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明治学院中学校

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スクール特集(明治学院中学校の特色のある教育 #4)

調和と感謝を受け継ぎ“学校の顏”として活躍するハンドベル部

キリスト教に基づく人格教育を基盤に、中・高一貫教育を展開する明治学院中学校。キリスト教とのつながりが深く、教会や福祉施設などで演奏奉仕活動も行うハンドベル部を取材した。

「キリスト教に基づく人格教育」を教育理念として掲げ、「道徳人・実力人・世界人」の育成を目指す明治学院中学校。キリスト教とのつながりが深いハンドベル部は、入学式をはじめとする礼拝や学校説明会での演奏、近隣の教会や福祉施設への演奏奉仕活動など“学校の顏”として活躍している。同校の卒業生でもあり、コーチとしてハンドベル部の指導にあたる岡本美帆先生(理科・非常勤講師)に話を聞き、中学生の練習を取材した。

人々を魅了する美しい音色

ハンドベルは、教会の鐘を鳴らす練習用としてイギリスで誕生したといわれている。教会の鐘は、時報や非常時を告げる警鐘など、目的に応じて異なる音色を正確に奏でる必要があったからだ。やがて、教会での讃美歌の演奏などにもハンドベルが使用されるようになった。そのような背景から、日本ではハンドベル部がある学校の多くがミッション系の学校であり、礼拝や学校行事などで重要な役割を果たしている。同校でも、礼拝形式で行われる入学式ではハンドベル部が前奏を担当していると岡本先生は説明する。

「私が中学生としてこの学校に入学したときに、最初に見た先輩が入学式で演奏するハンドベル部の部員でした。その音色を聞いて『ああ、この部活をやってみたい』と思ったことを覚えています。学内では、学校説明会や入学式、文化祭、クリスマス礼拝をはじめとする特別礼拝などで演奏し、1年間の集大成が1月末に中高合同で行う定期演奏会です。なかのZEROホールの大ホールで行うので、学外の方にも聞いていただく機会となり、毎年楽しみにされているリピーターもいます。学校説明会でベルの音を聞いて魅了され、入学前からベルをやってみたいと思って入部したという部員も多いです」(岡本先生)

毎年出場している「TBSこども音楽コンクール」では、東日本優秀演奏発表会の常連であり、最優秀賞を受賞した経験もある。学外からの評価も高く、福祉施設や教会から依頼を受けてコンサートを行う機会も多いという。

「様々な会場で、お客様の前で演奏する機会は貴重です。演奏の経験を重ねて、生徒たちは大きく成長していきます。大きいホールの場合は『間違えたらどうしよう』という緊張が大きいようです。一方、教会や福祉施設ではお客様との距離が近いので、ダイレクトに楽しんでもらえていることが実感できます。例えば、小平の養護施設で演奏したときは、障がいのあるお子さんが集中してずっと演奏を聞いてくれました。施設の方から『こんなにじっと聞いていることは珍しい』と言われるなど、学校生活の中ではなかなかできない経験だと思います」(岡本先生)

▶︎岡本美帆先生(理科・非常勤講師)

中1~中2の練習を取材

ハンドベルは、1つのベルで1つの音しか出せないため、5オクターブ(約60本)のベルを14人ぐらいで演奏する。他の楽器のように1人で1つの楽器を演奏するのではなく、14人で1つの楽器を演奏するのだ。今年度は中1~中3まで各学年7人、21人の部員で活動。中1は文化祭でのデビューを目指して、練習に励んでいる。この日は「ちょうちょう」や「エーデルワイス」を練習。中サイズのベルは1人が4~5個を担当し、小さいベルは1つの手に2つ持てるので、1人で10個ぐらい担当するという。

「ハンドベルは、14人で1つの鍵盤を弾いているようなものです。1人が複数のベルを担当しているので、1つの曲を演奏するためには頭も使います。どのようにベルを持ちかえればスムーズに演奏できるか、考えなければならないのです。曲によっては担当する部分がつながってしまうこともあり、ベルの持ち替えが間に合わないことがあります。そのようなときは、隣の子と交換して担当を組み替えたりしています。先輩たちがやっていた曲だと、組み換え方も受け継がれていくのです。生徒たちの楽譜には、いつ、誰にベルを渡すかが書き込まれています」(岡本先生)

この日の練習では、中1と中2が一緒に入り、岡本先生の指導を受けながら細かい部分は中2が中1に教えていた。教える姿勢や教わる姿勢も、自然と受け継がれている。

「部員は、物静かな子もいれば活発な子もいて、個性豊かです。普段は一緒に遊ばないようなタイプの子がいても、曲になると一致団結します。ベルが好きという共通点があるので、1つの楽器になるために、お互いを認め合い、協力し合い、まとまることができるのです」(岡本先生)

