スクール特集(昭和女子大学附属昭和中学校の特色のある教育 #21)

生徒が語る“昭和女子の今”2025(高校3年生編)
生徒の生の声を通して、学校の特色や魅力を紹介するシリーズ。今回は中学3年生の時にインタビューをした3人の生徒が再登場。各コースでの学びや成長ぶりをお届けする。
Hさん グローバル留学コース 6年生(高3)
Tさん 本科コース 6年生(高3)
Oさん スーパーサイエンスコース 6年生(高3)
中学3年生以降の学校生活を振り返って思うこと
――前回のインタビューから3年たった今、どのような面で成長を感じますか?
Hさん 一番大きなことは、カナダでの10ヶ月留学です。家族や友達もいないホストファミリーの家で生活したので、自立という面で成長できたと感じています。カルチャーショックもありましたし、現地校の授業でもわからないことがいろいろありました。そんなときも、どのように質問したらいいか自分で考えたり、友達に助けてもらうためにも自分から動かなければなりません。留学中に成績優秀者賞をいただくことができたのですが、それは成績だけでなく、リレーションシップやリーダーシップも含めた賞でした。賞状とメダルをもらえるような生活を送った結果として、自立心が育まれたと思います。
Tさん 5年生(高2)の夏に、吹奏楽部で金賞を授賞できたことが私にとって大きな経験となりました。東日本部門での金賞は、昭和の吹奏楽部で初めてだったのでとても嬉しかったです。その経験を通して、自己管理能力が高まったと思います。コンクールで金賞が取れれば、勉強や委員会活動をやらなくていいわけではないので、勉強、部活、委員会活動が両立できるように計画を立てました。やらなければならないことを前日に書き出して、優先順位をつけていくというやり方です。1日は24時間しかないので、達成できないこともあります。それについては翌日になぜできなかったか振り返って、どうすればできるか考えるなどして、少しずつ自己管理能力を高めていきました。
Oさん 私は前回のインタビューで、「学校生活に悔いが残らないような時間の使い方をしていきたい」と言ったのですが、毎日、全力を出すこと、最善の道を歩むことを意識して学校生活を送っています。高校生になってからは、生徒会活動や文化祭実行委員会の委員長にも挑戦しました。自分はリーダーシップを備えていないと思っていたので、1ヶ月ぐらい悩んで、いろいろな人に相談しましたが、最終的には自分でどちらの委員長もやろうと決断しました。やってみて失敗したとしても、「あの時やっておけばよかった」という悔いを残したくなかったからです。リーダー論を学んだりしながら、どうしたらいいか常に最善を考えることで成長できたと思います。
▶︎Hさん
――成長できた背景には、どのような努力や苦労がありましたか?
Hさん 留学前は、何かを決定するときには家族や友達に相談でき、自分だけでやらなければならない状況がありませんでした。クラスの友達も6年間一緒なので、もともと関係が築けているというベースがあります。カナダではそれが一気に覆されて、ステイ先でも学校でも人間関係をゼロから築き上げるところからのスタートでした。言語や文化の違いもある中で新しい人間関係を築きながら10ヶ月間過ごしたことで、自立心が育まれていったのだと思います。
Tさん 部活の夏合宿でリーダー2人が熱を出してしまって、リーダー不在の日がありました。そのときに、私たちはずっとリーダーに頼ってきたことに気づき、自主的に音楽を奏でるためにこれではダメだとメンバー全員で考えたのです。それを機に、練習についても自分たちで立て直して、結果的に先生方からも「よくなったね」と言っていただける演奏ができるようになりました。
Oさん リーダーとなって大きな組織を動かすとなると、自分だけが頑張ると周りがついてこないですし、自分が頑張らないと周りがどうしたらいいかわからなくなります。歴代の委員長がどんなことをやって、どのように進めたか知りたかったので、先輩に連絡して教えていただきました。リーダー論の本なども読み、先生からは前から引っ張るリーダーと後ろから支えるリーダーがいると教えていただいたので、自分が目指すリーダー像は、後ろから見て欠けている部分を自分が補って、全体のバランスを見ながら進めていくリーダーだと考えたのです。先輩から聞いた「自分ができないときは他の人にやってもらえばいい」という言葉も、大きな支えとなりました。自分が頑張りすぎずに周りに委ねることも含めて、どうやったら円滑に進めるか考えることで、マネジメント力もついたと思います。
