スクール特集(滝川中学校の特色のある教育 #5)

伝統と挑戦が息づく新・滝川中学。共学化2年目のリアル
男子校の伝統と改革への挑戦を併せ持つ滝川中学校。共学化2年目を迎え、男女ともに自分らしく成長できる教育環境が注目されている。共学化2期生の女子生徒にインタビュー。そのリアリティを伝える。
2022年春のコース再編、2024年春の共学化と、次世代型の教育へと大きく舵を切った滝川中学校。医学部医学科進学に特化した「医進選抜コース」、ターム留学を核とする「Science Global一貫コース」、深い探究活動を軸とする「ミライ探究一貫コース」の3本柱で構成され、明確な進路意識と目的を持った生徒たちが集う場となっている。共学化2年目となる2025年度は、女子62名(医進選抜19名、Science Global一貫コース43名)が入学。前年を上回る志願者数となり、人気の高まりを示している。そんな新しい滝川の姿を、今年入学した2人の女子生徒に聞いた。
医進選抜コース 中学1年 宮本 蘭さん
(神戸市在住)
ー滝川中学校の医進選抜コースを選んだ理由を教えてください。
小さい頃から病気やケガをしたとき、お医者さんに診てもらうと元気になる自分がいて、「私も人を元気にできる仕事がしたい」と思うようになりました。特に、かかりつけの小児科の先生がとても頼りがいがあって、憧れでした。中学受験の時、滝川中学の医進選抜コースを知り、ここなら夢がかなえられると思って志望しました。
ー受験準備はいつ頃から始めましたか?
小学4年生のときに塾に入りました。志望校を意識するようになったのは5年生頃から。母と一緒に学校説明会にも参加し、将来のことをじっくり話し合いました。母自身は経済学部出身で金融機関に勤めていたのですが、かつては医師になりたい夢もあったそうで、私の夢をすごく応援してくれています。
ー実際に入学して、学校生活はどうですか?
想像していたよりも楽しくて、明るい雰囲気です。男女関係なく話しやすくて、クラス全体がとても仲良しです。勉強のスピードは速いですが、わからないところは授業後に先生に聞いたり、友達同士で教え合ったりできる環境です。初めての中間テストも、授業内容にしっかり取り組んだため、手ごたえのある結果でした。
ー放課後の「メディカルゼミ」はどうですか?
医進選抜コースは平日の放課後、18時30分まで「メディカルゼミ」が行われます。神戸大学の学生さんが英語や数学を中心に教えてくれます。授業の予習のような形で、わかりやすく丁寧に指導してくれるので、学校の勉強に余裕が持てます。わからない問題があってもその場で解決できるのが魅力です。
ー好きな授業を教えてください?
どの授業もおもしろいですが、国語の授業が大好きです。説明が本当におもしろくて、苦手だった国語にも前向きになれました。どの教科の先生も授業が楽しくて、毎日新しい発見があります。
ー家庭での勉強や生活について教えてください。
宿題は家で集中してやりますが、すきま時間も活用するようにしています。母は私を本当に支えてくれていて、夜遅くまで勉強していると温かい夜食を用意してくれます。母のサポートが本当にありがたいです。
ー将来、どんなお医者さんになりたいですか?
まだ診療科は決まっていませんが、患者さんに「この先生に診てもらえてよかった」と思ってもらえるような、優しくて頼れる医師になりたいです。母の分まで夢を叶えて、たくさんの人の役に立ちたいです。
Science Global一貫コース 中学1年 中桐 有彩さん
(神戸市在住)
ー滝川中学校を選んだ理由を教えてください。
家から近くて通いやすいことに加えて、校外学習が充実していたり、制服のバリエーションが豊富だったりと、魅力的なポイントがたくさんありました。校風が自分に合っていそうだと感じて、塾の先生からも「SGコースに向いている」とすすめられたことが決め手になりました。
サイエンスグローバルコースということで、英語に不安はなかったですか?
実は、小学校の時は英語をほとんど習っていなかったので、かなり不安でした。最初の授業はスピードも速くて驚きましたが、先生が丁寧に教えてくださるので、今ではテストでも良い点が取れるようになりました。友達も助けてくれるので、置いていかれる感じはありません。
ー将来の留学にも期待していますか?
はい、中学3年での3カ月のターム留学がすごく楽しみです。英語でのやりとりはまだまだこれからですが、海外の文化に触れたり、世界の広さを体感したいです。留学に向けて、コース全体で英検にチャレンジします。これから段階を踏んでレベルアップしていきたいです。
ー部活動について教えてください。
書道部に所属しています。もともと字を書くのは好きでしたが、書道は初挑戦でした。高校生も一緒に活動していますが、先輩たちがやさしく教えてくれて、パフォーマンス書道にも挑戦しました。詩を大きな紙に表現するのは緊張しましたが、完成したときの達成感は格別でした。
ー学校生活で大切にしていることは?
ノートを丁寧にまとめるのが得意で、授業の復習にも役立っています。カラーペンを使って視覚的にわかりやすくしたり、自分の言葉で書き直したりすることで、内容がしっかり頭に入ります。友達からも「きれいだね」と言ってもらえることがモチベーションになります。
ー将来の夢はありますか?
作家に興味があります。小学生のときから「銭天堂」シリーズなどの児童文学が好きで、たくさん読んできました。動物や自然が好きなので、犬やインコなど自分の身近な存在をモチーフにしたストーリーを書けたらいいなと思っています。言葉で人の心を動かせるようになりたいです。
ー滝川中学校のおすすめポイントは?
授業の進度は比較的速いですが、先生がちゃんと見てくれるので安心感があります。SGコースでは校外学習や留学など、学びのチャンスが多くて毎日が刺激的です。書道部の活動も楽しくて、文武両道を目指せるところが魅力です。
<取材を終えて>
共学化2年目となった2025年度も、滝川中学校は高い注目を集めている。入試では前年を上回る女子の志願者数を記録し、受験生・保護者の関心の高さがうかがえた。
今回話を聞いた2人の女子生徒は、それぞれのコースで自分の夢に向かって歩み始めていた。共通していたのは「安心して挑戦できる環境」の中で、自分らしくのびのびと過ごしている姿だ。医進選抜コースでは、放課後に行われる「メディカルゼミ」が日々の学びを力強く後押ししており、外部塾に頼らなくても学校内で十分に完結する体制が整っている。Science Global一貫コースでは、留学や探究活動など、生徒の興味関心を刺激する多彩なプログラムが日常に組み込まれている。共学化によって学校全体の雰囲気にも変化が生まれ、クラス内の協力的な空気感や、生徒一人ひとりの個性が自然に伸びる場が育っているように感じられた。
滝川中学校は、これからも「目標に向かって真剣に学びたい」「自分の世界を広げたい」と願う生徒たちにとって、心強い選択肢の一つになるだろう。