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しらゆりがくえん

白百合学園中学校 

スクール特集(白百合学園中学校の特色のある教育 #4)

目に見えない価値を大切にしたカトリック精神に基づく芸術教育

カトリック・ミッション校の白百合学園中学高等学校では、美術や音楽の授業の中でも、キリスト教に結びついた学びを実践。豊かな心と感性を育てる同校の芸術教育を取材した。

同校は、美術や音楽を主要な行事に取り入れ、授業数も選択を含めて多く設定するなど、芸術教育を大切にしている。実技はもちろんのこと、キリスト教の精神的な部分を重視した教育を行っているのだという。その内容について、美術科の市川元樹先生と、音楽科の池田千草先生に話を聞いた。

課題を幅広く取り入れた美術の授業

中学の美術は、基礎的な学習から入り、知識と実技を合わせた授業を展開している。
「中1は、まず『たくさんの色を集めてみよう』という課題で、色の三要素とよばれる色相、明度、彩度について学びます。そして、本物の果物や野菜を用意し、そこから色を集め実際に描いていきます。中2は寄木の作品を作りますが、その時も最初に図面的な知識を教えています。

また中2では、『20年後に自分がいる部屋を描こう』というテーマのもと、遠近法に従って透視図を描く授業も行っています。生徒たちの絵には、家庭を築いて自分の子どもがいたり、医者になって患者を診ていたり、店を開いていたりと様々ですね。自分の将来を考えるきっかけにもなり、キャリア教育の一環になっています」
市川先生は「ただ絵を描く、作品を作るのではなく、いろいろな課題を提示して生徒たちの思考を広げ、制作する楽しさも同時に体験できる授業を目指しています」と話す。
「評価においても『テーマに沿って、ここまでできたらA』というように、事前に告知をしています。技術的なことだけにとどまらず、ものの捉え方や共感性を多面的に評価しています」

▶︎写真:(左)音楽科の池田千草先生、(右)美術科の市川元樹先生

中3では、キリスト教に関連させて、「十字架の道行き*」のモザイク画や、聖書に書かれている動植物をモチーフにしたステンドグラスを制作する。同校では中1から宗教の授業があり、生徒たちはキリスト教の学びを積んだ上で臨むことになる。また、制作前には改めて宗教科の先生に講義を受ける。「自分の手で作品を作ることで『十字架の道行き』であれば、よりキリストの苦しみや悲しみに思いをはせることができます。宗教に対する理解も深まりますね」と市川先生は言う。
 生徒たちが制作したモザイク画やステンドグラスは、学校のステラマリス聖堂に飾られている。

 高校に進級すると、美術は選択制となる。絵画(日本画・油画)、工芸、デザイン、映像表現など、幅広い分野を扱い、アニメーションなど今の時代に即したアートも柔軟に取り入れている。高3では自由選択も入れて最大で週8時間の授業数を用意し、1クラス2名という少ない人数であっても授業を開設。美術の進路を選択する生徒のサポートも手厚く行っている。

 高3の美術選択の生徒は、講堂で行われるクリスマスミサの構成にも携わっている。装飾以外にも、クリスマスをテーマとした企画を考え、宗教科の先生にプレゼンをして、舞台を作る。ミサの前に劇を演じたり、自作のアニメーションを流したり、毎年アイデアを駆使して、見事な演出がされるそうだ。

*十字架の道行き…カトリック教会で行われる儀式。イエス・キリストが十字架を背負ってゴルゴダの丘まで歩き、十字架に付けられて亡くなり、墓に葬られるまでの場面が14枚の絵で描かれる。その一枚一枚の絵の前でキリストの苦しみを思い、祈りを捧げる。

心を一つにして創り上げる合唱祭

同校の1日は、お祈りと聖歌とともに始まる。聖歌は毎週変わり、曜日によってフランス語や英語でも歌うそうだ。また、音楽の授業は、選択とは別に高3まで全員が必修。学校の日常に音楽が溶け込んでいることが伺える。