▶︎Tさん
――前回のインタビュー後の3年間で、一番楽しかったことを教えてください。
Hさん グローバル留学コースは、6年間同じクラスです。みんな仲がよくて、本当の素を出せる関係でいられることがいいなと思っています。だからこそ、クラスで団結して準備した昭和祭(文化祭)や体育祭が楽しかったです。5年生(高2)の昭和祭ではリーダー2人のうちの1人となって、クラスでシャカシャカポテトを提供しました。クラス全員が留学するので、準備をスタートさせるのは7月に入ってからです。他のクラスはもっと前から準備しているので追いつくのも大変でしたが、励まし合って小さなトラブルも乗り越えて当日を迎えることができたので、G組(グローバル留学コース)っていいなと思える瞬間でした。
Tさん 5年生(高2)のクラスがとても楽しくて、勉強を教え合ったり、振り返りをみんなでやっている雰囲気が好きでした。テストのときはよい意味で、みんなで競い合っている感じがよかったです。体育祭のリレーは選抜選手によるクラス対抗だったのですが、競技に出ない人たちも見るだけでなく、応援グッズを作ったりして一丸となって応援して盛り上がりました。
Oさん 2つあるんですが(笑)、1つはやはり実行委員長を経験した昭和祭です。4月から準備を進めて、11月の当日までずっと実行委員10人で土曜日の放課後に最後まで残って準備を進めていく生活でした。当日は、完成された催し物を見たり、飲食が歴代より盛り上がっているところを見て「実行委員長をやってよかった」と思えたと同時に、自分自身も今までで一番楽しめたことが嬉しかったです。
もう1つは、5年生(高2)の望秀海浜学寮での宿泊行事が印象に残っています。館山の街をグループで散策したり、夜には希望者は浴衣を着て、盆踊りをしたりかき氷を食べたりして、最後の宿泊行事としていろいろなことを自由にさせてもらえて楽しかったです。学級委員としてクラスをまとめる役割もありましたが、この学年でよかったと思えましたし、S組(スーパーサイエンスコース)っていいなと思いました。
▶︎Oさん
卒業後の進路と夢
――将来についてどのように考えていますか?
Hさん 前回のインタビューでも「変わらずに人を思いやることを大事にしていたい」と話したんですが、私は両親から「いろいろな経験を通して感受性を豊かにして、思いやりを持って人と接しなさい」と言われて育ちました。ですから、どんな職業に就くにしても、ベースには「相手の気持ちを考えられる人」になりたいという思いがあります。カナダの人たちは日本人より自分がどうしたいのかストレートに伝えてくるので、思っていることを言葉にして伝える大切さも感じました。それでもやっぱり自分にとって一番重要なのは、人の気持ちを考えて行動できることだと改めて気づけたと思います。まだ具体的な職業については決めていませんが、相手の気持ちを大切にしながら人との関係を築いていくという面では、マーケティングなどに関心があります。英語を使う仕事というより、コミュニケーションツールの1つとして、相手の気持ちを思いやれる場面を増やすために英語を役立てたいです。
Tさん 私は両親から、人の役に立てるように先を見据えて行動するように言われて育ちました。周りの人が困るだろうと思う場面では、先回りして助けようとすることも多いので、「お母さん」的な存在になっています(笑)。将来についても、人と直接関わる職業を選びたいと考えていました。4年生(高1)のとき、化学の授業が「自分に合っている」と直感的に感じて、特に有機化学を学んだときに「私はこれを研究したい!」と思ったのです。有機化学を用いて人と直接コミュニケーションを取りながらできる仕事を考えたとき、薬剤師という職業が見えてきました。進学先を決めるために、国立・私立を問わず、薬学部のある大学を見学し、研究室を調べたり論文も読んだりしています。英語の論文を読むのは難しいですが、先生や友達に教えてもらいながら読んでみて、より興味が持てる大学に行きたいです。今の知識ではまだわからないことも多いですが、わからないから大学で勉強してみたいという気持ちにつながっていきます。
