アドミッション・ポリシー 私立校の特色を端的に表出【教育keyword series7】

志望校選びの軸

中学校受験を考えるときに、まず頭を悩ませるのは、志望校選びですね。永年、その軸となってきたのは偏差値です。なるべく偏差値の高い学校に入学させたい、でも現実は……と悩んだ経験のある保護者はどれほどたくさんいたことでしょう。しかし、その偏差値を軸とする志望校選びは、少しずつ変わりつつあります。

大学を取り巻く状況を見てみると、その背景が見えてきます。東大を頂点とする偏差値による序列。その序列が上であればあるほど、就職に有利、出世に有利、だから経済的にも豊かになれる。かつてはそれが常識でした。しかし、大企業に就職すれば一生安泰という時代はとうに過ぎ去り、グローバル化の進んだ社会の中で、一人ひとりが自分の力で生き抜いていかなければならないのが今なのです。

では、志望校選びの軸として他に何が考えられるのでしょうか。注目されているものの一つにアドミッション・ポリシーがあります。

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アドミッション・ポリシーとは

アドミッション・ポリシーとは、各学校が表明している「入学者受け入れ方針」のこと。すべての学校にもあって然るべきものですが、最近では、特に私立校がHPなどで明示するケースが増えてきました。いくつかご紹介しましょう。

三輪田学園中学校のアドミッション・ポリシー

  • さまざまな経験を通して、他の人とつながりたいと思う人。
  • 「何でだろう?」「もっと知りたい!」というキモチSense of Wonder をたくさん持っている人。
  • 三輪田の校訓「誠のほかに道なし」をしっかり理解し、何事にも誠実に向き合おうとする人。

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明法中学校のアドミッション・ポリシー

  • 自分や自分が属する集団の未来を、自らの行動で切り拓いていくための強い意志と努力の精神を持った生徒
  • 他者の考えや意見を尊重し、仲間と協力して課題解決にあたることのできる生徒
  • 幅広い分野に興味・関心を持ち、将来のキャリア目標(社会貢献)を探求しつつ、日々の学習に意欲的に取り組むことのできる生徒
  • 心身の健康に注意を払い、自律的な生活を送る意欲のある生徒

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山脇学園中学校のアドミッション・ポリシー

  • グローバル社会で活躍するために、主体的に志を立てていく生徒
  • 自らの探究心から、興味や関心を持って自立的に学びに取り組む生徒
  • 得意科目を活かして伸びる資質を持っている生徒

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これらは、いずれも学校全体としてのアドミッション・ポリシーですが、入試の種類別にアドミッション・ポリシーを策定している学校もあります。ここは、とても重要なポイントなのですが、その学校のアドミッション・ポリシーは、どのような入試を行い、受験生に何を問うのかということと密接に関わっています。「〇〇な生徒を求めます。したがって、このような入試を行い、入学者を選抜します」ということですね。

見直されるその重要性

アドミッション・ポリシーをより一層強調するようになってきた私立校。その背景には、少子化の流れがあります。私立校は、当然ながら経営を成り立たせていかなければなりません。生徒の確保は、必須事項なのです。そこで、他校との差別化を図るべくアドミッション・ポリシーを強く打ち出す、という傾向が出てきたという側面も指摘できるでしょう。

建学の精神が明確であることは、私立校ならではの特徴です。多くの私立校は、創立者の理念を今も実践し続けています。アドミッション・ポリシーは、この建学の精神に直接結びつく、現代を生きる受験生へのメッセージと見ることもできます。ですから、少なくとも志望校選びの重要な軸の一つとしてアドミッション・ポリシーを挙げないわけにはいかないのです。ぜひ、各校のアドミッション・ポリシーに注目してみてください。

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