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しょうなんしらゆりがくえん

湘南白百合学園中学校

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デジタルパンフレット

スクール特集(湘南白百合学園中学校の特色のある教育 #5)

「練習日誌」で課題や考えを共有し、生徒主体で取り組む球技大会

毎年2月に開催される球技大会は、クラス対抗で行われる年度最後の学校行事。プレーや応援で盛り上がる、大会初日を取材した。

湘南白百合学園中学校の伝統行事である球技大会は、競技のレクチャーから審判まで生徒主体で実施。バスケットボール、バドミントン、バレーボール、卓球の4種目に分かれてクラス対抗でトーナメント戦を行い、総合優勝を競う。2日間に渡って行われる球技大会の初日を取材し、坂野百合恵先生(保健体育科主任・中1担任)と生徒2人(中1・高2)に話を聞いた。

クラスの一体感が高まる年度最後の行事

球技大会には中1から高2までの生徒が参加し、2月の本番に向けて1月から体育の授業を使って練習を行う。

「中1は2学期までに、体育の授業で4種目の基礎と試合を体験します。11月下旬にどの種目で球技大会に参加するかを決めて、練習を始めるのは1月です。各種目、部活で日頃から鍛えている部員の人数には制限があります。運動部の生徒が中心となってルールや動きを教え、練習メニューを考えるのも生徒です。授業の8回分ぐらいを球技大会の練習に充てていますが、練習時間はそれほど多くありません。計画的に練習して、その成果が出せるかは自分たち次第なので、責任者(リーダー)を中心にみんなで頑張ろうという気持ちが自然と芽生えてくるのです。責任者以外の生徒たちも協力的になり、回を重ねるごとにまとまっていきます」(坂野先生)

5月の体育大会は縦割りの4色で競うが、球技大会はクラス対抗のトーナメント戦。どの生徒も、最低2回は試合に出られるように対戦が組まれる。

「中学校と高校は分けて行いますが、中高それぞれ上級生との対戦もあります。敗者復活戦もあるので、毎年4クラスのうち1クラスぐらいは上級生に勝つクラスがあり、勝てたクラスの達成感は大きいです。本校では高2まではクラス替えがあるので、今のクラスでまとまりを見せる最後の機会となります。勝ち負けという結果だけではなく、みんなで団結して頑張り、全力で楽しんだと感じられる体験となってほしいです」(坂野先生)

坂野百合恵先生

振り返りや気づきを言語化して共有する「練習日誌」

同校では学校生活の中での振り返りを大切にし、学習計画や学習内容の振り返りには「プランニング手帳」を活用している。球技大会の練習で重要な役割を果たしているのが、「練習日誌」だ。責任者が課題などを書き、それに対して各自の考えを記入していき、教員もそれらを共有する。

「中1の場合、最初は何をすればいいかわからない人が多いので、『楽しかった』『打てなかった』ぐらいしか書いていないこともありました。そこから回を重ねていくと、『手をこうすれば上手くいった』とか『積極的に声かけができた』などと、段々と具体的になっていきます。練習日誌を通して、どのような練習をしているか、生徒たちがどんなことを思っているのか教員も知ることができるのです」(坂野先生)

各チームの責任者は、生徒たちが決めている。運動部の生徒が責任者になることが多いが、運動部ではない生徒がなることもあるという。

「練習日誌から、責任者が周りをよく見て動いていることなどもわかります。『声がけが少ないから自分から率先して声をかけていこうと思う』などと課題や対策が書かれていると、その生徒がどのようにチームを引っ張っていきたいと考えているかも見えてくるのです。高校生になると、練習日誌にぎっしりと課題や考えを書いてきます。いろいろ分析して、周りとのコミュニケーションを大切にして練習していることなども伝わってきます」(坂野先生)

球技大会を通した生徒たちの成長

中1の生徒は6月に入部して以降、それぞれの部活動で練習に励んできた。球技大会に向けて、それまで学んだことをクラスメイトに教えようとすることで、責任感も芽生えてくるという。

「他の生徒から頼られることで、彼女たちも成長します。部員以外の生徒たちは、試合の中で緊張感やプレッシャーが与えられる場面を経験することは、他ではなかなかありません。負けたら終わりというトーナメント戦では、クラスを背負って立つという感覚が他の行事より強いので、その分成長も大きいでしょう」(坂野先生)

