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実践女子学園中学校

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デジタルパンフレット

スクール特集(実践女子学園中学校の特色のある教育 #6)

都会のノイズからも解放! 英語で科学の入口を楽しむ体験型プログラム

実践女子学園中学校では、夏休み中に「English Science Creation(ESC)Camp」(希望制)を実施。プログラムの目的や内容について、ESCキャンプ担当のキンブル・ロバート先生とジョーンズ・グリフ先生、参加した生徒に話を聞いた。

2026年度のテーマは「Mobility(モビリティ・移動)」

夏休み中に2泊3日で実施された「English Science Creation Camp 2026」には、中1から中3の生徒23名が参加した。今年度のテーマは「Mobility」。物理の基礎を学ぶプラモデルやラジコンカー作りから始まり、「モビリティリゾートもてぎ」(栃木県)でゴーカートなどを体験し、最終日にはAIを活用して発表資料を制作し、3日間の体験についてプレゼンテーションを行った。

「English Science Creation」の頭文字を取った「ESC」には、“escape”という意味も込められています。東京に住んでいると常にたくさんの音に囲まれているので、雑音によって心を乱される環境から離れて、ストレスから解放されることも目的の1つとしています。このキャンプは、英語力の向上が一番のゴールではありません。英語を使って科学的な探究を行う、科学への入口となるプログラムなのです」(キンブル先生)

参加に英語レベルの基準はなく、参加したいという気持ちが重要だという。今年度、参加にあたって大切にしたのは、全員がゴーカートとジップラインに挑戦する心の準備ができていることだった。

「ジップラインやゴーカートを怖いと思う生徒がいても、それは自然なことです。怖さがあってもいいので、それでも前に1歩進む練習をさせたいと思っています。小さな挑戦を重ねることで、勇気を持てるようになります。ですから、もし『怖いから参加できない』という生徒がいても、ジップラインやゴーカートをプログラムからなくすことは考えていません。それは、他の人が挑戦する機会を失うことになるからです。怖さを感じているから勇気を持てるのであり、怖さがなければ勇敢にはなれません。自信を持つことも素晴らしいですが、自信が失敗の原因になることもあります。勇敢であることは人生の様々な場面で助けになるので、そのきっかけとしてあえて入れています。今回、最初は怖がっていた生徒も含めて、全員が挑戦できました」(キンブル先生)

▶︎キンブル先生(写真左)とジョーンズ先生(同右)

STEAMの「A」(Art)も含めたプログラム

3日間のプログラムでは、初日に学校でプラモデルやラジコンカーを使って物理の基礎を学び、2日目と3日目にはゴーカートやジップラインを通して、速度や移動を体感。その後学校に戻り、3日間の体験についてグループごとに発表した。

「初日は自分で組み立てたラジコンカーを専用コースで走らせて、距離や時間を測定し、ラジコンカーの速さを比べました。生徒たちは、どうすればもっと速く走れるようになるか自分たちで考えます。その後、ラジコンカーで相撲対決をするために、割り箸や段ボールで改良を加えました。ただラジコンカーを組み立てるだけでなく、相撲対決用の車を自分でデザインしていくことで、車に取り付ける割り箸などが動きにどう影響するか、てこの原理などを考える機会になったのです。STEAM教育*ではAの要素である創造性がとても大事なので、本校ではAも含めたアプローチでプログラムを考えています」(キンブル先生)
*科学・技術・工学・芸術・数学の5つの領域を横断して学ぶ教育手法

プラモデル作りやラジコンカーの相撲用への改良は、女子中学生にとってよい体験になったとジョーンズ先生は振り返る。

「プログラミングやドローンでプロセスしか教えなければ、STEAMではなくSTEMです。STEAMでは、なぜ、誰のために、どのように作るのかという観点が生まれます。初日のプラモデル作りは、女子中学生にちょうどいい体験だったと思っています。私は4歳のときに経験していますし(笑)、男子生徒なら小さい頃に遊びで経験したことがある人も多いでしょう。しかし、女子生徒の多くはプラモデルで遊んだ経験がありません。だからこそ、まず実際に触れて「面白い」と感じる機会をつくることが大切だと思っています。今回、生徒たちはプラモデル作りを楽しんでいたので、科学や工学の楽しさに触れるちょうどいい年齢だったようです。(ジョーンズ先生)

