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西武台新座中学校

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スクール特集(西武台新座中学校の特色のある教育 #5)

3名の学年主任が語る西武台新座中のいま、そしてこれから

休校期間中も学びを止めることなく生徒や保護者とも信頼関係を築きながら前進し続けてきた西武台新座中学校。新年度を迎えこれから取り組むべき目標について、学年主任の3名の先生にお話を伺った。

2011年の開校以来ICTを取り入れた授業の研究を続け、休校期間中のオンライン授業にもいち早く対応することができた西武台新座中学校。ICT主任の河野先生曰く、通常の対面式授業では気付くことの無かった新たな発見やメリットもあったとコロナ禍の一年を振り返る。

これまで経験したことの無い危機に直面しながらも学びを止めず前向きに進み続けて来られたのは、充実したICT環境もさることながら子どもたちを思う先生方の熱意と努力によるものだろう。

コロナの感染拡大が未だ収束しない中で2021年度の新学期が始まり、学校はどうあるべきか、また生徒や保護者はいま何をするべきなのか。学年主任を担当する3名の先生に話を伺い、学年ごとの目標やそこに込められた先生方の思いについて語っていただいた。

<お話を聞いた先生>
1年 学年主任 栗原隆恵先生
2年 学年主任 木村俊一先生
3年 学年主任 河野芳人先生

▶︎写真左より:1年学年主任 栗原隆恵先生、3年学年主任 河野芳人先生、2年学年主任 木村俊一先生

2021年度の学年目標と、そこに込めた思い

Q.今年度の学年目標と、そこに込められた先生方の思いについてお聞かせください。

河野先生:まず本校の学年目標は中学校3年間とさらにその先を見据えた〈総括目標〉というのがありまして「1人1人が6年後になりたい自分のビジョンを明確に持ち、生徒、教員、保護者が力を合わせてそのゴールに向けて努力し続ける学年」という大きな目標を掲げています。

さらに生徒たちの成長段階に合わせて一年ごとに更新する〈学年目標〉もありまして、その内容については学年主任の私たちがそれぞれ考えています。

栗原先生:1年生の学年目標は3つあります。

「夢や理想に向かって全力でやり抜く学年」
「共に助け合い、共に学び合える学年」
「相互に信頼と思いやりのある学年」

一つめの目標は、入学時に自分の夢や理想を作文で書いてもらうのですが、それに向かって一生懸命取り組んで欲しいという願いを込めています。授業や定期テストはもちろん、体育祭や文化祭といった学校行事もそうですし、英語科の私としては英語検定にも全力で挑戦して欲しいと思っています。

二つめは今まででもっとも人数の多い2クラス46名の学年で、なおかつ10期生というある意味節目の学年にもなるので、10期生全員が一丸となってまとまれば大きな力になると思って「共に」としました。

三つめの「相互に」は、先生と生徒だけではなく、生徒と保護者、保護者と先生もお互いに信頼し合える関係を築くことで思いやりも生まれ、生徒にとって学校が楽しい場所になるようにという思いを込めています。

木村先生:2年生は「変化に強い人間を育てること」を命題として掲げています。変化の激しいこれからの時代を生き抜くためには、変化に強い人間を育てることが重要だと考えます。

そのためのステップとして5つ。

Step1 : 様々な知識のインプット(座学)
Step2 : 自分を成長させる体験的アウトプット(行事)
Step3 : 人間関係と勉強のストレス耐性をつくる(学校生活と家庭学習)
Step4 : 変化に応じた環境づくり(学年の柱)
Step5:問題を解決し新しい付加価値を生み出せる人間(自己改革マインド)

まずは授業を通じて様々な知識をインプットすることからはじまり、行事を通じて自分を成長させるような体験的なアウトプットもして欲しいと。行事で体験したことが自分の自信につながることもあるので、コロナ禍ではありますがそういう機会を作っていきたいですね。

さらに次のステップでは学校生活を送るうえで人間関係と勉強に対するストレス耐性をつくって欲しい。与えられた課題をきちっとやり抜く力や、人間関係も嫌なことがあったらすぐに泣いてしまうといったことではなくて、自分たちで解決できる力や人間関係形成を自らできる力を身につけて欲しいと思います。

さらにStep4からは我々の学年の柱になっていくのですが、変化に強いということはつまり変化に応じて自分たちで環境をつくっていけるかどうかということで、最後のStep5では問題を解決して新しい付加価値を生み出せるようになることを理想としています。

河野先生:3年生は知育、徳育、体育の3つの柱に沿って学年目標を立てています。

●「夢の実現に必要な学習計画、進路計画を立て、自分で責任を持ち、夢へ邁進し続ける生徒」(知育)
●「学校生活のルールを守る理由をしっかりと理解し、それを後輩と共有し未来の組織を創れる生徒」(徳育)
●「学校行事や部活動に積極的に参加し、中学生としての基礎体力を身につけ、6年間努力し続けることができる生徒」(体育)

