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白百合学園中学校

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スクール特集(白百合学園中学校の特色のある教育 #9)

4月から東大生! 卒業してから改めて実感した学ぶ環境の大切さ

白百合学園中学高等学校から学校推薦型選抜で東京大学法学部に合格し、4月から東大で学んでいる卒業生を取材した。

白百合学園中学高等学校には、学校の授業に意欲的に取り組むだけでなく、外部での活動にも積極的に参加して視野を広げる生徒が多い。学校推薦型選抜で東京大学法学部に合格し、4月から東大で学んでいる加藤優音さんに中高時代の話を聞いた。

2年に渡って参加した東大のSTEAM教育プログラム

加藤さんが東京大学(以下、東大)への進学を明確に意識したのは、東大の生産技術研究所次世代育成オフィスが主催する「UTokyoGSC-Next」というプログラムに参加したことがきっかけだという。「UTokyoGSC-Next」は、グローバルな視点に立って未来社会をデザインできる、革新的な科学技術人材を育成する三段階のプログラム(対象:小学校高学年~高校生)。東大の多様な分野を活用したプログラムの中で、加藤さんは主に高校生を対象とした第二段階と第三段階に参加した。

「応募のきっかけは、学校で取り組んでいた探究学習です。私は3歳からヴァイオリンを弾いているのですが、演奏中に楽器が少しずつずれていくことが悩みでした。首の長さは人によって違うので、ヴァイオリン本体の厚さとの差を埋めるために肩当てを装着して演奏します。肩当てにはいろいろな形や素材がありますが、自分にピッタリ合うものはなかなか見つかりません。探究学習で身の回りの悩みというテーマがあったので、解決策がないか調べてみたのです。調べてみても先行研究などがあまりなかったので、自分で取り組んでみようと思いました」(加藤さん)

探究を進めていくうちに、もっと専門的な知識や機材を使いたいと思うようになり、「UTokyoGSC-Next」に応募したという。プログラムの1年目(第二段階)は基礎的な学習から始まり、最先端の理工系に関連する様々な分野の知識を習得。STEAM型ワークショップなども経験し、中間選考・二次選抜を経て第三段階に進む。第三段階では、東大の研究室に所属して「ヴァイオリン演奏時に脱力できる肩当ての開発」というテーマで研究を行った。

「1年目はランダムに様々な分野の先生の講義を受けて、各分野の基礎を学びました。2年目は、自分が取り組みたい研究と研究室をマッチングしていただき、実際に研究活動を行います。私はまず、楽器が本当にずれているか科学的に検証するためにモーションキャプチャを使いたいと思っていたので、人類進化生体力学研究室にマッチングしていただきました。研究室では、モーションキャプチャやハイスピードカメラなどを使って、ヒトの身体筋骨格系の形態と運動の進化に迫る人類進化研究を行っています。私は楽器のずれを検証するために、体と楽器に赤外線反射マーカーをつけて演奏し、モーションキャプチャで特定したマーカーの位置をパソコンで座標空間上に点として打ち、楽器のずれを数値化しました」(加藤さん)

▶︎加藤優音さん

▶︎モーションキャプチャで楽器のずれを測定

プログラムを通して芽生えた東大進学への思い

楽器のずれを確認した後は、熱を加えると変形する熱可塑性ボードを使って肩当ての試作品を作っていったと加藤さんは振り返る。

「市販品でもいろいろな形の肩当てがあるのですが、まず3種類作ってみて、その中でよかったものをさらに改良して形や角度、湾曲具合などを変えたものを作り、変化の幅を少しずつ狭めていきました。動かないようにしっかり固定されると窮屈になって逆に弾きにくくなるので、バランスが難しかったです。試作を重ねていく中で、最終的には今まで使っていたものより安定して演奏できるものが作れました」(加藤さん)