6月には、学園記念日感謝ミサと合唱祭が同日に開かれる。同校では、学園記念日のほかに、クリスマス、学年別の修養会、入学式や卒業式にミサを行い、生徒が演奏するオルガンに合わせてみんなで聖歌を歌う。このような「歌ミサ」を実施する学校は、全国でも数が少なくなっているそうだ。
感謝ミサの後に続く合唱祭は、中1から高3まで、クラスごとに決めた合唱曲を披露する一大イベント。生徒たちは曲の背景を調べたり、解釈を話し合ったりしながら理解を深め、指揮者、伴奏者を中心に、三部のパートに分かれて練習をする。
「4月に新しいクラスになって、曲を決めてから約1か月間、生徒たちは限られた時間の中で、一生懸命、練習に取り組んでいます。時には、ぶつかることもあるかもしれませんが、みんなで気持ちを合わせて、一つのものを創り上げていく。そのプロセスを通じて、音楽の力だけでなく、相手を思いやる心や、協働する力などが培われます。クラスの団結にもつながりますね」と池田先生は言う。

合唱祭の最後は、高校3年生が全員で、モーツァルト作曲の戴冠ミサ曲「クレド」をラテン語で歌う。6年間の集大成となる曲でもあり、その合唱は毎年、聞いている人がみな感動するほど圧巻なのだという。昨年はコロナ禍のため、合唱祭は中止となったが、高3生の強い希望により、9月末に校庭でクレドが披露された。全員マスクとフェイスシールドを着用し、一定の間隔をとるなどの制約はあったものの歌声は学校中に響き渡り、下級生から盛大な拍手を受けたそうだ。
「クレドを歌うという学園の伝統を、自分たちも大事に受け継ぎたい。そんな思いが溢れていました」と池田先生は振り返る。「クレドと並び、ヘンデル作曲の『ハレルヤ』も、代々、歌われてきた曲で、卒業しても口ずさめる曲なので同窓会などでもよく歌われていると聞きます。」

また、同校には中3以上の有志による聖歌隊もある。2019年に来日したローマ教皇が東京ドームで開いたミサにも参加し、手話を交えて聖歌を歌ったそうだ。

多様なものの見方と心を成長させる芸術教育

昨年の休校期間は、実技教科である音楽や美術もオンラインで授業の配信を行った。
「中1は始めに美しく歌うための発声法を勉強するのですが、昨年はあまり時間をとることができませんでした。しかし、対面の授業が開始した直後に聞いた歌声がとてもきれいで驚きました。家でしっかり練習をしていたのでしょう」と池田先生。
「現在も授業は、マスクとフェイスシールドを着けて行っています。3学期はハミングで歌の練習をしているのですが、音程が正確になるなど、意外に得られるものも多いんですよ。生徒たちは制約がある中でも、音楽活動を楽しんでいますね」

美術も休校期間は、オンライン授業に加え、課題の提出もしていたが、みなきちんと取り組んでいたそうだ。市川先生によると、同校の生徒は「まじめで何事にも一生懸命。また、絵を描くことが好きな生徒が多く、センスもある」という。

最後に、美術や音楽教育を通じて、育成したい力や生徒像について、二人の先生に語ってもらった。
「多様なものの見方ができる生徒に育ってほしいと思います。本校は勉強だけができればよいという学校ではなく、キリスト教の教えのもと目に見えない心の部分に価値を置き、多様性を尊重する学校です。そうした環境の中で、より多角的にものを捉える力と感性を磨いてほしいです」(市川先生)

「ミサや合唱祭など、本校が大切にしている行事を通して、豊かな心を育てていきたいと考えています。友だちと一緒に歌い、創り上げる過程のなかで相手を知り、自分のことも改めて気づくことがあります。精神的な葛藤があったり、肯定感を得たり、みんなで成し遂げる達成感を味わったりしながら生徒が成長する姿を見守っていきたいです」(池田先生)

<取材を終えて>
同校の芸術教育には、目に見えないものを大切にする、カトリックの精神が根付いている。授業は、宗教や国語、社会的なことなど、幅広い分野と関連させた学びを展開しているのが特色だ。そして、合唱も美術の制作も、生徒たちが一生懸命に取り組んでいることが、取材から伝わってきた。自身も卒業生である池田先生が、「勉強も行事も部活も全てに一生懸命なところが、白百合生の良い所だと思います。」という言葉が、この学校を物語っていると感じた。

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