りっきょうじょがくいん
立教女学院中学校
スクール特集(立教女学院中学校の特色のある教育 #5)
伸びるのは、英語力だけじゃない!夏の国際教育活動
中1~2生対象の「サマーイングリッシュプログラム」、中3~高2生対象の「エンパワーメントプログラム」。夏休みに、立教女学院が国際教育活動の一環として行うこの2つのプログラムが、生徒の力を大きく伸ばしています。ご紹介しましょう。
2つのプログラムで、日常の学びから世界とつながる感覚へステップアップ
同校が国際プログラムを始めたのは、20年以上も前のこと。端緒は、フィリピンの姉妹校との交流でした。現在では、アメリカ、ニュージーランドなど姉妹校も4校となり、短期・長期の交換留学、さらにはカリフォルニア大学デービス校への短期留学とますます充実しています。同校では国際教育の役割を「世界とつながる感覚」を養うことと考え、英語を使って国際的な視野・態度を育成する国内・国外プログラムに力を入れており、生徒は留学や模擬国連活動に積極的に取り組んでいます。
「サマーイングリッシュプログラム(以下SEP)」と「エンパワーメントプログラム(以下EP)」は、そのような活動のために必要な力をつけるプログラムとしてスタートしました。少人数グループで、ネイティブの講師やStudentリーダー(海外大学生)と実践的な英会話ができるとあって、毎年、定員を超える応募がある人気ぶりです。
SEPは、中1~2生対象で1日6時間、計4日間のコース。1グループ8名にネイティブ講師が1人つき、学年ごとに「basic」「advanced」に分かれ、リスニングや発音、発話をメインに徹底指導します。講師は欧米をはじめ、ジャマイカやシンガポールなど、世界各国から約20人が集結。それぞれの講師が母国を紹介することによって、異文化理解も深まっていきます。「HRティーチャー」の他に「Differentティーチャー」が2人つき、休み時間やランチタイムも一緒に楽しみます。中1のbasicクラスでは「風船が落ちるまでにひと言話す」「お店で会話をする寸劇をつくる(ロールプレイスキット)」など、楽しく主体的に参加できるよう工夫されています。中2のadvancedクラスでは、例えば「フードロス」のように世界的な課題についてディスカッション。取材したクラスでは、難しいテーマにもかかわらず、英語によるやりとりが活発になされていました。
「英語の授業で見せる姿と必ずしも一致しないのがおもしろいところです。SEPやEPでは、普段の授業では目立たない生徒が活躍することが多々あります。会話が中心だからだと思います。会話で大切なのは、相手の気持ちをくみ取ること。どんな気持ちで何を伝えたいのかを感じながらコミュニケーションしていく能力は、英語の点数とは違う次元のものかもしれません」と国際部の高嶺京子先生は話します。
EPは、中3〜高2生対象で、1日6時間×5日間、英語に浸ります。大会議室に4,5人のグループが12グループ集まり、統括者であるファシリテーターのもと各グループに1人、カリフォルニア大、ハーバード大、スタンフォード大、スミス大などの大学生が「Studentリーダー」として入ります。彼らは、講師に比べると歳も近く、より身近な“憧れの先輩”です。大学生の中には、立教女学院が気に入り、毎年参加する人もいるとのこと。同校の生徒の素直さや朗らかさ、心地のいい雰囲気が伝わっているのでしょう。
さらに希望者には、自宅で大学生にホームステイしてもらうことも可能。「家にいながらなんでも相談できるので、英語の授業よりずっと真剣に予習してくる子もいます(笑)」と高嶺先生。大学生と生徒の関係はEP終了後も続き、翌年の短期留学に参加してカリフォルニアで再会!というケースも度々あるそうです。
EPは「自分のポジティブな面を3つあげる」ことで、アイデンティティについて考えることからスタート。英語を日本語に頭の中で変換しないで、英語で思考する練習や、相手の英語を遮って質問する(わからないまま聞き流さない)練習など、日本人の苦手分野にとことん向き合うことで、マインドセットを変えていきます。
