スクール特集(文化学園大学杉並中学校の特色のある教育 #17)

英語初心者でもカナダの教育が受けられる! 培った英語力で、幅広い進路を実現
文化学園大学杉並中学校では、英語上級者だけでなく初心者でもカナダの教育課程を学ぶことが可能だ。日本とは異なる授業スタイルで、自然と英語力を伸ばす同校の教育活動を取材した。
中2・中3の74%がカナダのカリキュラムを学習
文化学園大学杉並中学・高等学校は、カナダのブリティッシュ・コロンビア(BC)州の海外校として認定を受け、今年で11年目を迎えた。高校には、日本とカナダの2つの卒業資格を同時に取得できるダブルディプロマ(DD)コースを設置。中学校でもカナダのカリキュラムを学べるプログラムを作り、英語上級者は1年生から、英語初心者も2年生から履修ができる制度を整えた。同校の英語教育やカナダの授業の特色について、入試広報部長の西田真志先生に話を聞いた。
同校の英語の授業は、中1から生徒のレベルに合わせて、ネイティブ教員主導で行われている。カナダのカリキュラムを学ぶ「DD7」は、BC州教員が週17時間、授業を受け持ち、そのうち数学5時間、理科2時間は各専科の先生が指導している。また、英語上級者向けの「Advanced7」は、英語の授業数が週10時間(うち8時間をカナダのカリキュラムで学ぶ)、英語初~中級者対象の「Starter7」は週9時間(うち2時間の英文法は日本人教員が指導)を確保している。
「近年は、オールイングリッシュの授業を、ダブルディプロマプログラムやインターナショナルコースのような形で実施する学校が増えています。しかし、その多くは、英語上級者向けに行われていると思われます。それに対して本校では、英語上級者はもちろん、初心者でもカナダのカリキュラムを学ぶことが可能です。希望する生徒は、中1で『Communication English』という講座(朝7:50から週2回、BC州教員指導)を受け、年度末に審査を通過すれば、2年生から『DDPrep8』というクラスで学ぶことができます」と、西田先生は説明する。ちなみに審査では、英検4級~3級程度の英語力が求められる。
今年度の1年生は、「Starter7」に119名在籍し、うち99名が「Communication English」を受講している。また昨年度の1年生は、「Starter7」にいた78名が「DDPrep8」に進むことを希望し、うち62名が審査を通過。そして今年度は、中2、中3生の74%がカナダのカリキュラムを学んでいるという。
なお、同校にはカナダ・BC州の教員が18名おり、ネイティブ教員は総勢29名にのぼる。「ネイティブ教員が多ければ多いほど、英語に触れる機会も多くなり、生徒にとって英語は身近な存在になっています」と、西田先生は言う。
※「DD7」と「Advanced7」は、入学時に英検2級程度の英語力が必要とされる。

▶︎入試広報部長 西田真志先生

▶︎ネイティブ教員は総勢29名。専用の職員室もある。
アウトプット中心のカナダの授業
西田先生は、カナダの授業スタイルは日本の学校とは大きく異なり、その理由の1つに大学入試の違いがあると話す。
「カナダの高校生が大学に進学する際には、ペーパー試験がありません。日本も総合型選抜や学校推薦型選抜が増えてきましたが、一般選抜は未だペーパーが主流です。よって、日本の教員はどうしても教え込むことを重視しがちです。時には、学問の本質ではなく、スキルとして点数を取るための指導をすることもあります。日本の教育課程はインプット型なので、そういう面は否めません。
一方、カナダの大学入試にはペーパーがないので、基本的に教え込むというよりは、アウトプットすることに主眼を置いています。『こういう人材を育てたい』という大きな目標のもとで、他者と話し合って答えを見出したり、表現をしたりして力をつけていくのが、カナダの教育の特徴です。そうした日本の教育課程にはない学びを英語上級者だけでなく、英語初心者も学べるというのが、本校にしかないプログラムだと思っています。
もちろん、カナダの教育課程の数学や理科だけを学習しても、日本の一般受験には対応できません。また、中1では海外大学に行きたいと思っても、途中で変わることもあります。片方のプログラムに偏ってしまうと、いざ、反対の方向に行きたい場合はブレーキになってしまいます。ですので、本校では、授業の量は若干授業数は多くなりますが、日本とカナダのどちらのカリキュラムも学習する体制をとっています」

