開成高校2年生の連載【息子が自ら勉強するようになるプロジェクト】第4回 自分で勉強の面白さに気づける子の共通点

前回の記事では勉強の面白さを気付かせる具体的方法というテーマでお話しました。まだ記事を読んでいない方はこちらを先にお読みください。
前回の大まかな内容をまとめると、「勉強」という枠組みから離れて親が一緒に学ぶ姿勢を見せることで勉強に興味を持たせ、簡単すぎず難しすぎない丁度良いレベルの勉強をすることで子供の勉強に対するモチベーションを落とさせない工夫ができる。また、親のスタンスとしては自分の子供時代や他の子供との成績を比べて焦る必要はないということもお話ししました。今回の記事では僕の同級生や知り合いの例を交えながら、勉強の面白さに気付いた人に共通する特徴をいくつかのタイプに分けて紹介します。今までのアドバイスが中心の記事とは打って変わって事例を紹介していく記事ですので「そんな子がいるのか〜」と参考にしながらお読みください。

タイプA:勉強に直結する面白いものと出会えた人

2回の記事では、勉強の面白さとは「無意識のうちに気になっていた何か」を知り、未知が既知に変わる快感であるとお話ししました。タイプAは、たまたま面白いと思える何かに出会えて、それがたまたま「無意識のうちに気になっていた何か」が5科目の勉強に直結するものだったパターンです。純粋な好奇心で本を読んだり博物館に行ったりすることが多く、ほとんどの人がゲームをすることで満たされる快感と同じものを勉強をすることで満たされる、やや珍しいタイプです。

開成高校や灘高校に通う僕の同級生には、歴史が好きで、大人が読むような文字が小さくて分厚い世界史の文献をものすごい速度で読む人や、物理が好きで学校の教科書の範囲や受験物理の範囲を超えて問題を解き進め、物理オリンピックに出る人がいます。定期テストや受験勉強など、上から与えられた「本来やるべき」範囲を超えた勉強をしているので(本人たちはそれを勉強とは思っていませんが)、決められたカリキュラムに沿って勉強する人とは勉強への向き合い方が違うのです。彼らにとって勉強とは受験に受かるためのツールではなく、自分の中の疑問を解消するためのツールなので、一点の迷いもなく勉強することができます。

以前、このようなタイプの複数の友達に、そこまでのめり込むほど歴史や物理に興味を持つようになったきっかけ聞いてみたのですが、口を揃えて言うのは「面白い本を読んだときにビビッときたから」だそうなので、本当に「たまたま」見つけただけみたいです。人によって何に興味を持つかは違うし、何かに興味を持てることでさえあまりないことなのでこういったタイプの人はごく少数です。他の例もありますが、やはりオタッキーな人がタイプAに該当します。

・電車好きで路線図や地図帳を見るのがたまらない人

日本地理の地形の勉強が楽しくて仕方ない

・自由研究が楽しくて、夏休みが終わってからも自分の興味分野の研究を続けてコンクールに出典する

その分野の勉強(理科や社会など)が楽しくて仕方ない

タイプB:勉強には直結しないスキルを習得した人

タイプBも自分が興味を持って取り組める何かに出会えた点で割と少数です。僕の周りでは、漫画を読むのが好きだったので、自分でも絵を描き始めてストーリー構成も立てて送った作品で、大手出版社の賞をもらった人や、プログラミングに興味を持ってやり始めたら面白くて情報オリンピックというプログラミングの大会に出場した人などがいます。タイプBは、スキルを得るために新しいことを理解して→反復練習して→分からなかったら調べて→習得するというプロセスを経ることで身につけているので、勉強をする時にもこのプロセスを応用することができます。

例えば数学の勉強は、新しい公式を理解して→その公式を使った問題を反復練習して→応用問題を解いて→わからなければ調べるというプロセスを踏むことで上達するので似ていますよね。タイプAと違うところは、5科目の勉強においては自分から進んでするということがあまりないこと。テスト勉強や受験勉強という枠が用意されていると無理なく計画的にこなすことができますが、漫画やプログラミングなどテストの点数に直接反映されにくい分野に興味があるため、5科目の勉強はやれと言われるまで、もしくは自分で意味を見出すまで自分からはしないことが多いです。タイプBのポイントとしては、「努力して周りの子より得意な何かを身につけた子」です。他にはこんな人もタイプBに該当します。

