開成高校2年生の連載【息子が自ら勉強するようになるプロジェクト】第3回 勉強の面白さを気付かせる具体的方法

前回の記事では、中学生がなぜ勉強の面白さに気付けないのかというテーマで解説しました。まだ記事を読んでいない方はこちらを先にお読みください。
前回の大まかな内容をまとめると、そもそも「勉強の面白さ」とは知らなかったことを知れる喜びと自分の成長を実感できる喜びの2つに分かれます。しかし学校では多くの子供たちにとって興味のない勉強をさせられ、点数が伸びないのでやる気が起きず継続できないという悪循環が発生しているので、勉強の面白さに気付くことができないということでした。今回の記事では「興味」を引き出し、「継続」させることで子供に勉強の面白さを気付かせるための具体的な方法をいくつか紹介していきます。

勉強に「興味」を持たせるには?

・「勉強」という枠組みから離れる

机の前でペンを握って問題を解くことだけが勉強ではありません。いきなり「勉強」という枠組みで縛り上げるのではなく、まずは直接は勉強に関係ないけどやっていて楽しい何かを見つけてあげましょう。その手段として新しい習い事を始めることがいいでしょう。学校外の仲間との出会いや知らなかった分野への知的好奇心から勉強への興味に繋がるはずです。

例)
・プログラミング教室
・ロボット教室
・理科実験教室
・英会話教室
・漫画教室
・レゴ教室

通っている習い事に興味を示し、楽しいと思えるようになってきたら勉強との繋がりを教えてあげましょう。例えばプログラミングなら、コードを書く上で英単語を知っていた方が書けるコードが増えたり、数学の知識があれば情報オリンピックというプログラミングの大会にも出場できることなどです。いきなり「英単語を100個覚えろ!」「数学100問解け!」と言うよりも自分の興味のある分野に繋がるから勉強をしよう!と伝えた方が腑に落ちますよね。

また、習い事なら何でもいいわけではありません。サッカーや野球などのスポーツやピアノやギターなどの楽器は頭よりも体を動かすため例にあげた習い事に比べると勉強の面白さを伝えることにおいては不向きです。(スポーツや楽器が習い事として劣るわけではなく、あくまでも勉強に繋がりにくい)
また、その習い事にハマるかどうかはその子次第なので、半年ほど通っても興味を示さなければ別の習い事に変えることも重要です。

・親が一緒に学ぶ

小学校高学年から中学生にかけて親離れが始まるとはいえ、なんだかんだ子供は両親に影響を受けます。子供の怒り方や笑い方、話し方が自然と親と似て来るように、親の知識が豊富だったり、新しいことを知ることに喜びを感じる人だったらその性格は子供にも伝播します。決して遺伝による影響ではなく、親との会話の中で生まれる「面白い!」という感情が勉強への面白さに気付くことに繋がります。

例)
・夜ご飯を食べるとき最近のニュースを面白く解説しながらディスカッションする
・キャンプに行ったときになぜ火は赤いのか、なぜ夏でも川の水は冷たいのかなど、自然界の面白い地理を解説する
・一緒に料理をしながら、電子レンジが温まる仕組みや醤油の原料など、料理の中にある面白い理科を解説する
・外国人の客が多い飲食店に行って一緒に英語で注文する

何かを一緒にしながらついた知識は印象に残るため、記憶から消えづらいものです。日常の何気ない会話から物事の「なぜ?」を考える習慣がつくと勉強への興味は自然と湧いてきます。
また、親が子供に知識を話す環境ができれば子供も新しい知識を自慢したくなる感情が働くため、気になったことをネットで調べる習慣が身に付くかもしれません。

勉強を「継続」させるには?


