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西武台新座中学校 

スクール特集(西武台新座中学校の特色のある教育 #3)

アクティブ・ラーニングで培う“使う力”

2011年の開校当初からアクティブ・ラーニングに取り組む西武台新座中学校。より実践的な“使う力”の育成へと向けた取り組みが今始まっている。西武台式のアクティブ・ラーニングとは?

北海道大学、東京大学の研究チームと協同し、アクティブ・ラーニングの手法を取り入れた先駆的な授業を展開している西武台新座中学校。開校以来8年間に及ぶ地道な研究と取り組みによって、生徒たちの学びはどう変わったのか。開校当初からアクティブ・ラーニングに取り組む社会科の河野芳人先生と学術的なサポートを担う東大の中澤明子助教授にお話を伺った。

能動的(アクティブ)な学ぶ力を育むアクティブ・ラーニング

一方的な知識の詰め込みによる授業ではなく、生徒の主体的、能動的(アクティブ)な学ぶ力を育む新たな教育手法として注目を集めているアクティブ・ラーニング。
「生徒一人ひとりが生き生きと授業に臨んで欲しい」と願う先生たちの想いからスタートした西武台のアクティブ・ラーニングは、総合的な学習の時間のみならず各教科の教科学習やホームルームにもその手法が生かされるなど独自の発展を続けている。

アクティブ・ラーニングを推進するために、開校当初から設けられているスタジオ型教室の「SACLA(Seibudai Active Learning Lab)」。ひとつの教室内に3面のスクリーンとプロジェクターが配備され、生徒一人ひとりに与えられているiPadを活用したプレゼンテーションが可能だ。また、通常の教室よりも広く、可動式の机を採用したことで自由自在にレイアウトできる。アクティブ・ラーニングに適したグループワークしやすい教室環境が整っているわけだ。

「はじめの3年くらいは総合的な学習の時間でSACLAの教室環境とICT機器を活用して、アクティブ・ラーニングでどんなことができるのかを模索する日々でした」と河野先生。

▶︎社会科 河野芳人先生

8年間の取り組みを経て、いざ次なるステージへ

ICTの活用教育を推進する東大の中澤先生も、開校したばかりの学校で何ができるのか手探りの状態からはじまったそうだ。
「アクティブ・ラーニングの取り組みを始めて8年。SACLAの教室環境とICT機器を活用してどんなことができるかはおおよそ試すことができたので、次はより日常的な教科学習や、教室以外の場所でもICTの活用教育にもっと取り組む段階に移って来たかなと感じています。さらにこれまで蓄積してきたものを“西武台式のアクティブ・ラーニング”としてしっかり形にする段階まで来ていると思います」(中澤先生)

SACLAを活用した授業の実績も数多く、2〜3人ずつのグループで取り組んだ生徒たちによる授業づくりも成功事例のひとつ。
「私が担当する地理で、40分間の授業を生徒たちが自らデザインするというグループワークを行いました。教科書レベルで調べられる内容に加えて、“自分たちなりの新しい視点”でテーマを付け加えることを課題にすると、ある生徒はiPadを使ってインターネットで調べたり、別の生徒は関連する文献を読み込んだり、自分たちの興味・関心のあるテーマについて能動的(アクティブ)に調べようとする前向きな意識があらわれたのです」(河野先生)

あらかじめ見本となる授業を河野先生が示したり、内容の過不足があればフォローしたり、きめ細やかな授業の工夫とともに能動的に学ぶことの楽しさに気がつかせてくれるのがアクティブ・ラーニングのねらい。
今では生徒から「アクティブ・ラーニングしてよ!」とリクエストもあるほどで、アクティブ・ラーニングの楽しさは実際に授業を体験する生徒の表情からも読み取れる。

▶︎中澤明子助教授

中1社会科のアクティブ・ラーニング

河野先生による「画像からアジアの成長を考えよう!」という学習課題の授業を実際に見学させていただいた。

1枚の写真から読み取れる情報をもとに、まずは自分ひとりで意見や考えをまとめてプリントに記入する。前回までの授業であらかじめ提出されていたプリントをもとに、今回の授業は3〜4人ごとに分かれたグループでおたがいの意見、考えを共有するところからスタート。