・スポーツの上達が速い人
→上手い人の真似をしたり、自分の苦手なポイントを見つけて重点的に直したり、練習効率をあげたりなど、スポーツが上手くなる人の踏むプロセスは、成績をあげるのと同じプロセスなので、勉強にも応用できます。

・帰国子女じゃないけど英語のリスニングやスピーキングが得意な人
→日本にいると帰国子女に比べて発達が難しい英語の聞き取りや喋りが得意な人は、自分から映画を英語でみたり、英会話レッスンで反復して喋る練習をしたりと工夫して弱点をカバーする努力をする点で勉強と似ているので応用ができます。

・将棋やオセロ、モノポリーなどのボードゲームが強い人
→論理的に考える力や相手の意図を読み取る力に長けているので、出題者の意図を読み取りながら解き進める勉強に応用できます。

タイプC:受験勉強を始めてから面白さに気づく人

3つのタイプの中では、タイプCが最も大きい割合を占めます。今まで勉強をしたことがなかったけど、塾に入って勉強に触れてから勉強の面白さに気づいたというパターンがこのタイプCです。最初の勉強のモチベーションは「いい学校に入りたい」とか「あの子よりいい成績を取りたい」という勉強本来の目的とは少しズレた目的であることが多いですが、勉強を重ねる中で面白さを見出して、途中で投げ出すことなく勉強を続けられます。タイプCの場合は、受験勉強の成功自体が人生の成功体験として自分の内側に残り、今後新しい何かに挑戦する上で役に立ちます。このタイプは、受験が終わった途端勉強をしなくなる場合もあれば、受験勉強中に面白いと気付いた分野の勉強は受験が終わってからも本を読んで少しずつ勉強を継続する場合もあります。

開成高校では、ほとんどの生徒がこのタイプCに当たり、親に強制的に入れられた先に塾の勉強が案外面白くて成績が伸び続けた結果開成高校に合格した人や、学歴が欲しくて勉強をし続けた結果合格した人が多いです。僕自身もこのタイプCの人間で、最初の受験勉強をするモチベーションは良い学校に入りたいという不純な目的でしたが、偏差値や塾内順位などの数字で見えて成績が上がる楽しさや勉強をすることで、新しい視点が芽生える嬉しさが積み重なることで2年間勉強を続けることができました。開成に限らず、進学校に通う子の多くはこのタイプCに当てはまります。

まとめ:タイプAがベスト!

受験勉強は勉強のゴールではなく通過点なので、勉強をする姿勢として一番理想的なのは「新しいことを知りたい」とか「疑問を解消したい」という純粋な好奇心で向き合うことだと僕は思います。そのためタイプAになるのがベストなのですが、今回の記事を読んで「タイプAになれるのは一部の子であってうちの子には無理だよ」なんて思った方がいるかもしれません。ここで僕が最後に言いたいのは、前回の記事でもお話ししましたが、親御さんがお子さんにしてあげられることは沢山あるということです。潜在的には歴史に興味がある子でも、面白い歴史の本に出会わなければ興味を持つことはできません。自分の子供が何に興味を持つか分からないからこそ色々な分野の教材を与えてあげて、その中にたまたま歴史の本があれば「ビビッ!」とくる何かに出会わせてあげることができます。その教材は本でも映画でも面白いYouTubeチャンネルでも良いかもしれません。今の世界には無料で楽しめるコンテンツが山ほどあります。塾に頼るのはその後です。

今回は自分で勉強の面白さに気づける子の共通点というテーマで、僕が今まで出会った自発的に勉強をしている人達の特徴を3つのタイプに分類しながら解説しました。次回は僕個人に焦点を当て、勉強をしててよかったことや高校受験中に考えていた勉強の意味と、受験が終わって2年以上経った今の僕が考える勉強の意味の変化をお話しします。お楽しみに!

著者紹介

藤原 遥人(ふじわら はると)
学校で教えないことを高校生が中学生に教える塾、寺子屋ISHIZUEの代表。現在開成高校2年生。年齢差2.3歳の先生が語りかけ、生徒とともに成長していくことで大人がいくら伝えても届かない「勉強の面白さ」をもっと沢山の日本人中学生に知って欲しいとう思いから2020年冬に創業。最近は「僕たちはなぜ勉強をするのか」というテーマでのイベント登壇など、自身の受験勉強と向き合いながら「中高生にとっての勉強の意義」を追究。趣味はピアノとサッカーとダンス。

スタディ公式SNSで最新情報をチェックしよう!