スクール特集(滝川中学校の特色のある教育 #4)
共学化1期生の女子に聞く!新・滝川のリアルな学校生活
2024年春に大きく話題となった滝川中学校の共学化。地域の期待は大きく、男子の入学者数を減らすことなく女子が加わり、新しいスタートを切った。共学化1期生の女子生徒に話を聞いた。
2022年春より、目的が異なる3つのコースを新機軸として打ち出した。志を持った医療人を目指して、医学部医学科進学に特化した「医進選抜コース」、実践的な英語力を育成するためのターム留学と、科学的・論理的思考の育成を核とした「Science Global一貫コース」、探究活動をはじめとする深い学びを通して次世代リーダーを育成する「ミライ探究一貫コース」だ。新コース制の手ごたえを感じる中、2024年度に共学化を果たした。「やりたいことや目的がはっきりしている女子に、とくに入学をおすすめしたい」と広報に力を入れた結果、想定を超す反響を得た。この春、医進選抜コースとScience Global一貫コースに女子42名を迎え入れ、新しい一歩を踏み出した。1期生となる女子生徒に、中学受験や学校生活について聞いた。
生徒インタビュー
医進選抜コース 中学1年生
唐須寧菜(しずな)さん
神戸大学附属小学校出身。神戸市在住。小学生の時から、医師を目指しており、医学部を目指せる滝川中学校を志望した。現在、1年生の医進選抜コースの級長を務める。
中学校の新生活や医進選抜コースの雰囲気を教えてください。
クラスにはみんなずいぶん慣れた感じです。私自身も信頼し合える友達もできました。リラックスして生活できるようになったかな。最初は医進選抜コースは勉強が難しいのかなと思って、すごく身構えていたのですが、わからないところがあったら、先生も丁寧に教えてくださるし、自習の時に得意な人が教えてくれたりするので、大丈夫でした。クラス36人のうち、13人が女子です。授業中も男女で話し合いをするなど、雰囲気がいいと思います。先生と話しやすいので、学校生活で困ることもありません。
滝川中学校の医進選抜コースを受験した理由を教えてください
医療ドラマの影響で、3,4歳の頃からお医者さんに憧れがありました。その思いはだんだん強くなって、家族や周りの人を自分の手で救えたらいいな、いろいろな人を救いたいなと思うようになりました。私自身、肺炎で入院したことがあるのですが、その時にドクターや看護師さんから声かけをしてもらったことで、それまで苦手だった注射も克服できたりして、医療ってすごいなと思うこともありました。
医者になりたいという気持ちははっきりしていたので、中学受験も医学部進学に強い学校を探していたところ、タイミングよく滝川中学校が共学化する話を聞きました。医進選抜コースは、最初は親からすすめられたのですが、私自身も医学部進学に集中できるところに魅力を感じました。滝川中学校が共学化すると聞いた5年生の頃から、学校の方針や卒業生の進学先など、学校について調べていました。親も2回は進学説明会に参加していると思います。
実は入学前は女子1期生として期待されることで、勉強もきついのかなと思っていたのですが、まったく違いました。
通常の授業でも先生方は楽しそうに授業をしてくださるので、私たち生徒も明るい気持ちで授業を受けられるのがいいところです。もともと国語は得意ではないのですが、とにかく先生の授業がおもしろくて、いつのまにか国語も好きになっていました。先生から「比べるのは昨日の自分」といわれて、私自身も滝川で変われるかなと期待しています。
私もそうですが、コースのみんなは勉強に関して負けず嫌いが多いです。めちゃくちゃ賢い子がいたら、その子に追いつきたいみたいな雰囲気があります。お互いライバルですが、たくさんコミュニケーションや交流もできます。総合の探究の時間でも意見が活発で、楽しいです。
医進選抜コースは部活に入れないことが、最初はちょっと嫌だったんですが、放課後に参加する「滝川メディカルゼミ」では、部活と同じ感覚で勉強しています。メディカルゼミは授業のスピードも速く、難しいところもありますが、わからない時はすぐに先生が教えてくださいますし、隣の席の生徒と教え合ったりできるので問題ないです。
学校で部活ができない分、趣味でピアノを弾いたり、習いごとのバレエは継続しています。国語の苦手意識を解消したいので、まずは読書かなと思って、意識して読書もしています。300ページくらいある本も読み始めました。
