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きょうりつじょし

共立女子中学校

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デジタルパンフレット

スクール特集(共立女子中学校の特色のある教育 #3)

新聞制作の実務を体験! 中高の縦割り班で進める「英字新聞プロジェクト」

共立女子中学高等学校では、有志の活動として「英字新聞プロジェクト」を実施。ジャパンタイムズ出版と連携し、英語での発信力や論理的思考力、プレゼンテーション力を育む活動を取材した。

共立女子中学高等学校では、2016年にプロジェクトベース型ラーニング「The Japan Times Young Leaders Project」を導入。ジャパンタイムズ出版と連携し、生徒主体で進める英字新聞制作であるが、同プロジェクト担当の竹村まりこ先生と参加した生徒に話を聞いた。

「伝える」ツールとしての英語

同校では2016年度に12人の生徒(中3~高2の有志)による課外活動として、「The Japan Times Young Leaders Project」をスタートさせた。その後、年々参加者が増加し、2025年度は37人がプロジェクトに参加したという。

「共立では、大学受験で求められる英語力の育成にプラスして、発信型英語教育にも力を入れています。考えを自分の言葉で説明したり、自分の想いを人に伝えるツールとして、英語による作文やプレゼンを行ってきました。英字新聞制作を通して発信力を育むプロジェクトがあると知り、本校の英語教育と親和性があると思い導入してみたのです。最初の頃は、英字新聞は難しそうというイメージがあったようですが、参加した生徒たちからの声が広がり、いい意味で英字新聞に対するハードルが下がっていきました」(竹村先生)

年1回発行している『KYORITSU TIMES』は、タブロイド紙として印刷されたものが全校生徒に配布される。新聞らしい紙の質感や、新聞としてのクオリティの高さが生徒たちに好評だ。

「当初は4面でしたが、参加者が増えたので現在は8面です。校内の出来事だけでなく、共立のある神保町界隈のことなども取り上げています。卒業生に取材をして、記事を作ることもあります。昨年度は、アマゾンに住む部族の人々に考えに感銘を受けて映画製作をし、現在は久米島に移住してアマゾンや久米島での生活を伝える活動を続けている卒業生にインタビューしました。内輪受けにならないように、外部の人が読んでも関心を持ってもらえるようなテーマを生徒主体で選んでいます」(竹村先生)

▶︎国際交流部(英語科)竹村まりこ先生

プロによるサポートのもとで新聞制作の実務を体験

4月に参加希望者を募り、編集長と副編集長を決めてから5人前後の縦割り班に分かれて、各班が1面ずつ担当する。12月の発行までには、ジャパンタイムズ出版の英字新聞記者による「英文記事の書き方研修」をはじめとする講義を3回(50分×6コマ)実施。取材の仕方から記事の書き方、英文校閲、紙面のレイアウトまで、経験豊富なプロによる手厚いサポートのもとで制作が進められる。

「編集会議には教員も立ち会いますが、各班から出されたテーマ案が重複した場合などは、編集長たちが調整して8面の中で割り当てます。校内での取材は、教員とのつながりや所属している部活動など、生徒たちの人脈で決めることも多いです。校外の施設への取材申し込みなど、大人が入った方がいい場合は教員も関わります。以前、皇居周辺の観光客に声をかけて飛び込みインタビューをするという企画もありましたが、そのようなときも教員が同行します」(竹村先生)

夏休みを中心に取材活動を行い、9月には英語で書いた記事を同社に送ってネイティブエディターによる校閲を受ける。その際に、記事として発信するのに適した表現かどうかなども、ジャーナリズムの視点からフィードバックされるという。

「生徒たちがレイアウトした段階で、写真の配置などもアドバイスしていただきます。英字新聞は、英語力があれば制作できるわけではありません。いろいろなステップを踏むということを、生徒たちは実務を通して学んでいきます。発行された新聞は、学校説明会やオープンキャンパスでも配布しています。受験生や保護者からの関心も高く、新聞を見て自分も制作に参加してみたいと思って入学したという生徒もいました。文化祭では、プロジェクトに関するポスターセッションを生徒たちが行っています。英字新聞制作の難しさや楽しさ、達成感などを、ぜひ生徒たちの言葉から感じ取っていただきたいです」(竹村先生)