また学年目標には敢えて掲げていないのですが、研修のときに子どもたちの前で約束したことがあります。それは「この学年は夢を叶える学年です」ということです。

それぞれ大人になった時に自分がどんな大人になっていたいかをちゃんと想像して、そこに向かっていく6年間だよと。またすぐに結果が出るわけではなくて、結果を出すために6年間かけてしっかり力をつけていこうということを伝えました。

Q.ご経験の長い河野先生から見て、いまの西武台新座中学校に求められていることは?

河野先生:私は西武台新座中学校に来て7年目で学年主任の経験もふたまわり目になるのですが、うちの学校に求められていることは多岐に渡っていると感じています。

いわゆる進学校であれば進学実績というのがひとつの大きな目標となって親御さんの期待もそこに向かうわけですが、本校に関しては良い大学に入れるために受験させたと言う親御さんもいれば、伸び伸びとしたあったかい雰囲気の中で一人ひとりを大切にしてくれるような教育をしてくれるから選びましたという方もいます。

つまり様々なニーズを受け止めなくてはいけないんだなということを感じています。総括目標にも「1人1人が6年後になりたい自分のビジョンを明確に持ち〜」とあるように、一人ひとりの夢にアプローチできるような学年運営をして行きたいなと。またそのためには生徒、教員、保護者の3者が力を合わせてコミュニケーションをとっていくことがすごく大事なことだと感じています。

学年目標に対する取り組みの実際

Q.学年目標に対する生徒の反応や取り組みの姿勢はいかがですか?

栗原先生:例年は2泊3日のオリエンテーション合宿で中学校生活を送るうえでの心得であったり行動規範を教えたりする研修があるんですけど、今年度は実施出来ませんでした。

そこで宿泊を伴わないかたちで4月中旬に学校で研修を行ったのですが、翌日からすぐに実行できているのを感じました。例えば先生の話を聞く姿勢や5分前行動、提出物の管理もそうですし、46人全員がしっかりできているのを感じます。

こちらが伝えたことをきちんと受け止めて行動に移せる素直さがあり、このままいろんなところを吸収してくれれば良い学年になるかなと期待しています。

Q.コロナの収束が未だ見えない状況ですが、去年の振り返りと今年度に向けての思いをお聞かせください。

河野先生:1年前、コロナの影響で通常の授業が止まったというのは間違いなく大きな出来事でマイナスの部分も当然あったと思うんですけど、私はすべてがマイナスだったとは捉えていません。むしろ教員としてこういう状況が無ければオンライン授業も検討しなかったでしょうし、いろんなことにチャレンジできて私も個人的にスキルアップしたと思っています。

本校はICTの研究を通じて東京大学とのつながりもあり、2月には大学がオンライン授業をはじめるといった話も聞いていたので、本校でもいち早く準備を進めて4月からオンライン授業をスタートすることができました。

ただ通常の授業としてカウントできるのか国としてもまだ方針が決まっていない時期だったので、とりあえず子どもたちが勉強できる場だけは守ってあげたいという先生方の思いから動き出した取り組みでもありました。

パソコンに不慣れな年配の先生もいれば新任の先生もいる中で、みんなで協力してオンライン授業に取り組んだのですが、そういった先生方の思いが子どもたちにも自然と伝わったのかなと。

コロナの影響で授業ができなかったとか行事をやってくれなかったというネガティブな感情よりも、大変な状況の中でも先生たちが必死になってやってくれたと好意的に捉えてくれて、学校がよりいっそう好きになったと感じてくれた子どもが多かったんじゃないかと私は感じています。

いまだに制限も多く、できないこともまだまだ多い状況ではありますけど、前向きに捉えていろんなことにチャレンジできる一年にしていきたいなと思います。

担当学年の特色を紹介

Q.各学年の特色や印象的なエピソードがあればお聞かせください。

栗原先生:今年の1年生は、先ほどお話しした素直なところもそうですが、勉強に関してはS(Seibudai)タイムで行う英単語の発音・発声が綺麗にできているなと感じます。

Sタイムというのは、朝のショートホームルームの前に行う20分間のカリキュラムで、中1は月・水・金の朝に英語の発音・発声を繰り返し行います。例年と比べても発音は上手いし1年生ではなかなか読めないような単語も耳で聞いてちゃんと発音できているのにはびっくりしました。

しかも一人ひとりがちゃんと声を出しているんです。普通なら恥ずかしくてできないような練習にもきちんと取り組めているのはすごいなと思いました。素直さと吸収能力の高さが今年の1年生の自慢です。