その後は、自分と社会、あるいは世界とのつながりを意識させつつ、最終的には「自分の強みを活かしながら国際貢献する」ところまで、プログラムは進んでいきます。難易度が高いように感じますが、普段の英語の授業で扱った地域貢献に関する題材や学校行事で観た映画など、学習の下地がある素材を扱うことで、自分の知識とうまくリンクさせながら、ディスカッションにつなげていくことができます。
そんな過程をたどることにより、自分の強みに気づき、自分が世界のために何ができるのかポジティブに考えていく。EPを経験した生徒たちは、英語以外の能力も、大きく伸ばしていきます。「本校では、生徒会などの自治活動が活発なのですが、国際プログラムに参加した生徒はそんな活動の中でリーダーとなる生徒が多いですね。国際的な視野を身につけることで、リーダーシップが育まれるのだと思います」(高嶺先生)。
SEPやEPは、もちろんそれだけでとても有意義なプログラムですが、同校の国際教育活動には、留学や模擬国連など次のステップが用意されています。また、どの学年にも交換留学生が授業に参加して、日常的に英語を使うチャンスがあるという同校ならではの環境もあり、日常の学びとSEPやEPなどのプログラムが有機的につながっていることが大きな特徴となっています。
高校生の中には、夏休み中、部活の合宿→EP→留学と連日続くにも関わらず、すべてに挑戦する生徒もいるそう。「殻を打ち破り、課題を発見し、解決する力を養う」というEPが掲げる目標をまさに体現しているかのようです。
最後に、成果について伺うと「授業中に習った英語を使える場が生徒には必要です。このプログラムを通して、授業中も自然に英語が出てくるようになっています。留学や模擬国連といった次の段階の国際教育活動へのハードルも、下がっていますね」と高嶺先生。成果は着実にあがっています。
生徒インタビュー
Yさん
中2/4歳までアメリカ在住/昨年に続き今年もSEPに参加
Q SEPを受けて、よかったことは?
自分の英語力を確かめられたことと、友達とのコミュニケーションがうまくなったことです。先生の国の紹介で、社会や地元の文化を知れたこともよかったですね。今回は、イギリス人の先生で、ジェスチャーで世界遺産を当てるクイズが面白かったです。
Q 普段の英語の授業と何が違いますか?
スピーキングが中心で、話すのが楽しくなります。来年は、EPでStudentリーダーとお話するのが楽しみです!
Q 将来の夢は?
将来は小さい頃に馴染みがあったスペイン語などの言語も勉強して、たくさんの言語の通訳になりたいです!
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Oさん
中2でSEPに参加/中3、高1でEPに参加
Q SEPを受講してよかった点は?
英語がもともと好きで、普段の授業で習った文法を活用する場がほしいと思っていました。受けてみて、文法だけでなく、積極的にコミュニケーションをとることも重要だとわかりました。
Q 2年目で、1年目より成長を感じた点は?
ずっと聞き取りができるようになって、自分でもびっくりしました。最後に全員がプレゼンテーションするのですが「教育の重要性」をテーマに選びました。難しかったですが、プレゼンテーションの方法が身についたと思います。
Q EPを受けてよかったことは?
英語だらけのテキストで、最初は大変だと思いました。でも、やってみて英語で頭を使ういい機会になったと感じています。
Q Studentリーダーの魅力とは?
どうやって進学する大学を決めたかなど、進路について相談できるところです。「在学中に進路を変えた」「成績だけでなく、クラブなどのリーダーシップも必要」といった、日本の大学進学制度との違いもわかって、とても有意義でした。
Q EPの後、留学を希望していますか?
楽しみです! 海外の文化が好きなので、ホームステイをして、外国の文化を直接体験したいです。
Q これからの目標は?
もっともっと英語でコミュニケーションできるようになりたいです。EPのディスカッションテーマの中で、教育の大切さを感じたので、発展途上国での教育についても関心があります。将来は、海外で働いたり、海外の人と一緒に仕事ができたらいいなと思っています。
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