▶︎2023年版、2024年版、2025年版の『KYORITSU TIMES』

プロジェクトに参加した生徒たちの成長

自分の想いや調べたことを発信するツールとして英語を使いこなしていくこと以外にも、様々な面で生徒たちの成長が感じられると竹村先生は語る。

「プロジェクト1期生には、新聞社に就職した卒業生がいます。もともとジャーナリズムに関心があったのですが、このプロジェクトでの経験が就職にもつながったと聞いています。今思えば、インターンシップに近い活動だったとも語っていました。もちろん、全員が出版系の仕事を目指すわけではありませんが、いろいろな角度から刺激を受けていると感じています。デジタル版だけでなく、紙の新聞として発行されることも、生徒たちにとっては達成感を味わえるよい経験となっているようです」(竹村先生)

異学年との協働作業で1つの面を作り上げることも、生徒たちにとってよい経験になっているという。

「共立は中高一貫校ですが、人数が多いので中学と高校は別々でスケジュールが組まれています。中3から高2の縦割り班で作業をするとなると、スケジュール調整も難しいでしょう。連絡ツールを使いながらなんとか調整し、協働作業の進め方を実践で学んだ経験は、社会に出て仕事をしていく中でも活かされると思います。中学生は未経験者という意味での遠慮などがありますが、思い切って意見を言って取り入れてもらえた経験が自信につながっていくようです。高校生は探究活動でのリーダーシップ開発も踏まえて、縦割り班での役割を理解して活動しているので、それぞれの学年での成長が感じられます」(竹村先生)

2025年度の「英字新聞プロジェクト」に参加した生徒3人にインタビュー

Sさん(高2 編集長)
Kさん(高2 副編集長)
Mさん(高2 副編集長)

――「英字新聞プロジェクト」に参加しようと思った理由を教えてください。

Sさん 高1のとき、友達に誘われたのがきっかけです。英語で文章を書くのは難しそうでしたが、参加した友達が楽しかったと言っていたのでやってみたいと思いました。

Kさん 中2までは、配られた『KYORITU TIMES』を読むのが好きでした。文章だけでなく、記事に使われている写真も印象的で、新聞としてのクオリティも高いと感じています。中3になって募集の案内があり、チャレンジしたいと思って参加しました。

Mさん 私は中3のとき、ニュージーランド夏季研修に参加しました。そのとき、思っていたより英語が話せなかったんです。もっと英語力をアップさせたいと思ったのですが、勉強と考えるとモチベーションが上がりません。この活動なら、みんなで作業しながら楽しく英語に触れられると思って高1から参加しました。

▶︎Sさん

――英字新聞の制作過程でどんなことが大変だと感じましたか?

Sさん 班に分かれて1面ずつ担当しているので、みんなで協力して作業を進めなければなりません。メンバーは学年もクラスもバラバラなことが多く、スケジュール調整などがとても難しかったです。

Kさん 制作に関しては、やはりメンバーとの日程調整が難しかったです。副編集長としては、各班から出されたテーマがかぶってしまうこともあり、8面のテーマを決める難しさも感じました。かぶった場合は、編集長や副編集長が話し合いをして調整します。

Mさん 私の班は高2が2人、高1が1人、中3が2人でしたが、下の学年になるにつれて遠慮などもあるようで、意見を聞き出すことの難しさを感じました。できるだけ下級生も意見を言いやすい雰囲気を作り、写真を入れる位置や使う写真について中3生が意見を言ってくれたときは嬉しかったです。

▶︎Kさん

――活動の中で印象に残っていることを教えてください。

Sさん 今年度私が担当したのは、長崎で被爆体験を伝える活動をされている方の記事です。*修学旅行前にテーマ案としては考えていましたが、実際にお話を聞いて、私たちが聞いた話をたくさんの人に知ってもらいたいと思ったので記事にしました。記事ができたときには大きな達成感があり、やりたいことが実現できたので嬉しかったです。