木村先生:学年主任になってまず感じたのは、教養のある子が多いなと。しかも自分で計画を立ててPDCAサイクルをまわしながら自分を高めていける子が多い。

良い大学に行くだけじゃなくて、何か特別なことを成し遂げられるようなスペシャルなものを持っているんじゃないかと思わせてくれます。

偏差値のように数値化できるものではなく、この生徒すごいなと感じさせてくれる何かを持っているということです。例えば文才があったり、日経新聞をひたすら読んでいる子がいたり。そういう子どもたちを大事にしていきたいなと思います。

河野先生:今年の3年生は勉強やスポーツなどで何か飛び抜けてできているかと言えばそういう感じではないですね。ただ、学校のことが好きだということは強く感じます。毎日楽しそうに、前向きな気持ちで学校に来てくれる子が多いのがうちの学年の自慢です。

子どもたちと日々接するうえで気をつけているのは、こちらから強制するようなことはしないようにしようと。やるのもやらないのも最後はあなたが決めなさいと強調しているので、やらずに失敗してしまう子もいるんですが、むしろ自分でやりたいと思ってやっている子のエネルギーを大切にしています。「あいつもやってるんだから、自分もやろう」といったまわりを巻き込んでいく大きな力になるんですよね。

Q.先生が感じる西武台新座中学校の良いところとは? また今年度の取り組みで注目すべきことがあれば教えてください。

栗原先生:そうですね、教員にもいろんなことにチャレンジさせてくれる学校だなと思います。学年目標を立てるときもそうですが、私たちがどういう学年にしたいかといった考えを尊重してくれるのでやりがいにもつながります。

着任して1年目のことですが、英語教育でこういうことが大事だと思いますと上司に伝えたら、「授業で実践して結果を出してみて」とはっぱをかけてもらったのを覚えています。

私が取り組んだ西武台式英語は3年目くらいでようやく形になって、4年目、5年目で発展させて今のかたちになりました。ここに至るまでいろんな先生方の協力を得ながら西武台式英語を確立することができたわけですが、この経験がいまの私につながっています。

自分が正しいと思うことで生徒のためになるんだったらやってごらんと。いろんなことにチャレンジさせてもらえる環境があります。

今年度に関しては「まなびコーチング」というのが一つのキーワードになってくると思います。「個別最適な学び」と「協働的な学び」の一体的な学びを、まなびコーチングという民間の会社のサポートを受けながら本校で確立していく計画です。

内容としては、学習計画の立て方からテストの結果に応じた類似問題や応用問題の配布・配信といったことに至るまで、一人ひとりの学習状況に応じて個別に最適なサポートを行うといったものです。

また自習室に4名くらいの小集団で勉強できるスペースを設けて、友達同士で学び合えるような空間も作ります。普段の教室での勉強とまなびコーチングのサポートを活用することによって学習の質を高めます。

木村先生:西武台新座中の先生は生徒のことをきちんと受け止める、包容力のある先生が多いなと。

私の学年は「生徒一人一人を包摂する」というのもテーマのひとつにしていますが、先生方の子どもに対する関わり方が不登校の少なさにも繋がっているのかなと感じます。

また情熱のある先生も多くて、自分の情熱が足りないと恥ずかしくなっちゃうくらいの雰囲気もあります。

教員の仕事って生徒のためにどれだけの教育活動を尽くせるかというところだと思うので、情熱って大切ですね。情熱のある先生が揃っているのは私としても嬉しいし、この学校で働けることを誇りに思います。

Q.最後に、先生の思い描く理想の学校像についてお聞かせください。

河野先生:私はやっぱり学校は楽しいと思ってもらえる場所でありたいと思っています。

オンライン授業が普及したことで学校に行きたくなければ行かなくても良いんじゃないかといった意見もありますが、いま学校のあり方がすごく問われているように感じています。

だからこそ「なんで行かないの? 学校って楽しいじゃん」って、子どもたちに言ってもらえるような学校でありたいなと思います。

コロナ禍の取り組みであらためて感じましたが、子どもたちのためにチャレンジをしたり何かを生み出そうとする時の教員のエネルギーってものすごくて、それが子どもたちにも響いたのかなと思っています。こうした先生方の思いが子どもたちにも伝わるようなそんな学校の良いところを守り続けていくのが今後の課題ですね。

<取材を終えて>
様々な思いや考えがある中で、学校は子どもたちにとって楽しいと思える場所でありたいといったお話を伺えたのが印象的だった。コロナ禍で生徒も先生も苦労をしたからこそ語られた言葉のようにも感じられ、生徒を思い常に前向きにチャレンジし続けてきた西武台新座中の先生方の優しさと温もりが伝わって来る取材だった。

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