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山脇学園中学校

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スクール特集(山脇学園中学校の特色のある教育 #5)

習熟度別授業は5段階!英語力・対人スキル・多様性を軸にしたグローバル教育

初学者から帰国生まで、英語力に応じて5段階の習熟度別授業を展開している山脇学園中学校。6年間のグローバル教育、2025年度に新設される国際教養クラスについて取材した。

山脇学園中学校・高等学校では、2025年度に国際教養クラスを新設。英語力・対人スキル・多様性を軸にしたグローバル教育について、グローバル教育部長の高瀬聡伸先生、グローバル教育部主任の岩永洋輔先生、グローバル教育部主任の木村圭佑先生に話を聞いた。

中高6年間のグローバル教育

同校のグローバル教育は、「多様性の確保」「対人スキルを身につける」「英語力を伸ばす」という3つを軸に行われている。

「本校では、多様性という点からも帰国生を多く受け入れており、お互いに刺激し合える教育環境を整えています。今年度は中1と中2に多くの帰国生が在籍しており、中1が45名、中2が56名です。また、小学校6年生までに国内で英語力を高めてきたお嬢さんたちは、既習生という形で受け入れています。中学校に入ってから本格的に学ぶ初学者には丁寧に、帰国生や既習生にはより満足度の高い内容となるように、本校では5段階(G1~G5)の習熟度別で英語の授業を行っています」(高瀬先生)

中1のグレードは、入学前に提出する英検のCSEスコアと、入学前に受ける英語力測定テストで決まる。英検だけでは級の中でも幅があるので、より細やかに分類するために英語力測定テストを実施。G1~G3は、各グレードで進むペースや副教材などに違いがあるが、同じ検定教科書を使って授業を行う。英検準1級相当のG5は、ネイティブ教員がインターナショナルスクールと同じような環境で授業を行うなど、生徒たちの英語力に応じた授業を展開している。

「今年度の中1は、初学者や英検4級程度のG1が193名、英検3級程度のG2が19名、英検準2級程度のG3が20名、英検2級程度のG4が34名、英検準1級程度のG5が14名です。人数の多いG1やG4は、分割して授業を行います。中2、中3へと進級する際には、英検CSEスコアとTOEFL Juniorスコアの合計と年度末の成績を総合して判断し、グレードの再編成を行います。上のグレードになるとネイティブ教員による授業の比重が増えるので、G3以上を希望する生徒は2つのスコアを高めていくための勉強も必要です。高いスコアを目指したい生徒向けに、放課後講座やアプリなどでもサポートしています」(高瀬先生)

▶︎グローバル教育部長の高瀬聡伸先生

「自走」を目指すアクティブラーニング

同校では、アクティブラーニングを大きな軸として、「自走する生徒」を育成。英語の授業もグレードごとに、教員が自走に向けた工夫をしていると、岩永先生は説明する。

「中高6年間のプランを想定した上で、生徒にどのタイミングでどのように成長してほしいかをイメージして、課題提出や家庭での学習など、生徒たちが自分たちで取り組めるような流れを作っていきます。課題に次の授業内容が含まれているように工夫をすると、本人たちは宿題という意識ではなく取り組んでくるようになり、期限までに課題提出できるようになっていくのです。英語力に関しても、細かい文法や語彙を詰め込んでいるという感覚にならずに、自然にたくさん吸収できるような工夫をしています」(岩永先生)

アクティブラーニングで最も重要なのは、教員のファシリテーション力だという。

「私たち教員も試行錯誤しながら取り組んでいますが、経験を重ねていくことが大切だと思っています。ファシリテーションについては、教員免許を取るまでに学ぶわけではありませんし、学んだからといってすぐにできるものでもありません。本校ではかなり授業を開放しているので、先輩教員の授業を見て研究する機会も多いです。他校へ視察に行ったり、動画で研究するなど、常に最先端にいるように心掛けながら取り組んでいます」(岩永先生)

▶︎グローバル教育部主任 岩永洋輔先生

2025年度から高1の「国際教養クラス」がスタート

近年は、海外大学への進学にも目を向ける生徒が非常に増えてきているという。大学入試が変化していることなども受けて、2025年度には高1の「国際教養クラス(ILA)」が新設される。