2年間のプログラムを通して、様々な専門分野の先生から話を聞く機会を得て、東大で学びたいという思いが芽生えたという。

「講義を聞いたり、研究室にお世話になって先生方とお話する中で、専門分野はもちろん、専門分野以外でも深い教養をお持ちで、専門と結びつけてさらに深められていることが感じられました。東大は総合大学なので、芸術に関する研究をされている先生などもいらっしゃり、プログラムではどんな研究でも受け入れてくださいました。専門分野を深めながら、他分野とも結びつけて学んでいくことが大事だと感じましたし、そのような先生方に教えていただける環境で学びたいと思ったのが東大を第1志望にした理由です」(加藤さん)

▶︎最終的に採用した肩当て

模擬裁判の経験から法学部を志望

東大で学びたいと思ったきっかけはSTEAM教育プログラムだったが、加藤さんが選んだ学部は法学部だ。法学部を志望したきっかけは、高校2年次に参加した模擬裁判選手権だという。大会では、1つの刑事事件を題材にして、高校生が検察官や弁護人になりきる。争点を見つけ出して主張と証拠を整理し、証人尋問・被告人質問・論告弁論を準備した上で、実際の訴訟活動を行うという実演型の選手権だ。参加校は、支援弁護士による支援を受けながら、本番に向けて、争点や主張・立証方法の検討、尋問や論告・弁論の準備を行う。

「本やドラマなどからもともと法学に興味があったのですが、高2のときに模擬裁判選手権があると知りました。実際に働いている弁護士や検察官の方たちとお話しできると書いてあったので、ぜひ参加したいと思って白百合の友人を誘って挑戦してみたのです。体験してみて、論理的な矛盾がないかなど、日本語の細かい表現にこだわって質問や論告弁論を考えることに魅力を感じて、法学の道に進みたいと思いました。弁護士の方からお話を聞いて、法律に関わる仕事といってもいろいろな分野があることも知りました。自分の興味がある分野の案件に関われることもわかったので、音楽の分野で法学という側面から貢献できたらいいなと考えたのも理由の1つです」(加藤さん)

東大の一般選抜は科類ごとの受験で、出願時に学部は指定しない。学部前期課程(1・2年)は教養学部に所属し、2年次の進学選択で学部後期課程(3年~)に所属する学部を決める。一方、学校推薦型選抜は学部を指定して受験するので、学部後期課程は出願時の学部に進学。どちらの選抜方式でも、1・2年はリベラル・アーツ教育によって文系・理系を問わず幅広く深い教養を身につけるが、入学時から学部を決めておくことのメリットもあるという。

「もともと東大へは一般選抜で受験しようと思っていて、勉強面の準備は早い段階からしていたので、法学部への学校推薦型選抜と一般選抜を併願することにしました。学部を決めて入学できると、1・2年生のうちに3・4年生向けの専門的な授業も履修できるので、4年間という大学生活の中でより充実した時間の使い方ができると考えたのです。学校推薦型選抜の準備としては、自分がどんなことをしてきたか振り返って、その中で自分がこれからどうしたいかということを考えるなど、自分と向き合う時間が必要でした。それは、大学生として専門的な学びをしていく前段階として、有意義な体験になったと思っています。一般選抜だけなら必要ないことでしたが、その機会があったことが私にとってはよかったです。白百合は国語以外でも、理科の実験や宗教、音楽など、日本語のレポートを書く機会が多かったので、受験の記述問題や推薦入試の書類を書くときにも役立ちました」(加藤さん)

白百合学園で過ごした15年間

加藤さんは幼稚園から白百合学園に通っていたので、15年間、同学園で過ごしてきた。今年の4月から東大に通うようになり、同学園を離れて初めて気づいたことも多いという。