Oさん 私は小4の時に「研究者になりたい」という夢を持ち、スーパーサイエンスコースに入学しました。その夢は今も変わっていません。自分が研究したい分野を研究している大学に行きたいので、情報収集をしています。1人で集めるのは大変ですが、4年生(高1)のときに担任の先生(生物の先生)がいろいろと資料を集めてくださり、研究費の面や施設も充実している大学のアドバイスもいただきました。私は生物学の研究をしたいので、先生のサポートでより具体的に考えることができて感謝しています。私が研究者になりたいと思ったきっかけは、プリズムの光に興味を持ったことでした。5年生(高2)の課題研究では、何色が一番記憶に残りやすいか研究しましたが、中高でできることは限られていることもあり、思った通りの結果にはならなかったんです。新たな疑問も生まれて、今でもそれは気になっているので、大学で機会があればその疑問も解消してみたいと思っています。
受験生の皆さんへ
――各コースの魅力について教えてください。
Hさん グローバル留学コースは、世界への関心が高い人の集まりなので、みんな会話が好きで、フレンドリーで積極性があると感じます。クラスの絆も深く、カナダ留学ではステイ先や学校はバラバラでも、クラス全員が行くから乗り越えられました。特に最初の1週間は、みんな大変だったんです。ネイティブの先生との会話には慣れていたので英会話は大丈夫だと思っていましたが、現実は違うと思い知らされました。現地の人たちはもっと話すスピードが速く、使う単語も簡単なものばかりではありません。ホストファミリーとも文化や価値観が違ったりして、家族に会いたいな、日本に戻りたいなと思って涙する日もありました。そんなときに、G組の友達と電話で話せば、大変なのは自分だけではないとわかり、お互いに励まし合うことができたのです。通う学校が違っていても休日に会って映画やショッピングを楽しむ機会もあり、留学を通してより絆が深まりました。私はとにかくこのクラスが大好きで、卒業したくないぐらいです(笑)。
Tさん 本科の魅力は、グローバル留学コースやスーパーサイエンスコースと違い、いろいろな体験を幅広くできることだと思います。小学生の段階で、まだ自分の興味や関心が絞られていなくても大丈夫です。本科でも海外体験はできますし、大学と連携した実験の機会もあります。私は4年生(高1)のときに選択制国内外研修旅行でオーストラリアに1週間行きましたし、昭和医科大学と連携した実験に参加することもできて、どちらもよい経験になりました。本科コース独自の研修としては、京都・奈良を訪れる「古都の旅」で、古墳や神社・仏閣の見学、能の鑑賞や友禅染めといった伝統技法も体験します。大学で日本文学を研究したいという人もいれば、国際系に進みたい人、理系に進みたいけれど経済や法律にも興味がある人などもいて、いろいろな経験をしてきたからこそ、可能性が広がると思います。
Oさん スーパーサイエンスコースは、理系に特化したコースなので実験の回数が多く、不思議だなと思う瞬間に出会う回数も多いです。数学の授業は少し進度が速いので、大学受験までに余裕が生まれるのもいいところだと思います。実験は好きだけど算数が苦手だからどうしようかなと心配する小学生もいるかもしれませんが、私の経験から言うと小学校の算数が得意でなくても大丈夫です。小学校でわからなかったことでも、中高で同じところがでてきたときに先生や友達に教えてもらえばわかるようになるので心配はいりません。このコースには、博物館などでのフィールドワークもあります。コース独自の宿泊行事「サイエンスアドベンチャー」は世界遺産として知られる屋久島でフィールドワークを行い、屋久島の自然を肌で感じられるのでぜひ体験してほしいです。
<取材を終えて>
3年前と比べて、大きく成長している様子が伝わってきた。3人とも選んだコースが合っていたことが、大きな成長につながっていると感じる。5年間過ごしたからこそ熱く語られた各コースの特色や魅力などを、コース選びの参考にしていただきたい。
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