「ここ数か月の間だけでも7~8件、海外大学を希望する生徒からの相談がありました。総合型選抜で受験する生徒も増えてきており、一般選抜と総合型選抜での受験が半々ぐらいになってきています。そのような中で、自己アピール力、校外活動、エッセイなど、海外大学や国内グローバル系大学の総合型選抜への進学を手厚くサポートするクラスが必要ではないかと考えました。総合型選抜や海外大学を目指す生徒たちにとって、今まで何をやってきて、自分の強みは何で、何に興味があるのか、そして社会問題に対して自分がどう貢献していくのかを明確にしていくセルフブランディングが重要となります。生徒同士の対話からメタ認知をしてほしいという思いもあり、同じ方向に向かう生徒たちが集まったクラスを新設することになりました」(高瀬先生)

「国際教養クラス(ILA)」で学ぶ生徒は、クラス編成時にTOEFL iBTスコア70程度、英検準1級相当の英語力を有することが目安となる。ハイレベルな海外研修や英語で行われるアントレプレナーシップ教育にも対応できるコミュニケーション力が必要だと、高瀬先生は説明する。

「アントレプレナーシップ教育は起業家教育とも言われていますが、生徒に起業させるということではありません。会社を作る手前の段階で、世の中にある問題を発見し、それを解決するための提案を具体的に落とし込んでいく訓練を行います。ILAは、出口として海外大学や国内のグローバル系大学への進学を想定し、自分が将来どのように社会貢献したいのかをメタ認知させるための機会を1年生から多く与えていきたいと考えました。夏休みには、アメリカ西海岸に約1週間滞在する研修を行います。現地の大学で授業を受けたり、大学生との交流、ディスカッションやディベート、プレゼンなど、よりアカデミックな“脳に汗をかく”経験をします。そういった経験を経て、海外大学も視野に入れた進路選択の中で、自分をアピールするためにどのようなステップを踏んでいけばいいのか考え、そこを強力にサポートするクラスというのがILAのイメージです」(高瀬先生)

「国際教養クラス(ILA)」の生徒に限らず、英語を通して非認知スキルの育成を目指せるようにグローバル教育の改革を進めていると、高瀬先生は語る。

「社会に出てから必要とされる対人スキルには、リーダーシップ、フォロワーシップ、傾聴力など、様々な非認知スキルがあると思います。そういったスキルを育成していくということが、大学で協働する場面や社会に出て働くときに必要になってくるでしょう。本校ではそのような対人スキルを、英語を通じて、あるいは英語ではない科目も含めて、中高6年間で育成したいと考えています」 (高瀬先生)

▶︎シドニー大学見学の様子。海外大学という選択肢を再認識し、将来の幅を広げたいと感じた生徒も。

インバウンドとアウトバウンド、両面で留学生をサポート

同校では、様々な国からの留学生を受け入れている。現在は、ウクライナ、ベルギー、ドイツ、ボリビアからの留学生4名が高1に在籍。国内にいても、海外の人たちと価値観を共有したり、お互いの言語を教え合う場を確保できるように、留学生は1名ずつ各クラスに散らばっている。将来的には、各クラスに1名は留学生がいる環境を整えたいという。

「交換留学をサポートしている外部団体から受け入れているので、留学生の国籍はバラバラです。第一言語も様々ですし、たった3ヶ月日本語を学んだだけで来日したという生徒もいます。言葉が通じない相手になんとか伝えようとして、教室移動のたびに場所や持ち物を教えてあげるなど、自然に社会性やコミュニケーション能力が育まれていきます。現在は4名しかいないので、クラス以外でも交流が生まれるように、行事や様々な機会を作っていきたいです。留学生は部活動にも参加しているので、音楽やスポーツ、アニメなどを通した交流も楽しんでいます。本校は中高合同で部活動を行っているので、中学生も交流する機会があります。今年は2名をホームステイで受け入れているので、受け入れ先となった家庭は、日々の生活を通して国際交流を楽しんでいるようです」(木村先生)

