STEAM教育とは 先進私立校が推進する最先端の教育 【教育keyword series1】

STEAMとは

AIが世界を急激に変えていくだろうと言われている昨今、注目されているのがSTEAM(スティーム)教育です。STEAMとは、Science(科学)、Technology(技術)、Engineering(工学)、Art(芸術)、Mathematics(数学)の5つの単語の頭文字を組み合わせた言葉。以前から提唱されていたSTEM教育にArt(芸術)を加えたものです。まずは、そのSTEM教育を見ていきましょう。

米国で提唱されたSTEM教育

米国では、ブッシュ政権時代の2006年に「STEM教育強化10の指針」が打ち出されました。その背景には、以下の懸念があったと言われています。

  1. 将来、国の競争⼒が低下してしまうのではないか
  2. ⾼い技術を必要とする職種に就くことができる人材が不足するのではないか
  3. STEM分野の横断的カリキュラム、またそのようなカリキュラムに対応できる教員が不足するのではないか

幅広い理系分野の知識を持ち、それらを最適に組み合わせることによって、複雑化する現代社会の課題を解決する手段を提供できる。そんな人材を多く生み出すことが、国の将来を大きく左右するのではないかという問題意識がSTEM教育提唱の背景にはあったのです。

STEM教育からSTEAM教育へ

それでは、そのSTEM教育にArt(芸術)を加え、今、STEAM教育の重要性が叫ばれているのはなぜなのでしょうか。STEAM教育では、生徒が批判的に考え、技術や工学を応用し、創造的なアプローチで社会の課題に取り組むように指導されます。この「創造的なアプローチ」を育むのがArt(芸術)教育ということになるのです。「STEM教育は、収束思考に陥りがちだが、それにArts(芸術)を加えることで拡散思考が加わり、創造的な発想が生まれる」という指摘もされています。

鍵を握るArt(芸術)

20世紀までは、世界を分析的に捉える思考やアプローチが、さまざまな進歩や革新をもたらしてきました。しかし、これからは従来とは、まったく異なる新しい思考やアプローチが必要だと言われています。特に重要なのが「ハイ・コンセプト」「ハイ・タッチ」という概念です。

「ハイ・コンセプト」とは、チャンスを見出す能力であり、芸術的で人の感情に訴えるものを生み出す能力であるとされます。また、「ハイ・タッチ」とは、他人と共感する能力、人間関係の機微を敏感にキャッチする能力、日常的な出来事についてもその目的や意義を追求する能力とされています。

20世紀の世界を引っ張ってきたのがいわば左脳的思考であるとするならば「ハイ・コンセプト」「ハイ・タッチ」は、右脳的思考ということができるでしょう。もう、お分かりの通り、そのような能力を育成するには、Art(芸術)教育がとても有効なのです。

日本のSTEAM教育の現状

日本の現状はどうなっているのでしょうか。文部科学省は、2019年に「新学習指導要領の趣旨の実現とSTEAM教育について−『総合的な探究の時間』と『理数探究』を中心に−」というタイトルで、諮問と提言を行っています。

その中で「国は、幅広い分野で新しい価値を提供できる人材を養成することができるよう、初等中等教育段階においては、STEAM教育を推進するため、『総合的な学習の時間』や『総合的な探究の時間』、『理数探究』等における問題発見・解決的な学習活動の充実を図る」としています。

この文面からも分かるように、日本のSTEAM教育は、残念ながらまだまだこれから、というのが現状です。しかし、私立校の中には、STEAM教育の重要性にいち早く着目し、取り組み始めた学校もあります。志望校を選ぶ時には、そんな観点も持っておきたいところです。最後に、事例を一つ紹介しましょう。

STEAM教育の導入事例:芝浦工業大学附属中学高等学校

周囲から尊敬を受けながら活躍する職業人・社会人。そして、科学技術を通して世界に貢献できる技術者・研究者。そのような人材を育てることを教育目標に掲げる芝浦工業大学附属中学高等学校は、STEAM教育という言葉がなかった時代から、実質的にSTEAM教育を行ってきました。

例えば、中学3年生では、サイエンス・テクノロジーアワーを展開。これは、2時間かけてじっくりと実験を行う授業で、理科の4分野(物理・化学・生物・地学)だけでなく、企業の出張実験やプロジェクト・マネージメントの演習も行うものです(詳しくは、同校の特集ページをご覧ください)。

[スクール特集]これまでも、これからも 変化を生み出せる人材をつくるSTEAM教育

このように、これからの世界を切り拓いていく人材を輩出するために、STEAM教育は、今後、ますます注目されていくことでしょう。

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