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スクール特集(本郷中学校の特色のある教育 #3)

中1は学習習慣と自己マネジメント力を強化。高い学力へ繋げる基盤を作る本郷教育

「文武両道・自学自習・生活習慣の確立」を教育目標に掲げる本郷中学校。今年の中学1年生はコロナ禍のため、動画配信による授業で中学生活がスタートした。1、2学期の取り組みと今後について取材した。

2021年度から高校の募集を停止し、完全なる中高一貫の男子校となる本郷中学校。2020年度入試から中学校の募集人数を増やし、新・中1生、約300名が在籍している。しかし、新型コロナ感染症拡大により、通常の対面授業が行えないまま、新学期がスタート。そんな中でも教育目標に基づいた指導を徹底し、学校生活を軌道に乗せていった中1生の指導を行っている理科の前野隆司先生に話を聞いた。

オンラインHRで先生と生徒同士が初顔合わせ

今年は新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け、都内では4月の入学式を見送る学校が多く、本郷中学校も入学式を延期した。「先生と生徒、また生徒同士が直接顔を合わせることもないまま新学期を迎えました。しかし、本校は少しでも交流の機会を作ろうと、オンラインによるホームルーム(HR)から学校生活をスタート。Google Classroomを活用し、朝と下校前、同じ時刻にHRを行い、生活習慣をつけることを徹底しました。在宅でも学校生活を送っている意識を生徒たちに根付かせたかったからです」と前野先生。またGoogleMeetも活用。趣味ごとにグループを作るなど、興味関心で生徒同士がコミュニケーションをとれる仕組みを取り入れ、友達作りがしやすい環境を整えた。新学期早々、生徒がつまずかないように学校側がしっかり準備を整えた結果、生徒たちは素直に受け入れ、問題なく学校生活はスタートした。

▶︎前野隆司先生

オンライン授業でも人との繋がりを重要視

5月からは授業の動画配信が始まった。「本校のオンライン授業は、YouTubeによる動画配信です。1教科、1回、約50分授業ですが、あまり長く講義が続くと生徒たちは飽きてしまうので、講義動画のあとに演習をさせたり、映像資料を見せたり、50分間の授業の中、各教科の先生方が工夫を凝らした授業を展開しました」と前野先生。体育、家庭科などの実技に関しては「家庭科では家の手伝いを課題として出し、体育では家でもできる体操を動画配信しました。本校の体育祭で毎年披露している『本郷体操』も、今年は体育の授業配信で行いました。かつて教頭として在籍していた体育教育の権威、永井道明先生が発案した体操を、中1の生徒にも学ばせることができたのはよかったです」。

授業動画を見る時間は自由だが、1週間の学年時間割に合わせて受講をすることで、在宅でも学校生活と同じサイクルで学習に取り組むことができるように指導。ただネット環境は各家庭で異なるため、兄弟姉妹がいる場合は、譲り合いながら受講をすることもあっただろう。そのため厳密に時間割通りの学習を勧めることはしなかったそうだ。「Google Classroomは受講生一覧と受講の確認ができるので、受講していなかった生徒には、担任教師が個別に電話をして状況を聞くなど、一方通行にならないように生徒との繋がりを大切にしていました」。保護者にも、学校の取り組みや現状の報告について学年通信を通してこまめに発信していくなど、生徒だけでなく保護者との繋がりも大切にしていると語る。

自立への道をサポートする手帳と朝読書

入学式は5月31日に実施。6月から午前と午後で分散登校が始まった。「最初はぎこちないのだろうと思っていましたが、オンラインHRで先生も生徒もお互い顔がわかっていたので、生徒たちは想像以上にすんなりとクラスに溶け込んでいきました」と前野先生。授業進度は、例年より少し遅れている教科もあるという。「しかし、本校は中高一貫校なので、6年間で十分取り戻せます。中1生のうちは、学習の進度よりも、生活のリズムを作ること、勉強の方法を学ぶことに力を入れています」。小学校の頃は親任せだったスケジュール管理を自分でしっかり行うことができるように、同校では全生徒が手帳を活用している。「手帳に日々のスケジュール、課題の締め切り、持ち物のメモ、自宅学習の予定などを書き込みます。自己管理ができるようになれば、計画的に学習を進めることができるようになるので、成績アップにも繋がる。この手帳を使いこなすことが自立への第一歩ですね」と語る。