「いろいろな興味・関心を持つ友人に囲まれて過ごす中で、自分も刺激を受けていろいろなことに挑戦したいという気持ちを持つことができたのだと思います。白百合では、文系・理系だけでなく、スポーツや美術、音楽など、それぞれが好きなことや得意なことを頑張っていて、それをお互いに尊重する雰囲気ができています。先生方や友人から応援してもらいながら、自分の興味を大切にしてさまざまなことに挑戦できたことが、結果的に推薦入試にもつながったのだと思います。模擬裁判選手権に参加したいと誘ったとき、自分が一番興味を持っていること以外でも受け入れてくれて、『面白そう!』と言ってくれた友人がいたことも、よい環境で学校生活を送れていたのだと改めて思いました」(加藤さん)


同校ではカトリックの教えを通して、それぞれが違う「賜物」を神様からいただいているのだから、お隣も磨いていたら自分も磨きましょうと生徒たちに伝えている。

「自分でコンクールやプログラムを見つけてきて参加する人が多かったので、それが私のモチベーションにもつながっていたと思います。白百合生は、意志や考えを持って自立しているけれどお互いを尊重していて、そのバランスがいいなと感じます。
進路もそれぞれ異なり、受験に向けた取り組み方も人によってさまざまでした。それぞれが自分の目標に向かって努力しながら、友人の頑張りにも刺激を受けて過ごしていたことが印象に残っています。15年間過ごしていろいろなことを経験しましたが、幼稚園の頃さえ鮮明に思い出せるんです。それは、白百合で過ごした日々が充実していて、楽しかったからだと思います。先生方からは日々の生活の中で、人として大切なことをさまざまに教えていただきました。同時に、友人から刺激を受けたり、一緒に楽しいことに取り組んだりする中で、多くのことを学びました。そうした15年間の一日一日の積み重ねが、今の自分につながっているのだと思います」(加藤さん)

今後の目標と受験生へのメッセージ

中学の3年間は、東京藝術大学音楽学部が開講している「東京藝大ジュニア・アカデミー」にも通っていたという加藤さん。将来については、音楽の分野で、技術発展に伴って生じる紛争解決に必要なルール作りなどに携わりたいと語った。

「生成AIなどの技術発展に伴って、音楽の分野でも新たなトラブルが生じるようになりました。音楽家だけでなく、音楽の文化そのものを守るためには、受け手の権利とのバランスが大事で、それを調整するのが法律です。新たなトラブルに対応するためには、新たなルール作りや既存のルールの見直しが必要になるでしょう。解決するためには、法学の知識だけでも、音楽の知識だけでも不十分なこともあります。両方を学ぶことで、より実務的なルール設計に貢献できたらいいなと思っています」(加藤さん) 

最後に、中学受験を考えている受験生へのメッセージを語ってもらった。

「まずは中学・高校のうちにいろいろなことに挑戦して、自分は何をやりたいのか、どんな人間になりたいのかを、試行錯誤しながら見つけていって、友人と一緒に自分を磨いていくことが大事だと思います。中高の段階では、どんな進路の選択肢があるかはまだわからない部分も多いです。その中で自分の視野を広げるためには、好きなことだけでなく、いろいろなことに挑戦することも大切で、それができる白百合の環境はすごくいいなと思います。白百合は土曜日に授業がないので、土日を利用して何かに挑戦しやすい環境です。帰国生も同じクラスにいたり、多様な生徒がそれぞれ興味のあることや自分らしさを隠すことなく過ごせるので、自分を受け入れて自立して過ごすことができます。そのように恵まれた環境を存分に活かして学ぶことができれば、自分に合った進路が見えてくると思います」(加藤さん)


<取材を終えて>
東大のSTEAM教育プログラムに応募したり、模擬裁判選手権に参加したり、藝大のジュニア・アカデミーに通ってレッスンを受けるなど、いろいろなことに挑戦し、友人や先輩に刺激を受けながら、充実した6年間を過ごしたことが伝わった。まだ受験校を絞りきれていない方は、ぜひ加藤さんからのアドバイスを参考にしていただきたい。

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