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聖園女学院中学校

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デジタルパンフレット

スクール特集(聖園女学院中学校の特色のある教育 #6)

個々の力に対応した英語教育。スピーチ・暗唱の力をつける放課後活動もスタート

「英語の聖園」として英語教育に定評のある同校。今年度からスピーチや暗唱の力をつける放課後活動も始まり、さまざまな切り口で英語力の向上を図っている。その取り組みを取材した。

同校は、6年間を通してきめ細やかな英語教育を行い、中学では帰国生や英語中上級レベルの生徒を対象としたオールイングリッシュの取り出し授業「ACE(Advanced Class of English)」も実践。また、今年度から英語のスピーチや暗唱の力をつける放課後活動「GEM(Global Education at Misono)が新たにスタートした。これらの指導教員である鯉淵スーザン先生に、取り組み内容を伺うとともに「GEM」に参加している生徒に感想などを聞いた。

アウトプットを重視し、“使える英語力”を育成

「本校は少人数の学校ということもあり、1人ひとりに行き届いた英語教育を行っています。『この生徒は○○が得意だけれど△△の力が足りないので、こういうアドバイスをして伸ばしていこう』というように、個々の力に沿って指導をしています」と鯉淵先生は英語教育の特色をこう話す。ちなみに同校には、鯉淵先生を含めネイティブ・スピーカーの教員が3人在籍し、英会話やエッセイライティングの授業などを受け持っている。

「授業は、先生から生徒へのレクチャースタイルよりも、コミュニケーションスタイルを重視しています。もちろん文法や語法は身につける必要がありますが、教科書だけの学びで終わると“使える英語力”が育ちません。ですので、まだ単語をあまり知らない中1の1学期から、アウトプットを心がけています。たとえば“I can run.”など、3つの単語だけでも文は作れます。canという助動詞は従来中1の後半で学習しますが、順番にこだわらず、英語が実際に使えるように導いていきます」

鯉淵先生によると「生徒は、学んだ表現は上手に話せるのですが、ぱっと質問をされると止まってしまうことがあります。それを解消するために、最初の10~20分間、Q&Aタイムを作り、質問を出してペアで受け答えをする練習をしています。このように足りないものを補いながら授業を組み立てています」と語る。

「高校のエッセイライティングも、どのように指導したら良いエッセイが書けるか試行錯誤しました。英検は、コンクルージョン(結論)とイントロダクション(導入)で同じ単語を使っても認めてくれますが、文章をより良くするには言葉を置き換えたほうがいい。そこを生徒たちは苦労しているのですが、昨年、ポイントを絞り込んで教えたことが、良い結果につながりました。私も指導方法が見えてうれしかったです」

▶︎鯉淵スーザン先生

ディスカッションやストーリー作りなどを行う「ACE」の授業

同校の中学の英語の授業は週6時間。そのうちオールイングリッシュの取り出し授業「ACE」は4時間あり、選抜試験に合格した生徒たちを鯉淵先生が指導している。「ACEで学ぶには、まず英語で話しかけたことを理解できることが前提です。また授業では、小説を読むことを行っています。英文が読めるだけでなく、この場面で作者は何を投げかけているのか、そういうことを読み取ろうとする姿勢も大事にしています」と鯉淵先生は言う。

小説は生徒のレベルよりも少し上のレベルを設定し、トピックをもとに対話式の授業を実施。現在、中1生はハリー・ポッターのシリーズを読み、登場人物の言動を自分の経験と照らし合わせたりしながら、ディスカッションをしているそうだ。また、鯉淵先生は課題に記述問題のプリントを用意し、毎回、丁寧に添削をしている。

また、ACEクラスでは英検準1級の取得を1つの目標とし、鯉淵先生は試験によく出題される単語を30個ほど集め、それを使ってストーリーを作り、Q&Aも付けて生徒たちに学ばせている。また、生徒も同じように難しい単語を使ってストーリー作ったり、詩の内容を形や絵で表す「シェイプポエム」などの学習にも取り組んでいる。

今年度、ACEの授業を受けている生徒は中1が3人、中3が3人。中1生は3人のうち2人が帰国生で、中3生は全員が中2まで普通クラスで学び、中3に進級する時に選抜試験をクリアした生徒だという。

鯉淵先生はACEの授業を行うにあたり「小説を読んで『この登場人物の行動は何を意味していると思う?』と質問をした時、表面的なものだけでなくその人物の背景だったり、特徴を詳しく捉えたり、深いところまで考えて答えてほしいと思います。私が生徒の課題に言葉遣いまで細かく添削しているのも、そういう思いがあるからです。物語を読むにしても、ものを書くにしても、何かを説明するにしても、深みをもって対応してほしいですね」と生徒へ期待を込める。