ここからは、ある程度勉強に興味を持ち、拒否反応を示さない子への対応策です。勉強への興味が一切ない場合は、興味を持つまで上に書いたことを実践し続けてみてください。

・簡単すぎず、難しすぎないレベルの勉強

前回の記事でもお話ししましたが、学校で習う内容についていけないまま、テストを毎回こなさなくてはならない生徒に「定期テストで70点以上取りなさい!」とか「成績4以上取りなさい!」とか言っても無理な話なのです。テストの点数が悪くて親から怒られたとしても、なぜ怒られているのか分からないし、点数を取りたくてもそれまでのことが分からないから新しいことを勉強しても理解ができないのです。そこでまずは子供のレベルに合ったレベルの教材を扱いましょう。「できた!」「わかった!」という快感を定期的に与えることで無理せず勉強を継続できるようになります。

例)
・英語に興味を持つようになった子供に英検5級を受けさせてみる。
(いきなり3級を受けさせるより、最初は多少簡単でも受かる快感を与えた方が効果的です)

・歴史に興味を持つようになった子供に学習漫画を与えてみる。
(いきなり参考書を与えるより、最初は楽しく理解できる漫画の方が効果的です)

・理科が好きな子供に自由研究コンクールに出展させてみる。
(いきなり理科の問題集を与えるより、興味のあるテーマで創作物を作らせる方が効果的です。自由研究は夏休みじゃなくてもやっていい!)

勉強に興味がない子供に対して持つべき親のスタンス

・成績が悪いことに焦る必要は全くない

勉強の面白さに気付いた子供の成長は爆発的です。自分から好奇心を持って勉強をするようになれば、学校や受験の枠に囚われずどこまでも学力は伸びていきます。僕は、小学6年生の時に公立小のクラスで最下位の成績でしたが、勉強の面白さや必要性に気付けたことで開成高校に合格できました。中学生の現段階で成績が悪いからといって悲観する必要は全くありません。目先の数字を気にするより大切なことは、子供が勉強に興味を持てるきっかけを提供することです。テストよりも、今子供が何に興味を持っているのかを知り、新しい機会を与えてあげる方が先決です。

子供時代の自分と比べない

時代が変わったら子供の勉強への向き合い方が変わるのも当然です。いくら自分が学生時代に勉強を頑張っていようが子供には関係ありません。自分の中の常識を押し付けるのではなく、子供に合わせた対応をするように心がけましょう。先に紹介したように、一緒にテストの勉強をして点数を競い合うのも面白いかもしれませんね。

まとめ:親の役目はテストの点数管理者ではない

親からのプレッシャーで勉強をする子と、自分の好奇心で勉強をする子の長期的な成長の差は顕著に現れます。前者の子供は親の目が離れたり、受験やテストが終わったら勉強をしなくなるのに対し、後者の子供は色々なことに興味を持って受験やテストの枠を超えて自主的に学びます。短期的な点数が低いのに長期的な期待をすることへの不安はもちろんあると思いますが、親の役割は子供の点数管理者ではありません。もっとできることがあるはずです!
今回は子供に勉強の面白さを気付かせる具体的方法を紹介しました。次回は「勉強の面白さに気づける子の共通点」というテーマで、僕の周りの人の例を見ながらお話ししたいと思います。お楽しみに!

第4回を読む

前回の記事では勉強の面白さを気付かせる具体的方法というテーマでお話しました。まだ記事を読んでいない方はこちらを先にお読みください。 前回の大まかな内容をまとめると、「勉強」という枠組みから離れて親が一緒に学ぶ姿勢を見せることで勉強に興味を[…]

著者紹介

藤原 遥人(ふじわら はると)
学校で教えないことを高校生が中学生に教える塾、寺子屋ISHIZUEの代表。現在開成高校2年生。年齢差2.3歳の先生が語りかけ、生徒とともに成長していくことで大人がいくら伝えても届かない「勉強の面白さ」をもっと沢山の日本人中学生に知って欲しいとう思いから2020年冬に創業。最近は「僕たちはなぜ勉強をするのか」というテーマでのイベント登壇など、自身の受験勉強と向き合いながら「中高生にとっての勉強の意義」を追究。趣味はピアノとサッカーとダンス。

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