ている藤原さんだからこそアドバイスできることを6回にわたって教えていただきます。さっそく、第1回をお楽しみください(編集部より)。

中学生の生徒さんを相手に塾経営して分かったことは、中学生男子の親の悩みは「うちの子家に帰ってきてゲームしかしないんです」がナンバーワンだったということです。
家に帰ったら部屋に閉じこもってイヤホンをつけて即ゲーム開始、ご飯を食べる時にしか顔を出さず部屋と学校の往復の生活を送っている息子を見たら、少しは自分から勉強してみろや!と喝を入れたくなりますよね。塾に入塾する生徒さんの中にもそういったお子さんを沢山見てきました。僕たちから彼らに「ゲームを辞めなさい」とは一言も言ったことはありませんが、彼らは少しずつゲームから身を引くようになっています。

今回は全6回に分けて、「勉強に興味がない中学生に自分から勉強をさせる方法」というテーマで、子供がゲームばかりする理由の分析や彼らが勉強が好きになるきっかけを与える方法、親としてどのような接し方が子供にやる気を与えるかなど、僕の経験を交えてお話しします。日本全国の保護者の方の支えになり、そして勉強の面白さを日本全国の子供達に知ってもらえると嬉しいです。

なぜゲームは「楽しい」のか

何も考えずにプレイできるから

最近の中学生男子の流行りはエイペックス、フォートナイト、第五人格、クラッシュロワイヤル、ウイニングイレブンなど、どれもオンラインの対戦相手を倒すゲームです。世界大会が開催される程大人気なゲームで、高校1年生の時の僕も朝から夜までハマっていました。中学生の間ではプロゲーマーの名前がお笑い芸人の名前のように認知されています。何がここまで彼らを虜にするのか。理由は大きく2つに分けられます。
勉強と違うところは、参考書を開いて、椅子に座って、ペンを握って、問題を読んで、自分の頭の引き出しから公式を思い出して、忘れてたら覚え直して、、、という面倒くささがないところです。スマホワンタッチで画面が開けて大好きなBGMが流れくるのだからこんなの楽しいに決まってます。簡単に操作を覚えられますから、進めば進むほど覚えることの量が増える勉強とより簡単にできます。大人だって仕事から疲れて帰ってきた後、モチベーションをそのままに家でも仕事をしたくはないですよね。Netflixを見てお酒を飲んで、、ゲームをする子供と根本的にはあまり変わりません。人は何も考えずにできるものに惹かれ、無意識のうちに時間を奪われてしまうのです。

同級生に認められるツールだから

中学生社会の中では、みんなが遊んでいるゲームで強かったら人気者になれるし、仲良くなりたい友達と遊ぶ口実が作れて自分の立ち位置を確立できます。スポーツが苦手だとしてもゲームが上手ければイケイケ集団と会話できますが、逆にゲームをやっていなかったら話についていけません。子供達にとってゲームは、社会人にとっての時事ニュースのように、「え、知らないの?」とあしらわれる必要不可欠な存在です。それに加えて公立中学では「勉強してるやつはきもい奴」というレッテルを貼られることも少なくありません。周りに左右されずに自分が必要だと思ったことをできる軸のある子や、ゲームというツールに頼らなくても人間関係を構築できる芯の強い子でない限り、この環境下でゲームをやめるのは難しいです。
ゲームが現れてしまったことで勉強が子供にとっていかに大変なものになってしまったか見ていただくために、比較表を作ってみました。

子供のゲームに反対する親御さんの中には、ゲームをすると勉強ができなくなると思っている方が多いのですが、それは少し間違っています。次の章では僕の学校の例をもとにゲームをしていることがそこまで悪くないということをお話ししようと思います。

開成生の9割はゲーマー

最近テレビで活躍するQuizKnockの伊沢拓司くんの母校でもあり、僕が今通っている開成高校には日本全国から「神童」と崇められてきた男どもが集まってきますが、机にかじり付くようにガリガリペンを削るかと言われたらそんなことはありません。
授業中スマホゲームをしたり、試験直前以外はゲームしかしない人が沢山いるのが実情です。全くゲームに触れない人なんて、400人いる1学年でも1割程度です。
どの生徒もスマホにゲームアプリが3.4個常備されていて、休み時間は友達と通信対戦をしたり、登下校の電車内はもちろん家に帰ってもゲームをします。その結果どんどん目が悪くなり、約2人に1人はメガネ君。余談ですが進学校にメガネが多いのは勉強のしすぎではなく、ゲームをしすぎで近くの画面を見る癖がついた結果近視になった子が多いらしいです。

それではゲームもするけど成績がいい彼らと、ゲームをして成績が悪い子は何が違うのでしょうか。これはまた次回以降の記事で書こうと思います。開成生のゲーマーにもいくつかの階層があるので、まずはそれを分析しながら見ていきましょう。典型的なタイプの友人を想像しながら4つのタイプに分けてみました。

タイプ1 : 本当にゲームしかしない人

受験で燃え尽きたせいで本当にゲームしかしない人もいます。授業中、休み時間、通学時間、家に帰ってからもずっとスマホを眺めているので勉強なんてする暇はなく、テストはいつも赤点ばかりで留年ギリギリの学生生活を送ります。流石に焦るのか、進級がかかった最後の1週間だけ死ぬ気で頑張るので進級はできますが、大学受験ではMARCHにも受からないくらいの学力に落ち込みます。