プリントの返却と同時に河野先生から生徒に伝えられたのは、「答えが合っていたらポイントをあげるのではなく、しっかりと自分で考えて自分の意見が書かれているものにはポイントをあげます」ということ。
グループでおたがいの意見や考えを共有する前半部分と、後半はグループとしての意見をまとめてクラス全員の前で発表するところまでの50分授業。

iPadを活用した情報収集のスキルはもちろん、グループで話し合いひとつの意見を導き出すコミュニケーション力も育成される内容で、何よりも生徒一人ひとりが生き生きと授業に臨むクラス全体の雰囲気が印象的だ。
「グループの全員が同じ答えだったところは無いと思います」
「合っている答えを出す必要はありませんので、ぜひ自分たちで考えて答えを出してください」

適切なタイミングで伝えられるメッセージもアクティブ・ラーニングならではのエッセンスで、クラス全員の前で発表する生徒の姿も中学1年生とは思えないほどの堂々たるプレゼンだった。

学校全体に広がるアクティブ・ラーニングの輪

「アクティブ・ラーニングを教科学習にも取り入れたいという話は開校当初からありましたが、前例のない取り組みで先生たちに無理をさせてしまうのは避けたかったので、まずは総合的な学習の時間でモデルケースを作ることから始めました。8年の歳月はかかりましたが、無理なく進めて来られたのが西武台式のアクティブ・ラーニングを形づくるには大きかったかなと思います」(河野先生)

学年や教科の異なる先生とも一人ひとり授業を共にし、アクティブ・ラーニングによる授業を繰り返し実践して来たことで、今ではそれぞれの先生がさらに工夫を重ねて多彩な授業を展開していると言う。

例えば自前で制作したホワイトボードを“まなボード”と名付けてアクティブな情報交換を促す国語の先生や、実体験を重視して土器を実際に作ってみる授業に取り組んだ社会の先生、教科学習以外にもホームルームで“1分間スピーチ”を取り入れる先生など、能動的な学びを促す様々な取り組みの輪が学校中に広がっている。

「尊敬する人は誰ですか?」
「私の尊敬する人はお父さんとお母さんです。お父さんとお母さんは一生懸命私のことを理解しようとしてくれる。他者の気持ちをおもんばかって話を聞いて理解しようとしてくれるから。私がイライラしている時も、お父さんは話を聞いてくれるし、一緒に笑ってくれたり悲しんだりもしてくれる。他者の気持ちを理解するのは難しいと私も思っているけど、お父さん、お母さんはそれができる人。私もそうなりたいといつも思っています」と。

普段から周囲に対して気遣いのできる生徒で、クラスメイトからも身近で尊敬する人として名前が挙がるほどの存在。“使う力”を育成する目的で始めた“1分間スピーチ”は、生徒一人ひとりのユニークな視点やそこから垣間見える人となりをおたがいに知る貴重な機会にもなり、評判の活動として続いている。

アウトプットの“使う力”を重視した取り組み

「インプット(知識を得る)」「トランスフォーム(知識に基づき考える)」「アウトプット(考えや応用方法を伝える=“使う力”)」の3つの流れをベースに授業を作るアクティブ・ラーニングの中でも、西武台では今「アウトプット」の“使う力”を重視した取り組みを進めている。

昨今、面接やプレゼンテーションによるAO入試を希望する内進生も多く、ペーパーテストだけでは測れない能力の大切さに気がつかせてくれたのは1期生、2期生の卒業生だ。

実業家さながらのプレゼンを行い見事に進学の夢をつかんだ子や小論文やグループディスカッションを課される入試を突破して国公立大学に進学する子も現れた。在学中にiPadをはじめとしたICT機器の扱いに慣れ親しみ、アクティブ・ラーニングによって自然と“使う力”が育まれ、実際の社会でも役立つスキルと感性が磨かれていたのであろう。

8年間の取り組みを経て卒業生から見えて来た新たな発見。論理的思考を追求するディベートやパワーポイントを使った効果的なプレゼンテーション、新聞、紙芝居、ムービー制作といったアウトプットを重視した取り組みが進められている。

<取材を終えて>
河野先生の授業を見学させていただき、生徒たちが生き生きと楽しそうにアクティブ・ラーニングに取り組んでいることを実感した。テンポ良く進む授業は非常に心地良く、50分間の授業中、生徒たちの集中力が途切れることもなかった。生徒に正答を求めるのではなく、考えることを要求している点が通常の授業と最も異なる点。“使う力”を超えて、生きる力をつけることができるのが西武台式アクティブ・ラーニングだと確認することができた。

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