「GEM」でスピーチや暗唱を鍛え、聖園祭や外部コンテストで発表

今年度から鯉淵先生は「GEM」で英語のスピーチや暗唱の指導も行っている。「本校には、校内で留学気分が味わえる『MEA(Misono English Academy)』という放課後の活動があります。MEAは季節のイベントやアクティビティなどを通して、気軽に英語に触れ、会話をして、楽しみながら英語力を高めていこうという時間です。それに対してGEMは、暗唱やスピーチを自主的に練習する継続的な活動です。主に中学生が暗唱、高校生がスピーチに取り組んでいますが、中学生がスピーチをしてもOKです」と鯉淵先生は言う。

「暗唱は、自分でやってみたい絵本を選びます。そして、暗唱をする時は、ボディランゲージも入れながら気持ちを込め、目の前で子どもたちが聞いていることを想像しながら話すようアドバイスをしています。今年は聖園祭で暗唱を披露し、どの生徒も素晴らしい出来栄えでした。今後は外部のレシテーションのコンテストにも出場することを考えています。

スピーチは、原稿を作るところから指導し、話す時はジェスチャーも取り入れながらいかに相手に伝えられるかを大事にしています。こちらも聖園祭で発表し、また、高校生2人は上智大学主催の高校生による英語弁論大会『ジョン・ニッセル杯』にも応募しました。11月になったら、英語読書感想文のコンテスト「オックスフォード・ビッグ・リード*」に、興味のある生徒がいたら応募したいと思っています」(鯉淵先生)

*オックスフォード・ビッグ・リード…オックスフォード大学出版局のリーダー教材を一冊読み、その内容にまつわるポスター作品を制作するコンテスト

「GEM」に参加している生徒へインタビュー

中学2年生 Kさん
高校2年生 Mさん 帰国生、中学3年間ACEに所属

Q「GEM」に参加した理由を教えてください。

Kさん 幼いころから母の影響もあって、外国の文化や英語が好きでした。中学に入って、世界で仕事ができたらいいなと思うようになり、もっと英語力を伸ばそうという気持ちが強くなりました。書くことも読むことも大切ですが、私の中では話せることが重要で、発音や話し方を学んだり、新しいフレーズにも触れてみたいと思い「GEM」の活動に参加しました。


Mさん 英語で話すことは苦手ではないけれど、自分の言いたいことを文字に表したり、発表したりすることは、また別の次元で、新しいことに挑戦をしたいと思いました。今年、応募した上智大のスピーチコンテストは、「For Others, With Others」がテーマでした。他者とともに何ができるかについて、なぜこの学校を選んだのか、帰国生で大変だったことなども振り返りながら原稿を書きました。私にとって過去一番のエッセイになり、良い経験ができました。

Q聖園祭の発表に向けて、どのように練習をしましたか?また、当日の発表はどうでしたか?

Kさん 私は海外経験があるわけではないので、ネイティブの人のように発音するのが難しかったです。鯉淵先生から音声をいただき、速さやイントネーションにも気を付けながら、何度も家で練習しました。また、暗唱する時のジェスチャーや、セリフに強弱や高低を付けることも先生と一緒に練習しました。リズミカルなところはジェスチャーを入れると、自分も気持ちが入り、相手にもより伝わります。本番は練習したことを全部出し切ろうと思い、緊張もせず、楽しく発表することができました。

Mさん まず、エッセイを書き上げることが大変で、鯉淵先生に何度も添削をしてもらいました。スピーチも伝えたいことを強調したり、ジェスチャーを付けて表現するのが難しく、繰り返し練習しました。本番前はものすごく緊張しました。聖園祭で発表するのは最後の機会でしたし、先輩として見本にならないといけないなど、プレッシャーがありました。でも、これまで支えてくださった方に感謝を込めたエッセイなので、それを伝えようと気持ちを切り替えました。自分なりの最高なスピーチができたと思います。

Q今後の目標や将来の夢を教えてください。

Kさん 聖園は留学プログラムがたくさんあるので、実際の世界はどうなのか、見に行きたいと思っています。海外で過ごすと英語力もアップするし、精神的にも強くなれると先輩から聞いているので、海外留学に挑戦したいです。

Mさん 国際系の会社で働きたいと思っていて、誰かのために役立てる仕事がしたいです。それは聖園の学びでもあり、人のためになることを、英語を使ってやれたらよいと思っています。そのために、これからも英語の勉強をがんばります。

<取材を終えて>
同校の英語教育は、一人ひとりに対応した指導で、先生たちも日々、授業づくりの研究をしている。鯉淵先生に見せてもらった課題の添削もとても丁寧に書き込んでおり、指導の細やかさと熱意を感じた。また、取り出し授業「ACE」や、アットホームな校内留学「MEA」、暗唱やスピーチを学ぶ「GEM」、留学プログラムなど多様な取り組みをしているのも大きな特徴だ。いろいろな切り口から英語を学べる環境が整っており、生徒の習熟段階に応じた教育が受けられることが、とても魅力的であると感じられた。

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