▶︎ラジコンカーの製作

入口として重要なのは「楽しさ」

3日間のプログラムを体験した生徒たちは、科学や英語への興味が以前より高まっている。そして、キャンプに同行した教員にもよい変化があるという。

「昨年は音をテーマにしたプログラムで、音楽の先生が同行しましたが、こんな形で授業をやると想像したことがなかったそうです。例えば、作曲するアプリの使い方を学んだら、自由に作曲していいよと言ったので、彼女は驚いていました。音楽の授業で作曲するなら、まず理論を教えたりするので、まったく違うやり方だったのです。キャンプで経験したことは、今後の授業にも活かせると言っていました。昨年のプログラムも、機材やアプリをどう使うか学びながら自分の音楽を作ったので、ただのプロセスではなく、しっかりとAの要素が入っています」(ジョーンズ先生)

科学への入口として、「楽しい」という瞬間を作り出すことが一番大事であり、今年度は生徒たちが十分に楽しんでいると感じられたという。科学の分野をカバーできる3種類のプログラムを用意して、少しずつブラッシュアップしながら中学3年間でローテーションできるようにしたいとキンブル先生は語る。

「楽しさがモチベーションにつながるので、生徒たちが興味を持てないと何を教えても意味がありません。日本では女性の理系人材がまだまだ少ないので、その割合をどう高めるかが女子校としての使命でもあると考えています。来年、再来年のプログラムもすでに考えていますが、生徒たちから今年感じられたような熱量を維持できるプログラムにしていきたいです」(キンブル先生)

▶︎ゴーカートでサーキットを走行

ESCに参加した中2の生徒にインタビュー

Wさん(中2 昨年度も参加)
Aさん(中2 昨年度も参加)
Iさん(中2 昨年度も参加)
Tさん(中2 昨年度も参加)

――ESCに参加しようと思った理由を教えてください。

Wさん 私は自然に触れるのが好きなので、今年も参加しました。去年は森などでフィールドワークをしましたが、今年はゴーカートやジップラインで風を感じることができて楽しかったです。

Aさん 去年は、水の音や森の音を採集して曲を作ったりして楽しかったです。今年はゴーカートに乗るなど、去年より体験型なので、さらに楽しそうだと思って参加しました。

Iさん テーマが毎年違っていて、ネイティブの先生が面白く、いろいろな体験をするのが好きなので参加しました。去年は音を採集しているときに雨が降っていたのですが、雨の音も使って曲を作れたので楽しかったです。 

Tさん 夏の講習は日本語で数学などを学ぶのが一般的ですが、このプログラムは英語で学ぶのがいいなと思います。学校の外でいろいろな体験ができますし、去年も参加して楽しかったので今年も参加しました。

▶︎Wさん

▶︎ちょっと怖いけど楽しいジップライン

――一番楽しかったことを教えてください。

Wさん ゴーカートです。最初はゆっくりゆっくりでしたが、何周かして慣れてきたら少しスピードを出して走れたので楽しかったです。 

Aさん ジップラインが楽しかったです。高いところは怖くないので、行く前から楽しみでした。

Iさん ゴーカートとジップラインが楽しかったです。ゴーカートはちょうど慣れてきたときに終わってしまったので、もっとやりたかったです。

Tさん ジップラインやゴーカートも楽しかったですが、グランピングのテントに泊まったこともよかったです。ベッドやエアコンもあって、食事は隣にあるホテルでビュッフェだったので快適さもありつつ、朝起きたときには霧や朝露などの自然が感じられ、空気も美味しくて、テントの中でみんなと楽しく過ごせました。

▶︎Aさん

――ESCに参加してどのような学びができましたか?