演奏する曲は、讃美歌がもとになっている曲だけでなく、映画音楽、ジャズ、クラシックなど多岐にわたる。今年度も「TBSこども音楽コンクール」、学校行事や演奏奉仕活動をしながら、1月の定期演奏会に向けて大作を仕上げていく。

「ハンドベル部は文化部ですが、ベルの重さで体を前に持っていかれてしまうので、体幹を鍛えることも必要です。卒業生がコーチとしてきてくれることも多いのですが、笑顔で筋トレをさせています(笑)」(岡本先生)

高校では40日間のアメリカ演奏旅行を実施

高校のハンドベル部は、隔年で40日間のアメリカ演奏旅行を実施している。高校生のときに参加した岡本先生にとっても、ハンドベル部の活動として一番の思い出となる経験だったという。

「本校には、独自のホームステイプログラムがあります。ホストファミリーは全て、アメリカの教会に属するクリスチャンファミリーです。ハンドベル部の演奏旅行は、そのホストファミリーを探すために行っています。ハンドベル部の生徒を通して本校の生徒を知ってもらうだけでなく、受け入れてくれている家庭への感謝を表す機会でもあり、とても重要な役割です。1か所には、3日から1週間ぐらい滞在します。私が参加したときは、中西部からスタートして、ニューヨークやカリフォルニアなど、かなり移動しました」(岡本先生)

同校独自のホームステイプログラムは、40日間同じ家庭に滞在する。一方、ハンドベル部の演奏旅行では、40日間の中でいくつもの家庭に滞在。それぞれによさがあり、どちらもホストファミリーとの貴重な経験ができると、岡本先生は語る。

「私は2年連続で両方に参加することができたので、親に感謝しています。ひと夏ずっと滞在した家庭では、家族そのもののような体験ができました。ハンドベル部の方では、3~4日でもいろいろなことをしていただき、たくさん家族ができたという感じです。教会や地元の学校などで演奏することが多いですが、それぞれ環境が違うので、机のセッティングなどを生徒たちが考えます。そういった体験を通して、準備が整った場所で演奏させてもらえることが、どれだけありがたいか実感できるのです。帰国した高校生たちは、準備をしてもらい、演奏させてもらえることに感謝しなさいと後輩に伝えています。それは今の中高生たちにも、代々受け継がれているのです」(岡本先生)

中3の生徒にインタビュー

Kくん 中3 部長
Sさん 中3 副部長

――ハンドベル部に入部したきっかけは?

Kくん 7歳年上の兄がこの学校の卒業生で、ハンドベル部に入っていました。今もコーチをやっていて、たまに学校に来ています。兄が中1のときから演奏を見ていたので、自分もやってみたいと思いました。

Sさん 学校説明会で演奏を聞いて、音色がとてもきれいで感動しました。ハンドベルは、違う楽器の合奏ではなく、同じ楽器で1つの音楽をつくりあげるのがいいです。この学校に入って、ハンドベルを演奏したいと思って受験しました。

――部活動が楽しいと感じるときは?

Kくん ハンドベルは連帯してやるものなので、みんなが上達して1つになったときです。僕はあまり声が出るタイプではないので(笑)、全員が練習に集中するように指示をするのはたいへんですが、みんなが1つにまとまったときにやりがいを感じます。

Sさん 難しい曲もありますが、演奏し終えたときは達成感があって楽しいです。

――印象的だった演奏会は?

Kくん 去年のクリスマスに、川越の教会で演奏したときです。ハンドベルの音色は、教会が一番合っていると思うので、印象に残っています。

Sさん 私は、中1の定期演奏会が印象に残っています。緊張しましたが、みんなで一緒に演奏できて、1年間の集大成という感じで楽しかったです。

―― 今後、ハンドベル部でどんな活動をしていきたいですか?

Kくん まだハンドベルはマイナーな楽器なので、もっとみんなに知ってもらえるように活動していきたいです。

Sさん みんなで仲良く演奏できるのが一番だと思います。仲良くしつつ、メリハリをつけて頑張っていきたいです。

――将来について教えてください。

Kくん ハンドベル部の経験を活かして、大学でもサークルでハンドベルをやりたいです。

Sさん 音楽が好きなので、音楽のことで何か新しいことにチャレンジできたらいいなと思っています。 

<取材を終えて>
ハンドベルは、「14人で1つの鍵盤になる」という例えが印象的だった。他の楽器と違い、1人では曲を演奏できない楽器なのだ。だから、1つの曲を仕上げるために練習を重ねていくうちに、チームワークや責任感、信頼などが自然に芽生えてくるのだろう。生徒たちが奏でる美しい音色を、ぜひ学校説明会や文化祭で聞いていただきたい。

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