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2016/1/26(火)

変わる学校教育。今、注目されている私立中学校の魅力とは?第3回(3/4)

私立中学校の魅力とは?〜その2 新しい教育と伝統の教育を両輪に

~「自ら考え、判断し、表現する力」の育成とアクティブラーニング

常に時代に先駆けた教育を行うのが、私立学校の特色です。
冒頭で国が進めるグローバル化対応の教育や大学新入試などについて紹介しました。ここで少しおさらいすると、今後小学校から高校まで、基礎力に加え、自ら課題を発見し解決するうえで必要な力となる「自ら考え、判断し、表現する力」の育成に重点が置かれます。
教育の重点項目として、言語活動・理数教育・伝統や文化に関する教育・道徳教育・外国語教育が挙げられています。

私立中学校の多くは、国が推進する以上の教育をはじめ、さまざまな新しい教育を、国に先駆けて行っています。そして、高い実績を積み、近年ではさらに発展的な教育に乗り出しています。

たとえば私立学校では、調べ学習や、生徒が自分でテーマを設定し、自ら調べ、深く考察する自主研究活動、同じく卒業論文制作、プレゼンテーションなどに早くから取り組んでいます。これらによって言語活動が充実し、「自ら考え、判断し、表現する力」が養われます。国では、このように生徒が中心となって活動的に学ぶ“アクティブラーニング”を推進しており、私立学校は先行しています。

東京電機大学中学校/卒業研究発表

~理数教育の充実

理数教育も特色あるプログラムが展開されています。近年では男子だけでなく女子も理系志望者が大きく増えていて、男子校・共学校・女子校の多くが理数教育を充実させています。また医学部志望者に対応する教育も行います。

たとえば、理科の実験授業はクラスを2分割して少人数で行い、きめ細かく指導しながら科学への興味・関心を養います。高校では大学入試を意識した実験を行います。通常の理科の授業とは別に、放課後に特別授業として、授業では扱わない専門的な実験を行う学校もあります。大学と連携して、理科の講義や高度な実験も行われています。
理科の自主研究を推進する学校もあり、グループ研究や個人研究に取り組む生徒たちが、外部のコンテストやコンクールに積極的に参加しています。
こうした教育の成果の一つとして、大学理系学部、医歯薬系学部への合格者の増加が挙げられます。高校時代の自主研究を理系学部のAO入試に活かす生徒もいます。

小野学園女子中学校

~英語・国際教育の充実

英語・国際教育はすべての私立学校が力を入れています。ネイティブ教員による英会話の授業はもちろん、芸術科目の授業を英語で行うイマージョン教育、放課後の英会話講座、海外姉妹校との交流、長期休暇中の短期海外研修、ネイティブ講師や海外からの留学生と一緒に英語漬けで過ごすイングリッシュキャンプ、海外修学旅行など。帰国生や英語上級者のための国際学級を設置する学校もあり、そうした学校ではハイレベルの英語教育を行います。また、将来的に英検の取得資格が大学受験の合否の判定にかかわることを挙げましたが、多くの私立学校では英検指導も計画的に行っています。

海外留学も私立学校では積極的に行います。さらに近年では、併設高校で実施される留学プログラムが多様化し、より利用しやすくなっています。
○1カ月留学…夏休みなどを利用して1カ月間海外留学を行う。
○学期(ターム)留学…学期留学として、約3カ月間海外姉妹校などで学ぶ。
○長期留学…約1年間、海外姉妹校などで学ぶ。
こうした留学は希望者対象ですが、グローバル教育に特化した学校では、中学および高校で、全員が短期・長期の留学を行うところもあります。

帰国後は基本的に留学中の単位が認められ、留年することなく進級できます。
留学費用に関する外部の各種補助制度もあります。東京都では都内の私立高校から海外高校へ留学(1年間)する生徒に対し、上限30万円の補助金を支給。東京都私学財団では、学校推薦を受けた生徒を対象に50万円~150万円の助成制度を実施。
埼玉県では県内高校生が3カ月以上の留学をする場合、上限60万円の補助金を支給します。ロータリークラブが実施する留学制度を活用する私立学校もあります。ロータリークラブの選考試験に合格した生徒は、現地学費・生活費(食費・宿泊費)、お小遣いが全額支給されます。*

*外部の補助制度は募集人数や選考など応募条件があります。以上のデータは2015年現在のもので、今後変更される可能性もあります。また制度によっては学校を通してのみ実施するものもあります。助成制度の利用については、まず学校にお問い合わせください。

山脇学園中学校

~伝統や文化に関する教育・道徳教育

グローバル化への対応として、日本の伝統や文化を学ぶことも大切になっています。自国の伝統・文化を理解し、発信できる国際人が求められています。
私立学校では、伝統的にそうした教育を大切にする学校が多くあります。特に女子校では、礼法を必修とする学校や、茶道・華道・筝曲を教える学校があります。男子校・共学校でも、田植え実習や、農家にホームステイし農業体験を行う農家ステイなど、「日本」を学ぶための体験学習を積極的に行っています。

道徳教育についても、私立学校では「知・徳・体」のバランスのとれた教育をめざし、それぞれ学校独自の道徳教育を行います。たとえば、キリスト教や仏教といった宗教教育を行う私立伝統校では、それが道徳教育ともなっています。読書指導や倫理の授業など、さまざまな学びの土台に道徳教育を据える学校もあります。また、先に挙げた礼法も道徳教育に通じるものです。

横須賀学院中学校