Tさん 初日にラジコンカーを作って競走してみたとき、もっと速く走らせるにはどこを改良したらいいか自然と自分から試したくなりました。例えば、ちゃんと潤滑油を入れないとスピードが出ないことなども、知ることができました。ラジコンカーの相撲対決では、勝つ方法を考えるのが難しかったです。私たちの班は攻撃する割り箸をつけたりするだけでしたが、キンブル先生は坂道のように段ボールを取り付けて、ぶつかってきた車をすくい上げてひっくり返していたので、私たちにはないアイデアでした。

Aさん 英語の聞き取りが苦手だったのですが、3日間ずっと先生たちの英語を聞いていたら、だんだん慣れてきて聞き取れるようになってきました。耳が慣れたのは今も続いていて、授業でも先生が話す英語が理解できるようになって嬉しいです。

Iさん mobilityなどの専門用語は日本語でも普段はあまり使いませんが、毎日先生たちと話すときに使っていると、英語と日本語が同時に頭に入って語彙も増えていきます。テーマが決まっているので、その分野の言葉を3日間ずっと使うので定着しやすいです。

Wさん 学問的な学びではないのですが、キャンプで3日間同じ仲間と過ごすと、学校生活より絆が深まると感じました。同じテントの人たちとの共同生活を通して、人との関わりについての気づきもいろいろあります。意外とみんな夜更かしできないこともわかったりして、友達の知らなかった面も知ることができました。

▶︎Iさん

――最終日にはどのような発表をしましたか?

Wさん 同じテントに泊まったメンバーで、3日間でやった内容と感想などを英語と日本語を交えて発表しました。

Tさん 発表で使うポスターは、雑誌のページ風というテーマだったので、ChatGPTも活用しながらカラフルに仕上げました。イメージは、旅行雑誌の「るるぶ」です。内容だけでなく見た目にもこだわって、ChatGPTでできたものにさらに要望を入れて、イメージ通りになるように何度か修正しました。

▶︎Tさん

――この学校の好きなところを教えてください。

Wさん クラスメイトや部活の先輩、後輩、先生など、みんな明るくて笑いが絶えないところが好きです。

Aさん 日本文化を大事にしているところです。中1は必修で、日本文化実習の時間が週1回あります。茶道、華道(桂古流・小原流)、筝曲(山田流・生田流)、和装着付、仕舞(能の略式上演形式)の中から1つ選んで、講師の先生によるお稽古を受けられます。私は茶道を選んだのですが、今年も継続してやっています。知らなかったことを学んだり、日常生活の行動にも気を配れるようになって、日本の文化は大事だなと思っています。中1と高3は礼法の授業もあります。

Iさん 気軽に話せる先生が集まっていて、話しやすいところです。面白い話などでいつも笑っていますが、これから先、進路などで真剣な話をすることになっても相談しやすいと思います。

Tさん 英語の学習にも力を入れているところです。少人数制のイングリッシュ・コミュニケーションというネイティブの先生だけの授業もあって、話したり聞く勉強ができます。
英語のほかにも、渋谷という立地を活かして企業と連携したコラボ企画などにも取り組んでいるので、将来役に立つ経験になると思います。

――将来については、どのように考えていますか?

Wさん グローバル研究部で模擬国連を経験しているので、ディベートなどで得意な英語を活かせる仕事がしたいと思っています。

Aさん まだ詳しく決めていませんが、読書が好きなので本に関連した仕事に関心があります。

Iさん 外国に住みたいです。外国で俳優をしたり、いろいろなことに挑戦してみたいと思っています。

Tさん 小6のときに大河ドラマ『光る君へ』を見たのがきっかけで、平安時代の世界観に惹かれてもっと深く知りたいと思うようになりました。歴史の研究をして、研究者として論文を書くことになったら英語が必要になるので、この学校での経験を活かして論文を書けたらいいなと思っています。

<取材を終えて>
ゴーカート体験では、最初は歩くより遅いスピードしか出せない生徒がいたり、ジップラインもなかなかスタートできない生徒もいたという。それでも、参加者全員がやり遂げることができたのだ。キンブル先生が言うように、勇気を持つためのよい機会でもあり、その勇気によって科学や英語に関しても新しい世界が広がっていく、充実したプログラムであることが伝わってきた。

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