級長になった理由を教えてください。
級長には、立候補してなりました。トップに立ちたいという気持ちではなくて、自分が言うことでみんながひとつになるのが好きです。リーダーシップは得意だと感じていたので、まわりにちゃんと見てもらいたいという気持ちもありました。
将来の夢を教えてください
もともとあったのは、カッコいいドクターになりたいというイメージ。医者の世界のトップは男性というイメージがまだあるので、「そんなの関係ありません」って、正しいことが言える人になりたいと考えています。まずはたくさんの人を救って、実績を積み上げて、その実績を持って、医療界に風穴を開けたいと思っています。
Science Global一貫コース 中学1年
大沼美瑛さん
神戸市在住。公立小学校出身。中学受験で本格的に塾に通い出したのは小学5年生の秋。それまでは通信教材を中心に学んでいた。現在はラクロス同好会とESS部に所属。熱心に活動している。
滝川中学校Science Global一貫コースを選んだ理由を教えてください
中学受験を親に進められたのは小学校3年生の時でした。それから通信教材を中心に学んでいたのですが、5年生の秋からは通塾に切り替えて本格的に勉強しました。第一志望は別の学校だったのですが、家から近い滝川中学校が共学化することは以前から知っていて、ターム留学に行けることも魅力に思い、受験を決めました。コース選びは、部活と留学がしたかったのでScience Global一貫コースにしました。
コースの雰囲気はどうですか?
先生はやさしいですし、授業ではわかりやすく話をしてくれます。Science Global一貫コースは2クラスで、授業の進度も早いですが、先生はみんながきちんと理解できているかチェックをしてくれるので安心して勉強できます。
私は小学校の時から、男の子と遊ぶのも好きだったので、共学化1期生ということには抵抗はありませんでした。私のクラスの女子は15人、もうひとつは14人。あわせて29人です。男子も女子も仲がよくて、過ごしやすい雰囲気です。医進選抜コースの女の子とも仲良くしている友達もいます。コースが違っても交流できています。
理科はいろいろな実験があります。先生が丁寧に教えてくださるので、今は難しいとは感じませんが、これからどんどん難しくなるのかなとも思い、楽しみにしています。
部活はどうですか?
ラクロス同好会は新設で、中学1年生だけで11人です。兼部ができるので、ESS部とかけもちしています。ラクロス同好会は、月水金の朝に活動しています。楽しくにぎやかに活動しています。
級長に立候補した理由を教えてください。
小学校のでは学級委員長をよくしていました。そんな経験もあって、滝川でもできるかなと思って立候補した感じです。私はやりたいことがあったら突っ走っていくこともあるし、周りの雰囲気をみて合わせるところもあって、臨機応変にものごとを見るタイプです。級長だからといって、そんなに気負うところはなくて楽しくやっています。
将来の夢や目標を教えてください。
生き物全般が好きで、とくに虫が好きです。なかでも好きなのはカマキリ。母の実家淡路島に帰省した時に自然のなかで遊んでいました。また、小学校には学習園という畑のようなところがあって、ヤモリや昆虫や生物がたくさんいます。そこでよく遊んでいました。動物で好きなのはシカです。小学校2年生の時に初めて奈良公園に行きましたが、その年は4回も連れて行ってもらいました。もともと獣医さんになりたいと思っていたのですが、小学校高学年くらいからは動物の研究者になって、何か新しいことを発見するのもいいなと思っています。留学などで海外に行ってみたいとも思っています。
滝川中学校は先生がやさしいです。勉強は進度が早いところもありますが、先生から丁寧に教えてもらえるので安心して学べます。部活動も盛んで、楽しいですよ!
<取材を終えて>
取材をさせていただいた2人は、タイプは異なるが、それぞれ自分の夢ややりたいことがはっきりしていた。インタビュー中も終始楽しそうだったことが印象に残った。コースごとの目的が明確なため、やりたいことを軸として選ぶ学校として、滝川中学校はとても適している。100年以上の伝統ある男子校が共学化するという大きな転換点を迎えたが、まずは期待通りの結果となったようだ。2025年にはレクチャーシアターや体育館がある新棟が完成予定となっている。