*共立では高2の修学旅行として長崎を始めとする九州を訪れる。 

Kさん 日本語学校へ取材に行き、翻訳機がある時代になぜ日本語を勉強したいのか質問したことが印象に残っています。英語でインタビューをしたので相手の意図と違う解釈をしないように、録音データを何度も確認しました。日本語を学ぶ理由として、好きなアーティストや音楽など、文化を理解したいからという思いには私も共感できます。イギリスでホームステイをした際に私も同じように感じましたし、私たちが英語を学ぶ理由にもつながると思います。

Mさん 講義のときに板書を担当したのですが、板書がすごく綺麗だと褒められたことが嬉しかったです。人の話をまとめてわかりやすく伝えることが、才能の1つだと気づくことができました。興味深かったのは、AIに関するインタビューです。最初はAIに対してあまりよいイメージがなかったのですが、AIを授業で活用している先生にお話を聞いたら、AIを学習に取り入れることで生徒をより深く理解できるようになるなど、よい面もたくさんあると知りました。

▶︎Mさん

――講師から学んだことで印象に残っていることはありますか?

Sさん 記事の右上に配置した写真に写っていた人物が右側を向いていたとき、顔が紙面の内側を向いていた方がいいとアドバイスされたことが印象に残っています。新聞制作ではそこまで考えていることや、表情がよければいいというわけではないこともわかりました。アドバイスを活かして、写真を撮影するときはいろいろな角度から撮るようにしています。

Kさん 今年度担当したAIに関する記事のタイトルが、3行になってしまって悩んでいたのですが、シンプルに表現した方がよいと助言をいただきました。伝えたい情報を入れ込むのではなく、目につきやすいように見せ方も考えてまとめることが大事だと聞き、最終的にはなんとか2行にまとめました。シンプルに表現するための単語選びも、うまくなってきたと思います。

Mさん 自分が新聞を読むとき、写真のキャプションはあまり気にしていなかったのですが、何の写真かすぐわかるように一言二言で説明するとよいと教えていただいたことが印象に残っています。何の写真かすぐにわからないと、記事の内容も半分くらいしか理解されないかもしれません。せっかく書いた文章を理解してもらえないのはもったいないので、キャプションも大切にするようになりました。

――プロジェクトに参加して成長したなと感じることはありますか?

Sさん 文章を作るときには、構成が大事だと思います。ただ情報を書き並べただけでは、読む人に伝わりません。英語に限らず、日本語で誰かに連絡するときなどでも、ちゃんと人に伝わるかを意識して書くようになりました。

Kさん インタビューをまとめるときなどは文字数が限られているので、取捨選択するのが大変です。メンバーによって選びたい部分が違うこともあるので、調整が難しいことも学びました。異学年との連携も経験し、自分だけが引っ張るのではなく、他の人の声を引き出すこともできるようになったと思います。

Mさん 英語で書かれた新聞だと、読むのをためらう人も多いと思います。英語でも頑張って読んでみようと思ってもらえるようにするには、パッと見ただけで伝わるような写真やタイトルにすることが重要です。読みたいと思ってもらえるような単語選びや、インパクトのある写真の選び方などが学べたと思います。

――将来についてはどのように考えていますか?

Sさん まだ具体的には決まっていませんが、分別のある大人になりたいです。自分の発言に責任を持てるように、大学でそのベースとなる学びをしたいと思っています。 

Kさん 学校PR委員として広報活動もしているのですが、インタビューをするのが楽しいと感じています。学校が好きなので、教師という仕事にも興味があります。英字新聞制作や広報活動を通して、先生方が学校や生徒をどう支えているか、そして生徒たちがどう感じているかも知ることができました。縦割り班での活動を通して、下級生の立場になって考えることも学べたので、そういった経験も教師としての仕事に活かせるかなと思います。

Mさん 私は歯科医師など、医療系の道に進み、海外から日本に来た方も受診できる医療従事者になりたいです。医療の分野で、言語の壁をなくすことができたらいいなと思っています。言語の壁によって困ったり不安になることをなくして、日本を好きになってもらえたら嬉しいです。

<取材を終えて>
ジャパンタイムズ出版と連携したプロジェクトであるが、どのような形で進めるかは学校によって異なる。同校では、縦割り班で進めている点も生徒たちにとってとてもよい経験になっていると感じた。プロからアドバイスをもらいながら、異学年と協働で実務体験をすることは、社会に出てから様々な立場の人と仕事をするときに大きな力となるだろう。

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