また同校は朝読書にも力を入れている。「学年図書を6,7冊選んで、それを朝のHRの時間に読みます。読解力を身につけ、情報を得るという効果のほか、生徒同士で感動を共有できるのでコミュニケーションに繋がるというメリットもあります。読書をすることでイメージを膨らませ、経験だけでは得られない、想像力を育ませたいと考えています」と前野先生。今後は図書室でHRと朝読書を行う予定だ。「図書室は2号館(高校棟)にあるので、中学生は少々行きにくかったと思いますが、HRを図書室で行えば堂々と出入りできます。図書室ではさまざまな本に触れられますから、この機会に大いに活用してもらい、生徒たちの読書体験を広げてほしいと思います」

先輩が後輩に学習法を伝授する動画を配信

休校によるオンライン配信授業、分散登校を得て、2学期から通常登校となったが、部活動や郊外学習などは制限しながら行っていると前野先生。「部活動は上級生からスタートし、7月中旬頃から中1生の体験入部を始めました。体験入部は夏休みいっぱいまで続き、例年にない長さでしたが、その分、中1たちはさまざまなクラブを体験できたのでよかったのではないでしょうか。2学期からは中1も学習と両立しながら部活動も頑張っています」

先輩と後輩の関係は部活動で育まれていくことが多いが、今年は密を避け、学年ごとに分けて活動しているため、先輩と後輩のコミュニケーションを築くのが難しい。しかし、同校では学習面で、先輩が後輩をしっかりサポートしていると言う。「本校では、中2が中1勉強を教える数学合同授業を、定期考査前などに数回実施しています。しかし、今年はコロナ禍でできないため、動画を使って何かできないかと考え、中2に提案してみたら、有志が数学をはじめとするさまざまな教科の勉強のやり方の動画をつくり、後輩のために配信することができたのです」と前野先生。本郷生として過ごした1年間で得た知識を後輩へ伝授していく中2生の行動力は、先生方にとってもうれしい驚きだったそうだ。

「学校は楽しい!」登校する喜びを実感した2020年

コロナ禍の中、年間スケジュールの大幅な変更を余儀なくされたが、逆に大きな学びも得たと語る前野先生。「まず生徒も教師も『学校は楽しい』と実感したのではないでしょうか。登校できることの喜びをこれほど感じた年はないかもしれません。1学期は昼食はなしでしたが、2学期から午前午後授業になるから、お弁当を持ってくるようにと生徒たちに伝えたとき、みんな『やったー!』と喜んでいました。生徒たちも短時間の学校生活は少し寂しかったのでしょう。半日学校にいられること、友達と過ごせることがうれしかったのだと思います。授業はオンラインでもできますが、やはり人との交流は大切。そこから学べることがたくさんありますから」

また先生方もオンライン授業を経て、変化を受け入れ前に進んでいくことの大切さを知ったと言う。「教師は自身の理念や教育観に基づいて仕事をしていますので、変化を受け入れることが苦手なことが多いと思います。コミュニケーション能力や社会性に長けた大人がオンラインで仕事をするのと、中学生がオンラインで学ぶことでは、意味合いが違います。実は、私もオンラインのデバイスは中学生には使いこなせないのではないかと思っていました。しかし、今回、オンライン授業を経験し、授業に必要であればどんどん導入していく方がいいと考えるようになりました。もしも再び休校せざるをえない状況になっても、本校は十分に対応できます」と語る。

定期考査は7月と10月に実施。1学期はオンライン授業がメインだったが、生徒たちはしっかり学んでおり、対面授業のときと変わらず、学力は安定していると言う。今後の課題を問うと前野先生は「積極性を養うことです。基本的に学力が高い生徒たちなので、勉強に関しては、中高6年間通して着実に上げていけるはずです。中1のうちはメンタル面での積極性や自立心を養うことに注力したい。人間性、社会性を身に付ける術は、大学では教えてくれませんから」。高い学力の強化だけでなく、社会に出たときに活躍できる人間力の育成も本郷中学校の特色。その教育は「スマートであれ!紳士であれ!」という同校の校訓に繋がっている。

(取材を終えて)
4月のスタートからコロナ禍により休校となってしまったが、本郷中学校は実に落ち着いて対処していた印象だ。オンライン授業の配信も家庭の状況に配慮して、自由に受講できるようにしたり、担任教師が生徒ひとりひとりに目を配り、受講記録をチェックして連絡を入れるなど、対面授業ができなくても生徒ときちんと向き合う姿勢が見えた。これなら生徒も保護者も安心だろう。また、中1生はまず、生活習慣と自立心を育てるところから始めるという同校の教育方針は、やらされるのではなく、自ら学習に取り組む力を育成する。それが高い学力や希望の進路を叶える力の基盤となっていると感じた。

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