なぜ中学受験をするのか?⑩公立中高一貫校の併願校選びは本命より重要!?

「中学受験の基礎知識」シリーズでは、「私立と公立の違いは?」「偏差値って何?」など、小学生のお子さんを持つ保護者の皆さんが気になる項目について解説していきます。

前回Vol.9では、「公立中高一貫校の適性検査とは?」をご紹介しました。

前回の記事

「中学受験の基礎知識」シリーズでは、「私立と公立の違いは?」「偏差値って何?」など、小学生のお子さんを持つ保護者の皆さんが気になる項目について解説していきます。 Vol.9では「公立中高一貫校の適性検査とは?」をテーマに、中学受験につ[…]

Vol.10では「公立中高一貫校の併願校選び」をテーマに、中学受験について解説します。

公立中高一貫校に不合格になった場合どうするか?

公立中高一貫校の多くは5倍以上の倍率となっており、専門の塾へ通っても合格できる子の方が少ないのが現実です。ですから不合格になった場合、公立と私立、どちらの中学校へ通うかしっかりと考えておかなければなりません。公立の中学校へ行くと、高校受験をすることになります。受検の対策をする中で、学ぶことの楽しさや達成感を知った子は、高校受験に向けて意欲的に取り組めるかもしれません。しかし、私立の中高一貫校に通えば、6年間、じっくりと大学入試対策ができるというメリットもあります。高校受験というハードルを越えて大学を目指すのか、高校受験のない一貫教育の中で大学を目指すのか、どちらがお子さんに合っているかを考えることが大切です。

大学入試改革により、大学の選抜方法も変ってきました。一般選抜よりも、総合型選抜や学校推薦型選抜が主流になりつつあります。個性や得意分野に合わせて選抜方法を見極めるためにも、キャリア教育などのサポートが手厚い私立で6年間過ごすという選択に、魅力を感じる保護者も増えています。また近年は、高校での生徒募集を停止する学校が増えていることにも注意が必要です。進学校への高校受験は、より狭き門になってきています。

高校受験を避けたいと考えるなら、私立中学校を併願校として受験しておく必要があります。狭き門である公立中高一貫校を受検する際には、そこに劣らないほど気に入った学校を併願校として選んでおくことが大切です。

適性検査型入試を導入する学校が年々増加

公立中高一貫校の併願校を選ぶ際には、受験科目が重要となります。一般的な中学入試の対策と、公立中高一貫校の対策は大きく異なるからです。公立中高一貫校を本命にして、教科ごとの受験勉強を両立させるのは難しいでしょう。そこで注目したいのが、適性検査型入試を実施している私立中学校です。近年、公立中高一貫校の近隣にある私立中学校では、適性検査の出題傾向を研究し、似た問題を出す学校が増えています。首都圏では、適性検査型の入試を行う私立中学校は2014年度には約40校だったのが、年々増加して2021年度には約150校となりました。中学募集をしている私立学校は約300校なので、ほぼ半数になっています。関西圏でも実施している学校はありますが、首都圏ほど力を入れていません。導入したものの取りやめた学校もあるので、最新情報を確認しましょう。

私立中学校の中には、入試の成績優秀者には入学金や授業料が免除される特待生制度を導入している学校があります。そのような制度を利用すれば、私立に通う金銭的な負担を大幅に軽減させることができます。さらに、私立の入試は公立の前に実施されるので、本番前の練習として受けることができるのです。翌日には合格発表があり、公立の受検に向けたアドバイスまでしてくれる学校もあります。そして入学金の納付も、公立中高一貫校の結果が出るまで待ってくれます。ですから、本番に近い雰囲気に慣れておき、合格して自信をつけてから、本番に臨む受検生も多いのです。

適性検査型入試の作問と採点

適性検査型入試の作問や採点は、教科ごとの入試より手間も時間もかかるので、導入は簡単ではありません。答えが1つではない問題は、複数の教員が話し合い、合否を決めるのも難しいです。さらに、試験の翌日が合格発表となっているので、限られた時間で採点し終わらなければなりません。導入が見送られた大学入試の記述式問題と同様に、採点者の力量も問われます。導入してみたものの、数年で取りやめにする学校があるのは、作問や採点の難しさが一因となっているのでしょう。

しかし適性検査型入試は、採点しながら個性を発見できるというメリットもあります。先生方からは、「適性検査型入試の作問や採点は大変だが面白い」という声も聞かれます。作問したときには想像もしていなかった解答が出ることもあり、「こんな答えが出てくるんだ!」と子どもたちの発想に感動することもあるそうです。

適性検査型入試で入学した子は大きく伸びる!?

取材をする中で、教科ごとの学力は突出してなくても、入学してから大きく伸びるのは適性検査型入試で受験した子だという声もよく聞きます。授業や課外活動で活躍するケースも多く、クラスに適性検査型入試で入学した生徒がいると、授業が活性化されるという声も聞かれます。アクティブラーニングなどで議論が活発になり、発表もうまいので周囲の生徒たちにとってもいい刺激になるそうです。

適性検査型入試を実施している学校は、偏差値表ではそれほど高い位置にない場合もあります。しかし、入学してから本人が大きく伸びれば、希望の進路を実現できるのです。特に女子校は、偏差値表ではそれほど高くなくても、指定校推薦枠がたくさんあり、半分以上の生徒が推薦で大学進学が決まっている学校もあるため、保護者の注目度も高いです。英語教育に力を入れて独自プログラムや海外研修などを用意している学校なら、大学受験のアドバンテージになり、社会に出てから使える英語を身につけることにもつながります。

まだ私立中学校との併願を迷っている方も、ぜひ適性検査型入試の説明会などに参加してみましょう。適性検査についてのアドバイスももらえるので、本命の公立中高一貫校を受検する際にも役立ち、私立のよさを知るためにも役立ちます。参加した人だけに向けた特別なお知らせや出題テーマに関連した書籍の紹介など、貴重な話を聞く機会にもなるでしょう。

あわせて読みたい

「中学受験の基礎知識」シリーズでは、「私立と公立の違いは?」「偏差値って何?」など、小学生のお子さんを持つ保護者の皆さんが気になる項目について解説していきます。 Vol.8では「公立中高一貫校とは? ~知っておきたい本来の魅力~」をテ[…]

あわせて読みたい

公立中高一貫校一覧 エリアをクリック 東京 神奈川 千葉 東京(学校名をクリック) 桜修館中等教育学校(おうしゅうかん) 大泉高等学校附属中学校(おおいずみ) 九段中等教育学校(くだん) 小石川[…]

『中学受験スタディ』(首都圏版)では、適性検査型入試を実施している私立中学校を紹介する「おすすめの公立中高一貫併願校特集」を掲載しています。ぜひ、ご覧ください。

スペシャルレポート(注目校を徹底研究レポート!)

スペシャルレポート
スペシャルレポート
スペシャルレポート
中学受験スタディ(首都圏) 中学受験スタディ(関西)
高校受験スタディ(首都圏) 高校受験スタディ(関西)
スタディ公式SNSで最新情報をチェックしよう!