【連載:数学と言葉】第5回 数学用語の言葉使いその1「無理数」とは何が無理!?

有理数と無理数

数はその姿により自然数、整数、実数などと分類されます。その中に有理数と無理数があります。自然数、整数、実数といった用語は「名は体を表す」命名ですが、有理数と無理数はその漢字からどんな数なのかをイメージするのは難しいでしょう。

有理という言葉は数学の中ではじめて知る言葉です。それに対して無理は使い慣れた言葉です。では無理数は、無理なる数としてどんな数なのかが想起できるかといえば、できないでしょう。いったい何が無理なのか、とツッコミたくなります。

英語のrational numberの訳が有理数なのですが、rationalが有理となった経緯をざっとみてみましょう。rationalには合理的という意味があります。rational thinkingは合理的思考と訳されます。rationalにはその他に、論理的、理性的といった意味もあります。

ならばrationalはもともと〇理的という意味なのかというとそうではありません。その名詞形であるratioはレシオと呼ばれるほど日本でも知られた言葉です。意味は比です。理ではありません。したがって形容詞rationalは比的、比なるという意味です。

n/m(m,nは整数、m≠0)という形をした数はnとmのまさしく比なる数、rational numberです。rational numberを比数と訳してくれていればまだ分かりやすかったと思います。

理がつく理由を探っていきます。英語ratioは、ラテン語のratioがもとの言葉で、計算することという意味です。それが、rationalに合理的・論理的・理性的という理がつくことにつながります。計算することは、合理的・論理的・理性的だからです。

有理数の理は、rationalに染み込んだ理だったということです。これがわかると無理数が納得できるようになります。irrational numberのirrationalはrationalに否定の接頭語irがついた言葉です。つまり、比ではない数のことです。√2はirrational number です。√2=1.414…はn/mの形に表すことができない数です。

これが日本語では否定の接頭語である無をつけて無+理数と訳されました。

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