1クラス24名以下のプロジェクト型の授業
中2、中3のカナダの授業を見学した。中2の英語の授業では、グループで世界の料理をiPadで調べ、料理名とその絵、国名、材料などをプリントに記し、最後に全員で料理の絵のカードと、説明文のカードのマッチングを行った。
また中3の数学では、三角形と長方形を組み合わせた図形の角度や対角線を求める問題をグループで解いたり、同じく中3の英語の授業では、グループで物語を創ったり、他のクラスは物語の輪読を行って感想を話し合ったりしていた。
西田先生によると、「カナダの授業は生徒数が24名以下で行われます。今年の中2のDDPrep8は77名いるので、4つのクラスに展開しています。先生の目が1人ひとりに行き届きますし、基本的にグループワークをしているので、置いてきぼりになることはまずないですね」と話す。
「また、カナダの先生たちは数学や理科でも、身近なものを取り上げることが多いです。たとえば数学では、ポージングをしてそれと同じ形の人形を作って表面積や体積を求めたり、紐とボードを使って星や花などの図形を作り、いろいろな形の面積を出したりしました。理科でも細胞の模型を作り、その働きを学んだりしています。他にも、ボキャブラリーを増やすために、言葉と絵、説明文のあるカードを作成してゲーム形式で覚える。調べたことをポスターにまとめて発表するなど、可視化することに落とし込み、アウトプットをしています」

中3の約半数の生徒が英検2級以上の力を獲得
こうしたカナダの授業について、西田先生は、「身近な題材を扱ったり、手を動かしたりする学びは、中学生だからヒットするのだと思います。いろいろなものを吸収できる時期に、日本にはないような教育課程で、しかも英語で学べるのは、英語力はもちろんのこと、発想力や課題解決力、表現力、協働する力などいろいろな力が身につきます」と語る。
「そもそもカナダの先生たちは、英語力を伸ばすという観点ではなく、英語をツールとし、それを使って様々な学問に触れることに重きを置いています。そうした環境のなかで、生徒たちは自然と英語力を伸ばしていくのです」
現在、同校の中学生442人中251人がカナダのカリキュラムを学び、その半分の122名は英語初心者で入学している。また、2025年3月時点において、中学3年生の約半数が英検2級以上、17%が準1級以上を取得し、上級者も初心者も3年間で確実に力を伸ばしている。

英語力の向上と、ダブルディプロマの取り組みにより、海外大学の合格実績も伸びている。ある調査の2021~2025年海外大学合格実績で、同校は10以内にランキングしている。「DDコースから卒業生が出て8年間の累計で、159名が海外大学に合格していますが、今年と昨年だけで85名の合格者を出しています。ここ2年でステージが変わってきた感じがしますね」と西田先生は言う。
英語初心者でも中学2年からカナダのカリキュラムを学べるのが、同校の特色であるが、当然ながら「本科」に進む生徒もいる。本科であっても、英語の授業が週8時間あり、うち6時間はネイティブ教員が受け持ち、一般的な学校よりもネイティブ指導の授業が多い。
また、中学校から高校へ進学する際、「DD7」の生徒は原則、高校でDDコースへと進むが、中2で「DDPrep8」に進んだ生徒は、希望と審査を経て、DDコース、特進コース、進学コースへと進む。「DDコースは国内大学を受ける際、一般受験以外にも、一部の大学は帰国生枠で受けることができます。また、カナダの授業を経て、特進または進学コースに進む生徒にとっても、中学で身につけた英語力が大きなアドバンテージになり、国内大学の進学に有利に働きます」(西田先生)
このように同校では、中学校からカナダの教育課程を取り入れるとともに、日本の教育もしっかり行っている。2つのカリキュラムを学ぶことで、生徒たちは幅広い進路を実現している。
<取材を終えて>
最近は、国際学級などでイマージョン教育を行う学校も増えているが、同校の場合は日本の教育課程を英語で行うのではなく、カナダの教育課程そのものを取り入れているのが特徴だ。教科書をなぞるようなインプット型ではなく(基本的にカナダの授業は教科書を使わない)、グループワークを行うなどのアウトプット型なので、上級レベルの英語力がなくても学習ができるし、クラス分けも細かくしているため、その生徒に合った授業を受けることができる。同校は授業見学会も定期的に行っており、興味のある人は実際にカナダの授業を見てみたらいかがだろう。


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