タイプ2 : ゲームをするために勉強している人

勉強するときはする、聞くべき授業は聞く、と腹を決めているのである程度自制しながらゲームをしたい誘惑と戦っています。ゲームと勉強の比率は7:3くらいですが、赤点は取らない程度の勉強を要領よくこなし、受験前になると切り替えてゲーム時間は抑えます。

タイプ3 : ゲームを交流ツールだと捉えている人

全くゲームに依存していません。勉強が面白いと感じているのでゲームをしたい欲求以上に勉強をしたい欲求が強く、ゲームは友達と遊ぶための単なるツール程度に捉えています。ゲームと勉強の比率は2:8くらいです。受験前になると潔くゲームはやめるか、やるとしても自分で時間制限を決められます。

タイプ4 : 本当にゲームをしない人

成績超優秀でゲームという選択肢が頭にありません。スマホにゲームアプリがひとつも入っていません。成績オール10を取るのが当たり前で、「受験のため」に勉強していません。自分の教養を伸ばすために勉強して、そこまで時間をかけなくても定着できるいわゆる「天才型」の子達です。塾に行かずとも学校の授業をしっかり聞いてトップレベルの成績を取るので先生に気に入られます。このタイプの人は「努力してもなれないよ」「あいつだからできるんだよ」と言われながら育ってきました。そうです、本当になれません。

このように色々なタイプの子がいますが、共通して言えるのはゲームを生活の主軸に置いていない子の方が成績がいいということです。次の章ではゲームをやめられない、生活の主軸に置いてしまう子がなぜそのようになってしまうのかお話しします。

なぜここまでゲームをしてしまうのか

この世界には沢山やることがあるのにどうしてどの家庭の子もゲームに時間を奪われてしまって、なぜやめることができないのでしょうか。考えられる3つの理由を順に解説していきます。

勉強の意味を知らない、納得していないから

中学生になると算数が数学になって四則演算を超えた計算を習ったり、将来使わなそうな古文を習ったりします。すると小学生までは生活に必要なことを学ぶ基礎知識として捉えることができた勉強を、中学生になると必要でもないのに無理矢理やらされているものとして捉えてしまうようになります。真面目に勉強をしても定期テストの次の日にはすっかり忘れてしまい、教科書に載っている内容を聞いて板書を写すだけの学校のスタイルだと勉強の意味を感じられないまま3年間終わってしまうのも納得です。また先生や授業に文句を言う友達が周りに多いと、それに流されて勉強をすることがかっこ悪いことだと言う潜在意識を持ってしまうこともあります。なぜやらなくてはいけないのか分からないけど、やらないと怒られるからとりあえずやっておこうという気持ちで勉強に望んでいるので、やりがいを感じられずに別のものに逃げてしまうのです。

他に打ち込むものがないから

ほとんどの中学生にとって勉強以外のやることと言ったら部活くらいなので、部活から帰ってから寝るまでの時間や部活がないオフの日の時間の使い方が分かりません。また部活の友達との会話もほとんどがゲームの話ですから、その会話を楽しむためにゲームをしなければなりません。ゲームが好きで好きで仕方がなくてやっているというよりは、自分が知っている選択肢の中で今一番打ち込めるものがゲームだから暇つぶしとしてやるようなもので、他のものにチャレンジしようとするマインドとチャンスがない限りずっと一時的な快楽を得るためのゲームに走ってしまいます。

ここまで貯めてきたものを捨てられないから

これまで培ってきたものを一気に捨てることは難しいです。毎日のログインボーナスで貯めてきたコインやアイテムを捨て、友達と盛り上がったトークテーマを明日から一緒に味わえなくなる苦痛を味わうことは一朝一夕にはできません。特に他に打ち込めるものがなくゲームに一番時間を割いている時は、ゲームを遊びのツールの一つではなく自分の人生の大きな割合を占めるものとして捉えてしまうので、時間を費やせば費やすほど辞めるのが困難になります。

まとめ : やりたいことがない中学生が暇を紛らわすためにゲームする

やりたいことが決まっておらず、打ち込むものがない中学生にとってゲームは何も考えずに楽しい時間を過ごせる魔法の道具です。ゲームは決して悪ではありませんが、ゲームを職業にしたいと思っていない限りそこに時間を取られすぎるのは学生の限られた時間を有意義に使っているとは言えませんよね。今回はゲームばかりする中学生の行動原理を深掘りするテーマでお話ししましたが、次回以降の記事では中学生に勉強の面白さに気付かせる方法、勉強の面白さに自分で気付ける子の共通点、そして僕の体験談を通して勉強を頑張ってよかったことなど、解決策にもフォーカスして月1記事の頻度でお話ししようと思います。

著者紹介

藤原 遥人(ふじわら はると)
学校で教えないことを高校生が中学生に教える塾、寺子屋ISHIZUEの代表。現在開成高校2年生。年齢差2.3歳の先生が語りかけ、生徒とともに成長していくことで大人がいくら伝えても届かない「勉強の面白さ」をもっと沢山の日本人中学生に知って欲しいとう思いから2020年冬に創業。最近は「僕たちはなぜ勉強をするのか」というテーマでのイベント登壇など、自身の受験勉強と向き合いながら「中高生にとっての勉強の意義」を追究。趣味はピアノとサッカーとダンス。

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