一方、コロナの影響で中断していた海外への留学も再開し、昨年は高校生35名が1年留学またはターム留学に旅立ち、この夏に帰国した。

「学園主催の留学もありますが、生徒自身が見つけてきた留学プログラムでも、現地の学校に通うもので本校の審査に通れば認めています。単位互換もされて高校3年間で卒業できるので、留学しやすい環境です。学園主催の場合は選考がありますが、外部の団体が主催するものは、英語力が高くなくても行けるプログラムもあります。また、留学は英語を学ぶためだけではないので、英語圏以外の国に行く生徒もいます。イタリアに行った生徒もいましたし、残念ながらコロナの影響で断念しましたがホンジュラスに行く予定だった生徒もいました。現地の学校に通う留学であれば、英語圏でなくても単位互換が可能です」(木村先生)

▶︎グローバル教育部主任 木村圭佑先生

中3で選択する「チャレンジプログラム」

同校では、中3で取り組むチャレンジプログラム(探究活動)を3つの中から選び、選んだプログラムによってクラスが決まる。自分で決めたテーマについて研究する「マイチャレンジクラス」、グローバルな視点で探究して英語で発表する「英語チャレンジクラス」、本格的な科学研究活動を深める「科学研究チャレンジクラス」の中から生徒自身が選択。「英語チャレンジクラス」では、朝終礼を生徒が英語で行い、放課後の特別講座や海外研修などにも参加する。

「年度の始めに仮説を立てて、1年かけて研究するというプログラムです。文化祭で中間報告、年度末に最終プレゼンを行って、論文の形で研究をまとめたものを提出します。英語チャレンジの場合は週2回、放課後にネイティブ教員と様々な活動を英語で行います。今年度は主に2つの活動を行っております。その1つが、SDGsをテーマにした探究活動です。SDGsに関するテキストを使って、クリティカルな質問に対する解決策を見つけてプレゼンを行います。もう1つは、インドの女子校とオンラインで交流し、協働作業を行うグローバル探究プログラムです。Zoomでディスカッションをしたり、テーマを決めてそれぞれの文化を紹介する動画を制作したりします」(岩永先生)

英語チャレンジクラスの課外活動として、日本で学んでいる留学生との交流なども行っている。

「今年5月にはチャレンジウィークとして、校内や校外で様々な研修を行いました。本校では世界共通教育を導入しており、リーガルコード(法律重視)、モラルコード(人間関係重視)、レリジャスコード(神の教え重視)という3つの文化コードについて学びます。価値基盤の異なる3つの文化コードを理解し、異文化交流や国際理解につなげるというものです。文化コードについて学んだ後、様々な国籍の留学生と一緒に東京街歩きをしました。事前にプランを考えましたが、どの国からの留学生と一緒に歩くかは当日に決まります。あるグループは留学生がイスラム教徒だったので、用意していた食事のプランが実行できなくなりました。それでもプランをアレンジして、なんとか乗り切ることができたのは、世界共通教育で学んだことが役立ったと思います。世界共通教育と留学生との交流は、とても親和性のあるプログラムです」(岩永先生)

▶︎インドプログラム

クラス選択の機会は中3と高1の2回

「国際教養(ILA)クラス」新設に伴い、2024年度から既存の英語チャレンジクラスは、上級者向けの「Advanced」と中級者向けの「Intermediate」に分割される。

「英語チャレンジクラスに入るためには、一定の英語力基準を超える必要がありますが、Intermediate、Advancedともに、英語そのものを学ぶよりも、英語で学ぶことを重視すると言う点で、コミュニケーション力や協働力が必要になります。Advancedのメンバーは高1のILAに進むことが自然な流れだと想定していますが、優先権があるということではありません。中3に進級する際にチャレンジプログラムを選ぶことでクラスが決まりますが、高1に進級する際に再びクラスを選ぶ機会があります。例えば、帰国生で高い英語力がある生徒でも、英語チャレンジクラスは放課後の拘束時間が多いので、マイチャレンジを選ぶケースもあります。中学生のうちは部活や習い事に時間を使い、高校生になったらILAを選ぶという生徒もいるでしょう」(高瀬先生)