審判は教員ではなく、各競技の部員が担当する。年内受験で進路が決まった高3の生徒が、自主的に審判として参加するのも同校の伝統だ。

「球技大会は、練習メニューだけでなく審判なども含めて、あらゆる面で生徒の力を借りて行う行事です。中1は先輩たちの頑張る姿や応援する姿を見て、よいところを盗んでもらいたいです。中1のときは応援がおとなしめだった生徒たちも、中2になると進化していきます。中1のときに先輩たちの熱い応援を間近で見て、感じるものがあるのでしょう。2020年度は中止、2021年度は中高別々の開催となり、2022年度は応援に制限があったのですが、今年度はやっと通常開催となりました。明日の決勝では、体育館に生徒たちの思いがこもった声援が響き渡るでしょう」(坂野先生)

中1の生徒にインタビュー

Kさん(中入生 卓球部)

――初めての球技大会はどうでしたか?

Kさん 卓球の試合に出たのは10人で、卓球部員は私も含めて2人です。リーダーだったので、何ができないか、どんなルールがわからないかなどをみんなに聞きながら教えていきました。私はダブルスに出場しましたが、中3との対戦で負けてしまって残念です。やはり、積み重ねてきたものの差だと思います。先輩たちは技も正確に決まって、たくさん点を取られてしまったので、気持ちも焦ってしまいました。

――「練習日誌」にはどのようなことを書きましたか?

Kさん 体育の授業があるたびにリーダーがその日の課題や目標を書いて、授業が終わってから一人ひとりが振り返りをして感想を書きます。最初は、シングルスとダブルス、それぞれのルールがややこしくてわからないとみんな書いていたので、ルールをみんなで確認しました。日誌を通して、みんなが考えていることがわかったのでよかったです。

――リーダーとして大変だったことはありますか?

Kさん 最初の方はメンバー同士の距離が遠い感じがあって、ダブルスのペアを決めるのが難しかったです。ペアが決まってから練習を重ねていくうちに打ち解けて、最終的には笑顔でラリーを楽しめるようになりました。本番でもみんなが、「緊張しないで!」などと応援し合えたのでよかったです。みんなからの質問に答えているときに、時々、本当に合っているか自信がなくなって不安になることがありました。他のメンバーも自主的にルールをネットで調べて、グループラインで流してくれたりして協力的だったので嬉しかったです。

――来年に向けた目標はありますか?

Kさん 今回は、練習のときにスマッシュなどの決め技を教えていなかったので、試合で相手から技を決められたときにみんな戸惑っていました。その反省を活かして、来年は決め技もしっかりと教えたいです。

――1年前は受験生でしたが、この学校を受験しようと思った理由を教えてください。

Kさん 写真で見たリリースペース*のソファやテーブルなどがおしゃれな雰囲気で、グラウンドも人工芝になったりして、気になったのでオープンスクールに来てみました。校内で迷っていたら、在校生がすぐに案内してくれたのが嬉しかったです。本が好きなので、メディアネットラボ(図書館)に本がたくさんあるのもいいなと思いました。5年生のときに初めて見学に来ましたが、それから何度か来て、先生方も優しそうだったので6年生になった頃には「この学校に絶対に入りたい!」という気持ちになりました。

*リノベーション委員が中心となり、「サービスエリア」と呼ばれていたスペースを「リリースペース」として2022年にリニューアル。リニューアル後はカフェのような人気スペースとなり、勉強やディスカッション、放課後のおしゃべりなどに利用している。

――学校生活について教えてください。

Kさん 仲のよい友達が帰国生なので、英語がわからないときに教えてもらったりしています。いつも一緒に過ごしていますが、とても面白い人です。勉強面でも遊びでも楽しい学校生活を送れているので、この学校に入ってよかったと思っています。球技大会の練習を通して、さらにクラスメイトとの仲も深まりました。メディアネットラボには電子書籍もあり、Chromebookで読めるので便利です。

――リリースペースはどんなときに利用していますか?

