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デジタルパンフレット

スクール特集(獨協中学校の特色のある教育 #6)

「医学部に強い」伝統を高大連携でさらに強化

医学界へ数多くの人材を輩出してきた獨協中学校。今年度から獨協医科大学との連携を強化し、推薦枠が新たに設置されるなど医学部進学の環境がより整備される。学校改革と合わせて取材した。

よき伝統を受け継ぎ、新たな教育を展開したい ~新校長メッセージ~

はじめに、今年度から新校長となった上田善彦先生に、学校の教育方針や今後の展望などについて話を伺った。上田先生は獨協高等学校のOBであり、卒業後は獨協医科大学に進学。医師、医学博士、そして同大の教授として教鞭を執り、系列の附属越谷病院(現 埼玉医療センター)の副院長、附属看護専門学校三郷校の校長を経て2021年4月、同校の校長に就任した。

▶︎校長 上田善彦先生

――獨協の教育方針と育てたい生徒像について

本校は、明治を代表する人物の西周、品川弥二郎、桂太郎らの尽力によって1883年(明治16年)に設立されました。初代校長の西周先生は日本近代哲学の父と呼ばれ、知育、徳育、体育の三育を教育方針に掲げ、その理念は今日まで引き継がれています。
知育は、学力だけでなく、自分で考え、知的好奇心を持って様々なことに自主的に取り組む力を育てていきたいと考えています。そして、豊かな精神と体力を養い、他人を敬い優しくすることのできるよう人間教育にも力を注ぎ、社会に出て活躍できる人材の育成を目指します。
私は挨拶をとても大切にしています。挨拶とは、相手を思いやり、相手に敬意を表すものです。私は毎朝、校門のところに立って生徒たちと「おはようございます」と挨拶を交わしています。社会人の基本でもある挨拶がきちんとできる人間に育ってほしいと思います。 

――新しい取り組みと今後の展望

本校はこれまで、数多くの人材を医学界へ送り出してきました。今後も医学部進学を推進していくために、獨協医科大学と連携を強め、2022年度の入試からは、系列校推薦枠が新設されます。現在、大学と本校でワーキング・グループを立ち上げ、どのような教育の連携ができるか、話し合いを進めているところです。大学の学びを高校で取り入れたり、医療現場の見学や体験を実施したりするなど、生徒が関心を持てる内容にしたいと考えています。
また、これに伴い、カリキュラムや教育のプログラム、学習指導などの改革も進めていきます。その中で国公立大学の合格者を増やし、全体の進学実績の向上を目指していきたいと考えています。

医学部進学を身近に感じられる環境

もともと同校は「医学部に強い」という歴史があり、現在も学校の特色となっている。その背景について、教頭の坂東広明先生は次のように説明する。
「本校は獨逸学協会学校として創立。当時は、ドイツ語を教える唯一の中学校でした。近代日本の医学はドイツを手本にしていたこともあり、当時から医学を目指す若者が数多く集まっていました。そして今も獨協生は、毎年一定の割合で医学部に進学し、今年も医学部に37名が合格しています(2021年3月時点、卒業生:194名)
こうした伝統が続いている理由の一つに、医学に対して興味や関心を持つ機会が多いことがあげられます。本校では毎年、中3から高2を対象に、社会の第一線で活躍する卒業生が、仕事のやりがいなどについて語る『OB講演会』を開催しているのですが、3年間のうち必ず1度は医師が登壇します。それだけ医学の道へ進んでいる卒業生が多いと言えますし、生徒も医師を身近に感じ、医学部は特殊な進学先ではないと思うのではないでしょうか。
また、学校内には俳人の水原秋櫻子の句碑があります。秋櫻子は獨協のOBで、産婦人科医としても著名な人です。その句碑を寄贈したのが、獨協医科大学の初代学長である石橋長英で、秋櫻子と同じ時期に在籍し、終生の友を称え創立100周年の時に寄贈したというエピソードがあります。このような環境の中で、医師に対して崇高な思いを抱く校風が、根付いてきたのではないかと思っています」

▶︎教頭 坂東広明先生

医療現場の見学や、大学を意識した学びを導入

獨協医科大学との高大連携に伴い、2022年度の入試より、獨協埼玉高等学校と合わせて10名の系列校推薦枠が新設される。獨協医科大学は2年後に創立50周年、また、同校も140周年を迎え、改めて「医学の獨協」の再構築を目指すプロジェクトがスタートした形となった。
「教育の連携では、まず、大学見学を活発化させていきます。たとえば実際のオペを見学したり、地方の医療現場の体験をしてみたり、今まで以上に踏み込んだ内容にしたいと考えています」と坂東先生は話す。
「また、獨協医科大学には、大学病院、埼玉医療センター、日光医療センターの3つの付属病院があります。それぞれ担う役割が違い、日光医療センターでは、最先端の医療機器を備え、地域の急性期医療や高度医療、リハビリテーションを提供、さらに高齢者のケアや、温泉宿泊型人間ドックなども行っています。『地方でどのような医療が求められているのか』ということについて、中学校の段階から現場を見るプログラムも取り入れていければと考えています」

これまでも同校から獨協医科大学へ、毎年5~6名ほどの生徒が進学をしている。同校の卒業生たちは、大学に残って研究を続けたり教授になって指導をしたりと大学からの評価も高いそうだ。
そして高大連携が進むのに伴い、授業やカリキュラムの見直しをするなど、様々な改革が行われる見込みだ。「医学部生として学ぶ前に、高校で○○を身に付けてほしいという大学側の要望に沿った学習や、あるいは大学の先取り的なものを導入することも考えています。いずれにしても、生徒が大学に進学して、スムーズに学んでいけるような体制を作っていきます」

一方で同校は、現在もドイツ語をカリキュラムに取り入れるなど外国語教育やグローバル教育にも力を注ぎ、獨協大学外国語学部と連携した活動も行っている。
「一昨年から大学の海外留学生を招いて、交流を図るプログラムを取り入れています。また、以前から実施しているドイツ研修旅行やアメリカでのホームステイに加え、ケルン大学からの留学生の教育実習を受け入れたり、ギムナジウムとの相互訪問も始めました、今はコロナ禍で中断していますが、今後は大学との連携をより深めながら、活動の幅を一層広げていこうと考えています」

獨協医科大学と新たな高大連携をきっかけに、次のステージへ歩み始めた同校。上田新校長のもとで、改革はさらに促進していきそうだ。

<取材を終えて>
獨協医科大学との連携が始まり、入学の推薦枠も確定したことで、医学部を目指す生徒は早い時期からモチベーションを高く持ち、学習に取り組むことができるのが大きい。また、同校は、ドイツ語をはじめ外国語教育にも長年の蓄積があり、医科大学同様、系列の大学と連携ができるのも強みである。その分野に興味のある受験生は、一度、説明会と学校の雰囲気(校風)を感じ取りに足を運んでみてはいかがだろう。

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