夏休みには、Intermediateは10日間のイギリス研修、Advancedはオキナワインターナショナルスクール(国際バカロレア認定校)で6日間のハイレベルな研修を行うという違いがある。

「Intermediateは、現地インターナショナルスクールのサマーコースに参加し、同世代多国籍生とのコミュニケーションが自然に行われる環境で語学力を伸ばします。一方、Advancedが参加する授業は、すべて英語で行われる国際バカロレアプログラムです。『知の理論(Theory of Knowledge)』の授業を受けて、哲学対話などを体験することも目玉の1つとなっています。Advancedの生徒は国際教養クラスを選択するケースが多いと思いますので、中3と高1で海外へ行くとなると金銭的な負担が大きくなります。中3は国内で内容の濃いプログラムを経験し、高1のアメリカ研修につなげたいと考えました」(高瀬先生)

「英語チャレンジプログラム」や「国際教養クラス(ILA)」を選択しない生徒にも、高校1年次に希望制でオーストラリア語学研修に参加する機会が用意されている。

「シドニーでホームステイをして、現地の語学学校へ通う10日間のプログラムです。希望制で選考もないので、英検3級程度の生徒でも参加しています。まず英語を使ってみようという感じで、現地の人にインタビューしてシドニーのいいところや日本のイメージなどを聞くというミッションを与えます。今年参加した生徒も、最初はスーパーでセルフレジを選んでしまっていましたが、だんだんと話しかけられるようになっていきました。ワーキングホリデーで働いている日本人から話を聞いて、英語ができるとこんな楽しいことがあるのだと目をキラキラさせて帰ってきた生徒もいます。帰国前には余ったコインをストリートミュージシャンに投げ銭をして話しかけるなど、10日間でもかなり成長していました。本校では高1の生徒にEdvPathという非認知スキルのアセスメントテストを行っていますが、オーストラリア語学研修に参加した生徒のみを抜き出して分析したら、周辺環境への配慮、社会性、自己肯定感などが高まっていました」(木村先生)

▶︎シドニー大学を訪問した際、現地の学生に声をかけ会話を楽しむ生徒たち。

「志」を育てる6年間

同校では、「志(夢)」を持って入学した生徒を様々な角度からサポートし、その志が社会とつながるように育んでいく。

「本校のホームページに、If you can dream it, You can do it.(志を立てれば、それはきっと叶えられる)と書かれているように、本校は志を大切にしています。小学6年生なので夢と考えてよいのですが、自分勝手な夢ではなく、夢が社会のためでもあることが大切です。まずは自分でやりたいことや夢があって、本校の6年間の中でそれが社会とつながっていけばいいなと思っています」(木村先生)

「夢や志を持って入学した上で、自分からいろいろなことにチャレンジしてほしいです。チャレンジプログラムや高1のクラスも、自分で選ばなければなりません。生徒たちが気になることに関しては、すべて提供できる環境が整っています。自分で思ったことを実現できるように、どんどんチャレンジしてください」(岩永先生)

「常に頭の中に、『なぜ?』という問いを立てられることが重要だと思っています。そして、その『なぜ?』を解決するために自分で動けることが大切です。与えられた知識や情報が本当に正しいのか、違う視点がないのかなど、そこに対して前のめりになる気持ちを持っているお嬢さんに、ぜひ来ていただきたいです。様々な『なぜ?』を解決するサポートは、色々と提供できると思っています」(高瀬先生)

▶︎オーストラリア語学研修はオペラハウスから徒歩15分圏内のシドニーダウンタウンで行われる。

<取材を終えて>
今回、イギリスの街並みを再現したイングリッシュアイランドと呼ばれるエリアでインタビューを行った。海外現地校を模倣した教室、レストランやファーマシーをイメージした小部屋などがあり、英語チャレンジプログラムのホームルームやロールプレイ学習などにも活用されている。日々の学校生活でも異文化体験できる素晴らしい環境が整っているので、ぜひ学校見学の機会に足を運んでいただきたい。

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