Kさん スクリーンが収納されているスペースがあり、先輩たちが文化祭用の動画撮影に使っているのを見てすごいなと思いました。私もいつか、スクリーンを背景にして撮影してみたいです。リリースペースにはパンや飲み物の自販機が置かれていますが、新たにアイスの自販機が入りました。Chromebookの生徒用サイトに目安箱があって、生徒の意見を入れられるようになっています。そこに入れられた意見を聞き取って、生徒会の人たちが交渉してくれます。

――今後の目標を教えてください。

Kさん 部活ではまだ大会で勝てていないので、ベスト8に入れるぐらい上手くなりたいです。勉強面では英語が好きなので、もっと極めたいと思っています。たくさん話せるようになりたいので、帰国生の友達と英語トークをして練習したりしています。

高2の生徒にインタビュー

Mさん(幼稚園からの内進生 バスケットボール部)

――球技大会はどのような行事ですか?

Mさん 1年の中で最後に行われるクラス対抗の行事なので、とても盛り上がります。体育大会、音楽コンクールなどで積み重ねてきたクラスの団結力を発揮する、集大成という感じです。試合前には、「みんなが楽しむことが一番だね」と話し合いました。今回は負けてしまったので悔しい思いもありますが、接戦の場面で楽しむことができたのでみんな充実していたと思います。

――「練習日誌」にはどのようなことが書かれていましたか?

Mさん お互いが何を考えているか知ることができ、部活動で取り組んでいない人がプレーについて的を射ていることを書いていたりして、そこから学ぶこともありました。部員ではない人も、バスケのことを理解しようとしてくれていることがわかって嬉しかったです。たとえば、誰かの発言にただ「そうだね」と終わるのではなく、「もしこんな展開になったらどうなるの?」などと、自分でも考えて主体的に書いてくれました。

――球技大会ではどんなことが大切だと感じましたか?

Mさん 勉強面では、自分の目標に向かって勉強法を確立させるなど、頑張っているうちに自分の世界ができてきます。それも大切なことですが、自分の世界だけだと、考えが凝り固まってしまうかもしれません。球技大会は団体戦なので、他の人と協力することによって自分の考えとは別の面が見えてくるなど、いい意味で柔軟になっていくと感じました。自分と違う考えを知ることで、自分も変わったり、お互いに理解を深めていくことができるようになると思います。

――中学校から5年間の球技大会を通して、どんな成長がありましたか?

Mさん 一緒に戦うメンバーの、よい部分を見つけるのが上手くなったと思います。勝つためには、「もう少しこうした方がいい」とアドバイスすることも必要ですが、それと同時に、長所も見つけて伸ばしていくことが大切だと思います。練習回数が少ないので、できないことを直すには時間が足りません。お互いができる部分を伸ばして、補い合うという関係が作れればよいのではないかと思えるようになりました。

――湘南白百合学園のいいなと思うところを教えてください。

Mさん 「愛ある人として」という言葉がパンフレットなどに書かれていますが、それは学校が掲げるミッションという遠い存在ではなく、自分の中でも根付いていると感じられます。幼稚園からいろいろなことがありましたが、愛があればお互い助け合えることが実感できる経験を重ねてきました。中入生も含めて、相手のよい部分を見つけるのが上手な人が多いです。自分では気づいていなかった自分のいいところを、球技大会などの行事を通して発見して成長できると思います。

――将来の目標につて教えてください。

Mさん 法律を学んで社会の仕組みなどを知った上で、国際的な仕事がしたいと考えています。模擬裁判選手権に参加した経験から、法律家の仕事はいろいろな視点から論理的に考える部分がとても魅力的だと思いました。宗教の授業では聖書を読む時間もありつつ、貧困の問題について考えたり、マザーテレサや中村哲医師など、誰かのために尽くした人のドキュメンタリーを見る時間もあるので、そのような人になりたいという気持ちもあって迷っています。職業についてはまだ考え中ですが、まずは法学部に入れるように頑張りたいです。

<取材を終えて>
同校の球技大会は体育の授業で練習を行うが、教員が指導するのではなく、生徒たちで練習メニューを考えて取り組むことが大きな特徴である。自分たちでつくりあげたチームだからこそ、全力を出し切って楽しむことができるのだろう。その中で、振り返りを言語化して共有する「練習日誌」が果たす役割も大きいと感じた。

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